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転生したら○○だった件 その2(仮題)

「吸血鬼ィ!?」

 街の酒場に大きな声が響く。ソロンという男だ。ソロンは何人かの子分を引き連れて、酒場の真ん中の大きなテーブルを陣取り、夜遅くまで飲み騒いでいた。つい今しがたまで我が物顔で大声で歌ったり、店の女の子にちょっかいをかけたりしていた。騒ぎが収まったのは、そんな酒の席で出た子分のあるひと言のためである。

「はい。街の西の外れに住んでる、バルタンって男のことです。そいつの正体が吸血鬼だって噂なんです」

 ソロンもバルタンという男のことは知っている。郊外にある古い大きな屋敷に、たった一人で住んでいるという、陰気な男だ。かつては名門の貴族か何かであったらしいが、それも既に百年以上も前の話で、今ではやたらに広い建物だけが残り、庭や外壁なんかは手入れがされずにボロボロだ。おまけに当の本人は一日中屋敷に引きこもって、ほとんど外に出てくることもないという、薄気味悪い奴だ。

「そいつの正体が吸血鬼だってのか?」

 ソロンの声は苛立つ。というのもこの男の父親は、辺り一帯の商業組合のボスであり、逆らえばこの街で商売はできないというほどの大人物である。ソロンもいずれは父親の立場を引き継ぐ男だから、その威光を背にして、若者たちの間で幅を利かせている。だから自分たちの縄張りであるこの街に、吸血鬼なんてやつがいることが気に食わない。恐れられるというのは尊敬されることと同じことだ。だからそんなくだらない昔話を真に受けて、ソロンやその家族以外の誰かが、この街の連中から恐れられているというのが鼻持ちならない。

「バカバカしい……」

 ソロンは吐き捨てる。もしもバルタンという男が本当に吸血鬼なんであれば、この俺が直々にその首を討ち取ってやるさ……と言わんばかりに、太く筋肉質な指で机をトントンと叩く。そしてわざとらしく余裕ぶって、酒をグイッと飲み干す。

「でも兄貴、バルタンの一族は、かつては人さらいだったという評判もあるくらいですよ。貴族として落ちぶれる前は、街の人間の中から若い女を献上させていたとも言われてるんです。献上された女は二度と家に帰ってくることはなかったそうです。きっとバルタンの先代たちが女の生き血を吸い尽くして、殺してしまったんですよ」

 身の毛もよだつ、というように、子分は自分の二の腕を擦る。

「バルタン自身も妙な男です。昼間はじっと屋敷に潜んでいて、日が沈んで薄暗くなってから、屋敷の建つ丘を降りて街中を出歩くんです。狭い路地とかの物陰に隠れて、道行く人をじっと観察するためです。そして若い女の後ろ姿を見つけては、こっそりと舌なめずりをするそうなんですよ。その時の舌ベロは、まるで牛の舌のようにベローンと長いそうです。あのカティだって…」

 口にしてすぐに、子分は(しまった…)という顔をする。

「カティが……なんだって?」

 ソロンは子分を睨みつける。カティといえばこの街で最も美しい女性で、若い男たちの憧れの的だ。彼女の家は貧しいが、気立てが良く、貧困のために道を踏み外したりもしない、健気な女性だ。周囲の人間も何かにつけて彼女を助けてやっている。

 しかし街の誰も、たとえ彼女の困窮した生活に多少の救いの手を差し伸べたとしても、それ以上は―――……つまり、彼女を女性として手に入れようなどということは、決してしなかった。なぜなら権力者の息子であるこのソロンが、カティに対して猛烈に熱を上げていることは、この街に住む人間であれば誰しもが知っている事実だからである。カティ本人ですら、薄々気が付いていることだろう。そのカティに対して、バルタンが何か良からぬことを考えているとなれば、ソロンも黙ってはいられない。

「おい、どうしてカティの名前が出てくる?」ソロンは子分の胸ぐらを掴み、いかつい顔で迫る。「何を隠している?」

 子分はしどろもどろになって取り繕おうとしたが、ソロンの筋骨隆々の腕から逃れられず、やがて観念する。

「あの……誰が言い出したのかは分かりません。ただ、時々、夜遅くになるとカティが街を抜けて、バルタンの屋敷の方へと向かっているって……そういう噂があるんです」

 ソロンは子分の胸ぐらをさらに締め上げ、怯える相手の顔を睨め回す。真偽の程を見極めようとする。もしも噂が真実であれば、到底、バルタンを許しておくことはできない。ソロンが自らの手で制裁を加え、けじめをつけさせねばならない。一方で、にわかには信じがたいことではある。あのカティが、どうして陰気なバルタンの元になんて行く必要がある?金も地位も失った、落ちぶれた貴族の屋敷に、なんの用がある?ソロンは突き放すように子分から手を離し、一呼吸置いて頭を冷やす。そうだ、そんなはずがないじゃないか。カティはいずれは自分の女になるんだ。あの貧しい女が、この街を牛耳るソロン様の家に嫁げる千載一遇のチャンスだというのに、他の男の家に通うなんて迂闊な真似をするはずがない。むしろここで俺が慌てふためいて動けば、それこそ却って自分の威厳を損なうというものだ……そう自分に言い聞かせて、頭に上った血を鎮める。

 ソロンが自分の席に座り直し、改めて酒を楽しもうと思った矢先、酒場の扉が勢いよく開かれる。

「兄貴!大変です」

 そう叫びながら酒の席に割り込んできたのは、ソロンのもう一人の子分だった。両手を膝に付き、肩で呼吸をしながら、息の枯れた声で伝える。

「カティが……バルタンの屋敷に向かうのを見ました。頭からすっぽりとローブを羽織って、まるで人目を気にしているみたいに」

「なんだと……!?」

 ソロンの、一度は抑えたはずの怒りが再び爆発した。蹴飛ばすように椅子から立ち上がると、勢いよく酒場を飛び出し、自分の邸宅へと走った。邸宅へ辿り着くと真っ先に自室へ向かい、保管庫にあった猟銃を手に取り、村の西の外れにある、バルタンの屋敷の建つ丘へ向けて、再び街を駆け抜けた。

(バルタンのやつめ、許せん。どんな事情にせよ、カティに誤解が及ぶようなことした、そのツケを払わせなければならない。あの陰気な男が地面に膝をついて、泣いて許しを乞わなければ気が済まない。ソロン様の女に妙な心を抱いた男がどうなるのか、はっきりと見せしめにしてやる)

 それから、カティのことについて考える。

(あの女も大概だ。身の程ってやつを弁えさせてやらなければならん。俺というものがありながら、こんな夜遅くに他の男の家に忍んで足を運んだりして、この俺に恥をかかせやがった)

 ソロンは屋敷の建つ丘を登り切り、バルタン邸の正門の前に立つ。大きな建物だが、随分と古い時代のもののようで、外観はまるで中世の城塞だ。そしてそんな屋敷の硬質な厳めしさや、壊れかけたまま放置された石壁の冷たさが、バルタンの一族にまつわる吸血鬼の噂話に、妙な迫力と説得力を与えている。ソロンはゴクリと唾を飲み、猟銃を握る手に力を込める。恐れているのではない。ただこれから起こるかもしれないことに……――そしてそのなかでも考え得る最悪の場合のために、心の片隅で覚悟を決めたのである。つまり、カティがこの屋敷を訪れたのが全くの誤解であったり、やむを得ぬ特別な事情のためなんかではなく、まさしく男女の逢瀬のためであった場合、自分はこの手でバルタンを殺すことになるだろう……――という覚悟である。

 猟銃を構え、屋敷の扉の錠前に向けて弾丸を放つ。たった一発で古い扉に穴が空く。一呼吸置いてから、ソロンは屋敷の門を蹴破り、叫ぶ。

「出てこいバルタンッ!!この街のソロン様だぞ!!用件は分かっているな!!」

 猛獣の雄叫びのような声は広い屋敷にこだまし、闇の中に消える。ソロンは構わずに中へ入り、二人を探す。邸内は明かりもなければ、人の気配もしない。それに恐ろしく寒い。部屋の数はやたらと多いが、そのほとんどの扉には蜘蛛の巣がかかっている。何年も開閉すらされていないようだ。そんな埃っぽい邸内の床に、ソロンは薄っすらと、幾重にも重なった足跡を見つける。どうやらその上だけは毎日人が行き来しているらしい。足跡は地下室へと通じている。

(バルタンのやつめ、こんなにたくさんある部屋を放っておいて、わざわざ地下室で生活しているのか?ますます気味の悪い奴だ……)

 地下へ降りると、そこには地上よりも深く重たい闇が満ちている。空気は黴臭く、石造りの壁や床は地中に熱を奪われて氷のように冷たい。ソロンは持参したランプに火を灯し、辺りを照らす。左右には小さく仕切られた部屋が並び、それらの全てに鉄格子がはめられている。どうやら古い地下牢らしい。そしてソロンは、並んだ牢の先の開けた空間に、何か大きなものが鎮座しているのを見つける。ランプの灯を大きくし、その物体を照らす。

 そこにあったのは、高さ2メートルほどの黒い棺桶であった。肩や頭部の入る部分が大きく、足の方は狭い、いわゆる舟型の棺で、どういうわけか床に寝かされるのではなく、広間のど真ん中に、立ち上がって威嚇する熊のように直立している。しかしソロンが何よりも驚いたのは、棺桶の開きかけた蓋の隙間から見える、その内部構造である。棺の中には、死体が収められた時にちょうど背後にあたる部分と、その上から覆いかぶさる蓋の部分に、何十本もの金属製の長い棘針が内向きに打ち付けられているのである。

 ソロンは昔、何かの文献で読んだことを思い出す。これは中世の拷問器具、「鉄の処女アイアンメイデン」というやつではないか。棺桶の形をしているのは皮肉だが、中に入れるのは死体ではなくて、生きた人間だ。押し込められた犠牲者は蓋を閉めることで前後から串刺しになり、全身の血を搾り取られて死んでしまうという。

(本物のはずがない。悪趣味なオブジェだ……)

 ソロンは棺桶に近づき、見ているだけで痛々しい棘だらけの内部を覗き込む。そして気が付く、棺桶の木板張りの底面に、まるでインクをぶちまけたような黒っぽい染みがベッタリと付いていることに。

(一体なんだろう……?)

 染みの正体を見極めようとさらに顔を近づけた瞬間、ほんのりとした異臭が鼻に触れる。すっかり乾ききっていて薄れてはいるが、それはソロンが記憶の中で何度か経験したことのある匂いだ。ちょうど今と同じように、猟銃を携え、息を呑む緊張感に全身が強張っていた……――そう、これは狩りの記憶だ。染みの正体は動物の血液だ。それも熊や猪なんかではない。これは人間の血だ……――ソロンの直感がそう告げる。この悍ましい拷問器具はオブジェなどではなく、実際に使われていた本物だ。それも、すっかり乾いたの血の染みが幾重にも積み重なって、臭気を放つほどに、何人も、何人も……。

 バルタンの先祖たちは、こんな方法で人間の血を搾り取って、何をしていたのだろう?顔を上げ、拷問器具の向こう側を見据える。階段があり、地下牢のさらに奥下へと続いている。深い水底を覗き込むような真っ黒な闇の先で、一体何が行われているのだろう?

 ソロンは意を決して階段を降りる。何度も人が行き来したせいで、石段の角は削れている。ヌルリと何かを踏みつけて、危うく滑り落ちそうになる。咄嗟に態勢を立てえ直し、自分の足元を照らす。踏みつけた感触は、窪みに溜まった水ではない。暗闇の中でそれに触れる。それは液体で、こんな冷え切った地下室の中にありながら、ほんのりと生暖かい。そしてその匂いは………。

 ……――血だ!それもさっきみたいに古く乾いたものじゃない。まだ体温が残っている。ほんの今しがに、生きた人間の体から流れ落ちたものだ。では一体、誰の血だ?こんな人気のない屋敷に、なぜ人の鮮血が落ちている?

「カティッ!!」

 恐ろしい事実に思い当たり、ソロンは一目散に階段を駆け下りる。

 たどり着いたのは地下室の一番底の小部屋だ。壁際に、うずくまってゴソゴソとうごめく者がいるのを見つける。ランプを腰に下げ、猟銃を突きつける。

「動くな。ゆっくりとこっちを向け」

 うごめく者はこちらを振り向く。黒いマントで全身を覆っている。頬は痩せこけているし、目は落ち窪んでいて虚ろだ。この陰気な男……間違いない、バルタンだ。唇には薄っすらと血が滴り、それがランプの光に照らされて鈍く輝いている。マントの中に隠してはいるが、裾の下からは白く柔らかな脚が覗いている。女の脚だ。力を失ってグッタリしているが、床に着いた足先の僅かな緊張から、死んではおらず、ただ意識が朦朧としているだけだと分かる。それをバルタンが抱きかかえているようだ。

「バルタン、カティを床に下ろせ。お前を殺してやることには変わりはないが、彼女までわざわざ鉛玉の巻き添えにすることはないだろう」

 ソロンは当然、相手が抵抗して、カティを人質に取るだろうと予想した。しかし意外なことに、バルタンは従順に頷く。カティをそっと床に寝かせ、自分は立ち上がって両手を上げる。何も言わずに、ただ悲し気な瞳でソロンを見つめる。

「よし、賢明な判断だ。その行いに免じて、死ぬ前に祈りを上げさせてやろう。拷問が趣味の変態一族に、祈るべき神がいるとは思えないが」

 バルタンは口を開き、何かを言いかける。しかしそれを遮るように、何者かがバルタンに覆いかぶさり、ソロンとの間に割って入る。

「止めてっ!この人を撃たないで!」

 それはカティだった。目を覚まし、よろめきながらも、自らバルタンの盾になろうとしている。

「おい、カティ。どうしてそいつを庇うんだ。俺はこの変態野郎からお前を救いに来たんだぜ」

 ソロンは困惑し、狼狽える。しかし銃口だけは迷うことなくバルタンを、そしてそれを守るカティをも、しっかりと捉え続けている。

 バルタンはしがみつくカティの肩を抱き、そっと引き離す。

「カティ、どうか離れてくれ。君を傷つけたくはない」

 そしてこちらを向き直り、ゆっくりと語る。

「ソロンよ、俺は……いや俺の一族は、吸血鬼なんだ。ここに来る途中で地下牢や拷問器具を見ただろう。あれが我々の正体だ。何百年にもわたって村の人間を幽閉しては、全身の血液を搾り取って殺してきたのだ。この俺も、生きている限りはその吸血鬼の本能からは逃れられない。しかし……」

 バルタンは自分の両の掌を見つめる。カティの血によって吸血鬼の本能が発現したのか、爪はナイフのように長く伸び、呼吸も荒い。

「しかし俺は、かつては人間だったのだ。信じられないような話かもしれないが、俺はかつて人間として生き、人間としてその生涯を全うし、魂だけがこの一族の末子として転生したんだ。どういった因果かは分からないが、俺の中にはまだ、生まれ変わる前の人間としての優しさや正しい心が残っているんだ」

「出鱈目を言うな!」

 ソロンが一喝する。

「転生だと?吸血鬼だと?お前の一族は拷問が趣味のただの変質者だ」

 しかしバルタンはなおも続ける。呼吸はますます早くなり、もはや片手を膝についている。

「ソロンよ、約束しよう、吸血鬼の一族は俺で最後だ。もう子孫を残すことはしない。村の人間を殺したりもしない。俺は人間を愛しているんだ。だからどうか、我々を見逃してはくれないか?」

「ダメだな」

 ソロンはすげなく断る。

「何が一族は俺で最後だ。そう言いながらお前、現にカティの血を飲んだんじゃないか。それに我々だと?馬鹿なことを。カティは俺と一緒に村に戻るのだ。お前を庇ったことには後で制裁を加えるとして、それでも変態野郎なんかとは一緒に行かない。さあ、覚悟を決めな……」

「待って」

 割って入ったのはカティだった。立ち上がり、再び銃口の前に立ちはだかる。

「血をあげたのは私の意志よ。私はこの人の優しさと自己犠牲に心打たれ、助けてあげたいと思った。だから夜中に何度も、こっそりとここを訪れていたの。そしてこの人と話し、心を通わせるうちに、吸血鬼の最後の一人としてのバルタンの人生に、寄り添ってあげたいと思ったのよ」

 カティは自分のシャツの襟をひっぱり、左の鎖骨の辺りを見せつける。そこには牙を刺されたような小さな二つの穴が空いている。傷口の周りには、まだ僅かに血が残っている。

「吸血鬼の本能に抗うことはとても苦しいことのようね。それは人間が食事を拒否したり、睡眠を取らないのと同じように辛いことのはずよ。でもこの人は、自分達の一族が二度と村の人を犠牲にしないように、その苦痛を受け入れたの。だから私は、少しだけ、死なない程度に血を分けることで、この人の苦しみを少しでも癒してあげたいの」

 しかしカティの話を聞くうちに、ソロンの顔色はみるみる変わっていった。最初は意外な展開に驚き、青ざめたかと思えば、やがてマグマが煮えたぎるように憤怒と羞恥の形相に変貌した。怒りの矛先を逸らすように猟銃の先端を天井に向ける。

「じゃあ、なにか?お前はこの男のことを……つまり、そういうことなのか……?」

 感情を抑え込むように、その声は震えている。

「どうなんだ、カティ。その先を言ってみろ」

「私はバルタンのことを愛しています」

 カティはキッパリと言い切る。その瞬間、ソロンは言葉にならない狂った雄叫びを上げ、銃口を二人に向ける。同時にバルタンがカティを押しのけ、ソロンに向けて突進する。

 バアンッ、という破裂音が地下に響く。猟銃が火を噴き、弾丸はバルタンの胸を直撃する。しかしバルタンは倒れるどころか、ますます勢いを増してソロンに迫る。カティの血で目覚めた本能によって、バルタンの体は不死身の吸血鬼となり、その鋭い爪によってソロンの体をひと振りに切り裂く。猟銃が床に落ち、ソロンは血を流して倒れる。

 倒れた男の姿を見て、バルタンは我に返り、深いため息を漏らす。自分の血の中に眠る本性から逃れられなかったこと、そして村の人間と最後まで分かり合うことができなかったことを、嘆き悲しむ。しかしこうなった以上、もうこの場所にはいられない。朝になって、ソロンがこの屋敷から帰らない事が知れたら、きっと村の人間が武器を携えてここへやって来るだろう。バルタンはカティの腕を掴むと、すぐさま地下牢を抜け出した。

 二人は手を携え、夜が明けぬうちに村を去った。


 それからというもの、吸血鬼バルタンと村の娘カティの姿を見たものはいなかった。村には古い大きな屋敷と、それにまつわる吸血鬼一族の伝説だけが残った。


(タイトル改め―――――「転生したら吸血鬼だった件」)


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