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かみさまのおかげで

作者: 大友仙城

子供向けの皮を被っていますが、そんなに子供向けではないかもです。

エイミーは汗をだらだらとかいていました。それもそのはずです。時は2500年。大人の話によると、ちきゅーおんだんか?だとか、しーおーつー?のせいだとか、まだ背の低い女の子であるエイミーにはよくわかりませんでした。


「もうガマンできない‼︎ああ、どうしてこんなにあついの?れいぞうこの中にでも入ってしまいたいくらい」


気温は常に35度を超え、時には50度にも及ぶ灼熱の世界。まだ小さなエイミーには酷な環境です。


「ああ、かみさま、どうかこのあついのをどうにかしてください」


エイミーは毎日毎日祈り続けました。凄く暑くて、一歩も動きたくない日もありましたが、エイミーは祈り続けました。きっと神様が願いを叶えてくれる、と、ずっと信じて祈り続けました。


すると、ある日、突然エイミーの頭の中に声が聞こえてきました。


『どうやら、とてもあつくてガマンならないらしいね。よし、わたしがすずしくしてあげよう。』


「ほんと?かみさま、ありがとうございます‼︎」


すると、みるみるうちに暑い空気が引いていって、心地よい涼しい空気が肌に触れました。


「ああ、すずしい。なんてきもちがいいの。かみさまのおかげだわ」


エイミーは外に出てみました。やっぱり空気は涼しいままです。他の人は突然涼しくなった世界に驚き、戸惑っていました。


「これはね、かみさまのおかげなのよ。わたしがおねがいしたら、かなえてくれたの」


エイミーは自慢げにそんなことを喋っていました。世界中が、この涼しい世界に驚き、また喜んでいました。世界中の人々が願っていた世界が実現したのです。不思議なことに、いくらたっても空気があったかくなることはありませんでした。


人々は、地球温暖化対策でできなかったことをたくさんするようになりました。より良い世界を作るために。今までは制限されていたCO2も、好きなだけ吐きだすことができます。それから、人類は今までにないスピードで進化を続けました。


そして、20年後、あの小さかったエイミーは、すでにママになっていました。


「ママ、おててがへんなの」


「どうしたの、トム?」


エイミーはトムの手を見て絶句しました。溶けて、形がなくなっていたのです。


「なんで?どうして⁉︎大変、病院に行かないと‼︎」


エイミーが救急車を呼ぼうと電話している間も、トムの腕はぽたぽたと一滴ずつ床に落ちていました。


その頃、博物館の倉庫にある、1990年に日本で作られたとされる温度計には、


「120」


という数字が出ていました。

ご精読ありがとうございました。一つでも心に残るものがあればいいなと思います。

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