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グラントゥギア 転生聖女放浪編  作者: ジャックス・R・ドンブリ
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第 120 話

「おい、オランドのやつはどこにいる?連絡を無視しやがって。」

 数多の村人の死体を集中回収している兵士に師団長は声をかけた。

「団長、副団長はその...」

 言いよどむ兵士に師団長は眉を上げた。

 普段ならひっぱたいたところだが、今日の彼は機嫌がいい、なぜなら作戦が大成功したからだ。

 最初はちょっと抵抗されたものの、圧倒的な軍力の差の前では王国軍はあっという間に潰され、一部の兵士に逃げられたのは玉に瑕だが、法乱の地に入ったのでどうせ生きては出られまい、残りの任務は村の残党狩りぐらいで、これからの作戦も考えると自分の昇進も近いだろう。

「軍人たるものはっきり喋らんかい!まさかあいつまたなにかやらかしたんじゃないだろうな!」

 心はウキウキだが、口では厳しい口調のまま。

「いや、その、やらかしたという言いますか、やらかしてると言いますか...」

 あんまりのプレッシャーで兵士は目に染みるぐらい額の汗がすごかった。

「どういうことだ?」

「なんかこの近くにいい女がいるとかなんとか。」

「案内しろ。」

 いつもみたいに怒鳴るのではなく、低いドスの効いた声で言ったその言葉が兵士をさらに発汗させた

「はい!」

 まるで滝のように冷や汗をドバドバ流しながら案内して数分、やっと目的地に近づいた時、兵士の顔色はさらに悪くなった。

 その原因は明らか、民家から伝わってくる女の悲鳴と明らかにお怒りの師団長の顔だ。

 ドン!バン!

 そんなお怒りの団長が扉を優しくノックするはずもなく、その長靴に包まれた足が前進の勢いのままドアと激突した。

 当然、連邦軍秘伝の身体強化術を受けたことのある師団長の蹴りに一般民家のドアが耐えるはずもなく、まるで発泡スチロールのようにあっさりと破られた。

 師団長の背中越しに部屋の中を覗き込むと真っ先に見えたのは玄関に横たわっている死体だっだ。

 その死因はたとえ二三メートル離れていてもわかるぐらいの外傷だ、右の顎から頬にかけて骨が砕かれ、右半分の顔は完全に陥没、右目がその衝撃につぶされたのか、目玉が見当たらなかった、左の頭蓋骨もくぼみがあり、

 状況的に右から重い一発を食らわされてその勢いのまま壁に激突して即死したんでしょう。

 すくなくとも師団長の蹴りで死んだわけではなさそうだ。

 ドアを蹴破った師団長は床の死体を一瞥し、口を開かないまま部屋の中へと上がり込んだ。

 兵士は慌ててその背中についていったが、部屋の中は案の定の状況だっだ、あ、もう一体子供の死体があったことを除いて。

 よく死体のそばでこんなことする気になれたなと感心する間もなく、師団長の怒鳴り声が部屋中に響き渡った。

「オランド!!てめえまたやりやがったな、死にてぇのか?!ああ?!」

 まだ野性解放の状態から脱してないのか、オランド副師団長は鋭い眼光を一瞬向けてきたが、師団長の顔を見てすぐへつらうような笑顔になった。

「だんちょーー、すんまへん、へえ、へ。」

 何度も見てはいたが、副師団長のこの顔変化の速さには感心してしまう。

「へらへらすんじゃねえ、てめえこれで何度目だ?ああ?」

「いやあー、何度目ですかね?」

 もう師団長の叱責に慣れてたのか、副師団長そうあしらいながら素早く体の付着したいろんな液体や汚れを綺麗にして、ズボンと靴を履きなおした。

「さっさと出ろ、これから軍議だ。」

 思いっきりオランド副師団長の背中をたたいて師団長は副師団長を部屋から追い出した。

 脱兎のごとく逃げて行った副師団長を見て、師団長はそのままかかとを返し、部屋の外へと向かった、そして棒立っている兵士をすれ違った時、兵士の肩を軽くたたき、こう呟いた

「後始末、頼んだぞ。」

 後始末?後始末って?

 足元に横たわっている無残な子供の死体を見て、ソファーの上に気絶してる女の体を見て。

 兵士は迷った、何をするべきなのかがわからなかった。

 とりあえずうしゃがんで、足元にある子供、いや、少年の死体を確認する。

 位置的に副師団長が女を襲っている時に後ろから攻撃しようとして返り討ちにあったと思われる。

「ああ見えて警戒心は強いからな、特にああいうことやっている時は。」

 少年の致命傷は明らかで、胸に開けられた大きいな風穴、そしてその凶器は...

「これが三級強化か、いつか俺も...」

 床に転げ落ちる血まみれのマグカップを見て兵士は思いをはせた。

 連邦軍には肉体強化という秘術があり、班長以上になるとそれを受けることができる、そしてそれを受ければ魔力なしでも魔術師と渡り合えるぐらいの肉体能力を得ることができると噂されている、実際師団長たちの動きを見たらそれも納得する。

 兵士は自分の未来の栄光を妄想しながらゆっくりとソファーの横に移動し、女の息を確認した。

「まだ生きている、どうしよう。」

 ごっくん。

 次のやること考えようとする兵士だが、女の雪肌が視界に入って兵士は思わず唾をのんだ。なんとか理性を働かせて、目をそらしたものの、その白い肌に鮮やかに散っていた血の花がまるで瞼の裏に焼き付いたように離れようとしない。

 気が付いた時に兵士の手はすでに女の太ももに触れ、自分の体温と変わらないはずの女性の肌はなぜかまるで熱くたぎる溶岩のように熱く感じ、その熱が手を伝って兵士の全身に広がり、熱にやられたのか、兵士の視界を朦朧した。

 彼の朦朧した視界の中で、女のなめらかな柔肌とその上に纏わりつくいろんな液体の混合物がまるで伝説の異界の怪の吸盤のように兵士の手を、全身を吸いつき、彼の魂さえも吸い込んだ。

はじめての作品なので18+の線がどこにあるのか分からない。

今の描写で触れるかどうか有識者がいればご教授願います。

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