それがわたしの青春
この物語は、一通の告白から始まります。
あなたを傷つけ、遠ざけるためについた二つの嘘。
命の灯火が消えかける中で綴られた、小さくて愛おしい青春の軌跡です。
どうか最後まで見届けていただけたら幸いです。
親愛なるナイト様
わたしはに回嘘をつきました。ひとつめは高校の卒業式の当日━━。
あの日 晴れ渡る空の下で
あなたに「好きではない」と笑ってみせた
あふれ出しそうな愛しさを隠すため
繋いだ手をほどき 未来を拒んだ
それが わたしが最初についた
あなたを遠ざけるための 優しい嘘
ナイト様
もうひとつの嘘を白状いたします。
ふたつめの嘘は、あなたを愛していながら「余命が幾ばくもない」という運命を覆い隠すためのものでした。
あなたを遺して去る絶望をひた隠し、ただの「心変わり」として別れを告げたあの日の残酷な言葉。
けれどナイト様、命の灯火が消えかける今になって、その冷たい仮面を保ち続ける強さはもう残っていません。
これが、わたしがあなたに残す最後の告白です。
ナイト様
あなたはわたしの神のような存在でした。
でも、もう……。
忘れました。それがわたしの短い青春の軌跡でした。
自分でもそれが青春だ とは思ってもおりませんでした。
冷たい仮面の裏に隠された二つの嘘は、あなたへのあまりにも深く、哀しい愛の証でした。
最後に残された「忘れました」という言葉。それは青春のすべてをあなたに与え、静かに去りゆく彼女の決意そのものです。嘘の真実が明かされた今、残された時間は巻き戻せなくとも、彼女が抱き続けたぬくもりだけは永遠にあなたの中に生き続けます。




