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得体の知れない“何か”に追われている件

今の小説に飽きたので作りました。

一人では作れなかったので、友人Hと友人Kに手伝ってもらいました。

面白いかどうかは、読んでから決めてください。

前のよりは、まだ面白いと思います。




「ぐぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


得体の知れない〝何か〟の声が響き渡る。

少女、雨音は現在その得体の知れない〝何か〟に追われている。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」


何故こいつに追われているのか雨音には自覚がなかった。

何かした覚えもない。

1つあるとするならば、雨音は〝普通〟ではなかった。


雨音が走っている場所は屋根の上

最初は地面を走って逃げていたのだが、如何せん人の視線が痛かった。

何故ならば人には得体の知れない〝何か〟は見えないからだ。


「緋人ーーーーーー!!!」

『なんやねな』

「この状況どうにかしてーー!!」

『しゃーないなぁ…』


雨音は確かに普通の人間ではない。

だが見た目は皆と一緒。要は中身の問題だ。

その実、母親が妖怪で父親が人間の半妖である。

と、同時に雨音は二重人格でもある。

半妖といっても雨音はちょっと人並外れた運動神経を持つ人間である。

関西弁の主である【緋人】こそが雨音の中のもう1人、妖怪の人格なのである。

本名を火月(かげつ) 緋人(ひのと)

2人の人格を合わせてようやく半妖になるのだ。

とてもややこしい話である。

そして雨音達を追いかけてきている得体の知れないモノも恐らく妖怪なのだ。


この世界には人間と妖怪が一緒に住んでいる。

でも大抵は山の中や家の中で隔離されて育てられ、あまり姿は見ることがない。

ただ時々人型の妖怪は雨音達のように街で生活している。

皆が知らないだけで、割と妖怪は人間に混じって生活しているのだ。

驚愕の事実である。


「どわぁぁ!!」

『何をぼーっとしとんねん、飛ばされるぞ』

「わかってるよっ!!」


間一髪である。

得体の知れないモノ…知性を持たない妖怪が雨音を襲おうとしていたのだが、緋人の声掛けのおかげで交わすことが出来た。


『雨音ー』

「なにぃ?」

『代われ』

「はぁ!?」


緋人は雨音に人格交代持ちかける。


『このままじゃあかん』

「は?どうゆう事?」

『だーかーらー、このままじゃうちらが潰されるわ』

「うん、で?」

『お前はあほぉか。うちと代われ、今すぐ片付けたる』

「はぁ…、わかったよ…」


そうして雨音は交代を受け入れた。

緋人と代われば目の色も髪の色も変わる。

雨音は黒髪で目がブルーグレー

緋人は銀髪に真っ赤な目、髪も長くなる。


「さぁ、やろか!!」

『ちょっと待って』

「なんや」

『せめてもうちょっと山の方に行ってからにして』

「なんでや」

『ここじゃ街の人に迷惑がかかるから!!』


緋人はすごく嫌そうな顔をして溜め息を吐いた。

山まではまだ距離があったからだ。



雨音は不機嫌ながらも緋人の行動を見ていた。

緋人は雨音よりも身体能力が良い。

流石妖怪である。ちょっと人並外れた運動神経の雨音では太刀打ち出来ない程だ。


『いやいや、だって私は人間で緋人は妖怪だもん…』

「うるさいぞ、雨音」

『し、失礼なっ…って聞こえてた!?』

「おぅ、かんっ……ぺきに聞こえとるよ」

『そ、そこまで溜めなくても…』


そうこうしているうちに緋人は山まで来ていた。


『なんで山!?』

「お前が山行け言うたんやろ」

『私は山の近くって言ったの!!誰も山まで行けなんて言ってない!!』

「あー、はいはい、悪かったなぁ」

『絶対悪いと思ってないー!!』


雨音達が喧嘩していると妖怪がもうそこまで来ていた。

しかし妖怪はどこか様子がおかしかった。

さほど強くないのにここまで暴れていたのだ。


『緋人っ』

「なんや」

『あの子…、怪我してる』

「わかっとる、知っとるよ」

『え、じゃあ…』

「お困りかな!?」


ふと、雨音の声が遮られる。

雨音と緋人ではない声が響く。


「何しに来てん」

「助けに来てやったんだよ、この俺が!!」

「はぁ?」

「生徒を助けるのも教師の役目だろう?」

「…さぁ、雨音、捕獲するで」

『あ、う、うん…』

「ちょっと待って、無視しないで!?」

「翡翠うるさいわ」

『あ、あいちゃん…』


あいちゃんこと翡翠(ひすい) 碧斗(あいと)

雨音が通っている星桜高校の教師だ。

性格が少しばかり残念なのが頂けないが雨音はいい先生だと思っている。

お察しの通りこの翡翠碧斗も妖怪である。

種族は【鬼】なのだが角は見当たらない。

お気持ち程度の鬼の要素なのか普段から刀を所持しているのだが、普通の生徒や教師から追跡されない辺り妖刀なのだろう。


「手伝いはいらん、殺さへんからな」

「え?なぜ?」

「あれは悪い妖怪やない。怪我しとって興奮しとるだけや」

『緋人、危ない!!』

「っ!!」

「!?」


その得体の知れないモノは、大きな手なのか足なのかわからないものを振り下ろしてきていた。

それをギリギリ躱す二人。


(ん…?)

『あれ…?』


何か言い知れぬ違和感が3人を襲う。


『ひ、緋人…』

(なんや)

『あれ…、おかしくない?』

(ちょうどうちもそれ思とった)

『あ、やっぱり…』

「翡翠っ」

「ん?なんだ?」

「刀借りんで!!」

「え、ちょ、おい!!」


緋人が急に碧斗の刀を奪った。

どうやら何かをしようとしているらしい。


「雨音!!」

『なに?』

「こっちがあいつの気ぃ引きつけとる間に分析を!!」

『なるほど、わかった』


あれは一体何なのか…。

雨音が判断するには情報が足りなかった。

すると緋人が何かしたのか緋人の身体が淡く光り始めた。


「お、俺の刀に火がっ!!」

「火を使われへんかったら九尾やない!!」

「そういう意味じゃねぇぇぇ!!」


緋人は飛び上がって、得体の知れないモノを斬った。


「お、おい!!殺さないんじゃなかったのか?!」

「違う!!あれは…、本体やない!!」


斬られて散った煙の中に一瞬見えた和服。

次々に斬っていく中でボールを持った子どもの姿が見えた。

雨音は何か分かったようだった。


『…!!あれは!!』

「なんかわかったか!?」

『座敷わらし!?』

「なんやて!?」


確証はなかった。

やはり情報が少なすぎるようだ。

だが雨音は不思議と間違えている気もしなかった。


「悪いもんがたまっとるみたいやな」

『なるほど…』

「よし、一旦持って帰るで」

『おっけー』

「という訳で翡翠、なんか寄越せ」

「はぁ!?なんで俺が…」

「ひーすーいー…?」

「わかりました…」


緋人は碧斗から受け取った箱に無理やり座敷わらしを押し込んむと、唐突に誰かに電話をかけ始めた。


「あー、父さん?おぅ、緋人」


電話の相手は雨音と緋人の父親だった。


「今からすっげー悪いもんたまっとる座敷わらし持って帰るからよろしく」


どうやら座敷わらしの浄化を父親に頼んだようだった。


「翡翠、刀返す」

「俺の刀っ」

「ついでにもう邪魔やから帰れ」

「酷くね!?」

「いんや、酷くない」

「いや、ひでぇよ!!」

「あほ」

「教師に向かってアホ言うなよ!!」


雨音は帰りたそうにしているが、緋人と碧斗が言い合っている。

漸くして雨音は耐えきれなくなり緋人に、声をかけた。


『早く帰ろうよーー…』

「ちっ、ほな帰ろか」

「教師に向かって舌打ちすんなぁー?」


まだ続くのかそう思ったが緋人が無視したことによって落ち着いた。

明日も学校がある。

学生がいつまでも外にいる訳に行かない。

碧斗もそう思ったのだろう、帰路に着く雨音達の背中にまた明日な、と声を掛けた。







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