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第6話 食事と擦り合わせ

現在、僕の目の前には大量の料理が並んでいる。太郎に久しぶりに会えることと念願だった巨大キッチンで料理できることが嬉しすぎてつい大量に作ってしまった。何せこのキッチンは2階の半分を占めているのだから。まあ、巨大冷蔵庫やオ-ブンとかがあるので実際に作業できるスペースはもう少し狭いのだけれど。さて、そんなことはどちらでもよくて、どうやって運ぼうかな?

仕方がないのでリビングで小さくなって座っていた松本さんに手伝ってもらうとしようかな。

「松本さん!すいません。料理を運ぶのを手伝ってもらえますか?」

「はい!分かりました。」

リビングの隅っこに座っていた松本さんに声を掛けると勢いよく立ち上がりながら答えてくれた。

「あの、史郎さん。」

その様子を横目に見ながらキッチンへ戻ろうとすると小さな声で名前を呼ばれた。

「はい、どうかしましたか?」

振り返った顔を見ながら聞き返すと

「松本さんではなく、涼子と呼んでください。」

と言われた。

「分かりました。涼子さん。」

涼子さんは満足そうな顔をしながらついてきてくれた。

「史郎さん、これは何人前なのですか?」

キッチンに入ってすぐに並べてある料理を見て涼子さんが聞いてきた。

「3人前の予定で作りましたよ。余ったら冷蔵庫に入れて置いてまた明日食べましょう!」

「そうですね。」

「そういえば、涼子さんはご飯何合食べますか?」

「私は0.4合ぐらいしか食べませんよ。」

「そうでしたか。全員1合食べる予定で3合炊いてしまいました。残してても微妙な量なので、太郎のところに入れておきましょう。」

「それは太郎さんが食べ過ぎになるのではないでしょうか?」

「あの子はああ見えても高校生の時にインターハイに出場して、決勝までいくぐらいのスポーツ選手なのできっと大丈夫ですよ。」

「そうなんですね。ところでロ-ストビ-フ、唐揚げ、ギョウザ、カレー、コロッケ、ハンバ-グ、焼きそば、お好み焼き、サラダと大量にあるのですが、本当に3人前なんですか?」

「ええ、涼子さんが食べる量を僕や太郎と同量として計算していたのですが、どうやら僕たちの食べる量は涼子さんの倍近いみたいなので少し多かったですね。」

「少しですか?」

涼子さんは顔御引きつらせながら聞き返してきた。何でだろうか?よく分からないが少し多かっただけだと思うので、

「ええ、少しです。」

といった。

「そうですか。」

やはり涼子さんは何か納得がいっていないようだったが僕にはどうしようもないので無視することにした。

「太郎!!ご飯できたよ!」

「わかった!今行くよ!」

「全員揃ったので食べるとしましょう。」

「そうだね。それじゃあ、兄ちゃんとの再会と兄ちゃんの新居の完成を祝って、いただきます。」

「「いただきます。」」

「そういえば、太郎と涼子さんはこの世界についての情報を持ってるんだよね。」

「そうだよ。兄ちゃんは何を知ってる?」

「何も知らない。」

「そっか、じゃあこの世界について兄ちゃんを誘拐した人から教えてもらった情報を教えてあげるね。正直な話どこまで信用して良いのか分からないけど、全て嘘ではないと思うから。」

「あの、あれ程の威圧を受けて嘘をつけるとは思わないんですけど。だってあの人太郎さんに質問されていた時、足がブルブル震えていましたよ。私も少し離れたところに居たにも関わらず呼吸が苦しくなったんですから。」

涼子さんが真顔で言った。確かに太郎が本気でキレると心臓を鷲掴みにされたような錯覚に陥ったことがあったな。他にも過呼吸になった人も居たっけ。普段温厚な性格で怒ることの少ない太郎が怒ると言うギャップと太郎の体格が原因な気がするんだけど。

「涼子さん、それでも嘘をつく人は嘘をつくんですよ。」

太郎が胸を張って言い切った。その様子は自分は一切間違っていませんと暗に伝えてきているかのようだった。

「そうなんですかね?」

涼子さんは堂々とした太郎の態度に若干気おされながらも半信半疑で聞き返してた。

「そうです。」

疑問を持たれ聞き返されたことに気が付きながらも太郎は言い切った。このままではこの2人の言い合いは解決しないと思う。そこで僕は話題を変えるために

「太郎、それはどっちでもいいからこの世界についての情報を頼む。」

と言った。

「分かったよ、兄ちゃん。まずこの世界には魔法があるらしいよ。そして、人以外にも言葉を介して意思疎通が可能な生物も多くいるみたい。」

太郎は僕の狙いに気が付きながらも答えてくれた。

「そうか。」

「あの、太郎さんもっと大切なことが抜けてますよ。」

「うん?そんなのあったっけ?」

あ、これは本当に覚えていない時の反応だ。時々なるんだよな。

「ええ、今私たちがいる大陸には言葉を介して意志疎通が可能な生物はいないということと他の大陸は戦争をしていてどこもかしこも大地が血で赤く染まっているということですよ。そして、この大陸には豊富な資源が眠っているけど周囲の海が大荒れでこの世界の現在の技術では渡ってくることができない。でも、それは時間の問題であるということですよ。なので、早いとここの大陸の探索を終わらして外敵の侵入に対して対策をしないといけないということです。」

「ああ、そんなことも言ってたね。」

「まったくしっかりしてくださいよ。」

「ごめんなさい。あ、兄ちゃんコロッケのおかわりある?」

太郎は少し困った顔をしながら涼子さんに謝ると話はこれで終わりというかのように話題を変えてきた。

「うん、あるよ。何個ほしい?」

「10個欲しいんだけどある?」

「大丈夫だよ。あと100個はあるから。少し待っててね。涼子さんはいりますか。」

太郎は僕の作るコロッケが好きなようであればあるだけ食べるので絶対になくならないようにと150個近く作ったのにもう既に大皿に載せて持ってきた分は無くなっていた。僕は8個で涼子さんは2個ぐらいしか食べてなかったから太郎1人で40個近く食べたのかな?うん、やっぱり大食いだね。あ、もしかして涼子さん食べれてない?と思って聞いてみたのだけれど

「いえ、もうお腹いっぱいなので大丈夫です。」

と言われた。

「そうですか。ではデザートのケ-キを取ってきますね。」

「あの、もう食べられないので大丈夫です。」

「そうですか。」

どうやら食べられていないわけではないみたいだ。うん。良かった。

「兄ちゃん、ロ-ストビ-フのおかわり欲しい。」

「うん、分かった。何キロいる?」

「1キロでいいよ。」

あれ、確か3キロしか作っていないよね。1キロあるかな?まあいいか。

「分かった。取ってくるね。」

「うん、お願い。」

「太郎さん、よく食べますね。」

「そういう涼子さんはまったく食べないですね。足りてますか?」

聞くこと事態失礼かも知れないけどももし足りていなかったらかわいそうなので聞くだけ聞くことにしてみた。

「私、女性としてはよく食べる方なんですけどそんなにはいらないですよ。」

「そうですか。」

足りていないということはなさそうで安心した。とりあえず太郎の分を取ってこよう。


「太郎、持ってきたよ。」

「うん、ありがとう。後、お茶ちょうだい。」

「あれ?お茶そこのヤカンに入ってなかった?」

「なくなったよ。」

「そうか、作ってくるから少し待ってな。」

「は~い。」

「涼子さんは何か飲み物いりますか?」

「いえ、大丈夫です。」

「そうですか。」

確か、あのヤカンは3L沸かせるやつなんだけどな、涼子さんと僕は緑茶を入れて飲んでいたからもしかして1人で3L飲んだのかな?うん、さすが太郎だね。次からはもっと準備しておこう。

今回の投稿から投稿時間を20時から6時に変更しました。

明日以降もこの時間に投稿予定です。

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