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グラントゥギア 転生聖女放浪編  作者: ジャックス・R・ドンブリ
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第 81 話 

「大変申し訳ありません!でも隠してたわけではないんです!ただすこし口に出せなかっただけと言いますか...」

「口に出せなかった?じゃ今なら言い出せるよね?」

「それは...前に神獣テラーのことについてお聞きになられましたよね、そのあとご自分で調べたりしませんでしたか?」

 うん?あっ、ネクロマンサーにナンパされる前のことか。

「いや、そのあとバタバタしてたし、完全に忘れてしまったよ。」

「では今から調べてはいかがでしょうか、わたくしが説明するよりっ。」

「いやだね。」

「え?」

 こんなにあっさりと断られるとは思ってなかったのか、ミューゼは一瞬言葉を失った。

「あのね、ミューゼちゃん、これは罰なの、わたしに隠し事した罰。」

「罰...」

「そう、こういうのはしっかりしないと。」

 まあ、どっちかというと恥ずかしがってるミューゼが見たかったのが主な理由だが。

「わかりました、神獣テラーは、どういった理由かは不明ですが、その、そういった経験のない人にっ。」

「そういった経験とは?」

「せ、ぃてき、けぃけんです。」

 ミューゼは頭を自分のうずめる勢いで顔を下に向いているが、その赤く染まった耳で彼女の状態がバレバレである。

「うん?聞こえないよ。」

「もう~お嬢さまが聞こえないはずないじゃないですか!からかわないでください!」

「はは、バレたか。」

 まあ、いいもの見れたし、からかいすぎるのもよくないか。

「と、に、か、く、テラーはそういった方への執着が激しいらしく、毎日テラーの国民のそういう方からランダムに選んで、その、けい、けんさせてるらしいです。」

 いわゆる初夜権ってやつか。

「経験させるって、テラー自らが?いや、待って、テラーってメスなの?オスなの?」

「わかりません、噂程度ですが、呼ばれた人はテラーの寝室に入ると中はすでにその人の理想の恋人の姿をした人がいるらしく、それが男でも女でも、人でも獣でもとのことです。」

 なにそれ、羨ましいんだが?もしそんな神獣が地球にいたら、四大宗教やらを簡単に捻りつぶせるぐらいの宗教ができあがってもおかしくはないだろう。

 しっかし理想の恋人かぁ、わたしの理想の恋人ってどんなんだろうね、ちょっと興味あるかも。

「でも毎日って、この町ってそんなに人口が多いのか?普通に経験する人もいるだろうし。」

「それはこの町では30歳以下で未経験の人が優遇され、逆に30歳以下でテラー以外の人と経験されてる人は差別されますので。」

 さっきからなんなん?この一部人間の需要を的確についてくる政策。

「なるほど、面白いね、ちょっとこの神獣と会ってみたくなってきたかも。」

「え?!お嬢さまは、その、ええと、危険なのでは...」

 もじもじしながら心配の言葉をかけてくるミューゼを見てわたしは心の中から何かがぐっときた。

「ほう、それはどういう意味かな~、神獣という強い力を持つものと対峙するのが危険という意味か、そ、れ、と、も、このわたしが処女だと思っているのかな?」

「ち、違うんですか?!」

 さっきまでもじもじしてたミューゼがばっと顔を上げ、わたしの太ももに片手をかけ、食って掛かりそうな勢いで問い詰めてきた。

「さて、どうかな~」

「そんなぁ、嘘ですよね?!」

「なんてそれをミューゼちゃんはそんなに気にするのかな?」

「それは...ええと、聖女さまがそのう、そのようなことをしてはいけないかと...」

 目を逸らしてしばらく考えたあと、ミューゼはそう答えた。

「へえ、命神イスラティルの生命を司る神だから、教義にそういった行為を禁じる規定なんてないと思うけどな、それに、言ってたのはわたしことであって、カルシアのことじゃないよ、そんなカルシアのことが気になるなら、チェックしていいよ。」

「ちぇ、チェック?どうやって?」

 わたしの言葉があんまりにもぶっ飛んでるからか、ミューゼもなんか頭空っぽになっている。

「君もオンフィア人だし、やり方ぐらい知っているだろう。」

 そういってわたしはそのままベッドに倒れ込み、完全無防備であることを示した。

 ちなみに今日はお嬢さまを演じるためにちゃんと膝上丈のスカートを履いていて、下には花柄の白いラッセルタイツを履いている。

 つまり今のミューゼの目の前にわたしのスカートの中が晒されているのだ。

「さあ、好きにしていいよ。」

「駄目です、お嬢さま、早くやめてください。」

 わたしが無防備の下半身を目の前にして、ミューゼはすぐ目を逸らし、やめるようにとお願いした。

 別に本当にやらせるつもりはないので、ベッドから起き上がりそのまま足も引きあげてベッドで横座りした。

「さすがミューゼちゃん、某欲にまみれた女とは違うね、っていうあの子もよく出てこなかったね。」

「先祖様はすごく出たがっていますよ、わたくしが抑え込んでいるだけです。」

 あ、なるほど、さっきの駄目ですとはそういうことね。

「へえ、ちなみにミューゼちゃん自身は興味ない?」

 ...

 うん?

「興味ないです。」

 かなり長い沈黙のあと、ミューゼはそう言い放った。

「そう?」

「はい、お嬢さまは他になにか聞きたいことありますか?」

 正直他に隠してることもなさそうだし、聞きたいことなんてないだが、このまま解放するのももったいない。

「そうだね、じゃ一つだけ。」

「はい!何でも聞いてください!」

「ミューゼちゃん、わたしと一緒に温泉入らない?」

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