第三話
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それから幾日か経った。
僕はというと元気でほぼ毎日ギターを教えてもらってた。
と言ってもコードを押さえるためだけの練習だが。
まだ手が小さいのでなかなかうまくは押さえられない。
それでも気長にそのお兄さんはコードを教えてくれた。
そんなこんなで一ヶ月ぐらいが経った。
もう退院して良いと医者から言われた。
ああ、そうなんだなと思いながら堀池さんとの別れがあるのだなとふと気づいた。
ギターは下手ながら何曲か弾けるようになってた。
でも自分のギターはない。
という事で退院記念に親にギターを買ってもらうかの交渉。
「ねえねえ、おとうさん。」
「なんだ?」
「買ってほしいものがあるんだけど。」
「だめだ。」
「えー。まだ買ってほしいもの、言ってないよ。」
「また高いものだろ。だめだ。」
「…確かに高いと思うものだけど…。」
「ほらみろ。まあ、何かってほしいか聞くぐらいならいいな。何買ってほしいか言ってみな。」
「…フォークギター…。」
「なんだって?」
「フォークギター!」
「フォークギター!なんて高そうなもの。」
「安いのでいいから買ってください。」なぜか丁寧語に。
「わーかった。中古品でいいんだろ?」
「あー、いいよ。音が出れば。」
「明日中古屋さんで見てみるか。」
「わーいw買ってくれるーw」
「まだ決まったわけじゃないけどな。」と釘を刺す父親。
で次の日。中古ショップ前。
「良いのあるかなー?」と、うきうき気分の僕。
「安いやつだぞ。」と、父親。
店の中に入る。
「安くていいのなーいっかなー?」と僕。
「これなんていいんでないか?」と父親が五千円の一回り小さいギターを指差す。
「おおー!五千円wこれでいい?」
「いいぞ。」と父親。
店員に確認をお願いしたところ「チューナーや弦は要りませんか?」と聞かれた。
「弦はわかるけど、チューナーって何?」店員の目が丸くなったw
「初心者の方ですねwチューナーとは音を合わせる機械です。」
「そうなんだ。」と思わずつぶやいた。
「チューナーは新品ので弦をセットで一万二百三十円になります。」と店員。
少し高いと思ったが仕方ないので買うことにした。
親には悪いことをしたと思ったが僕はホクホク顔で帰っていったのだった。