第二話
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いざ作曲活動をすると困難を極めた。
ピアノもギターも弾いたことがない。
メロディーは結構思い浮かぶほうなのだが、それの声を録音する以外に方法はなかった。
ボーカロイドも持っておらず、いつもピアプロの固定仲間に作ってもらってた。
作曲活動がこんなに難しいとは夢にも思わなかった。
ネコを主人公とした新曲の自分で初めてメロディーを付けた音源が出来上がった。
製作日数は三ヶ月ぐらい。
しかもメロディーだけの代物だ。
歌詞はもうすでに出来ていた。
これをピアプロつながりの調声師に頼んでミクで歌わせてもらった。
出来栄えを言うなら…上場!
後はアレンジだけかと思いながら作り続けるのだった。
ちゃんと親の言うことを守り、一日三時間というPCを使える時間の中でアレンジは進んでいた。
アレンジを始めて一ヶ月が過ぎただろうか。
体調がまた優れなくなった。
自分の病気は小児ネフローゼと呼ばれる病気で、大体二十歳を過ぎたら治ると言われている。
しかし、それまでは症状を回復する非常に副作用の強い薬を使わなければならない。
そうしないとその腎臓病で死んでしまう事もありえるからだ。
今はその入院期間に入ってた。
今はベット上安静、トイレにも一人で行ってはだめだ。
この尿淡白の症状が出たら絶対安静で、ベットから降りることも禁止される。
出来る事と言えば、未来を見据えての作詞活動だけだ。
遊びはおばあちゃんとの勉強や大好きな本を読むことぐらいだ。
必ず回復することを夢見て…。
一ヶ月が経った。
むくみといった症状はほぼ改善され、ベット上安静はとかれた。
そうしてあっという間に二ヶ月が過ぎた。
病院の外の公園に行ったときのことである。
ギターを弾く一人の青年と出会った。
その人はそんなにギターは上手ではなく、静かに歌を歌っていた。
最初は一時間ぐらい何もしゃべらず聞いていたのだが、そのお兄さんの方から声をかけてきた。
「こんにちは。私のギターに興味があるのかい?」とお兄さん。
「こんにちは。いや、曲作りに興味があって。」と自分。
「私は堀池っていいます。あなたは?」
「池澄 悠太。十一歳です。」
とその人はびっくりして「十一歳!すごい才能だな。」と言った。
「いや、遊びでだけど。」
「いや、それでもすごいよ。ギターは弾けるの?」
「楽器は弾いたことがないんですよ。」
「そうか。ギターが弾ければ曲作りにプラスになるよ。」
「本当ですか?ぜひとも教えてください!」
「いいよw私が病院にいる間ならねw」
その人は僕と同じ病気だった。
天気の良い朝は外に出てその人にギターを教えてもらった。