057話 中央陣地突入 ― 八人全員の戦い
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――無音の夜、開始から一時間十二分。
ガリレア砂漠中央部。
地図上では、すでに“戦線”という概念が消えた場所。
ノアは砂丘の影に伏せ、前方を睨んでいた。
見えるのは、低く抑えられた光源。
砂袋を重ねた即席の防壁。
その背後で、等間隔に配置された人影。
(……用意されてる)
敵は、待っている。
ファンネル隊が全滅した地点。
ヴァルキリー8が次に向かうと予測される場所。
ここは――無音領域の“中心に近い陣地”だ。
ノアは、背後に視線だけを送った。
ヴァルキリー8の全員が、同じ理解に至っている。
声は不要だった。
レインが、最小限のハンドサインを出す。
【正面突破:不可】
【左右分断】
【接触後、即制圧】
八人が、音もなく散開した。
右にガルシア兄妹。
左にカロルとリザ。
後方支援にタリヤ。
エンフィールドはノアの半歩後ろ。
ノアは、呼吸を整える。
(敵は無音に慣れている。
だから――判断を誤らせる)
彼は、砂を一度だけ強く踏んだ。
わざとだ。
砂の粒子が、不自然に舞い上がる。
敵の視線が、そちらに集中した瞬間――
ノアは逆方向へ踏み込んだ。
レインが、最小限のハンドサインを出す。
【正面突破:不可】
【左右分断】
【接触後、即制圧】
八人が、音もなく散開した。
右にガルシア兄妹。
左にカロルとリザ。
後方支援にタリヤ。
エンフィールドはノアの半歩後ろ。
ノアは、呼吸を整える。
(敵は無音に慣れている。
だから――判断を誤らせる)
彼は、砂を一度だけ強く踏んだ。
わざとだ。
砂の粒子が、不自然に舞い上がる。
敵の視線が、そちらに集中した瞬間――
ノアは逆方向へ踏み込んだ。
「……来るぞ」
タリヤが、唇の動きだけで知らせた。
敵の増援。
重装備、十数名。
無音領域に適応した兵士たち。
動きに無駄がなく、恐怖も薄い。
ノアは一瞬で判断を切り替える。
(数を減らすより、動線を壊す)
彼は、真正面へ踏み込んだ。
刃は振るわない。
代わりに――“位置”を切る。
一人を転ばせ、
一人を押し込み、
一人の視界を塞ぐ。
その一瞬の混乱を、
ヴァルキリー8は見逃さない。
左からリザの一撃。
背後からカロルの制圧射撃。
音はないが、敵の隊形は崩壊した。
その時。
遠方で、一瞬だけ光が走った。
狙撃。
無音の中でも、
“光の動き”だけは、はっきりと分かる。
ノアは、反射的に身を低くした。
次の瞬間、
彼の背後を狙っていた敵狙撃兵の頭部が弾けた。
(……援護?)
ノアは一瞬だけ、視線を砂丘の向こうへ送る。
そこには、見えない“誰か”の存在があった。
距離、数百メートル。
無音・砂嵐・熱気の乱流。
それでも、正確に“今”を撃ち抜いている。
(……普通じゃない)
だが、考える時間はない。
ノアは前へ出た。
その時。
遠方で、一瞬だけ光が走った。
狙撃。
無音の中でも、
“光の動き”だけは、はっきりと分かる。
ノアは、反射的に身を低くした。
次の瞬間、
彼の背後を狙っていた敵狙撃兵の頭部が弾けた。
(……援護?)
ノアは一瞬だけ、視線を砂丘の向こうへ送る。
そこには、見えない“誰か”の存在があった。
距離、数百メートル。
無音・砂嵐・熱気の乱流。
それでも、正確に“今”を撃ち抜いている。
(……普通じゃない)
だが、考える時間はない。
ノアは前へ出た。
中央陣地の防壁が崩れる。
残った敵は、五名。
全員が、撤退を選ばなかった。
逃げない。
叫ばない。
ただ、構えを解かない。
(……処理役だ)
ノアは確信する。
彼らは、撤退を許されていない。
「終わらせる」
ノアの口が、そう動いた。
エンフィールドが、半歩前に出る。
二人は、同時に踏み込んだ。
刃と刃。
近接。
判断速度の勝負。
ノアが一人を倒し、
エンフィールドが二人を制圧する。
最後の二人は、ガルシア兄妹が挟み込んだ。
――数秒。
中央陣地は、完全に沈黙した。
――次回更新:12月31日17:30公開予定
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『ゼロバレット』続編、058話「最長距離 ― 無音の狙撃戦」――
をお楽しみに!




