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ゼロバレット  作者: 水猫
ーー灰の街とゼロバレットーー
7/75

07話 朝のざわめきと白い息

『ゼロバレット』の世界観やキャラ画像はこちら ↓


作者X(Twitter)で公開中!


https://x.com/MizunekoZeroB

――サク、サク、サク。

包丁の音が、静かな朝の空気を切り裂いていた。


キッチンには湯気が立ちこめ、ベーコンとハーブの香りが広がる。

その中心に立つのは――カイン。

裸エプロン姿で、フライパンを片手にリズミカルに動く。


「よし、焼き加減完璧。今日も戦場キッチンは平和だな」

彼は木べらをひと振りして、笑う。


テーブルでは、ソフィアが新聞を広げていた。

白いシャツの袖を軽くまくり、コーヒーを口に含む。

「おはよう、みんな。……ああ、この光景を見ると……“帰ってきた”って気がするわ」


「だな」

ネロがコーヒーカップを片手に、ダルそうに呟く。

第三ボタンまで開いた白いリネンシャツが、寝起きのだるさをそのまま表している。


「だろ?」

カインは胸を張る。


リリスが微笑んで、

「私もカインの裸エプロン好きよ」

とカインの生尻をモミモミしながら答える。



「それに、彼の料理に文句言う人はいないでしょ? 味も最高なんだから」

ソフィアは、サンドイッチを頬張りながら言った。


ノアは静かに席につき、出されたスクランブルエッグを見つめる。

「……これ、俺の分?」

「当たり前だろ。お前の成長期は俺が責任持つ」

カインが笑いながら、皿をもう一枚テーブルに置く。


ノアは一口、スプーンで掬って口に運ぶ。

「……うまい」

素直な一言に、キッチンの空気がふっと柔らかくなる。


「そう言われると、やりがいあるな」

カインはフライパンを置き、湯気の立つスープを運んできた。


そのとき、窓の外で**ミャァ……**という鳴き声。

白猫と三毛猫、そして新しく拾われた黒猫が窓辺で日向ぼっこしている。

「この子たちもすっかり拠点の顔ね」

ソフィアが微笑み、ネロはコーヒーを飲みながらぼそりと呟いた。

「猫の方がこの拠点に馴染むの早ぇな」


「ふふ……平和ってこういうことかもね」

リリスが髪をかき上げながら笑う。

「この静けさが続くといいけど」


だが――そのとき、通信機が**ピピッ……**と鳴った。

部屋の空気が、一瞬で変わる。

ソフィアが新聞を閉じ、視線を上げた。


「……任務の呼び出し?」

「ええ、複数同時。緊急要請が三件」

カサンドラの声が廊下の奥から響く。

白いスーツの裾を翻しながら、デバイスを差し出す。


ソフィアは短く息を吸い、全員を見渡した。

「……食事はあと。出るわよ。分隊は二つ。現地で連携」


空気が一気に引き締まる。

ネロがカップを机に置き、低く答える。

「了解。……戦場の朝ってのは、やっぱこうでなくちゃな」


ノアは無言で立ち上がる。

その目には、また“あの戦場の光”が宿り始めていた。



焚き火のように穏やかだった朝が、

再び硝煙の匂いを帯びて動き出していく――。

――次回更新:明日17:30公開予定


ブクマ・評価・感想が励みになります。


『ゼロバレット』続編、08話「硝煙の朝」――


をお楽しみに。


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