カルテID#002 帆ノ風ヒロさま(4)
«手術当日»
「帆ノ風さま、おはようございます。よく眠れましたか?」
「夜中に何度も目が覚めてしまって」
「ナースコールして良かったんですよ」
「遠慮しちゃって」
「じゃあ、ナースステーションに声かけてくだされば……って歩けませんでしたね」
「試してみれば良かったですね」
「痛みがぶり返しますよ」
「それは嫌です」
オペ前の看護師回診の時に、何気ない会話をして緊張を解いてもらう。数時間してオペ室から内線が入り帆ノ風さまをオペ室へ連れていく。
「帆ノ風さま、オペ室いきましょうか」
「中まで来てくれるの?」
「手前の準備室で引き継ぎまでお供しますよ」
「えぇ~~、放置ですか?」
「中にはちゃんとプロのオペナースがいますから」
「よつ葉ちゃん、どんくさそうだもんね」
「わぁ、そこまで言いますか?」
島指導看護師とベッドを押して中央手術室へと向かう。中央手術室の扉を開け中に進む。
「整形外科病棟 帆ノ風ヒロさんです。よろしくお願いします」
「オペが終わり次第病棟に連絡させていただきます」
オペ室に入る前に、オペナースの手により下着を脱がされる。そしてビニール袋に入れ名前を書いて病棟に戻される。
病棟に戻りオペ室からの連絡を待つ。数時間後にオペ室から連絡が入る。
「オペ室から帆ノ風さまのオペ終了連絡です。オペ室にお迎え行ってきます」
ナースステーションにいるナースに声をかけてオペ室に向かう。オペ室に着き引き継ぎのホールで待機していると個別のオペ室から出てきた。
麻酔は切れて意識は戻っているが、まだ完全に意識覚醒はしていない。
「帆ノ風さま、無事終わりましたよ。お疲れ様でした」
「……はぃ」
「病室に戻りますね」
「…………はぃ」
当院の習慣なのか主治医の大石ドクター、整形外科医師数名が病室にまで付き添い診察をして医局へ戻る。
病室にて術後の管理の処置を整える。酸素マスクをボンベから病棟にプラグの方へ繋ぎ変える。心電図モニターを付ける。血栓ができないようにフットポンプを装着する。抗生物質の点滴を追加する。生命維持装置に接続してセットする。一連の流れを島指導看護師にチェックされたが問題なくできていたようでダメ出しはなかった。
「帆ノ風さま、何かありますか?」
「熱いです」
「氷まくら持ってきますね」
ナースステーションに戻り、アイスノンを持ち病室に戻る。
「帆ノ風さま、枕変えますね」
帆ノ風さまの頭を抱えて枕を入れ替える。
「冷たすぎませんか?」
「気持ちいいです」
「良かったです」
帆ノ風さまの手に直ぐ押せるようにナースコールボタンを握らせておく。
「何かあれば直ぐに押してくださいね」
「……はぃ」
帆ノ風さまの手術は無事に終わった。
第5話に続きます。




