ブレイバーの日常
「初めての戦闘ってわけだ」
僕はモンスターの彼女と文字通りにそして意味通りに合体した。
そして手に入れた“ブレイバー”の力。
その力は、誰にでも手に入れることができるものではない。
選ばれた者だけが、この魔物と力を結ぶことができる。
そして、目の前にいるのは、大型のゴーレムだった。
僕の身長が百人、いいや二百人くらいの大きさといってもおかしくはない。
まるで、大きな岩同士が無理やりに人型として形を持つように作られている。
かろうじて人型を有しているけど、バランスが悪い。
だけど欠点さえも覆すようなよろよろとした行動。
ひとつ歩を進めると、ぶらぶらとぶら下がっている腕が建物に当たる。
腕がぶつかった建物は、いとも簡単に壊れるのであった。
とんでもないような破壊力を持っていたのだった。
ただ歩くだけでも街中の被害は尋常じゃない。
まるで歩く災害のようだと僕はそう思ったのだ。
誰がこのようなモンスターを生み出して、この街へと誘い込んだのかはわからない。
「ご主人さまぁ、まさかあのモンスターをたおすんですか?」
僕といっしょになった彼女が自信がないように聞いてきた。
心と体が一緒になったおかげか、僕の中で聞こえてくる。
「ああ、かならず倒さなきゃいけない」
この街を守るために。
「わたしは…… あんまり自信がないんです」
沈黙があったのだった。
そして意を決したように。
「でも、ご主人が頑張るのなら、わたしもいっしょに頑張ります」
彼女の闘志が燃えている。
それが僕のなかにも確かに感じる。
こくりと、僕は彼女の言葉にしぐさで答えた。
そんな僕のことを感じ取ったのか、僕の相棒は何も言わない。
戦いを決意した僕は、手を握り締めて、握りこぶしを作った。
そして、体中の力をその拳に向けて集めていく。
体中が熱くなっていく。
そして汗が僕の体中から噴き出しているのだった。
まるで僕の体から水分が逃げているみたいだ。
ごくりと、固形物のような唾を飲み込んで、さらに力をためる。
限界が来ていると体が反応を起こしている。
でもまだまだ、あのゴーレムを倒すことはできないと、僕は直感的にわかった。
どうにかして、“アレ”を止めるためにも、最大限のパワーをぶつけるしかないのだ。
そのためにも……
力が着々とたまりつつあった。
自然と体の痛みはなかった。
これがブレイバーの結合スキルの力なのかと僕はとても喜んだ。
勇者になれなくても、僕はブレイバーとして……
――活躍してみせる!!!!!!
あいつらには復讐をしてやる!!!!!!!!!!!!!!!
そしてハーレム作ってやる(幼女の)!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
半年ほど前。
僕はコンビニバイトをしていた。
毎日まいにち、レジを行ったり来たり、そしてたまに弁当厨房に入る。
レジを打つこともできるし、弁当厨房の応援として入ることもできる。
なんでもそれなりの速さでできるため、店長は俺を可愛がっていた。
ある日、僕は煙草を吸うために、事務所へと入った。
そして、さきほど同じレジで働いている巨乳のおねえさん。
その人に、ジュース補充をお願いねと言われたことを思い出したのだ。
やれやれと、僕は煙草を吸うのをやめた。
てくてくとジュースの補充に入るのだった。
今が暑い夏だからこそ、この作業はできる(ジュースなので冷蔵庫に入る)。
だけど、真冬の作業はただの地獄と化すのでほんと大変(しかも体調悪くなる)。
はあ、と一息をついて、空いているところにさっさと詰め込んだ。
十分くらいで、あらかた、酒のエリアまで終わったのでレジに向かった。
寒い寒いと、腕をこすっている僕。
すると、一人の男性が、僕の立っているレジほうへと歩いてきた。
なにやら、やつはとても頭のおかしい人間だという印象があった。
それは、黒い鎧を身に着けていて、そして背中にはよくできた大きな剣を背負っていた。
変なの来たな~ まだ真昼なのに……
警察さんに通報かな。
あの大きな剣だけでも、立派な銃刀法違反だし。
コスプレっていうのなら、まあほっておこう。
「拙者、ガナル村にて参上仕った、レッド・ダイナリ申すもので居候」
ふぁさっと腕にあったマントのようにながい袖を目の前で揺らした。
なんだこれ、どっきり?
となりにいる巨乳のお姉さんはまったく気づいていない。
どういうことなんだと、彼女をみるけれど、まったくと反応がない。
ん、お姉さんの時が止まっていた。
な、なんだこれ。
時間止めAVのような、ムフフな状態がこの目の前で広がっていた。
あれってやらせかどうかの判別が演じている女優さんにもわからんらしい。
これってあれやこれやを、お姉さんにしても許してもらえるのかな。
って僕ってとんでもなく最低な人間だな。
とりあえず、頭を切り替えて、今日は何の日か聞いてみよう。
「あ、はあ、これは何かのイベントなんでしょうか?」
今日ってなにかの日だったっけ?
それはないか、じゃあ……
なんだろう、今日も日本は平和ってこと?
となると平和って最高だな~
こんな頭のおかしい人間でも受け入れてくれるんだもんな。
「三界の常世にしてすげえやべえ事態になったで居候、とにかく、おぬしのお名前は、月 槻太さんで、よろしゅうで居候」
そうです。月 槻太です。
なんだよろしゅうで居候って。
居候って言いたいだけだこの人。
「普通にしゃべってください」
「ごめん」
って普通にしゃべれるのかよ。
お辞儀をして、やべえ格好の人はしゃべりだした。
「この時代の言葉はこうだと、教えられたからな」
それって二百年前の言葉ですよと、僕は言おうとしていたけどやめた。
「はあ、そうですか」
なんだか突っ込むのもめんどくさい。
だいたいどんな格好をしているんだ。
まるであれだ。
今はやりのなろう小説みたいな勇者様だ。
とにかく、いろいろとこれはこれで最高にやべえ。
この目の前の男性の語彙力が移るくらいにべやあ。
「拙者は…… いいいやちがう。この俺は、貴様に世界を救ってほしくて、この世界にやってきた」
はあ…… これまた難儀なことを。
ほんとうになろう小説の冒頭みたいになってきた。
どうせなら美少女が迎えてほしかった。
僕は幼女が大好きなので、幼女のヒロインとかほんとにきてほしい。
ぺろぺろしたいけど、このおっさんじゃなあ。
しかし、世界を救ってほしいかあ。
別にどの世界がどうなっても僕にとってはどうでもいいし。
「うーん、じゃああなたが異世界から来っていうことをこの僕を納得させてください」
これならそれなりに、いい感じの答えがくるのかもしれない。
となりの巨乳のお姉ちゃんが、静止してるのも説明してほしい。
「いいやこれは、この空間が時空転送によって壊れてしまったというだけだ」
え、じゃあこのお姉ちゃんはどうなるんだ。
本当に時止めAVキタコレじゃん。
キタコレって相当の死語だね。
「と考えるとめちゃくちゃですね。さすがにこのお姉さんは助けてあげてほしいです」
一言言った。しかし男は黙りだした。
「……いいだろう。だが、お前には世界を、この三界を救てもらう。その契約をもってして、彼女をもとの状態へともどそう」
……勇者様が、こんな最低な交換条件を出していいのだろうか。
まあ彼が勇者ということの確証もまだないし。
「ところであなたは、あっちの世界ではどのようなことをしているんですか?」
気になった。
「勇者をやっている。もとはこの世界の住人でな」
ん………………?
えっ!? えええええ!!!???
「マジで?」
「マジ卍」
シーンと静まりかえった店内でひとつの声が聞こえてきた。
「すいません遅れました。私が女神、アルファです」
と、外は真っ暗で、コンビニの自動ドアからてくてくと歩てくる。
熱源女神幼女物体が現れた。
めっちゃかわいい。
まずぷにぷにしていそうな頬っぺた。
そして銀髪。
次に、つるぺったんな例の物体が二つ。
最高だけど、なにより僕の腰ぐらいの身長もたまらん。
名前を言い終わったあとに、えっへんと胸を張ったのだ。
ない胸を。
めちゃかわぇええええええ。
あ、そうだ。
この女神さまを転生特典として持っていこう。
とあるアレの丸パクリといわれても、幼女誘拐容疑で縄が両手につながれても。
それでも俺はやる!!!!
「それでさ、この女神さまもお仲間になったりする?」
「「それはない」」
ですよね。
ははっ(夢の国のアレ的な声で)!!
「そいうことだ。お前はどちらにしろ行くことしか選択肢はない」
どいうことだ。
拒否権はどんな世界でも大切だ。
たとえこのブラックな仕事が多い自国でもだ。
「あいかわらず無茶をしますねレッドさん」
女神さまはあきれ返っていた。
僕は途方に暮れていた。
「俺の時だってこんな感じだっただろ。しかもあの辺境な田舎に転移ではなく転生だからな。チュートリアルがうんたらこうたら」
めっちゃ愚痴が長くなったのでここにてレッドのセリフはカット。
いやだからって、なんで女神じゃなくて、こいつが僕を迎えに来たんだろうか。
「なんで女神さまではなくて、あなたが迎えにきたのでしょうか?」
女神さまはえっへんとしている。
レッドはしばらく考えると。
「いいや、この世界ではこうなんだよ。俺の時なんて、おっさんだったんだぞ。しかも女神さまはいないし」
こりゃ悲惨だ。
帆のほかに長ったらしい説明があったため、割愛すると、どうやら毎回恒例のお決まり事らしい。
状況を簡単にそしてリアルティーがあるように、転生または転移するときは、同じような転生者転移者を連れてくるのだそうだ。
今回から、女神さまが転生転移イベントで来るようになったとか。
ということは、あっちにいったら、転生者転移者の派閥があったりなかったりするのかな。
争いごとが多くなりそうだし、基本ソロって感じかな。
「月さんには、レッドさんと仲間になってもらいます」
ぶよぶよと、一番くじのイケメンキャラの抱き枕を抱えて女神さまは言うのだった。
は? 無理無理無理だ。
丁重に断るに限る。
「ちょっと無理ですかね。当分の間は僕一人でお願いできますか?」
頼む。だって僕はMMORPGでも基本ソロでやっていたくらいだ。
「俺は構わんが、そういうのならばそれでもいいのではないか?」
「レッドさんは相変わらずですね。あの世界でソロをするなんて自殺行為なんですよ」
ぷくーと頬っぺたを膨らませて女神さまは言うのだった。
「だから私はツキ×レッド…… いいや、レッド×ツキが見たいのです!!」
なんだって、この幼女。
見かけによらず、BLの趣味があったのか……
外見僕好みの最高なのに、ちょっとな。
なんでこっち見てるの。
その無邪気な笑みが怖いっす。
背筋に悪寒が駆け巡った。
「そういえば…… 三界ってどういうことなんでしょうか?」
たしか三界がどうのこうのってレッドさんが言っていた気がする。
「三界というのはですね」
名乗りを上げるようにして説明をしたのは女神さまであった。
「この現実世界、私たちの間では真世界と呼んでおります。そしてもう一つが、世界の根源がややこしく神である私たちでも干渉ができない混沌とした世界、ファルスワールド。そしてもう一つがすべての夢のような世界、世界の夢の世界といったほうがわかりやすいでしょうか?」
「うーん、いみわかんね」
「まったくだ。なんだファルスワールドって」
僕とレッドさんは、わからなかった。
「とにかく、それらの世界を救ってもらうために、世界の夢の世界、あなた達で言う異世界へと行くことになるのです! そして、覇王であるダリウス・エスカドルを!」
よし、つまりはそういうことだ。
魔王ではなく、その上位存在、ゆがみの元凶である覇王を倒せばそれでおkだって。
そのあとは好きにしていいよって。
あっちで暮らすのもよし、こっちに戻るのもよし。
転生っていえばチートだった。
僕専用のチートはなんだろうか。
「レッドさんの転生特典ってなんですか?」
「俺のか…… 俺と戦ってみればわかるぜ」
やめとこ。
とりあえず僕の転生特典聞いておこう。
「女神さん、僕の転生特典はなんでしょうか?」
「あ、そうだった。転生特典忘れてた」
真ん中の胸にあるポケットをまさぐる女神様。
「いちどだけ忘れたことがあったのよね」
「そのあと、その人はどうなったんでしょうか?」
「コボルトの群れに、げちょんげちょんにされちゃった」
いい感じだったけど、力を求めすぎてチートのことなんて忘れたとのこと。
もしチートという才能があれば、コボルトの群れのなかでも生き延びれたかも。
だって。
悲しいなぁ……
「あとききわすれていました転生と転移どちらがいいでしょうか?」
いままではランダムだったらしい(経験者談)。
「転移でお願いします」
「りょーかい! かしこまり~!!」
ぴこぴことスマホを操っている女神様であった。
やけに現代っ子な女神さまだ。
◇ ◇
ということで、いいやどういうことなんだ。
あいても転生者だった。しかもこの世界のもと住人。
女神さまにああやらこうやらされて、異世界に飛んできた。
そして三カ月の旅路を経て、覇王の城へと着いたのであった。
仲間は四人になった。
レッド、僕、そしてミカサ、サエコ。
前衛が勇者のヒューマノイドのレッド、そして中衛がエルフで弓短剣使いのサエコ、後衛が魔族で魔法使いのミカサ。
僕はずっと後ろで回復をする機械であった。
でも自動回復バッシブスキルが三人にはあるので、意味はまったくない。
なんでこうなったんだ。
今日も三人の後ろを憑いていくのだった。
僕って存在価値あるのかなと自己嫌悪していた。
そうしたら追い打ちをかけるように二人の女子の会話。
「ほんとに弱いよねこの人って」
「わかる、なにこれ(僕のレベルを見ながら)、いくらなんでも成長が遅すぎるでしょ。遊びに来たのかな?」
「「プークスクス」」
陰口なら聞こえないように言おうね。
そして一行は立ち止った。
レッドはよく考えた末にこういったのだった。
「お前のレベルじゃ、覇王に挑んでも瞬殺だ」
頭が真っ白になった。
だってリストラ宣言されたんだもん。
まるで寄生プレイヤーのようですよね僕って。
そして断崖絶壁の海がある崖から落ちた僕だった。
どうなったんだ僕の異世界生活ぅうううううううううううううう!!
なんでスキル名?????なんだよ!!
バグ乙です!! デバックしっかりしてくださいね!!
「ガハッ!!」
僕は生きかえった。
体が重いけどとりあえずあたりを見渡してみた。
ここはどこだろうか?
まさか、僕は……
また死んでしまったのか?
それはない。
ここは砂浜の上であったからだ。
それも暗い砂浜の上だった。
僕はあの断崖絶壁の崖から落とされた。
それから、どんぶらこっこ流されて、島に着いたのかも。
どうやらあたりには人が住んでいるような気配はなかった。
どうしよう。
女神さまは言っていた。
この世界でソロになるのは、自殺行為だと。
見事に一人になっていた僕だった。
このまま、この島で何かに襲われたり、餓死して死ぬのか……
それはどうしてもいやだった。
なんでこんな仕打ちを食らってしまったのだろうか。
はあ……
僕の人生っていつもこんな感じだよな。
リアルの世界でもこんな感じだったし。
考えるだけでも、ネガティブになってしまう。
とりあえず、島を歩いてみるか。
それからどうするか決めてみよう。
それにしてもおなかすいたなあ……
しばらく歩いていると、ここは誰かが住んでいたという証拠があった。
島の奥のほうの森にそれはあった。
それは民家が、古びた家があったからだ。
かなり風化しているけど、どれくらいの年月が経っているのか?
ぼろぼろで原型はあんまりわからないけど、家ということはわかった。
なぜなのかベットの作りのようなものはきれいになっていた。
それも誰かがいままで使っていたかのように。
これまた、ふしぎなもんだな。
もしかすればこの島には誰かがいるのかもしれない。
考えてみたけどあんまりその可能性はうすい。
島の全体は、開けた場所に行くと簡単に見渡せるくらいの大きさだったからだ。
この大きさだと、誰かがいるとはすぐに見つかることができると思うし。
人がいるなんて考えられない。
もしかすると、僕がこの島に着いた頃にはもうその人はいないのかもしれない。
はあ……
とにかく脱出することを考える。
まずはイカダを作ってみるか。
いろいろ考えていると、眠気が襲ってきた。
島を疲れた体で一周するとまあ、眠気もするもんだよな。
そんなことを考えていると、視界は暗闇になった。
「おーい、そんなところでどうしたんですか?」
ん? おかあちゃん? おねえちゃんかな。
まだ僕は眠いんだ。
こんなニートの僕を許しておくれ。
「……全然起きる気配がないなぁ。ただの屍?」
ゆさゆさと僕の体を誰かが揺らしたような気がしていた。
むにゃ、鼻になにかがついたようだ。
僕は、鼻がかゆくなったので人差し指でこすった。
そしてすぐに眠気がきたのでそのまま身をゆだねた。
ずぼッ!!
は、はなの中に何かが入ってきたぞ!
もしかすると、この島に住んでいる危険な寄生虫が……
そんなものが僕の鼻の穴をめがけて襲ってきたら…………
僕はあわてて目を開けるのだった。
「鼻の中にこりゃ大変だ!!」
僕は絶叫をしながら、起き上がったのだった。
めをぱちくりと開けて、僕は鼻の穴になにが入っているのか見る。
ん?
小さな手?
なんだこれ。
ほそい手が見えたので、僕は手をつかんだ。
そしてその手の主を恐る恐る見るのだった。
「おはようお兄さん」
そこには笑顔があった。
その笑顔は幼いながらも、どこかバブみを感じてしまう。
肌は、こんな南国な島であるのに、すきとおるほど真っ白であった。
目はおだかな曲線を描いて、眼は澄んだ青色をしている。
顔の輪郭はちいさく、お人形のようにも見える。
唇は品があるようで、まるでその形だけでも高貴なる種族に見えた。
ちいさくおだやかそうに、笑みを見せていたのだった。
朝日に照らされているその顔は、とてもきれいに見えたのだ。
まるで太陽よりもまぶしい。
とても神秘的で、その光景をこれから忘れることはない。
そしていままで会った誰よりも、なによりも輝いている。
照らされていながらも、それは確かに、輝いていたのだ。
めちゃくちゃ美少女な女の子がいたのだった。
僕はたしかにバブみを感じちゃったのだ。
おぎゃっちゃいそうで、僕はいまにも赤ちゃん声で泣いちゃいそうだった。
おふざけはここまで。
無人島と思っていたこの島に、最上級のロリ美少女がいるのだった。
「おはようお兄さん」
僕の鼻の穴の中に、指をブチこんだ美少女はやさしく語りかけてた。
僕好み直球のロリ美少女だったのだ。
え、ちょっとまってほしい。
こんな無人島で僕とこの美少女が二人きり!?
あれやこれやで、うんたらこんたらで。
わかい年の差カップルがお盛ん!
無人島で大家族スペシャルって番組できちゃう。
ちょっとまった、これ以上はいかん。
お~こりゃ深呼吸じゃ~。
へんなことを考えてしまった僕は、ひたすら深呼吸。
ひっひっふ~、ひっひっふ~、ひっひっふ~。
いかんいかん、煩悩は捨てるんだ。
僕はロリコンじゃない、小さい子が好きなだけだ。
決してロリコンじゃないんだ。
小さい子が好きなだけ。小さい子が好きなだけ。
一休さんレベルに煩悩を取り除いた僕だった。
いまならどんなとんちでも簡単に出してしまうぞ。
「お兄さん、深呼吸とかして急にどうしたの?」
ん、まてまて、先ほどのロリ美少女が僕のおでこに手をかざした。
めっちゃ近い。
あ~しかも女の子のいい匂いする~。
「熱はないみたいだしー、うーん」
おでこから指を放した。
こまっているようにうなだれている美少女。
たまんね。
「……ちょっとお兄さんは、お下のほうが熱くなってね」
は、反射的に言ってしまったあああああ。
いっけね~、これ下ネタだったわ。
てへぺろコツーンと自分の頭をたたいたのだった。
小さい女の子に下ネタだなんて僕って最低だ!
「下のほう? 虫に刺されちゃったのかな?」
と、僕のズボンを引っ剥がそうとしている幼女。
まって、あかん、だめだめだめだめ。
「だ、だいじょうぶ、まずいから、これ以上はまずいから」
いろんな意味で掲載不可能になっちゃうよ!!
「でも虫刺されならはやく治療をしないと」
力つよッ! 幼女と侮っていましたわ。
これ、ちょ、やべえ、あ!!
あああ! あああああああぁん!!
で、でちゃうううううううううううううううううう(衣類的な意味で)
それからポロりんちょしてしまった僕だった。
「ツチノコって本当にいたんだね」
にこやかな顔でそういうロリ美少女。
ちがうよ嬢ちゃん、あれは……
「お、おにいさんはどうして泣いてるの?」
オドオドしている幼女。
嬉しいんだ、とてもね。
「僕はね、ついにやったんだって」
完全に人生が終わってしまったと確信した僕だった。
現実世界ならば、確実に僕は手に縄がついてしまうだろう。
だがここは異世界であった。
大丈夫なのだああああああああああああああああ。
だけれど、僕の良心はボロボロであった。
「ところでおにいさん」
「ん? なんだい?」
幼女が聞いてきたのだった。
「おにいさんのお名前、おしえてもらえる?」
「僕の名前? ああそうだね、まだ自己紹介がなかったね」
ズボン脱がされたり、いろいろあったからね。
「僕の名前は月槻太、ツキタって呼ばれているよ」
まるでの〇太みたいって、よくいわれたなあ。
「ツキタさんなんですかぁ、いいお名前ですね」
彼女は笑顔を見せるのだった。
僕の眠っていた土台の隣に座っている。
ほんとうに小さくてかわいいなあ。
「小さいころには、よく運がツキタなんて馬鹿にされてたんだ」
昔は僕の名前でちょっかいを出されていたなあ。
「ええ、そうなんですか」
はわわと慌てふためくと、すぐさま訂正をする彼女。
「私は武器で突くってかんじでかっこいいと思います」
両手を祈るようにして握り締めながらいう彼女。
目はきらきらとしているのだった。
え…… そ、そうかなあ。
えへへ、なんだかうれしくなってきたぞ。
「ありがとうね、そんなことを今までの人生で初めていわれたよ」
ほんとうに、ちょっとだけだけれど自信がついた。
「はい!」
げんきよく答える。
僕にはこのような、やさしさに満ちたバイタリティーはない。
だからだろうか、彼女といると、元気がでるのだった。
「君の名前、教えてもらえるかな?」
名前を聞いていなかった。
「わたしの名前は……」
言葉がつまる。
ん? どうしたんだろうか。
「アーリス・エス…… いいえ違います、ミドル帝国の9763です」
名前を訂正してそのあとに、番号……
ということは、彼女は奴隷だったのか?
この世界では奴隷は番号でよばれているのだった。
奴隷派遣所の所属国を見分けるには、番号の最初に国名を入れるのが常識。
ということは、彼女はミドル帝国の奴隷であるということだ。
「アーリスちゃんって呼んでもいい?」
奴隷に真名で呼ぶのは、規則として厳しく抜歯られていた。
だけど、僕は彼女を名前で呼びたかった。
「うれしいです、久しぶりに名前で呼ばれました」
満点な笑みで僕は有頂天になった。
同時にアーリスちゃんには、奴隷など忘れていっぱい楽しい思いをしてほしいと思った。
人を笑顔にさせることがこんなにもうれしいことなんて。
「でも……」
規則のことなのだろうか……
きづけば僕は、勢いによって、
「僕が君を自由にしてみせる」
僕は、そう言った。
奴隷の所有権を僕へと譲渡させれば、奴隷は自由になれる。
僕はそのことについてわかっていた。
実際に貴族が所有して、性奴隷にしているという問題がこの世界ではある。
「ほんとうに? でも私は混血なんです」
アーリスちゃんが混血だって?
この世界で、混血はどんな種族であっても忌み嫌われる存在だ。
それはこの世界で流通している宗教のせいだ。
奴隷には混血の比率が多く占めている。
「そんなものは関係ないよ」
アーリスちゃんのために、何かをしたい。
ここまで他人のために何かをするべきかと考えたのは初めてだった。
「でもわたしは、例外で……」
例外?
「わたしはモンスターと、人間の混血なんです」
モンスターとの混血? どいうことなんだ。
「裁定者カグツチと人間のハーフであると聞かされて育てられました」
裁定者……
それは、この世界のうんと昔の時代。
何百万年前に発達した、超魔道文明終末時に出現した怪物の一つ。
世界の理すら超越した超魔道文明。
それらに終止符をうったのが裁定者と呼ばれている化け物たちだった。
神同然の力を持ったと思いあがった人間たちは抵抗したのだった。
その反撃もむなしく、たった七日で地上を無へと返した存在たち。
無茶苦茶な存在が裁定者である。
その暗黒時代を今日〈こんにち〉ラグナロクと呼ばれている。
この世界に生息している各地の魔王よりもさらに強い存在だった。
いまは神話として語り継がれている。
この時代の魔法は、超魔道文明の残りカスだった。
「そんなことはどうだっていいんだ」
アーリスちゃんが何者で、そしてどんな環境で虐げられているのか。
それでも僕は……
「僕は君を自由にしてみせる」
はっとアーリスちゃんの顔が何かに目覚めていくようだった。
そしてじっとして、目からは涙があふれている。
「そ、そんなことを言ってくれる人が私にいたんですね」
頬に伝う涙。
感情があふれ出るようにしてアーリスちゃんは言葉をつむいだ。
「わたしには、そんなことを言ってくれる人をずっと、待っていました……ほんとうに夢がかなったようで、本当にここは夢の世界なんかじゃないかって思うくらいに……うぅう」
しゃっくりと、あふれでる涙。
アーリスちゃんは、ひたすらあふれでる涙を手の甲で拭いていく。
鼻は赤くなり、耳先も赤くなっていく。
アーリスちゃんの耳はエルフ族のように尖っている。
だけど大きさはエルフ族よりも一回り小さいものだった。
「頼りない体だけれど、どうかな?」
僕は、抱きしめるように手を広げたのだった。
僕の言葉に、アーリスちゃんはうんとうなずいて胸に入った、
「うぅうううううううううううう」
ぎゅっと抱きしめた。
アーリスちゃんの過去は壮絶なものだったのかもしれない。
裁定者という存在は憎悪の対象である。
そんな扱いをアーリスちゃんはいままで受けていたのかもしれない。
こんな素直で、まっすぐな子ならばそれはとても地獄だ。
奴隷という身分ならば、なおさら地獄だろう。
ぎゅうっと小さな体を抱きしめた。
ちょっとだけ痩せ体質なアーリスちゃん。
骨身が僕の体にあたる。
とっても守りたくなるようなアーリス。
そしてめっちゃいい匂いだった。
「おにいさん、まだお船がこないね」
僕とアーリスちゃんは、この島の近くにくるだろう船を待っていた。
ほんとうにこないね。
「そういえばさ」
僕は女神さまに覇王を倒すために、この世界に呼ばれた。
だけど、僕のレベルはまったくと上がらない。
しかも、僕専用のスキルなんて、いまだに????のままだ。
「どうしたんですか?」
僕らは砂浜にいるのだった。
「アーリスちゃんはどうやってこの島に?」
そういえば聞いていなかったことだった。
ふと疑問に思ったので聞いてみた。
「それがですね…… いつのまにかこの砂浜で眠っていて」
しょぼぼんとげんきがなくなったアーリスちゃん。
そうかぁ……
「いつのまにかこの島にいたってことなんだね」
これじゃあどうしようもないなあ。
アーリスちゃんを自由にするって言ったのに……
なんともまあ、僕ってだっさいなあ。
「そうなんです、でも私は飲まず食わずでも生きられるので食べ物には困らないんです」
へえ、すごいなあ。
「僕はおなかすいちゃって…… そういえば昨日からなにもたべてないや」
崖から落ちてから、食べ物を食していない。
「わわわ、大変です! どうしたら」
アーリスちゃんもいっしょにどうしようか考える。
だらんと転がってみる。
するとちょうど真上にヤシの木が生えているのが見えた。
なんでいままで、僕は気づかなかったんだろう。
「ヤシの木が、ヤシの木があるぞ」
とりあえず、重たい体を起こす。
よっこらしょと立ち上がって、ヤシの実を落とすことを考えてみた。
「石でおとしてみるか」
アーリスちゃんは僕のことを何をしているのか見ていた。
アーリスちゃんにはヤシの実はどうにも食べ物には見えないらしい。
「あれはヤシの実っていうんだ」
お、説明をしていたら、波打ち際に手ごろな石があったぞ。
「あれで落としてみるよ」
てくてくと歩いていく。
石を拾った僕は、ヤシの実のちょうど真下へときた。
「見ていてねアーリスちゃん」
「はい!」
どうやら興味深々になったようだった。
よーし、アーリスちゃんの前でかっこいいところ見せてやるぞ。
「おりゃあああああああ」
僕はヤシの実めがけて、真上に石を投げた。
お、当たったぞ。
やった、二個も落ちてきた。
「やった!」
「よかったです!」
ひとつをアーリスちゃんに渡す。
「こうやって穴を開けてっと」
僕は、ヤシの実の穴を開けようと石で何度もぶつけた。
うーん、なかなか穴が開かないぞ。
「こうですか?」
え、アーリスちゃんのほうのヤシの実は穴が開いていた。
「い、いつのまに?」
「こつんってやったら穴が開いちゃって」
てへへと、アーリスちゃんは笑うのだった。
「すごいねアーリスちゃん」
僕は褒めた。
アーリスちゃんの顔が赤くなった。
「その穴の中にある汁を飲んでみて」
?となったアーリスちゃんの表情。
そして、片目で穴をのぞき込んでいる。
おそるおそる、アーリスちゃんはヤシの実を飲んだ。
「わ。すごい美味しいです」
とてもよろこんでいるようだ。
顔がさわやかな、顔になっていった。
アーリスちゃんがおいしく飲んでいる。
僕はそれだけで満足してしまいそうなほど、うれしい気分。
「よし僕のほうも穴が開いたぞ」
ふたりして、笑顔で飲んだ。
「僕はこことは違う世界から来たんだ」
僕らは船が来るまでお互いのことを話していた。
おなかが空けば、ヤシの実を飲んだりして。
「違う世界ですか?」
アーリスちゃんはきょとんとした顔で聞いてきた。
「うん、その世界には争いはないんだ」
そうだ、争いがない。
「とても平和な世界なんですね」
まるで夢の世界を聞いたような反応だった。
「でも昔はさ、ずっと戦争があったらしい」
まあ、戦いはあったんだ。
「やっぱりどこの世界にもあるんですね」
うん、と答えた。
「でもね、平和だけれど……」
「……」
僕の沈黙にアーリスちゃんも黙る。
「みんな生き急いでいた」
バイトのお姉さんも、厨房のおばあさんたちも。
「忙しい世界なんですね」
何気なく答えるアーリスちゃん。
「うん、僕も生き急いでいたけどね」
石を海へと投げた。
「私の世界では、みんなそれぞれなんです」
へえと相づちをする僕。
「平和でありたい人は田舎にいて、忙しい人は街へと行ったり、戦いたい人はクエストを受けたり、戦闘場に行ったり、怖い人は魔王になったり」
みんな一生懸命です。
そうアーリスちゃんは言うのだった。
「平和な僕の世界よりも、自由なのかもしれないね」
はいと、答えるアーリスちゃんだった。
こうしている間に時間はどんどん過ぎていった。
僕とアーリスちゃんは、それでも船を待っていた。
海はとてもきれいで、魚がたくさん泳いでいるのがわかる。
これぐらいの量ならば、漁師さんが来てもおかしくはない。
アーリスちゃんとのきずなもそれなりに深まった。
僕は身の上話をすることにした。
「アーリスちゃん、僕はね、コンビニというところで働いていたんだ」
「コンビニ? こんびにいというのはなんですか?」
「コンビニっていうんだ。コンビニエンスストア」
「へえ、どんなところなのかお聞かせてください」
「うん、コンビニっていうところはなんでも揃っているんだ」
「な、なんでもですか?」
「うん。飲み物に、食べ物も、お菓子も、夢(エロ本)も、希望(エロ本)も」
「すごい、とても便利なところなのですね」
「ああ、とても使い勝手のいいお店なんだ」
「ツキタさんは、そのコンビニというところで、何をしていたんですか?」
「うーん、大体のことはできていたからね」
もちろん店長代理も昨年任された。
あほみたいに忙しかったけど。
「へえ、どんな仕事をするのでしょうか?」
「レジ打ちって言って、店番とか」
「レジを打つんですか?」
「叩いたりはしないよ、お金の計算をレジ打ちっていうんだ」
「へえ、なんだか変ですね」
「確かに、よく考えてみたら変だ」
お互いに笑いあった。
「あと、弁当も作っていたかな」
「弁当っていうのは?」
「どこでも食べられる食べ物を作っていたんだ」
「どこにいっても食べられるんですか?」
「うん、この無人島でもね」
「海のなかでも食べられるんでしょうか?」
「さすがに海の中では無理だ」
「はわわ、へんな質問をしてしまいました」
「いやいや、僕の言い方が悪かった」
これもまた、二人で笑いあう。
「あと、店長代理っていう秘書係も」
計算ばかりに、おまけにオーナーがいないから毎日出勤。
なぜかレジも打ったり、そのほか雑用。
正直いうと二度とやりたくない。
「秘書ということは、ツキタさんって頭がいいんですね」
「いやいや、ずっとやっているとなんでもできるようになるんだ」
人がいないから任されたというのもあるけどな。
「なんだか、不思議な世界なんですね」
「不思議っていうより、とっても人手不足」
ほんとうに、ニートの皆さんはコンビニで働きましょう。
「人がすくないのはどうしてなんでしょう?」
「わからないな、たぶんコンビニ自体、誰もやりたがらないからかな?」
「人が嫌われるような仕事なんですね」
「まあそうだね、コンビニってだけで一番下な働き口だからね」
「そんな仕事をツキタさんはすすんでやっているんですね。すごいですよ」
「いやいや、僕はなにもないから、あそこで働くしかなかったんだ」
「なんでもできるのに、そんなことはないですよ」
「そうかな……? えへへ」
嬉しくなってきた。
それとめっちゃかわいい。
飽きない可愛さってあるんだな。
「とってもすごいことです」
アーリスちゃんは、僕をあこがれるようなまなざしで見ていた。
あー惚れちゃいそう。
なんだこの天使。
「アーリスちゃんは、なにか夢とかあるのかな?」
「夢…… ですか?」
ちょっと戸惑うようなしぐさを見せたアーリスちゃん。
そしてこう続ける。
「わたし、夢というものを考えたことがなくて」
アーリスちゃんは奴隷だった。
だからこそ、考えることもなかったのかもしれない。
「夢っていうのはなんでもいいんだ」
それがあったら人生も楽しくなるのかもしれない。
もちろん、つらいこともあるのかも。
「なんでも…… ツキタさんはどんな夢を?」
「僕か、僕はしあわせな家庭を持ちたいなって」
家族がほしい。
だけれどアルバイターの僕にはそんなことを望むことはできない。
「家族ですか、ツキタさんがお父さんならとてもいい家族になれそうです」
「そう? ありがとう」
えへへ、素直にうれしかったぞ。
お父さんになるのが夢なのかもしれないな。
「わたしも何か、考えついてみました」
「まじ、僕にその夢を教えてよ」
彼女の顔が赤くなった。
アーリスちゃんの赤くなると、ちょっとだけほほも赤くなる。
そこが、そのわかりやすい感じが最高にいいぞ。
「その…… いいお母さんになることです」
「アーリスちゃんがお母さんに!」
いまも最高にバブみを感じちゃったりしちゃうんだけどな。
幼女なのに、なんだこれ。
最高じゃん。
「断言する! アーリスちゃんはとってもいいお母さんになる」
こんなにいい子はほかにいないだろう。
「ほんとうですか?」
「うん、だってこんなにも素直で、いい子なんだもん」
「ツキタさんに褒められるとわたし……」
「ん? どうしたんだい?」
「い、いえ…… なんでもありません」
僕に、とてもやわらかな笑顔を見せたアーリスちゃん。
こ、これだ。
途轍もなくバブみパワーが強い。
バブみカウンターが軽量オーバーだ!!
「」




