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グラントゥギア 転生聖女放浪編  作者: ジャックス・R・ドンブリ
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第 7 話 

 ラスタリア王国 王宮 双蓮宮 廊下

「聖女さま、この服は...」

「おう、どうよ、ミューゼが選んだ服。」

 軽くぐるっと回り、服を見せる。

「聖女さま!ま、回らないでください!」

 珍しくリリアが声を荒げながら詰め寄ってきた。

「ミューゼ!これはどういうこと?スカートが短すぎます、あとこれはなんですか?胸を強調しすぎます。こんな服、ドレスルームに用意されてないはず、どこから持ってきたんですか?」

 詰め寄ってきた途端、リリアは後ろにいるミューゼにマシンガントークをかました。

「え、その、自分が持ち込んだんですぅ。」

「は?どういうつもり、ミュー...」

 自分のせいで怒られて縮こまっているミューゼがかわいそうなので、二人の間に割り込む。

「まあ、まあ、好きなのもってきていいって言ったのはわたしだし、この服も可愛くていいじゃない、スカートも別にそんな短いわけではないし。」

 正直ミューゼの選んだ服は地球人目線ではそんなえっな服でもない、上半身は腰の部分が引き締まっていて胸の部分が強調されているが、乳袋もなければ谷間もちゃんと隠している。スカートも正直膝上十数センチぐらいで、ミニスカには程遠いもので、正直紳士として黒いスカートの下にある白いタイツのほうがえっだとおもう。

 わたしに割り込まれて驚いたのか、リリアは慌てて数歩下がって頭を下げる

「あ、取り乱してしまい大変申し訳ございません、ですが、聖女さま、このような服を着て外を出歩いだら大変なことになります。」

 この世界の宗教ってこんなん厳しいのか?

「え、そんなに肌見せてるわけでもないし。命神教っていつこんなに厳しい宗教になったん?」

 意外なことを言われたようで、リリアとミューゼは顔を見合わせる。

「聖女さまはもしかして自覚がないですか?」

「え?なんの自覚?」

「聖女さまの魅力ですよ。」

「ああ、それね、さすがに自覚あるよ。美人なのに自分を醜いとかいうような人じゃないよ、わたし。でも別に誘惑したりしないし、ここは女の子しかいないし、このぐらい別にいいでしょ。」

「どうやら本当に自覚がないようですね。よろしいですか、男女なんて関係ありません、聖女さまの魅力は見た目とかそんなものではないのです、オーラといいますか雰囲気といいますか...」

「精神魔法みたいな...」

「そう、それです、ミューゼの言う通りです。とにかく一目見たら目が離せなくなります、そのままでも大変なのに、こんな服を着て回ったりするなんて言語道断です。」

「でも昨日は大丈夫そうだったんじゃ...」

「こちらで用意された服には魔術が施されていますので問題ないのですが、この服は...」

「待て、でも昨日お風呂のときミューゼは...」

 わたしの言葉を待たずにミューゼは恥ずかしそうに手を挙げた。

「実は昨日すっごく我慢しました、正直聖女さまから風呂の同伴を断られた時はすこしほっとしました。」

 言われてみれば、脱ぐときミューゼがすこし変だったような。

 そんな便利な能力があるなんて、女の子にだけ効くようにできないのかな。

 いや、待って、やばくない?ここにいる間はまだしも、ここから逃げたあとは?この能力遮断できる服なんて用意できないぞ。

 そんなサキュバスみたいなオーラまき散らしてどうやって逃げるんだよ。

「聖女さま、申し訳ございませんが、着替えをお願いいたします。」

 着替えを頼まれたが、このままにしておくわけには行かない。

「悪いけど、着替えは後にするわ、二人ども今のどころは我慢できるんだよね、あと今双蓮宮に男はいる?」

「もちろんありません、現在双蓮宮内の使用人は女性で固められています。」

「ならいい、先に朝食にする。」

 二人を置いて、わたしは先に歩き出した。

 もちろん、道のわからないわたしを先を行かせるわけには行かないので、二人は足早に追いついてきた。

「聖女さま、朝食ですが、聖女さまが現代の食事に疎いと思いますので、勝手ながら料理の種類をできるだけ多く用意させましたのでお好きな料理をお召し上がりください。」

 さすができるメイドなのか、主の決めた以上余計な口は出さずに自然にスイッチを切り替えて案内を始めた。

「ほう、これは楽しみね。」

 特に話すこともなく食事室に到着し、席に着くと、ほかのメイドさんが次から次へと料理を運んできた。

「で、グレンの返事はどんな感じ?」

 並べた料理を物色しながらリリアに連絡の結果を聞く。

「資料については後ほど聖女さまの魔導器にお送りするそうですが、会議については緊急を要するためできるだけ早く開催したいとのことです。」

「へーん、ほーびのほうは?」

 食べものを頬張りながら聞き返す。

「装備ですが、王室の宝物庫にあるかもしれないため、国王陛下の許可が必要とのことです。」

「これ美味しいね、なんて名前だ?」

 口の中の食べ物を飲み込んで横にある飲み物を一口飲む。

「ポルブスタです、ポニーの体液とヘルクの卵で作られた料理です。」

「ほう、で、その許可とやらはいつ降りられるの?」

 そう聞きながら軽く手を振って料理を下げるように指示する。

「もうすぐかと思います。」

「そう、じゃその前に軽く散歩でもするか、あ、そういえば、庭はまだ昨日のままなのか?」

「昨日の庭の様子はわたくしたちにはわかりかねますが、今朝の様子ですと昔、いいえ、素敵な植物の溢れた庭になってます。」

 マジか、仕事が早すぎるぞ、昨日は細かく見る余裕がなかったから、今日はあの魔法陣を研究させてもらおうと思ったのにな。昨日の夜、情報収集ついでに調べたけど、まともな資料がないから、絶対珍しい術式なんだよね。今後役に立つかもしれないし、グレンに聞いてみるか。

 さあ、とりあえず庭に行ってオーラの件をなんとかしようか。

 ふと立ち上がり、そのままドアへと向かう。

「さあ、行こう。」

 足早に昨日きた道を辿ると、間もなくして昨日の庭までつく。

「は、はあ、せ、聖女さまお待ちくだ...さい、は。」

「鍛錬が足りないな、二人とも。」

 いやあ、気持ちいい、この体、見た目だけじゃなく、中身もすごい、こんなスピードで来たのにまったく疲れを感じないどころか、息すら上がらない、前世のひょろい体とは大違いだ。

 空気も美味いし、食べ物も美味い、そして何よりオタクとして必須級のネットも完備だ、何もかも出来すぎて夢としか思えないよ、戦争さえなければ、ね。

 はあ、戦争大っ嫌いだ。

「体力ないなら身体強化魔法でも使えばいいのに、だらしないな二人とも。」

「せ、聖女さ、ま、申し訳、ございません、身体強化は刻印、してなっかたもので、帰ったらすぐ、用意します。」

 いや、二人の魔力量なら魔導器なんて使わなくても身体強化余裕にできるだろう。

 あ、もしかしてあれか、タイピングに慣れすぎて手書きができなくなってしまうという現代人の退化か。

「まあ、いいわ、君らはここで休憩してていいよ。わたしはちょっとここら辺散歩するから。」

「せ、聖女さま?!」

 仕方ない、オーラの件は二人の協力が必要だし、先魔法陣の跡残ってないか見てみるとするか。

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