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問部に来訪者?

~とある平日の放課後~


コンコン


その日は突然ドアのノック音が部室に響いた

問部の部員や顧問はノックなんかしないからみんな不思議そうな顔をしてた

それにもう全員揃ってるし…


「や、やばい、誰かきた…!!」


颯真はバタバタと忙しそうに人間の姿になってる

いやー、大変だね

もういっそのことずっと人間の姿のままにすればいいのに


「あの…、相談事があるんですけど…」


ドアの向こうから弱々しい細い声が聞こえてきた


「…、どうぞ、お入りください」


沙羅姉は颯真が戻ったのを確認してから外の人を招き入れた


「し、失礼します…」


ドアを開けて入ってきたのは、一言でいうと小さい人

小柄っていうかなんていうか…うん。


沙羅姉は、ソファに座ってる智くん達をどかせて、椅子に座るように入ってきた人に言ってる

で、その人が座ったらみんながひそひそ声で話し始めた


でもさ、問部に人が来るなんて天変地異でも起きるんじゃない?

ってみんなで話してる

もちろんひそひそ声でね

確かにそうかも知れないなぁ


「で、何か用事でも?」


なんか問部って沙羅姉が顧問兼部長って感じがする

今も沙羅姉がいろいろ聞いたりしてるし


「え、と…、ここでなんでも問題を解決してくれるんですよね?」

「えぇ、そうだけど…」


え、クラブが出来てから初めての依頼…?

確かにここは問題を解決する為に出来たクラブだけど、それって表向きだけじゃなかったの!?


「いなくなったペットを探して欲しいんです…!!」


おー、ありきたりー

よくありそうな依頼だわ

でもそれなら貼り紙はったり自分達で探した方が早くないか?


「ペットがペットなんで他に相談出来なくて…」


どんなペットだよ、それ…

と、いうか、名前を聞いてないよ…


「わかりました。引き受けるかどうかは話を聞いてからで…。私は知ってますけど他の部員が知らないので、一応名前を…」

「あ、すみません。そうですよね」


沙羅姉は私の心を読んだように名前を聞いてくれた

でも沙羅姉はこの人の事知ってるんだなー

保健室の先生だから?


「私は、佐々木(ささき) 詠美(えいみ)です。2年B組にいます」


詠美さんね、なるほど

2年生だったら先輩だなー

私より背ぇちっちゃいのに…


「で、ペットとは?」


沙羅姉は話を次々に進めていく

詠美さんはポケットから写真を取り出して、机の上に置いた。

それをみんなで覗いた

…、猫の写真だ

猫がペットなの?だったらここに相談しなくても…


「雨音見て、この猫尻尾が分かれてる」


なに?!

それはほんとなのか?

優奈がひそひそ声で教えてくれた事を確かめる為にじっと見てみた


「…………!!」


ほんとだ!!つっきーと一緒だー

じゃあこの人が飼ってるのは猫又の妖怪?

妖怪なんか飼う人いたの?


「この子を見つけて欲しいんです」

「あー、確かに他に頼めない事ね」


いや、そりゃ頼めない事だろうけどさ

なんで詠美さんはこのクラブの事知ってるの?

なんで妖怪の話を持ちかけたの?

私達が妖怪だって事を知ってるの?


いろんな疑問が頭の中を巡るなか、私はあるものを発見した

それは詠美さんの足元

詠美さんの足首にはちょっとした金属の輪がはまっている。


あれって確かー

妖怪の力を抑えるやつだよね?

だって私ときょーちゃん以外は全員つけてるし


「あの…、詠美さんって…、妖怪…だったりしますか…?」


私は間違ってるとやだから恐る恐る聞いてみた

すると詠美さんはコクンと頷いてくれた


いやー、気がつかなかったー

よっぽど強く力を抑えてるんだろうなー


「私、人魚の子供なんです。だから身体は小さいけど、水に入ればそれなりに大きくなるんです」


へー、そうなんだ…

でもなんで妖怪が妖怪を飼ってるの?

なんか怖いよ?


「実は、ペットというのは表だけで、友達なんです。その子」


この猫又が?友達?

まあ私も人の事言えないけど

だってそこに猫又さんいるもん

友達だしさ

確かに友達がいなくなったら心配だよなー


「菜月、何かわからない?」

「え、私?沙羅ちゃんなんで?」

「あんただって猫又でしょ?」

「まあそーだけどー」


沙羅姉むちゃくちゃ言うなー

つっきーにそんな事出来るのかー?


「んー、やってみる。ちょっと待ってて?」


そう言ってつっきーは猫耳を出して辺りの音を聞き始めた

それで部屋の中をウロウロし始めた


「うーん、んー?ほうほう」


なんか1人で呟いてるし…

怖いって…


「その子、今実家に帰ってるだけだからまた戻ってくるってさ」

「ほんとですか…!?」

「うん!!」


すごっ!!

さすが猫又!!(?)

なんでわかったんだろ…

私すごく興味津々だよ!!


「つっきーすごーい」

「いつものドジっぷりが嘘のようだ!!」

「ドジ言うな!!」

「うるさくてごめんなさい」


私と美都はつっきーに言葉をかけて、つっきーは美都の言葉に突っかかって、つーちゃんは詠美さんに謝ってる


「いえいえ、とっても楽しくていいですよ」


そして詠美さんは心が広くおおらかな事がわかった


いやー、すごくいい人だ

こんな人が問部の先輩だったら良かったのに…

なんでもっとはやくにクラブを作ってくれなかったのか…

恨むよ、あいちゃん


「じゃあ、ありがとうごさいました。帰ってきたらまた言いにきますね」

「いやー、お構いなくー」


ほんとにこんなので役に立ったのかな?

てかこんな解決の仕方でいいのか?

よくわからないけど、詠美さんが喜んでくれて良かったよ


~後日~


詠美さんから手紙をもらいました


“なかなか時間がつかなくて、そちらに行く事ができなくてすみません。無事に友達が帰ってきました。それもこれもみんな問部の人のおかげです。本当にありがとうごさいました。”


そんなお礼されるほどの事なんかしてないよ?

来れないからって手紙書くとか律儀だねー

てか後輩に敬語らしきもの使うってすごいよ

いいとこのお嬢様だったりしてね


まあとりあえず、詠美さんの役に立てたので、


「これで良かったって事にしておこー」


来るかどうかわからない依頼者を待ってても暇なだけだから、のーんびりゆーくり今まで通りにクラブを続けていこー



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