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何も変わらない安全地帯

作者: 反逆の猫
掲載日:2026/07/01





 以前作った押し花を眺めた後、カレンダーの日付を確かめる。


 あれから長い時間が経ったな……。






 ここはいつまでも変化のない場所だ。

 普通だったら退屈してしまうかもしれない。

 でも、僕にとってはそれほど悪くない。


 十歩歩いたら端まで到達。

 かなり狭いけど、もともと僕は家の外にはでないし。


 部屋の中にあるものは、いつも同じ。

 本、玩具。

 食べ物、飲み物。

 服、下着。

 それらに新しいものが加わることはない。

 空っぽのベビーカーをゆすりながら、やることがない時間を過ごす。


 窓がないから季節の変化なんて分からない。

 朝と夕方の違いすら視界では認識できない。


 でも、時計があるから、時間の確認で不便はしなかった。


 ここはいつまでも変化のない場所だ。

 これからも変化はないだろう。


 そこに一人だけで存在している僕。


 変わり映えがしなくて、普通なら発狂してしまうだろう。


 たくさんの国が戦争をして、人が簡単に死ぬようなものが、馬鹿みたいに空を飛びかっている。


 そんな世界の中で、僕の家は幸運な方だった。


 お金に余裕があったから、シェルターを作る事ができたのだ。


 でも、僕以外の住人は逃げ込めなかった。


 運が悪かったんだ。


 仕事で外に出ていたから。


 勉強で学校に行っていたから。


 僕はずっと家の中にいたから、逃げ込む事ができたけど。


 何も挿すもののない花瓶を眺めながら、過去の事を思い返す。






 ご主人様たちが緊急の時は必ずシェルターに逃げ込むのよ。


 って命令してくれた。


 無事だったのは、そのおかげだ。


 僕が人間だったら、かわらない日常にとっくに嫌気が察していたかもしれないな。


 ほとんど汚れない部屋の掃除をして、ごみ箱の中を覗き込む。


 何も減らない食料の山を見て、わずかに積もった塵を掃除する。


 ちょっとだけ減った油を間接にさして、動きをよくする。


 動くたびに機械的な音が室内に響いた。


 何も変わらない日々だけど、退屈だとも、面白くないとも思わない。




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― 新着の感想 ―
変わらない部屋を穏やかに語る声から、空のベビーカーや減らない食料、関節へ差す油の意味が少しずつ見えてくる構成が切なかったです。人のいない世界でも命令を守り続ける存在の静かな忠実さが心に残りました。
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