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閑話 太郎視点1

兄ちゃんから久しぶりに電話があった。何でも遂に念願だった裏庭付きの家が完成して引っ越すことになったらしい。だけど、荷物が多すぎて引っ越し業者のトラックに趣味で育てて居た植木類を持って行くことが出来なかったから「こんど来る時に実家によって取って来てくれ」と言われた。昔から兄ちゃんには助けられていて、いつか兄ちゃんの助けになることができるならしたいと思っていたので「いいよ。明日実家に寄る用事があるから昼過ぎぐらいに行くよ。」と即答した。すると兄ちゃんは笑いながら、「後、まだ買い足りていないものがあるから買い物にも連れていってくれるか?何せ、兄ちゃんは車を運転できないから、明日買いたいもの買うのが大変でね。」と言ったのでもちろんと答えた。

翌日、中型トラックに乗って実家に寄り、そのまま兄ちゃんの家に行くと母親に伝えると大慌てで料理を始めて大量の料理と兄ちゃん家の鍵を「兄ちゃんは何かに夢中になると周りが全く見えなくなるから、念のため母さんに預けていった兄ちゃんの家の鍵を持って行きなさい。もしかしたらインターホンを押しても気が付かないかもしれないんだから。」

と言いながらに僕に渡してきた。


実家を出て3時間兄ちゃんの家に到着した。インターホンを押したが反応が無かったのでさすがは母さんよく分かってるな。と思いながら鍵を開けて入ると2階から知らない人が降りてきた。

「あの、どちら様でしょうか?」

「うん?ワシかワシはワシじゃよ。」

「なるほど、強盗ですか?」

と良いながら手に持っていたスマホのボタンを長押しした。

「違うぞ?ワシはワシじゃよ。決して強盗なんてちゃちなものじゃないぞ。」

「そうですか、ところで兄はどこですか?」

「兄?ああ、ここの住人か、彼は死んだぞ。」

目の前の年寄はまるで何ということもないかのように平然とした態度で言った

「そうですか。兄を殺したのですね?」

「殺してはおらぬぞ、あやつは死んだからワシが代わりに買い物に行ってやろうと言うだけじゃよ。」

「なるほど、ここの住所は※※※※※※※※※※※※※ですよね?」

「そうじゃよ。お主兄の家を訪ねて来たんじゃろ、今さら何を確認しておるのじゃ?」

「念のためです。もしかしたら僕が間違えたのではと思ったので。」

「そうかい。ええ、では失礼します。」

「待て、お主今前に停まってあるトラックで来たんじゃよな?すまぬが買い物に連れていってはもらえないかの?」

「良いですよ。ですが、僕のトラックは今助手席に荷物が乗っていて座れないので少しここで待っていてもらえませんか?片付けてくるので。」

「その必要はないぞ。ワシが片付けてやるからの。」

「そうですか。」

目の前の年寄りから目を離さないようにしながらそっと玄関まで戻った。玄関扉を開けると

「突入!」

という号令とともに盾を持った警察官がたくさん入ってきた。

「なんじゃ?」

年寄りは少々驚いた顔をしていた。

「警察だ!動くな!」

「なぜ警察がここに?」

「通報したからですよ。最近のスマホは便利でね。ボタンひとつで通報できるんですよ。」

「そんなの聞いてないぞ!!」

「知りませんよ。それより兄ちゃんはどこですか?」

「だから死んだぞ。」

「4階で人が倒れてます。すぐに救急車を。まだ脈があります。」

脈があるということはまだ心臓は動いているということだよね。最近の医療はすごく進歩しているらしいからきっと助けられるよね。今は意識がなくてもきっと後で話せるよね。死んだと聞いたときは警察に取り押さえられている年寄りの言うことが本当に嘘かどうかはわからなかったしもしかしたら本当のことなのかもしれない、もしそうならもう2度と言葉を交わすことができないのかもしれないと非常に悲しい気持ちでいっぱいになったけど、脈がまだあるというなら、絶対に話すことができるという思いでいっぱいになっていたところで

「もう遅い。」

警察に取り押さえられていた年寄りが小さな声ではっきりと言った。

「おい、どう言うことだ?兄ちゃんに何をした!」

「落ち着いてください。」

年寄りの言葉が気になって警察が取り押さえている年寄りの胸ぐら掴みに行くとすぐ近くにいた警官に抑え込まれてしまった。

「チッ。」

「救急車が到着しました。道を開けてください。」

「弟さん、すいませんが事情を聞きたいので任意同行してもらえませんか?」

本当は兄ちゃんについて一緒に病院に行きたいけど、一緒に行っても今の僕には何もできないのでせめて兄ちゃんに何かをしたと思われるこの年寄りの罪状を明らかにさせるためにも事情を説明するために警察に同行するとしよう。

「分かりました。」

その後、僕は警察署に行き、今日あったことを説明した。警察署を出てすぐに兄が息を引き取ったと連絡があった。その連絡を聞き、トラックに乗り込んで走らせること40分僕は再び兄の家の前に居た。家の前に居た警察官に頼み込み兄が見つかった部屋を訪ねるとそのすぐ横の部屋の扉に太郎の部屋と書かれた木札が吊るされていた。

「兄ちゃん、昔した約束を覚えていてくれたんだね。できる事なら生きていてほしかったよ。」

入れてくれた警察官にお礼を良い家を出ると兄の同僚だと言う女性が居た。

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