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ゼロバレット  作者: 水猫
ーー交錯する意志と取引ーー
15/74

015話 紅き影の鍛錬 ― 崩れた均衡

『ゼロバレット』の世界観やキャラ画像はこちら ↓


作者X(Twitter)で公開中!


https://x.com/MizunekoZeroB

――ガンッ!


鋼の床を蹴る音が訓練場に響いた。

赤いライトが壁を照らし、二人の影を鋭く切り取る。


「もう一度!」

カリナの声が響く。

手にした模擬刃を回し、ノアに切りかかる。


風を裂く音。

ノアはわずかに首を傾けただけで、その刃を紙一重でかわした。


「ほう……反応いいじゃない」

カリナは口角を上げる。

「けど、ここからが本番よ!」


床を蹴る。

鋭い踏み込み。足音が連続し、刃が閃光のように交差する。


だが――その瞬間、ノアの姿が消えた。


「……え?」


次の瞬間、背後。

カリナの首筋に冷たい金属が当てられていた。


「……終わりだ。」

低い声。静かで、感情の起伏がない。


カリナの瞳が一瞬、驚きで揺れる。

「っ……いつの間に……!?」


ノアは刃を下ろし、淡々と答えた。

「重心が前に出すぎてる。攻撃の“始動”が見える。」


「……!」

カリナは思わず息を飲む。

“見える”――その言葉の意味が分からない。


ノアは続ける。

「戦場じゃ、音より先に“動く前の空気”が変わる。

 それが分かれば、斬られる前に動ける。」


その説明は理屈を超えていた。

経験でも、感覚でもない。まるで戦闘そのものに同化しているような気配。


カリナは少し笑い、息を整える。

「……なるほど。私が“戦いをしてる”間に、あなたは“終わらせてる”わけね。」


「終わらせるのが仕事だから。」

ノアは淡々と答えた。


カリナの瞳が少しだけ柔らかくなる。

「……そういう言葉、嫌いじゃないわ。」


「もう一回いい?」

「構わない。」


二人は再び向かい合う。

だが、今度はカリナの表情が真剣だった。


刃を下げ、呼吸を整え、わずかに間を取る。

一歩。二歩。

静寂。


――カンッ!


カリナの足音と同時に、ノアの身体が動く。

目に見えない軌跡。


刃が空を切り、ノアの掌がカリナの手首を掴む。

反転――ドンッ!

彼女の背中が床に叩きつけられた。


「……また負けた。」

息を吐きながら、カリナは笑った。

「流石世界ランキング12位」


「いいや。」

ノアは首を横に振る。

「ただ、生き残るために動いてただけ。」


「ふふ……。そういうのを、化け物って言うのよ。」

カリナは立ち上がり、乱れた髪をかき上げる。

その頬には、なぜか清々しい笑みが浮かんでいた。


「でも悪くない。こうして“本物”に出会えるの、久しぶり。」


「……?」


「次は私が勝つ。その時は――一緒に飲みに行こ。」


ノアは一瞬だけ目を細めた。

「その誘い、戦場より危険そうだ。」


「ハッ、でしょ?」

カリナが笑う。その笑いには、どこか戦友への敬意が混じっていた。


――


訓練場のライトが静かに落ちていく。

モニターの表示、心拍:安定。出力:100%。


だが、観測者のルアンはそのデータを見て眉をひそめた。

「……100じゃないな。まだ“抑えてる”。」


誰も、その言葉の真意を理解できなかった。

――次回更新:明日17:30公開予定


ブクマ・評価・感想が励みになります。


『ゼロバレット』続編、016話「灰色の国境線」――


をお楽しみに。


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