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カフェシリーズ

アンドロイドと秘境カフェ

作者: 斎藤由希



 凪原静香。


 なぎはらしずかと読むその女性は、人に強く言われたら逆らえない人間である。

 協調性や、人の和、場の雰囲気を大事にしているため、しばしば自分の意見を押し殺しがちであった。


 それは二十年生きてきた彼女の人生の中で、見聞きしてきたものから培われたものだ。

 人の顔色を窺わぬ者は爪弾きにあい、排斥される。

 その逆のパターンは見てこなかったために、培われた価値観。

 それが、正しくない事だとも理解してはいるが、自分が持っている価値観を押し通した所で、集団や組織の力に敵うわけがない。

 静香には、目立つ権力も長所も、立場もカリスマもないのだから。


 だから、欠点だと認識していても、簡単に変えられる事のできないものであった。


 自分の性格に嫌気がさしてはいるが、現代社会で生き残るためには、変えてはならないと本能が訴えているのだろう。

 

「だからぁ、さっきも言ったでしょ。静香ちゃん。ほんっと物覚え悪いんだから」


 そのため、働いている会社の上司からそんな事を言われても、小さくなって謝るしかない。


「……す、すいません」

「声が小さい!」

「すいませんっ!」


 凪原静香という女性は、人に強く言われたら逆らえない人間であるーー。


 ーー言われてないですし、今初めて聞く事です。


 つまりは結論。

 

 彼女は、上司から理不尽な内容で叱責されても、その内容を指摘するなどできない人間と言う事だ。




 毎日そういった事が多いため、静香のストレス数値は脳内ストレス表現グラフの頂点まで達した。


 このグラフは静香が社会人になってからゆるやかに伸び続けているものだが、当人にとっては健やかな成長だとは喜べない。


 仮にストレスに自我があったとしても、彼女は成長しないでほしいと頭を低く下げて頼みこむだろう。


 悩みの種であるそのグラフの数値が急上昇しだしたのは、社会人になり、勤めている印刷会社の業務に慣れ始めて5年が経過した頃。


 桜の花が満開になった春の時期。


 あたらしく上司になった男性が、部下の失敗をネチネチ責め立てる人間であった事が原因だ。


 田口多郎。


 たぐちたろうと読む40代の彼は、口の多い人間で、お喋り好きな男性である。


 彼の名前はよく性格を表現している。


 口が多いという特徴が、好きな事に関するものだけであればよかったのだが、不平不満を述べる際にも口が多くなる点が困ったところだった。


 そのため、同じ部署内で働いている社員たちは皆口をつぐんで、彼の目に留まらないように委縮しながら仕事をしなければならなかった。


 協調性や人の輪に人一倍気を使う静香もその例外ではなく、他の社員以上に気を張り詰めていた。


 結果、その影響は不眠と言う形で現れてしまう。


 仕事で疲れている静香は眠って疲れを癒したいと思っても、眠れないのだ。


 だから、家のベッドで度々頭を抱える事になった。


 休日になってベッドの上に横になっても眠れないのであるから、その心労は相当のもの。


 眠れないという時間が積み重なる度に、その事実も彼女のストレスになっていくのだった。


 そんな静香を心配したのが同僚だ。


 同期で会社に入ったその女性は、静香を心配し息抜きの必要性を訴えた。


「息抜きしなくちゃ息が詰まっちゃうわよ。こうなったら、旅行よ旅行。どっかに出かけて、思いっきりぱーっと羽目をはずしちゃいましょ!」


 静香は運動したら余計疲れるだろうと思ったが、同僚の熱意に負けて、とある休日に外出する事を決めた。




 そんなわけで、とある日の朝。

 静香は疲れの残る重たい体を引きずりながら家を出た。


 季節は春でぽかぽか陽気は気持ちよく、人の眠気を誘う。


 しかし静香の足は夢の国へは向かわない。


 うんともすんとも反応せず、ただ覚醒しつづけながら、現実の道端を歩くのみだった。


 横になっても、単調な音楽を聴いても覚醒状態が続くものだから、睡魔の来訪は期待できない。


 さすがにこのままではまずいと思う静香は、睡眠薬の服用を検討しながら、ノロノロとした動作で友人と待ち合わせをしている場所へ向かう。


 ……道中、活力と気力に満ちた人々を見つめ、自分との差を感じて、心の中で密かに涙を流しながら。


 それでも時刻表を見たり、友人と「今日は誘ってくださりありがとうございます、先輩」と顔を合わせ、おすすめの観光地の話を聞きながらバスを待っている間、静香の気持ちは段々と上向いてきた。


 休日を満喫して疲れれば、さすがに今日は眠くなるはず、と。


 しかし天気の神は残酷であった。


 旅行に向けてわくわくしている静香たちに、運命の非情さを思い知らせるかの様に、土砂降りの雨と猛風をお見舞いしたのだ。


 バケツをひっくり返したような滝のような大雨と、春一番が可愛く見えるような暴風。


 さすがにこの状況で旅行するわけにはいかなくなった二人は途方にくれた。


 交通機関はかろうじて生きているが、このまま時が過ぎれば帰宅もままならなくなる。


 突然の事態に、静香達は到底納得しがたい心境であったのだが、社会人として明日の心配をせねばならない身だ。


 結果、彼女達はすごすごと家に帰るはめになった。


「せっかくのお出かけ日和だったのに、残念ね。また予定があったら、一緒に出掛けましょ」


 友人がそう言ってくれた事だけが救いだったが、真面目な彼女はすぐに気負う事になる。


 天気の暴走は、自分のせいでないにも関わらず、次に出社した時は、お詫びの言葉と品を贈ろうと検討するほど。


 静香はどこまでも真面目な女であった。


 だが、そんな彼女が帰宅する途中で見つけたのは、小洒落たカフェだ。




 友人と別れ、電車に乗り、家に帰る道の途中。


 雨で冠水したアンダーパスを避けて、いつもと違う道を通った静香は、そのカフェを見つけた。


 秘境カフェと書かれた看板の店を。




 滝の様な雨と猛風にうんざりしていた静香は、そのカフェで雨宿りする事に決めた。


 家はすでに目前の距離にあったが、せっかく外出したというのに、何も楽しまずに帰るのは抵抗があったからだ。


 静香は人より行動的ではなかったが、現在の状況が行動しない事であきらかに損をする惨状だったため、さすがに行動力を発揮せざるを得なかった。


 このまま何もせずに帰るわけにはいかないという一心で。


 そんな静香は、店の入り口にある傘たてに飾り気のない自分の傘を突っ込み、自動ドアを通って店内へ入っていく。


 店内に入ると、落ち着いた音楽が流れていた。


 ゆったりとしたテンポの控えめなピアノのメロディが耳を心地良くさせる。


 内装は植物をメインに飾り立てられ、イミテーションの花やサボテンなどが目についた。


 席の数は四人掛けのテーブルが5つ。


 カウンター席が5つだ。


 合計25人、収容可能だった。


 静香が店内を見渡していると女性が声をかけてくる。


「いらっしゃいませ」


 カウンターの奥で食器を磨いていた女性だ。


 静香と同じ年代頃で、無機物を思わせる無表情で佇んでいた。


 音を立てず静かにしているため、最初静香はその人物を人だとは認識できなかったくらいだ。


「お席はご自由にどうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 静香は礼を言って、店の一番奥のカウンター席に座った。


 メニュー表を見た静香は軽食を口にするために、サンドイッチとコーヒーを選ぶ。


 この店は軽食とドリンクが中心で、重めの食べ物は存在しなかった。


 静香はたくさん食べる方ではなかったため、最初からメニューに軽食しかないというのは助かった。


 静香が注文するためにカウンターの方へ視線を向けると、その途中に割り込む存在がいた。


 それは、ペンギンだ。


「え?」


 静香は最初、店内にかかっている心地の良い音楽と、不眠が限界に達して夢の世界に旅立ってしまったのかと錯覚した。


 しかし、夢の中にいるような感覚はなく相変わらず、睡魔を覚えない頭と体は重く、けだるい。


 そのため静香は、自分が見ている物を現実だと認識する他なかった。


 彼女は、ゆっくりと頭脳を再起動させる。


 ーーペンギンが、いる。


 ーー小洒落たカフェの、ゆったりとした音楽がかかっている空間に。


 そこまで認識したところで、ペンギンが静香の席へと歩いてきた。


 よちよち小さな歩幅で進む様は、静香の脳内を一瞬で可愛いという文字でハイジャック。

 

「お客様、ご注文はお決まりでしょうか」


 目の前のペンギンから発せられたのは、少年の声だ。


 少し舌足らずに聞こえるそれは、まだ十代前後の子供を思わせる。


「あ、はい」


 反射的にそう答えた静香は、数秒のフリーズを経た後、自分が決めていた注文内容を伝える。


 注文内容は頭で覚える派なのか、伝票などに何かを記す事なく(というよりまるまるとした手?前足?で、できるのか分からない)、「すぐにご用意いたしますね」と返答したペンギンは回れ右をした。


 そして、丸みをおびたお尻を左右へフリフリしながら、その場からカウンターへ向かっていく。


「店長、ご注文入りました! サンドイッチとコーヒーSです!」


 黄色いくちばしから溌剌とした声が店内に響き、今さっき静香が口にした内容をペンギンが店長へ伝える。


 そんな光景を見る静香は、自分の頬をつねらずにはいられなかった。

 



 数分後。


 常識を疑う光景であったが、慣れというものは怖いもので、静香は運ばれてきたサンドイッチを静かに口に運び始める。


 サンドイッチは温かく、美味しい。


 名店と言う程、味に個性があるわけでもないが、懐かしみを感じるその味は静香を虜にした。


 夢中で頬張り、全部平らげたところで、コーヒーが運ばれてくる。


「コーヒーをお持ちしました」

「ど、どうも」


 お礼を言い、お尻フリフリで去っていくペンギン店員を見送った後、静香は飲み物に口をつける。


 ホットで頼んだそれを慎重に口に運ぶが、暑すぎる事はなく火傷はしなかった。


 傘をさしていたとはいえ、風の強さで横から煽られた雨にあたってきたのだ。


 静香は自分の体が想像より冷えていた事を感じる。


 だからなのか、静香は久しぶりに眠気を感じていたのだった。


 しかし静香は、自分以外誰も客のいない店の中で居眠りするような度胸もふてぶてしさも持ち合わせていない。


 どうにかして眠気を追い払おうと、頬を叩くが、そこに店長から声がかかる。


「眠ってしまわれても当店は構いませんよ。この天気ですからおそらくお客さんは来ませんし、人目を気にする必要はないかと。こちらも店の中にお客さんがいらっしゃってくださった方が働き甲斐がありますので」

「そ、そうなんですか……」


 静香の心の中を読んだような声掛けに少しぎょっとしつつも、眠気の欲望には抗いがたかった。


 悪い人たちには見えないし、ああ言ってくれたのだから……と、自分を納得させた静香は、テーブルにつっぷして眠りについた。




 余程体が睡眠を欲していたのか、静香はそれから3時間も眠っていたようだった。


 そのおかげで渇望していた睡眠欲はある程度満たせたようだ。


 しかし、同じ姿勢で居続けた弊害か、目覚めた際には体のあちこちが痛みを覚えている。


 だが、思ったほどではないため、不思議に思い体のあちこちを確かめていると、腰に柔らかなクッションがあった。


 店のイスと静香の体の間に挟まれたそれは、静香が眠りに落ちる前にはなかったものだ。


 お店の店員が何であれ、優しい人(?)たちであるのは間違いない。


 静香はそんな結論を下した。


 そんな静香にペンギン店員が声をかける。


「お客様、おはようございます!」

「お、おはようございます。あの、クッションありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ」


 静香は、寝起きの頭でぼうっとしながら、こちらの様子に気付いたペンギンに言葉を返した。


 クッションを渡すと、もふもふの両手で掴んで、それをしまうためにか店の奥へと引っ込んでいく。


 徐々に覚醒していく静香は、ペンギンが人語を話しているという事実に一気に覚醒し、辺りをキョロキョロと見まわす事になった。


 おかしなカフェに入って、そこそこ美味しい軽食を楽しみ、眠りについた……という夢だと思っていたが、全て現実だった。


 静香は、自分の常識を再び疑う作業にとりかかった。


 しかし、すぐにそれどころではない事に気が付く。


 店内の内装がガラリと変わっていたからだ。


 眠りにつく前はイミテーションの花や植物が飾り付けられる普通の店だったのだが、今はかなり異なる。


 テーブルあカウンターこそ変わっていないものの、足元には青々とした草が生え、近くには澄みきった水が川として流れている。


 遠くには花畑があり、上を見上げれば空高く生えた樹木がある。


 さらにその向こうに視線を投げかけると、太陽が輝く青空が見えた。


「な、な、な」


 静香は思わず、口を開け閉めするという漫画や小説などでしか見られない行動を起こしてしまう。


 ありえない光景を見つめながら体も震わせるといった、生涯よほどの事が無い限りやらないだろう行動を二つもとった静香に、店長が話しかけてくる。


「驚かせてしまい申し訳ありません。当店、秘境カフェなので、内装が時々秘境になってしまうんです」

「ええっ!」


 無表情で理解に苦しむような説明をした店員は、静香に頭を下げてきた。


「時々秘境になってしまうってそんな」


 もう少し詳しい説明が欲しいのと、まるで他人事みたいな言葉に、静香の頭はオーバーヒート寸前だった。


 そこで、話が長くなると思ったのか、店長が自己紹介をする。


「申し遅れました、私の名前は安藤井戸と申します。未来の世界からタイムスリップしてきたアンドロイドなんです」


 そして、畳み掛けてくるようにペンギン店員も続く。


「僕はペンギンのエリオット。絶滅したペンギンを改造したアンドロイドなんだ」


 開示された情報の衝撃の強さは、ビッグバンに匹敵するほど。

 静香が働く会社につい最近入社してきた新入社員が、休憩時間中にたまに見せてくるネット画像の一場面の様になった。


 宇宙を背景に思考が停止しているキャラクターの絵のように。


 確か、「これはなんですか?」と問えば、「先輩、これは思考停止しているのを端的に表した画像なんですよ」と言っていた。


 つまり、静香の頭は、そこでたっぷり一分ほど停止する事になった。




 一分後。


 再起動を果たした静香は、カフェの主である安藤店長との話を再開する。


「未来から来たって、その……大変でしたね」

「はい、大変でした」


 第三者が聞いたらおかしさしか感じられない会話であったが、生憎とこの場にそれを指摘する人間はいなかった。


「過去世界への旅行をするために手続きを行って、ご主人様とタイムマシンに乗り込んだまでは良いのですが……整備担当が怠けたのでしょう。意図しない時代に放り出され、そこから帰還できなくなってしまったのです」


 安藤店長は悩まし気な顔で、頬に手をあてながら困った顔を作った。


 彼女の表情は、よく観察してみると少し違和感を抱くものだ。


 普通の人間は、意図せず感情につられて表情が自然に動くものだが、安藤店長のそれは、ワンテンポ遅れている。


 まるで、笑おうと決めてから表情を動かし、笑ってみせたーーように。


「修理しようにも、知識がありませんし。まったく困ったものです」

「はぁ……」


 安藤店長はため息を吐いたが、それも機械らしくどこか演技かかって見える。


 とありあえず静香は静かに相槌を打ってみたが、仮に相槌を打つ以外の選択肢があったとしても、それを選び取れはしなかっただろう。

 事なかれ主義であり、場の空気を読むことを重要視する彼女にとっては。


「この時代の片隅にカフェを開いて生活の基盤を築く事には成功したのですが、救難信号を出すために開けた場所に行ってくると遠方に出かけていったきり、ご主人が行方不明になってしまわれて」

「それは……」


 安藤店長の話が本物だとすればそれは詰みに近い状態で、絶対絶命の状態に他ならなかった。

 予想以上に彼女達が置かれている状況がシビアだったため、静香は言葉に詰まってしまう。


「ですが、こうして今も生きているのですから、案外何とかなるものだと思い、カフェの営業を続けさせていただいています」


 笑顔を作って見せた安藤店長を見て、静香は自分の中の劣等感が刺激されるのを感じた。


「……ポジティブですね」


 静香が同じような状況の陥ったならば、絶対に鬱になって何もできなくなるだろう。

 それ以前にそもそも、見知らぬ時代に旅行しに行こうなどという発想は湧いてこなかった可能性があるが。


 間違いなく、安藤店長のような行動力は発揮できなかったはずだ。


 しかし、劣等感を覚えたからと言って、静香の安藤店長に対する感情が悪くなるという事はない。


 とはいうものの、類を見ないケースを前にした静香の対応力などたかが知れている。


「えっと、何か出来る事とか……ありますか?」


 そのため、世間一般の対応として、こういった時に言うべきセリフを頭に浮かべた静香はそのまま口にした。


 安藤店長は、さして困っていなさそうな無表情のまま、首を傾ける。


「私共は、お客様がこのカフェを満喫していただければそれだけで満足でございます」

「そんな事で良いのですか?」

「私達にとってはそんな事ではないので、そんな事でも良いのですよ」


 驚く静香に安藤店長は口の端を引き上げて、どうにか笑みに見えなくもない笑顔を作りながら、言葉を続けていく。


「私達は、アンドロイドです。機械の人形で、生きてはいません。しかし、感情や欲はあります。誰かに仕えたい。誰かの役に立ちたい。この機会の体の中には、そんな思いがあるのです」


 安藤店長が同意を求めるように視線をずらす。


 彼女の視線の先には、いつの間には店に戻ってきていたペンギン店員のエリオットがいた。


 すると、エリオットもかわいらしいもふもふの手で胸をぽふっと叩きながら、同意する。


「そうです。僕達は誰かの役に立ちたいんです。だからカフェの仕事をしながらこの時代の人達のお役に立てると嬉しいんです」

「そうなんですか」


 静香が生きている時代は、安藤店長たちの生きていた時代とは異なる。


 アンドロイドがどうやって毎日を過ごしているのかは知らなかったため、目の前の彼女達が嘘をついている可能性があったが、静香は信じる事を選んだ。


 それは、嘘を吐く理由がないように思えた事もあるが、安藤店長らが静香に久しぶりの安眠を提供してくれた事による影響もあるだろう。


「えっと、じゃあ。また機会があればこのお店に来ますね」

「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」

「ありがとうございました!」


 静香はサンドイッチとコーヒーのお金を払って、カフェを後にする。


 外に出ると、春一番以上に吹き荒れていた暴風は穏やかになり、雨もすっかり上がっていたのだった。


 傘を手に取ってその場から10歩ほど歩いたと所で、静香はカフェが秘境になってしまう理由を聞きびれていたと思い出したのだった。


 場の空気に流されやすい。


 静香の重大な欠点だった。




 静香を見送った安藤は、エリオットと名付けられたアンドロイドと皿洗いをしながら会話する。


「感情を持つ人間は大変ですね。日常でたくさんの困りごとに悩まされている。けれど、私はそんな人間を愛おしいと思います」


 静香は、安藤の主人と似ている所があった。


 だから放っておけなく、ついサービス以上の事をして、クッションと秘境再現という小さな親切を働いてしまった。


 困ったように微笑みを作る安藤に、エリオットがゆるやかに首をふる。


「あまり目立たない方が良いんだけど、まあ今更言ってもしょうがないよね。空気を読み過ぎて、いくつもの種族滅亡について誰も有用な意見ができなかったのが僕たちの時代の人間たちだし。思うところが湧いてくるってのは理解できなくはないよ」

「ありがとうございます、エリオット」

「たまにならいいんじゃない? ジュリもきっとそう言うだろうし。ハリエットのしたいようにすればいいと思う。君は僕らのリーダーだから。」


 そう発言したエリオットだが、安藤のおせっかいがたまにですまなくなるとはこの時は思ってもいなかったのだった。




 3か月後。


 会社の外で、蝉がやかましく鳴いている。


 仕事の休憩時間にそんなどうでも良い事を考えているのは、磯貝快。


 いそがいかいという名前の女性だ。


 両親から明朗快活な女の子になるように、という願いを込められた名前だが、本人はあまり気に入ってはいなかった。


 理由は、女の子らしくない、可愛くないから。


 快は、両親の期待通り快は明朗快活な女性に育ち、周囲の人間も明るい気分にさせるムードメイカーになった。


 それだけでなく、自分の意見を大切にし周囲に流されない芯を持った人間にもなった。


 口にするべき意見は誰に臆する事なく、はっかり発言するため、周りから頼りにされる事が多い。


 男性相手にも臆さず接するものだから、男勝りな女性だと言われる事も少なくなかった。


 しかし、快本人はそんな周囲からの評価を良く思ってはいない。


 自分の全てを否定するわけではないが、女性らしく生きる事への憧れがあったのだ。


 そんな快にとって後輩の静香は、理想の女性像にかなり近い存在だった。


 周りに流されやすい性格や、頼まれたら断れない気の弱さがあるものの、料理上手に読書好き。


 大人しく小柄という体格もあって、「これぞ理想の女性」という評価を下さずにはいられなかったのだ。


 女性はこう、男性はこうという決めつけがしたいわけではないが、世間一般が見る「らしさ」に憧れる快は、今日も誰にも知られず悩み続けるのだった。


 そんな快に気付いたのか、それとも何か別の思惑があるのか、静香が休日に出かけないかと誘ってきた。


「先輩、次の週末。少し一緒に出掛けませんか? ほら、この間せっかく誘ってくれたのに、予定が駄目になちゃったじゃないですか」

「あー、あれね。天気の神の暴走」


 静香は最近、少しだけ顔色が良くなってきた。


 この年の春、上司になった男性からロックオンされた静香は、相手からくらうネチネチとした口撃に参っていた。


 夜もロクに眠れず不眠の症状が出ていたようだが、この頃はすっきりとした顔を見せる。


 何か心境の変化があったのか知らないが、前向きになっているのは喜ばしい事だった。


「天気の神の暴走……?」

「何でもない。良いわよ。やる事なかったし。どこに出かける?」


 独特の言い回しや言葉使いが多い快は、普段ラノベやアニメを嗜む者達との交流が多い。


 自分の世界を持っている人達とのコミュニケーションで、一般的には使わないような用語を作ってしまう事もあるため、そういった物に免疫のない人に対しては自重している。


 といっても、隠すような事だとは思っていないため、言葉の端々から漏れ出てしまう事が度々あるが……。


「近くにする? それとも遠く? 予定空いてたかな」


 静香の疑問をさらっと流した快は、頭の中にスケジュール帳を広げて予定がなかった事を確認。


「大丈夫みたい」


 承諾すると、静香が控えめな表情でほほ笑んだ。


 快は静香のこういった点を、女性らしくて奥ゆかしさがあり、好ましいと思っている。


「家の近くに素敵なカフェを見つけたので良いかなと。一緒に行きませんか? 駄目……ですか?」

「駄目なんかじゃないわよ。静香ったら、そうやってすぐ弱気から入るんだから。こういう時は「行こうよ、楽しいよ」ってガンガン突き進めば良いのよ」

「ガンガンって……私には、無理ですよ」


 快は、静香がしゅんと萎れた様子を見て、「冗談冗談」と笑って見せる。


 静香が急にそんな態度をとったなら、おそらく快は世界がひっくり返るような思いを味わう事になるだろう。


 何事にも順序がある。


 特に静香は引っ込み思案で大人し気だから、相応のステップアップ期間が必要だろう。


 前向き静香計画を密かに立てている身としても、急激な変身は心臓に悪いため、今はご遠慮願いたい所である。


「静香は相変わらずね。そこが可愛い所なんだけど。 とりあえず時間は? 集合場所は?」


 ともかく頭を切り替えた快は、予定をさくさくと決めていく。


 ここのところ、仕事のない日は特に出掛ける事もなく家でだらだらしていたため、数日後のお出かけが楽しみになった。




 数日後。


 快は静香の家に訪れていた。


 なぜ静香の家を知っているかと思うと、これも快の面倒見の良さゆえだった。


 以前、会社の打ち上げをした際、他の同僚に無理やり酒を飲まされた静香が酔いつぶれしまった事があった。


 そのまま放っておくわけにはいかなかったため、タクシーで付き添い、家まで送り届けたのだ。


 翌日、電話で平謝りしてきた静香の様子と言ったら、音声しか聞こえこないはずなのに、顔色も態度もまるわかりだった。


 そんな事を思い出していた快は、ドアについているインターフォンを押して、挨拶。


 数分待った後、静香が出てきた。


「静香、おはよう」

「おはようございます、先輩」


 玄関で顔を合わせて挨拶をする快は、静香の様子を観察する。

 お出かけの準備はばっちり済ませてあり、すぐに出られそうだと見た。


「準備できてる?」

「はい、こちらは大丈夫です」


 予想通りの答えを返した静香と共に、快は目的地のカフェへと向かった。


 道中で話すのは、互いの趣味や家族について。


 快の両親は物事を深く考えない血筋なのか、定期的に何らかをやからしている。


 詐欺電話に騙されそうになったのは最近の事で、肝を冷やしたのが記憶に新しい。


 その反面静香の家族は思慮深く、聡明そうで羨ましく感じられた。


 古書収集が趣味らしく、実家が図書館みたいになっていると聞くから、博士っぽい人たちというイメージがある。


 そんな彼らに比べて快の両親は少々残念な所が多い。


 田舎暮らしをしている両親は、農家と知り合いであるため、たまに余った野菜を送ってくるのだが、賞味期限が近かったり、調理しづらいものがあったりする。


 もったいないので、ご近所さんに配っているが、毎回手間だった。


 その点、静香の両親は本人の意志や自立心を考え、必要以上の手助けはしていないようなので、親が違えば……などという妄想を何度かした事がある。




 そんな他愛のない話をしながらたどり着いたのは、小洒落たカフェだ。


 海の貝殻やシーグラスで飾り付けられたメニュー看板が外に出ている。


 軽食とドリンクを提供しているらしく、重めの食べ物は書かれていない。


「へぇ、静香のご近所さんにこんなお洒落なお店があるのね。雰囲気良さそう」


 以前静香を送り届けた時は夜だったため、周辺の様子はあまりよく分からなかった。


 今回来たのも、カフェがある方とは逆方向で閑静な住宅街が広がっていたため、このような店があるとは思わなかったのだ。


 店内に入ると、女性店長から「いらっしゃいませ」と声がかかる。


 室内は、海のイメージで飾り付けられていて、店の前と同様に貝殻やシーグラスなどが品よく置かれている。


 店内に流れるBGMは規則正しい波の音で、海水浴客にでもなった気分になれるだろう。


 店の入り口付近にある席に座った快は、静香と共にメニューを決めていく。


 数分かけて、静香はサンドイッチとコーヒー、快はホットドッグとオレンジジュースに決めた。


 注文をしようと店内を見回すと、察したのか店員がやってきた。


 しかし、それが予想外の姿で驚く。


「お客様、ご注文はすでにお決まりですの?」

「スズメが喋った!?」


 パタパタと翼を動かしてテーブルの上に飛来したのは、まんまるふくふくとしたスズメだったからだ。


 漫画やテレビアニメなどで、平和で牧歌的な日常の象徴として描かれる事の多い、慣れ親しんだスズメが。


 稲や草木の上、電線の上などにちょんとのっているのが可愛らしいと思っていた、あのスズメが。


 人慣れして近づいてくる個体はいるものの、喋るまではしないそのスズメが。


 驚く快を置いてきぼりにして、静香がスズメ店員を、当たり前の様に受け入れて紹介しだした。


「あ、先輩。こちらスズメのジュリエットさんです。怪我をされていたんですが、何年か前に店長さんに保護された方なんです

「いやいやいや、おかしいでしょ。静香ってば、いつの間に二次元の子になったのよ。スズメよスズメ。もしかして天然? それとも電波系だったの? スズメは喋ったりしないでしょうよ」

「それはそうかもしれませんが、喋っていますし……」


 それから快は、「いくら現実が目の前にあっても、そう簡単に受け入れられるわけないでしょ」とたっぷり5分かけて力説。


 その間、喋るスズメことジュリエットは退屈そうにくちばしで毛づくろいしつつも、お行儀よくこちらの会話が終わるのも待っていた。


 未来やら、タイムトラベルやら、アンドロイドやら諸々の説明を受け、さらに5分追加したところで、快はしぶしぶその現状を受け入れる事にした。


 その間に静香は、置いてけぼりにされているスズメ店員に注文する余裕さえあった。


 静香は押しが弱く人の意見に逆らえないが、それゆえに順応性はかなり高い方だったと快は思い出す。


「はぁ、とりあえず分かったわ。未来からきた方々が非常にお困りで、ここでやっていくためにカフェを運営してるって事をね」

「そうなんです。先輩って、すぐに何でもかみ砕いて覚えちゃいますよね。いつも仕事を覚えるの早いので、尊敬してしまいます」

「いや、私だってまだ半信半疑なんだけど、こんなの現実に見せられちゃね……」


 快はこれまでの会話をかいつまんでまとめるが、この状況に至るまでにいくつかの変化があった。


 注文したメニューが届き、その食べ物と飲み物が半分くらい減った事。


 そして、快の手の中におさまったスズメ店員ジュリエットが、もふもふされてくれている事。


 カフェの内装が様変わりして、足元近くに透明度の高い澄んだ海が波打っている事。


 そして、その近くに目にまぶしい白い砂浜。頭上を仰げばさんさんと輝く太陽がある事だ。


 快のまとめが終わった事で、もう私の役目は終わりねとばかりに、ジュリエットが飛んでいく。


 手の中のもふもふがなくなった事を寂しく思いつつも、リアルな感触を反芻し、快はこれが現実なのだと改めて思い知らされていた。


「それにしても、未来の超技術で秘境を再現って。SF小説の中にでも入りこんだような気分だわ」


 いつも快活な表情をしていると言われる快だが、今回ばかりはその顔色も曇らざるを得ない。


 笑えば良いのか困れば良いのか分からない、中途半端な心情を現してか、快の表情はなんとも言えない形に固まっている。


 そんな快に話しかけるのは、つい数分前の説明ターンで人を安心させるためにプログラムされたとこちらに説明した「未来人が考える最適で美しい微笑み」を顔に形作る、タイムスリッパーことアンドロイドことカフェの店長である安藤だ。


「私達の主人は旅行好きでしたので、色々な未来の秘境をタイムマシンに記録していたんんです。ですから、これはほんの少し大きいーー私達とご主人様との思い出のアルバムなんですよ」


 安藤店長の笑みは確かに美しいが、完璧すぎて見る者に少し人外離れした印象を与えた。


 快にとっては不気味の谷を感じざるを得ない表情であったが、彼女の心遣いは無碍はできない。


 なぜなら安藤店長の声音には、心のないものには抱きえない、思いやりや温かさを感じたからだ。


「その人の事、大切に思ってるのね。なんだかロマンチック。私もそんな恋をしたいわ。まあ、似合わないでしょうけど」


 茶化すような声音で快がそう呟けば、意図をくみ取った安藤店長と「まあ、恋だなんて」「まったく、年甲斐もなくはしゃいじゃって。スズメが絶滅してから何十年生きてると思ってるのよ」などとスズメ店員が背景で会話しはじめる。


 一部聞き捨てならないセリフが聞こえたが、真相が恐ろしいかもしれないので突っ込んでいかない事にした。


 背景じゃない方の会話では、場の空気を読むことにかけてはおそらく社内一であるだろう静香が、快にフォローの言葉をかけてきた。


「先輩に恋が似合わないだなんて、そんな事ありませんよ。先輩だってきっと……」

「お世辞なんて要らないわよ。私は静香と違って、そういう性格じゃないし」


 心の内の嫌な部分を刺激されたからか、少し声音にとげが入る。

 少し言い過ぎただろうかと後悔した快に、静香は思いのほか真剣な表情でぶつかってきた。


「恋をする資格に、性格なんて関係ないと思います」


 それは以前の静香には考えられない言動だっただろう。

 しかし、快にはあずかり知らぬ事だが、秘境カフェに通って安眠地帯を得る事によって、静香はほんの少しだけ変化していたのだ。


 問題の根本的な解決になるには遠く。

 静香が得た平穏は対処療法的なものでしかない。


 しかし、十分な睡眠で健康を取り戻した静香の性格は真面目。


 精神的な安定を取り戻した現在、静香が理想を求めて足掻かない理由はなかったののである。


 それが叶うかどうかは別として、得られる結果次第で足踏みをするような人物ではない事は事実だった。


「先輩は素敵な人です。良いところがたくさんありますから。きっと恋をしている姿はとても可憐で可愛いと思いますよ」


 他の誰かが同じセリフを言ったなら、ただの表面上のお世辞だと受け取っただろう。


 しかし、その言葉を口にしたのは、快の良く知っている真面目な同僚だ。


 いつも面倒を見てきた後輩が真剣な表情で嘘を吐くなどありえない。


 そう結論付けた快は、その言葉を素直に受け取った。


「ん、ありがとう。静香。あんたはいい子ね。先輩面のしがいがあるわ」


 そして、場の空気を和ますように頭を撫でてやると、恥ずかしそうな反応が返ってきた。


 社会人にやる行動ではないが、ほっとけない人類代表(※快作成リスト)の静香相手ならあまり違和感はなかった。


「先輩……。恥ずかしいです」


 しかし、快にも静香とは異なる羞恥心があるためーー。


 いつのまにか背景の会話が終わっていて、こちらを温かいまなざしで見つめていたのが、少し照れ臭く感じられた。




 1時間後。


「安藤さん、今日もご馳走様でした」

「なかなか良い店だったわ。また来るわね」


 お会計を終えた快は、秘境カフェのカウンターを去ろうとする。


 店内の様子はすっかり元通りになっていて、貝殻やシーグラスが飾り付けられた普通の内装に戻っている。


 次もまた来ようと考えながら、そのままカフェを去ろうとしたのだが、快はある事を思いついて、立ち止まる。


「安藤さんは、どこか旅行に言ったりしないの? この時代の秘境とか、観光名所とかは? 好きなんでしょ? そういうの。今度一緒に出掛けない?」


 それは、快が何気なく発した言葉だったが、安藤店長は困ったように頬を手を当てて数秒固まった。


「……お心遣いは嬉しく思うのですが、私達はアンドロイドでご主人様の持ち物ですから、法律上許可なく場所を移動する事はできないのです。

「法律ってここは過去の世界でしょ?」

「ええ、ですけど……。私達アンドロイドには法律を犯せないように特殊なプログラムが設定されているので、どの時代であってもご主人様の許可なく行動する事ができないんです」


 言葉を言い終わった後残念そうに下を向いた安藤店長の姿を見た快は、静香に対する気持ちと同じ感情を抱く。


 未来世界の事情は知らないが、知らない事を理由に誰かを傷つける行為をして、平気な顔でいたくはない。


「そっか。残念ね。お客さんはよく来るの?」


 快がさらに質問を返すと、安藤店長が品よく指を折って数を数える。

 しかしその本数はかなり少ない。


「一週間に一人か二人ほど……でしょうか」

「ほとんど来てないじゃないの」


 それは、もはや数える意味など無いと言っても良い数だった。


 快はあまり回転の良くない頭を回しながら、何か気の利いた事を言おうとしたが、こちらの気持ちを察した静香が助け船を出してくれる。


「また、私達二人でこのカフェに来ますね。今日はお休みしているエリオット君も先輩に紹介したいですから」


 助け舟を出すどころか、自分が乗っている船が泥船だとも気づかず必死に漕いでいたのが少し前の静香だ。

 静香にとっては些細な行動だっただろうが、快にしてみれば驚異的な成長速度である。


 思わず生んだ覚えもないのに、静香の母親面になって「こんな立派になって」と心の中でつぶやいてしまうほどに。


「え? まだ何かいるの? なにそれ気になる」

「とても可愛い男の子なんですよ。頑張り屋さんなんです。絶滅してしまったペンギンさんを改造したらしく……」

「あ、そっちもバックボーンが真っ暗なのね。いや、何でもないわ。こっちの話……。じゃあ、そのペンギン君の姿を拝むために、また来なくちゃいけないわね」

 

 少しだけ頼もしくなった船に乗せてもらいながら、快がそうおどけて言うと安藤店長はほっとしたように微笑んだ。


「ええ、お待ちしております」


 スズメ店員も、小さな黄色いくちばしをつんと上に向けてツンデレを発揮しながら、乗っかってくれる。


「その日は私も休みだけど、これからも来るというのなら私も待っていてあげても良いわよ」


 暖かな空気を作り上げたところで快たちはカフェを去った。




 未来から来たというアンドロイドが運営する、不思議なカフェ。


 入った時よりもほんの少し心の中にある色々なものが軽くなった気分で、快たちはその場を後にする。




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