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家紹介の後のクラス紹介?の後のクラブ紹介

碧斗と別れ帰宅するとすぐに緋人は持って帰ってきた座敷わらしを父親に預けた。

緋人から座敷わらしを手渡された父親の

「なんとかしておく」

の言葉を聞いて雨音は、明日の準備をして床についた。


『雨音起きろ』

「んぁ?」

『朝や朝』

「あー…、あー…」


雨音は朝に弱い。その為いつも緋人が起こしてくれる。

しかし、昨日の疲れもあったのか起きる気配がない。


「もうちょっとー…」

『あかん、あの座敷わらしの様子も見に行かなあかんやろ?』

「あ、そっか」


雨音は重い足を引きずりながらふらふらと1階に降りた。


「雨音おはよう」


最初に挨拶して来たのは母親だった。


「はよー…」

「ふふ、まだ眠いの?」

「うん…」


欠伸をしながら答えた雨音を母親はクスクスと笑った。


「雨音、ちょっとおいで」


と、父親が声をかけてきた。

昨日雨音と緋人が連れて帰ってきた座敷わらしの件だろうか。


「ちょっと待ってー」

「じゃあお父さん下にいるから」

「はいはーい」


下に向かう父を見ながら雨音は朝食を食べる事にした。

朝食を作ったのは母だろうか…少し卵焼きが焦げている。

何を隠そうこの母親は少しばかり料理が苦手であった。


「で、なにー?」


朝食を食べ終え制服に着替えた後、父親の仕事場に向かった。


「あぁ、座敷わらしの手当て終わったぞ」

「あ、まじ?」

「おぅ、ちょっと話すか?」

「うん」


暫くして、父親が奥の部屋から座敷わらしを抱っこして出てきた。

雨音達は父親の書斎に入ったことが無い。今回も覗くことすら出来なかったので中がどうなっているのか分からないままだった。


「ほら、連れて来たぞ」

「か、かわいっ、ちっちゃっ」

『ほぅ、さすが座敷わらし。子供の姿やねんな』

(いや、そりゃそうでしょ)


雨音は父親から座敷わらしを渡され抱えた。

齢は5歳くらいだろうか。


「名前は?」

小鞠(こまり)


鈴の鳴るような声で座敷わらしは答えた。


「そっかー、小鞠かー」

「女の子の座敷わらしだな」


父親曰わく、足の怪我のせいでしばらくは歩けないらしい。その為怪我が治るまでは雨音の家で面倒をみる事になった。


「雨音ー、学校遅刻するよー」

「え゛!?」


母親の急かす声が聞こえてきた。

確かに何時も雨音が学校に向かう時間から10分は過ぎていた。

しかし学校に向かおうとする雨音を小鞠が離さなかった。


「小鞠ー、離してー」

「うー…」

『懐かれたな、良かったやん』


そう言われ雨音は一瞬嬉しそうにしたが現状を思い出して困ったように笑った。


「しょうがない、今日はそのまま連れていけ」

「えぇ!?」

「雨音ー、遅刻ー」

「あ~…、もう!!わかったよ!!」


離さないのだから仕方がない。

それに普通の生徒には妖怪など見えないのだ。問題あるまい。


『バレへんバレへん、普通の人間には座敷わらしなんか見えへんやろ』

「それはそうかも知れないけど…」


とりあえず遅刻はマズイ為雨音は走って学校に向かった。



目の前に門が迫ってきた。間に合うかもしれない。


カラーンカラーン…


健闘むなしくも学校のチャイムがなってしまった。

1年B組の教室まではあと10m程だ。


「ヤバいヤバいヤバい」


もうすぐで教室に着くと思うと逆に焦ってしまったのだろう。


「うわっ!!」


扉を開けた瞬間ドアの下の部分でつまずいて鼻を打ちながら転けた。



「何やってんだよ、九頭龍」

「うっさい!!」


声をかけてきたのは担任の翡翠碧斗だった。

別に雨音も好きで転けた訳では無いため顔を顰めながら返事した。


「とりあえず席つけ」

「はいはい…」

『あほ』

(うるさい…)


雨音は席に着きながら悪態をついてきた緋人に心の中で言い返した。

(はぁ…この学校広すぎる…)

この学校は1学年A~Hの8クラスあり、階段側からH、G、F、E、D、C、B、Aと並んでいる。それに1年生の教室は三階にあった。移動するだけで一苦労である。



「あーちゃん、あーちゃん」


後ろから肩をちょんちょんとつついてきたのは同じクラスの荒居(あらい) (きょう)

お察しの通りこの少年も妖怪である。

種族【人狼】しかも雨音と同じで半妖なのだ。


「んー、どうしたの?」

「それなに?」


香が指を指したのは雨音の腕の中

ちょうど小鞠を抱っこしたままだった。


「あー、これ?座敷わらし」

「座敷わらし…」

「うん、そー」


香は何言ってんだと怪訝そうな顔をした。

同級生が急に座敷わらしを抱えて登校してきたのだ当然の反応である。


「詳しい事は後で話すよ」

「う、うん…」


今から授業が始まるらしかったが雨音はやる気がないのか終始呆けていた。


カラーンカラーン…


そうして呆けたまま一日が終了した。

つまりは放課後である。


「クーラブー!!」


雨音は走って部室へ向かい思いっきり力を入れて扉を開けた


「やっふーっ!!」


と同時に跳ね返ってきた扉が頭に直撃した。


「ふぎゃん!!」


一瞬の静寂の後に訪れた笑いの渦


「ギャハハハハハハ!!」

「ひーっ、腹いてぇぇ!!」

「ふおぉぉぉ…」

『アハハハハハハハ!!』


雨音は涙目で恨めしそうに仲間をみやった。


「あー、笑い過ぎて涙出てきたー…」


棒付きの飴を手に持って、目をこすっているのは桐生(きりゅう) 美都(みと)

このクラブの部員で1年G組の生徒だ。

そうだ、この少女も妖怪である。種族は【吸血鬼】だ。


「いやー、傑作、爆笑www」


そして笑いをこらえきれていないのは風見(かざみ) 優奈(ゆうな)

この少女も部員で1年C組の妖怪、種族は【メデューサ】


「もー、菜月みたいなドジしないでよーwww」


優奈の隣で笑っているのは1年C組の石谷(いしたに) 弥生(やよい)

この少女も部員で妖怪である。種族は【雪女】


「私そんなにドジじゃない!!」


弥生の言葉に反応したのは1年A組の五十嵐(いがらし) 菜月(なつき)

本人はこういってるがドジである。お察しの通りこの少女も妖怪で種族は【猫又】だ。


「………………っwwwwwww」


彼処の笑い過ぎて震えてるのは1年G組の御蔭(みかげ) 智輝(ともき)

四神の一人、西にいる【白虎】

一応神様なのだが何故か高校生をしている。


「だ、大丈夫!?」

「ありがとう…、きょーちゃん…」


心配そう声をかけてきたのは同じクラスの香だけだった。

部員は全員で9人いるはずなのだがあと2人来ていないみたいだった。


顧問は碧斗ともう一人居るのだが今日は来ていない。

この部活は必然か偶然か妖怪しかいない。

問題解決部などと名前の何をしているかイマイチ分からない部活に来る物好きなど普通の人間には居ないだろう。


「ところでさぁ…」


美都が飴をくわえながら雨音の腕の中を指さした。


「何それ?人形?」


小鞠は寝ているために人形にしか見えなかった。


「この子は座敷わらしだよー」

「「「「「……?」」」」」


当然の反応である。急に座敷わらしだよなどと言われても理解出来るはずがなかった。


「実はねー?」


そうして雨音は昨日の話をし始めた。


「じゃあしばらくは雨音の家で預かるの?」


と、弥生


「いいなー、富がくるぞー」


と、優奈


「でもあんまり来すぎてもなー…」


と、美都


「いいんじゃねーの?つか拾ったやつの責任だろ?」


と、智輝


「でもあーちゃんが拾った訳じゃないし…」


と、香


『うちの責任じゃないもーん』


と、緋人


「大変だー」


と、菜月


三者三様とはよく言ったもので皆がバラバラの反応をみせた。その間も小鞠は雨音から離れることは無かった。

そろそろ離して欲しいなとでも思っているのか雨音は困った顔をしている。







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