04 メネルカ
メネルカ魔導国に到着。
相変わらず、ガッチガチに堅い国です。
国を覆っている、俺みたいな魔力駄目男にでも分かるほどの異常なまでの防御結界。
まあ、仇なす者以外には牙を剥かない、はず。
幌馬車から変化したシジミさんにお疲れ様でしたと声を掛けて、往路の護衛任務は完了。
俺はすぐに引き返して、ニーケまでひとりでのんびり歩いて帰ります。
皆さんの用事が済んだら、ニーケの宿に速達鳥で連絡が来る予定。
メネルカに入国するのは、
ヴェルネッサさん、イヴさん、アイネさん、リシェルさん、シジミさん。
女王様から勘当されたイヴさんまでもが入国可なのは、何だか解せぬ。
まあいいや、お勤め頑張ってください。
では、俺はこれにて失礼。
「シナギさんも、ですよ」
?
「女王様がお呼びです」
えーと、ヴェルネッサさん、
メネルカは男子禁制が絶対、ですよね。
「もちろんですとも」
「建国以来、女王様の前に不埒な殿方が辿り着けなかったことが、このメネルカの誇り」
俺、結構不埒ですよ。
「もちろん、存じておりますよ」
うん、なんかへこむ。
「まずはこちらへ」
あー、シナギ家が誇る精鋭乙女たちに取り囲まれましたよ。
まあ、逃げられんわな。
嫌な予感しかしないぞ、俺。
入国手続きはスルー。
お久しぶりです、と挨拶しようにも、
受け付けのお姉さんは目も合わせてくれず。
その節は大変申し訳なかったです。
すぐに出ていきますんで。
迷路のような通路をヴェルネッサさんの後にくっついて進む一同。
そして、逃げられぬまま小部屋に放り込まれたのは、俺ひとり。
扉はふたつ、窓は無し、天井には灯り魔導具、
床には、空の籠がひとつ。
入ってきた扉にノブは無し。
もうひとつの扉には、ある。
つまりは、一方通行。
空の籠には一枚の紙。
『全て脱いでこちらへ入れること』
……
やらねばならぬ、か。
いいさ、見たいのならば見るが良い。
すぽんと脱いで衣服を空籠へ。
『俺に何かあったら、仇をとってくれ』
籠の中の『ぶなしめじ』に、想いを強く伝える。
今の俺、全裸で仁王立ち。
これからどうしろと。
ノブがある方の扉が、ゆっくりと開いた。
つまりは、やっぱり見られてる。
そんなに見たいなら思う存分見やがれってんだ。
まあ今は、進むしか道は無いのです。
扉を抜けると、同じような小部屋。
床の中央に、バツ印。
そこに立てば良いのね。
バツ印の上に、全裸で、仁王立ち。
その瞬間、意識が……