第11話 確認と料理
「兄ちゃん。あったよ!」
太郎が見張るのに使えそうな荷物を抱えながらやってきた。
「分かった。」
「先に持って上がっておくね。」
「うん。よろしく。僕もすぐ上がる。」
「は~い!」
さて、僕も使えそうなものに心当たりがあるのでそれを持ってから上がるとしようかな。涼子さんは真っ赤になって固まっているけど放置でいいよね。
荷物を持って上がると太郎が部屋の前で待っていた。
「兄ちゃん、この部屋だよね?」
「うん、そうだよ。方角的にこの部屋の窓から見えると思うよ。」
「それじゃあ、セットしてみようか。」
「太郎、どう?見える?」
「兄ちゃん、電気消して。」
「分かった。これでどう?見える?」
「うん。今見えてるあれがそうだと思うよ。」
「見せて。」
「いいよ。」
太郎がセットしてくれた望遠鏡を覗いてみるとちょうど視界の真ん中に土が盛り上っているのが確認できた。
「太郎、あの若干土が盛り上がってるように見えるあれ?」
「そうだと思うよ。」
太郎は絶対的な確信はないがほぼ間違えないだろうという雰囲気で答えた。
「太郎、それじゃあこれを繋いでくれる。」
「これ何?」
「望遠鏡で見えてる物をこっちのモニターに映すためのコ-ド。」
「おお、それを繋げばそっちのモニターで見えるようになるのね。」
「そうだよ。」
「繋いだよ。どう見える?」
「よし、見えたよ。」
「兄ちゃん、画面の録画ってできないの?」
「できん。だから三脚とカメラを持ってきた。」
「もしかして、」
太郎は何か確信めいた顔で聞いてきた。
「そうだよ。モニターの画面をカメラの録画機能で録画する。」
「なるほど。でも、それだと何かあったときにすぐ対応できなくない?」
「そうだね。だから交代で見に来る。」
「なるほど。兄ちゃん、どうする?」
「今のところ何も動いて無いみたいだからしばらくは放置で良いんじゃない。」
「そうだね。それじゃあ。1~2時間おきに見に来ようか。」
「そうしようか。」
「ところで兄ちゃんはこの後どうするの?」
「うん?明日のご飯を作るための下準備をするよ。後、夜食の準備もする。」
「そっか。僕も作るのを手伝おうか?」
今、太郎から絶対に手伝うという副音声が聞こえた気がする。ここで断る必要もないので、頼むことにした。
「頼んで良い?」
「いいよ。」
「それじゃあ、夜食を作るのを頼んで良い?」
「いいよ。」
「兄ちゃんは明日のご飯の下準備をしとくね。」
「うん。よろしく。」
というわけで再びキッチンに降りてきて2人並んで料理を始めたのだけれど、なぜか太郎はピザを作り始めた。夜食だからサンドイッチでも作ると思っていたので少々意外だ。
「兄ちゃん、いい匂いがしてきたね。」
「おう。ところで太郎、なんで夜食でピザを作ってるんだ?」
「うん?兄ちゃんの手作りチ-ズに肉や野菜があったし、巨大なオ-ブンもあったから?」
一応ピザを作っている理由を聞いてみたけど、よく分からん。ということなので気にしないことにした。あまり気にしすぎるのはよくないって言うしね。
「なるほど。気にしないことにしておく。」
しばらく2人で黙々と作業をしていると涼子さんが上がってきた。ズボンは明らかに寝巻きで上は上着を羽織ってはいるけどおそらく寝巻きの上に羽織っているだけなんだど思う。そんなので湯冷めしないかな?
「あの、史郎さん、太郎さん。お風呂上がりましたよ。入ってきてくださいね。後、手伝いをさせてください。私も一人暮らしをしていたので料理はできます。」
涼子さんは自信満々に言った。
僕はそんなことよりも涼子さんの体調が気になってしまい、
「涼子さん、体調大丈夫ですか?」
と聞いてみた。
「はい、大丈夫です。」
そして、元気よく言いきられた。
「兄ちゃん、涼子さんにも何か手伝わせてあげたら。」
太郎は何かを悟ったような顔で言ってきた。
「そうだね。それじゃあ、そこにあるニンジンとタマネギをみじん切りにしてもらえますか?」
「分かりました。」
「無理はしないでくださいね。」
「はい。大丈夫です。」
「兄ちゃん、ピザが焼けるまでもう少し時間がかかりそうだから先にお風呂に入ってくるね。」
「おう!」
太郎は足早にまるで自分は邪魔者なので邪魔しないようにしますと言わんばかりの勢いで去っていった。




