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心の在処  作者: Jemko
本編
5/10

人魚と海賊

サンシャインを出発した三人は、港町ミウミウを目指して街道を歩いていた。

―海沿いの街道―


ジーク「ヒュー、暑いなぁ~」

レオン「だから鎧を脱げって」

ジーク「やーだー」

リリィ「どうしてそんなに鎧に執着してますの?」

ジーク「これにはふかぁ~い訳があってだな」

レオン「そうかそうか」

リリィ「レオンー、おんぶしてくださらない?」

レオン「断る」

リリィ「そんな事言わずにぃ~」

レオン「ジークにしてもらえ」

リリィ「いやですわ!」

ジーク「俺の話をきけぇーい!」

レオン「また今度な」

ジーク「ぐぬぬ」


そんな話をしているとミウミウに到着する



―ミウミウ―



リリィ「ここが海の玄関と呼ばれている町ですわ」

レオン「すごい船の数だな」

ジーク「おい、アレ見てみろよ」


ジークが指差す方を見てみると、網の中で泣いている人魚の少女がいた。


リリィ「かわいそうですわね」

ジーク「女の子を捕らえるなんて許せないぜ」

レオン「そうだな」

ジーク「待ってろよー!騎士が助けにいくぜー!」


人魚を助けに港の方へ走り出すジーク。



―港―



人魚「えーん、だしてよー」


彼女は肩まで伸びた青い髪に琥珀色の瞳を持ち。身長132cm。色白で童顔。

服装の方は貝殻ブラのみで、上半身はムチムチ、下半身はピチピチしている。


漁師「ダメだダメだ。お前は高く売れそうだからな」

ジーク「おっさん!そこまでだ」

漁師「ぬっ!なんだ小僧」

ジーク「小僧じゃねぇ、ジークニール様だ」

漁師「それで、俺になんの用だ?」

ジーク「人魚ちゃんがかわいそうだろ~?逃がしてやれよ」

漁師「これは俺が捕まえたもんだ、どうしようが俺の勝手だろ?」

ジーク「それは違うな」

漁師「ぬわぁにぃ?」

ジーク「世界中の女の子は全て俺のモノだ」

レオン「それも違うだろ」


後から来た二人も話しに参加する。


漁師「なにを言うかと思えば・・・、仕事の邪魔だ!あっちいけ」

ジーク「いーや、力ずくでも助けてやるぜ!」

レオン「待てジーク」

ジーク「止めるなレオン!」

リリィ「珍しく真剣ですわね」

ジーク「ここであの子助ければ、俺に一目惚れするんだ!」

レオン「わかったから、話を聞け」

ジーク「ぬぅ・・・」

レオン「俺に試してみたい事がある」

リリィ「なんですの?」

レオン「見てのおたのしみだ」


レオンが意識を集中し始めると、心の剣から黒いモノが飛び出し、漁師の中に吸い込まれていく。


レオン「おっさん、人魚を売るなんて面倒じゃないか?」

漁師「なにいってんだ?そんなわけ・・・、そんな・・・わけ・・・」

漁師「はぁ~・・・、だるいなぁ」

レオン「人魚を俺にくれないか?」

漁師「そうだなぁ・・・、でもなぁ・・・、網から出すのめんどいなぁ」

レオン「自分で出すよ」

漁師「そうかぁ?ならくれてやるよぉ」

レオン「遠慮なく頂くとしよう」

漁師「それじゃあ、俺は家に帰るよ・・・」


漁師は面倒臭そうにその場を離れていく。


ジーク「ヒュー、やったな」

リリィ「なにをなさったの?」

レオン「怠惰が持っていた負の感情を使って、無気力状態にした」

ジーク「なんも見えなかったぜ?」

レオン「心の扉と一緒で、所有者にしか見えないんだろう」

ジーク「折角だし、技に名前をつけようぜ?」

レオン「そうだな・・・、【脱力】とでも呼ぶか」

ジーク「普通だな」


人魚「おにいさん達ー!たすけてよー!」

レオン「すまん、忘れてた」

ジーク「よーし!今助けてやるぜ!」


ジークは槍を使って網を破り、人魚を海に放してあげた。

バシャーン!


人魚「ありがとー」

ジーク「じゃあ俺とデートしようぜ」

人魚「やだー」

レオン「フハハハ!人魚にもフラれたな」

ジーク「ちくしょおおおおお!!」

人魚「あはは」

ジーク「それじゃ、名前教えてくれよ~」

人魚「マリンだよ」

ジーク「かわいい名前だな~」

マリン「お兄さん達も教えてよー」

ジーク「知りたいか~?」

レオン「俺はレオンハルト。そこの鎧男がジークニール」

リリィ「わたくしはリリィと申しますわ」

マリン「よろしくね♪」

ジーク「俺の出番が・・・」


レオン「マリン、聞きたい事があるんだが」

マリン「なーに?」

レオン「知り合いに、最近性格が変わった人はいないか?」

マリン「うーん、そういえばぁ~、アクマクアのお姫様が~、最近怒りっぽくなってるらしいよ」

レオン「アクマクアとは?」

マリン「人魚の町だよ」

レオン「それは何処にあるんだ?」

マリン「海の中」

レオン「ふーむ、マモノの仕業かどうか調べようにも、海の中ではな・・・」

マリン「マモノってなーに?」

レオン「実はかくかくしかじかでな」


マリンに事情を説明する。


マリン「ふ~ん、大変なんだね」

ジーク「そうなんだよ、大変なんだよ」

レオン「ここで足踏みしていても仕方ない、情報を集めに行くか」

リリィ「そうですわね」

ジーク「マリンまたなー」


三人がその場を離れようとすると、マリンが呼び止める。


マリン「みんな、まってよー」

ジーク「やっぱり、俺とデートしたくなったか?」

マリン「ちがうよー。あたしも連れてって欲しいの」

ジーク「ん?どうしてだ?」

マリン「ここまで船で運ばれたから、アクマクアへの帰り道がわからなくて・・・」

リリィ「それは大変ですわね」

レオン「連れて行くのは構わないが、そもそも陸を歩けるのか?」

マリン「うん!でも、砂浜みたいな場所がないと1人じゃ上がれないの」

ジーク「ほらよ、掴まりな」


海面にいるマリンに槍を差伸べて、掴まった所を引き上げる。


マリン「ありがとー」

ジーク「本当に歩けるのか~?」

マリン「みてて!」


マリンが一生懸命歩いて見せるが、どう見ても跳ねているだけだった。


ジーク「前には進んでるけどな・・・」

レオン「フハハハ!面白いぞ」

マリン「こう見えても、海でずっと泳いでるから下半身は強いんだよ!」

ジーク「ほ~う、なるほどな」

レオン「かなり目立つから、絶対に1人で行動したらダメだぞ?」

マリン「はーい♪」


人魚の少女マリンを仲間に加え、一行は情報集めに戻るのだった。



―ミウミウ―



レオン「さて、何処から手を付けるか」

ジーク「情報と言ったら酒場だな」

レオン「ジークにしてはまともな意見だ」

ジーク「俺だってたまにはな?」

レオン「そうだな」

リリィ「港町ですから、1軒くらいはありそうですわね」

マリン「れっつご~」

レオン「まぁそう慌てるな、あそこのご婦人に聞いてみよう」

ジーク「お前のナンパテクを見せてもらうぜ」


仲間が見守る中、女性に酒場の事を聞きに行くレオン。


レオン「そこの綺麗なご婦人」

おばさん「?」

レオン「今、魚をさばかれている貴方ですよ」

おばさん「あたしかい?」

レオン「そうです貴方です」

おばさん「綺麗だなんてやだねぇ」

レオン「ハハハ、私は嘘がつけないもので」

ジーク「(今まさについてるな)」

おばさん「あたしに何の用だい?」

レオン「酒場が何処にあるかご存知ですか?」

おばさん「酒場なら旦那が知ってるから案内させるよ」

レオン「よろしいのですか?」

おばさん「どうせろくに仕事もしないで、ふらふらしてる宿六だからね。それくらい問題ないよ」

レオン「ありがとうございます」


そう言うと、おばさんは家に入り旦那を大声で呼ぶ。


おばさん「アンタァアァァ!!ちょっとこっち来な!!」

レオン「(すごい迫力だな)」


すると、家の中からマジでダメそうなおっさんが出てくる。


マダお「なんだよ母ちゃん」

おばさん「このお兄さんがね、酒場に行きたいそうなんだよ。あんた暇だろ?案内してあげな!」

マダお「めんどくさいなぁ」

おばさん「あたしに殺されるか、酒場に行くかどっちか決めな」

マダお「わかったよ、行くよ」


マダお「そんじゃ兄さん、さっさと行こうか」

レオン「お願いします。おまえ達、行くぞ」

ジーク「おまえもなかなかやるな~」

レオン「まぁな」

リリィ「わたくしにも、あれくらい言って欲しいですわ」

レオン「その内な」


マダおに案内されて、酒場に到着する。


マダお「ここだよ」

レオン「ご苦労だった」

マダお「それじゃ俺は家に帰るよ」

ジーク「おっさんまたな」


マダおは家に帰り、一行は酒場に入る。



―酒場―



酒場に入ったみると、まだ昼という事もあり、客がおらず閑散としていた。

そんな中で、暇そうにしていたマスターから話を聞いてみる事にした。


マスター「ここは子供の来る所じゃないぞ?」

レオン「話だけでも聞かせてもらえないだろうか?」

マスター「話が聞きたいなら、注文しな」

レオン「それじゃあミルクを」

マスター「ほらよ」

レオン「リリィ、支払いを頼む」

リリィ「お任せください♪」


レオン「それじゃあ、話を聞かせてくれ」

マスター「何が聞きたい?」

レオン「この辺りで、最近性格が変わった人間を知らないか?」

マスター「また変な質問だな・・・。まぁいい、漁師の男がナマケモノになっているらしいぞ」

レオン「それは知ってる」

マスター「俺が知っているのはそれくらいだ」

レオン「そうか・・・」


ジーク「どうするよ?」

リリィ「町で聞き込みしますの?」

レオン「つい先ほど起きた出来事を既に知っているようだから、ここのマスターの情報網は確かだ」

ジーク「そうだなぁ」

レオン「そのマスターが知らないとなれば、この町には特に異変はないのだろう」

ジーク「そいじゃ次の町に行くか?」

レオン「そうだな」


話がまとまると、レオンはテーブルの上にあったミルクを飲み干す。


レオン「ゴクッゴクッ。マスターごちそうさん」

ジーク「よっしゃ行くか」


一行が酒場を出ようとすると、マスターが呼び止める。


マスター「お前達、この先の町に行くなら諦めた方がいい」

ジーク「なんでだ?」

マスター「橋が落とされているんだ」

ジーク「道は一本しかないのか?」

マスター「あぁ、橋を通るしかないよ」

ジーク「オーライ、ありがとよ」


話が済んだので外に出る。



―ミウミウ―



ジーク「マスターの言ってた事が本当なら、これ以上進めないぜ」

レオン「かといって戻ろうにも、シュタイン兵が待ち伏せていそうだしな」

リリィ「困りましたわね」

マリン「ねーねー、ふねにのろうよ」

レオン「そうか!その手があったな」

ジーク「お手柄だぜ、マリン」

マリン「えへへ」

リリィ「それじゃあ、船着場を探しましょう」


船に乗るために、船着き場を探す四人。

しばらく海沿いを歩いていると、大型の船が停泊している桟橋を見つける。


ジーク「見つかったな」

マリン「船がおっきーよ!」


ブォオオオオオオオオ!!


ジーク「うおっ!?」

レオン「まずいな」


四人が船を眺めていると、突然汽笛が鳴り始める。


リリィ「急がないと出航してしまいますわ!」

レオン「走るぞ!」

マリン「あたし走れないよー」

ジーク「しょうがねぇな」


急いで船に向かう四人。しかし、マリンは走れないので、ジークが抱き抱えて走る。

四人が船の前に到着すると、渡しの前には船員が立っていた。


船員「君達、急がないと出航しちゃうよ」

レオン「リリィ、支払いを頼む」

リリィ「はい♪」

ジーク「はぁ・・・はぁ・・・、マリン・・・重いな・・・」

マリン「おもくないよ!」

船員「よーし、金はもらった。はやく乗りな」


金を支払い、急いで船に乗り込んでいく。


船員「出発~」


四人が船に乗り込んだと同時に、渡しが外され船は出港する。



―船上―



ジーク「ぷはぁ~、間に合ったな」

マリン「ふねふねー♪」

レオン「勢いで乗り込んでしまったが、どこに向かっているんだ?」

リリィ「そういえば行き先を確認していませんでしたわね」

ジーク「まぁいいじゃねぇか。今は船旅を楽しもうぜ」

レオン「そうだな」


ジーク「なんか走ったら腹減ったな。おっさんから貰った弁当食おうぜ」


三人はビーチのおっさんから貰ったお弁当を食べ始める。


マリン「あたしもたべるー」

ジーク「はらよ」

マリン「もぐもぐ。おいしー」

レオン「あのホテルの料理は美味いよな」

リリィ「クインシーン城の料理よりも美味しいですわ」

ジーク「ふはひんほうおほうひお、ほんはひほいひふははっはひは」

レオン「飲み込んでから喋れ」

ジーク「ゴクン。シュタイン城の料理も、そんなに美味しくなかったしな」

レオン「野菜中心だったからな・・・。男には辛い町だ」

リリィ「だからわたくしと結婚してクインシーンの王になるべきですわ♪」

レオン「それは無理だ」

ジーク「そうだよなぁ、封印を守らないといけないしな」

リリィ「それならわたくしが王妃になりますわ♪」

レオン「それも無理だ」

リリィ「むー!」


マリン「ふたりは恋人なの~?」

リリィ「許婚ですのよ」

レオン「親が勝手に決めた事だ」

ジーク「そうだそうだ」

リリィ「お父様は関係ありませんわ。自分の意志で決めたのです」

レオン「俺も自分の意志で結婚は断る」

リリィ「そんな事言っていられるのも今の内ですわ♪」

レオン「なんだその自信・・・」

ジーク「いいよないいよなー、俺にもカワイイ恋人が現れないかな~」

レオン「リリィをくれてやる」

ジーク「いらねー」

リリィ「失礼ですわね!」


そんな話をしながらお弁当を食べていると、辺りが急に騒がしくなる。


乗客「キャー!」

船員「なんだお前たちは!!」


ジーク「ん?なんか騒がしいな」

マリン「おまつりー?」

レオン「それは違うと思うぞ」

リリィ「見に行きましょう」


四人は騒ぎの起きている場所へ向かってみると、そこには武装した女性が人質をとって何かを要求していた。


武装女「あたしらはミーノウ海賊団だ」

人質女「たすけて~」

武装女「あんたら!早く食料を持ってきな!」

船員「そんな事、俺たちに決められる訳ないだろ」

武装女「じゃあ船長を呼びな!」

船員「ちょっと待ってろ」


船長を呼びにその場を離れる船員。


ジーク「ヒュー、あの女できるぜ」

レオン「見ただけでわかるのか?」

ジーク「そりゃな」

マリン「ねーねー、あの人達なにやってるの?」

ジーク「ありゃ海賊っつってな、人を誘拐したり物盗んだりそりゃ悪い奴らだ」

マリン「こわーい」

レオン「しかし、海賊にしては数が少ないようだが」

ジーク「そういうやそうだな」


そうこうしていると、先ほどの船員が船長を連れて戻ってくる。


船長「わたしが船長です」

武装女「あんたが船長かい、うちの船にありったけの食料を積み込みな!」

船長「うーむ、仕方ないな。野郎共!準備するぞ」

船員「へい!」

船長「少々お待ちを」

武装女「早くしなよ」


船長と船員達が、食料を運び出す準備の為に船内へと戻る。


ジーク「食料しか要求しないなんて変な海賊だな」

レオン「盗みにかわりはないだろう」

マリン「でもでも、悪そうな人には見えないよ?」

ジーク「俺も同感だ」

レオン「勘か?」

ジーク「いや、あんなカワイイ娘が悪い子な訳が無い」

レオン「・・・」


数分後。


ジーク「レオン、トイレ行きたいんだが」

レオン「勝手に行け」

ジーク「いやいや、場所がわからん」

レオン「船内を適当に探してれば見つかるだろう」

ジーク「手伝ってくれよ~。な?な?」

レオン「わかったわかった」


トイレを探しに船内へ向かう二人。



―船内―



ジーク「やっべー、見つかんねぇ~」


船内をウロウロしていると、なにやら話し声が聞こえてくる。


レオン「シッ!静かにしろ」

ジーク「ん?」

レオン「話し声が聞こえる」

ジーク「こっちだな」


どうやら、話し声は貨物室の方から聞こえてくるようで、二人は盗み聞きを始める。


船長「あの女海賊め、ナメた事しやがって」

船員「お頭!爆弾の準備ができやした!」

船長「よーし、気づかれないように船に載せるんだぞ」

船員「アイアイサー」

船長「グフフ、これで奴らもおしまいよ」


船員が出口の方へ大きな荷物を運び始める。


ジーク「やべっ!こっちくるぞ」

レオン「この部屋に隠れるぞ」


二人はとっさに近くの部屋に隠れる。


ジーク「ふぅ~、あぶなかった」

レオン「狭いな・・・」

ジーク「おぉー!ここトイレじゃーん。ラッキー」

レオン「するなら俺が出てからにしろよ」

ジーク「わかってるって。つうか、あいつら爆弾って言ってたよな?」

レオン「あぁ、言ってたな」

ジーク「やばいじゃーん。早くあの子に知らせてあげようぜ」

レオン「海賊を助けるのか?」

ジーク「そりゃ、海賊は悪い奴らだけどよ~。なにも殺すことないだろ?」

レオン「ふぅ・・・。俺が適当にやってみるから、お前はトイレを済ませておけよ」

ジーク「オッケーイ」


レオン「・・・。誰もいなそうだな」


レオンは外から物音がしない事を確認すると、トイレから飛び出し、武装女のもとへ走り出す。



―船上―



レオン「はぁはぁ・・・。(爆弾はどこだ?)」

リリィ「レオン、どうなさったの?」

レオン「実はな・・・、ごにょごにょ」

リリィ「それは大変ですわね」

レオン「荷物は既に運ばれてしまったか?」

リリィ「えぇ、既に彼女達の船に」

レオン「仕方ないな」


レオンが武装女の前に飛び出していくと、武装女が警戒して呼び止める。


武装女「おい、おまえ!止まりな!」

レオン「話を聞いてくれ」

武装女「いいから戻りな!」

レオン「さっき、船員達が運び入れた荷物の中に爆弾が入ってるんだ」

武装女「そんな嘘には騙されないよ」

レオン「俺が嘘をついてなんの得があるんだ?」

武装女「それは・・・」

レオン「それじゃあこうしよう。もしも爆弾が入ってなければ俺の命をくれてやる」

武装女「なっ!?」


船長「コラ!勝手になにを言っているんだお前は!」

レオン「お前は黙っていろ」


意識を集中させると、船長に向かって脱力を放つ。


船長「はぁ~・・・」


レオン「早く決断しないと爆発するぞ?」

武装女「船に乗りな」

ジーク「俺もいくぜー」


トイレを済ませたジークが駆け寄ってくる。


武装女「何だお前は?」

ジーク「そいつの親友」

レオン「人畜無害な男だ、気にするな」

ジーク「そういう事」

武装女「まぁいいさ、ついてきな。」


武装女に連れられて、人質と共に船に乗り込む二人。


武装女「マイコ!さっきの船員が持ってきた荷物を開けな」

マイコ「ほぇ~?後ろの二人だれ?」

武装女「気にするな」

マイコ「は~い」


マイコと呼ばれる女性が荷物を開け始める。


マイコ「あけたよ~」

武装女「爆弾なんて何処にあるんだい?」

レオン「荷物は一つなのか?」

マイコ「いんや~、後二つあるよ」

レオン「そちらも調べたい」

マイコ「あいよ~」


残りの箱を開けると、一番最後に積まれた箱の中から、大量の火薬と時限爆弾が見つかる。


武装女「ッチ、ナメたマネしてくれたね・・・」

レオン「これで信用してもらえたかな?」

武装女「あぁ、疑って悪かったね」

マイコ「姉さん~、これどうすんの?」

武装女「こんなでかいものを運ぶとなると厄介だね」

ジーク「ここは俺にまかせな」


軽々と片手で箱を持ち上げるジーク。


マイコ「うひゃ~、すごいっすね」

武装女「なんて馬鹿力なんだい」

ジーク「そいじゃ捨ててくる」


ジークは箱を持って船の甲板に上がると、海に向かって投げ捨てる。

ザッバーン!


ジーク「あの箱には爆弾が入ってるぞー」


その言葉を聞いた乗客達が慌てふためき、その隙にレオンがリリィとマリンを呼び寄せる。


乗客「キャーキャー」

レオン「リリィー!マリン!こっちの船に乗れ!」


マリン「はーい」

リリィ「マリン、転ばないように気をつけてね」

マリン「うん」


二人がレオンのもとに到着するやいなや、海に沈んでいた箱が大爆発を起こす。

ザッバーン!


マリン「あぶなかったね」

レオン「そうだな」

リリィ「波がこちらにきますわ!」

武装女「お前達!早く船の中に入りな!」


言われるままに船の中に入ると、武装女がハッチを閉める。



―潜水艇―



全員が中に入ると、爆発の衝撃で起きた波で、船が大きく揺れ始める。


リリィ「キャー」

レオン「抱きつくな」


ジーク「キャー」

武装女「くっつくんじゃないよ!」


激しい揺れは次第におさまっていく。


ジーク「ヒュー、危なかったぜ」

マリン「目がまわるぅ~」

リリィ「気分が悪くなりましたわ・・・」

レオン「みんな無事そうだな」


武装女「あんた達、礼を言うよ」

ジーク「じゃあ俺とデートしようぜ」

武装女「断る」

ジーク「ぬ~ん」

マイコ「あたしがデートしてあげよっか?」

ジーク「マジでー!?」

マイコ「ウソぴょ~ん」

ジーク「ぐぬぬ!」


レオン「ところで、人質が乗ったままだが」

武装女「この子はあたしの妹だよ」

人質女「ウフフ・・・」

レオン「なるほど、全部芝居か」

マイコ「そういう事っすね~」

ジーク「ほら~、やっぱり俺の言った通り悪い子じゃなかった」

レオン「疑って悪かったな」


人質女「ヒソヒソ・・・(姉さん、島に戻った方がいいんじゃない?)」

武装女「そうだね・・・。食料は十分手に入れたし、引き上げるか」

レオン「ついでに俺達も連れて行ってくれると助かる」

ジーク「完全に海賊の仲間って思われてそうだしな」

武装女「あんた達には世話になったからね、乗せていってやるよ」


マイコ「お話中の所悪いんすけど、あの船が大砲撃ってこようとしてるっす」

ジーク「なにー!?」

武装女「本性を現したね」

レオン「どういう事だ?」

武装女「話は後だよ。マイコ、潜水しな!」

マイコ「あいあいさー」


マイコが機械を操作すると、船が海に潜り始める。


マリン「みてみてー、海にもぐってるよー」

マイコ「ふふふ、これは海に潜れるスペシャルな船なんすよ」

ジーク「カッコイイな~」

武装女「このまま潜行して、島まで行くよ」

マイコ「あいあいさー」


砲撃を避ける為に海に潜ると、島を目指して潜行を始める。

しばらくして落ち着いてきたので、レオンが話の続きを尋ねる。


レオン「先ほどの話の続きを教えてくれないか?」

武装女「あの船に乗っていた船員達はね、元は海賊だ」

ジーク「ふぇ~」

レオン「あの客船は改造されたモノなのか」

武装女「逆さ。海賊船を改造して客船っぽくしてるだけで、中身は海賊船のまんまだよ」

ジーク「そういや、トイレ探してる時に色んな部屋見たけどよ、客船にしては狭いし汚かったな」

レオン「奴らはなんで客船の真似事をしているんだ?」

武装女「乗客から預かった荷物から金品をくすねてるのさ」

ジーク「海賊にしてはせこいな」

武装女「今時、海賊なんてやってても稼げないからね」

ジーク「なのに、お前らはやってんのか?」

武装女「あたしらは金の為にやってる訳じゃないからね」

ジーク「ふぇ~」


マイコ「みなさん~、そろそろ島に着くっすよ」

ジーク「やっと外の空気が吸えるぜー」


こうして、海賊達が根城にしている島へと上陸する事となった。


第四話 完

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