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異世界転生したけどスキルも職業もなくて無職追放されたので草むしり係やってます  作者: Y.K
第4部

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裏切りの影! 無職に迫る不穏な同盟

会議から数日後。

王都の空気は、一見すると平穏を取り戻していた。

だが裏では、反対派の動きがじわじわと広がっていた。


「……やれやれ。せっかく便所掃除で国境まで解決したのに、また陰謀の掃除かよ」

俺は広場の片隅で鍬を担ぎ、ため息をついた。


セレーネが近づき、小声で囁く。

「ユウマ殿。反対派が水面下で“同盟”を結んでいるようです。

彼らはあなたの力を“危険な兵器”と見なし、封じる算段を……」


「……マジかよ。俺、ただの無職だぞ?」

「無職だからこそ、怖れられているのです」


皮肉なもんだ。

便所掃除と草むしりで英雄扱いされたかと思えば、次は兵器扱いか。

まるで評価がジェットコースターだ。


その時、路地裏からひとりの男が姿を現した。

黒い外套にフードを被り、顔を半分隠している。

「……ユウマ殿」


「お、おう? 誰だお前」

「私は“均衡派”の者。……ですが今はそれ以上に、“無職の未来”に興味がある」


怪しさ満点だが、目は妙に真剣だ。


「反対派が動く前に、我々と“秘密の同盟”を結びませんか?」


会場の混乱を経て――新たな火種が俺に迫ろうとしていた。


「同盟……だと?」

俺は鍬を肩に担ぎ直し、男を睨んだ。


フードの影から覗く口元が、かすかに笑む。

「ええ。表向きは“反対派”と呼ばれている連中ですが、実際にはただの寄せ集めではない。

貴族、軍人、学者……そして一部の聖職者までが加わろうとしている」


セレーネの瞳が鋭くなる。

「つまり、“国家を超えた反無職連合”ということですね」

「無職連合ってなんだよ!? 聞くだけで理不尽だろ!」


男は肩をすくめ、淡々と続けた。

「彼らは“忘却”を危険視している。

未来を書き換えるなど、人間の領分を越えていると……。

ゆえにユウマ殿を拘束し、力を封じることを計画しているのです」


「はぁ!? 俺そんな大層なことしてねぇぞ!?

草むしって、便所掃除して、ちょっと未来の雑草も抜いただけだろ!」


セレーネが静かに頷く。

「ユウマ殿の力が恐れられているのは事実……。ですが、同盟を結ぶとなれば――」


男は一歩踏み出し、声を潜めた。

「我ら均衡派は“反対派の内部”に潜っている。

あなたと手を組めば、彼らの動きを内側から抑えることもできる。

ですが――信じるかどうかは、あなた次第です」


俺は頭をかき、深いため息をついた。

「……ったく、無職に政治判断させんなよ。俺は便所掃除の専門家だっつーの」


だが確かに――選ばなきゃならない瞬間が来ている。


「……同盟を結ぶかどうかは、今ここで決めろ」

フードの男がそう告げた瞬間だった。


ドォン――!


会議場の外から轟音が響き、地面が揺れた。

続いて怒号と足音が重なる。


「侵入者だ! 反対派の兵だ!」

「均衡論を否定する者たちが、会場を襲撃してきたぞ!」


……マジかよ。タイミング良すぎだろ。


セレーネが剣を抜き、俺の前に立つ。

「ユウマ殿! どうやら選択を迫られるのは今です!」


フードの男は冷静に頷いた。

「彼らはあなたを“捕らえる”ために動いている。

ここで同盟を結べば、我らが内側から彼らを抑える。

だが断れば――あなたは孤立する」


外からは金属音と悲鳴。

兵士たちが必死に防衛線を張っているのがわかる。


俺は鍬を握り直し、舌打ちした。

「ったく……無職にどんだけ選択押し付けんだよ!」


心臓が早鐘を打つ。

ここで選ぶか、それとも――


その瞬間、扉が破られ、反対派の兵士たちがなだれ込んできた。

「無職を拘束しろ!」

「均衡を乱す者を捕らえよ!」


「――くそっ、考える暇もねぇじゃねぇか!」

俺は鍬を振り上げ、叫んだ。

「草むしり奥義! “迎撃スイング”!!」


光が走り、襲い来る兵士たちを一掃する。


だが――戦いは始まったばかりだった。


「囲め! 無職を逃がすな!」

反対派の兵士たちが次々と雪崩れ込んでくる。

会議場の壁は崩れ、煙と怒号で視界が埋め尽くされた。


俺は鍬を振り抜き、迫る兵を吹き飛ばす。

「――草むしり奥義! “雑念一掃スイング”!」

黒い霧を纏った槍を叩き折り、兵士を気絶させる。


セレーネが横で剣を閃かせ、必死に応戦する。

「ユウマ殿! 彼ら、本気であなたを捕える気です!」

「……ああ、マジで牢屋に直行させられるパターンだな」


その時――フードの男が叫んだ。

「ユウマ殿! 今こそ我らと手を組むのです!

反対派を抑えるには、内部に潜む我ら均衡派の力が必要だ!」


彼の周囲から数人の仲間が現れ、反対派の兵に刃を向ける。

まるで舞台に合わせて仕込まれていたかのような登場だった。


(……なるほどな。こいつら、最初から俺を試してたってわけか)


俺は鍬を肩に担ぎ直し、にやりと笑った。

「同盟とか大げさに言ってたけど――結局は、“無職を利用できるかどうか”を測ってたんだろ?」


男は一瞬、言葉を詰まらせた。

だがすぐに冷笑を浮かべる。

「……見抜かれましたか。ええ、我らはあなたの“選び取る力”を見ていたのです。

選ばなければ、この混乱で飲み込まれる――そう仕組んだ」


「ったく……またかよ。俺の人生、試練ばっかりじゃねぇか」

ため息をつきつつも、鍬を構える腕に力がこもる。


「いいぜ。試すなら勝手にしろ。

でも俺が選ぶのは――俺のやり方だ!」


鍬が白光を放ち、敵と味方の区別すら飲み込む閃光となって広間を覆った。


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