02 旅
そんな用心棒への次なる任務。
メネルカ魔導国までヴェルネッサさんを護衛すべし。
大使活動進捗状況他諸々、フィルミオラ女王様へ直接御報告することとなったヴェルネッサさん。
当初は安全のためにお忍び的な少人数で行くつもりだったのですが、
いつの間にやらシナギ家全員での家族旅行となりました。
もしかしてアランさんやロイさんの家族旅行が羨ましかったのかな、とも思いましたが、
どうやら家族旅行自体は、皆で以前から計画していた模様。
最近のミナモの忙しさも、まとまったお休みを取るためだったようです。
俺、家長としては、今回も何のお役にも立てず。
結局いつも通り、旅の安全を守る用心棒くらいしか出来んのです。
にこにこ笑顔の女性陣には、胸の内のもやもやを気付かれぬようにせねば。
今回の旅は、基本的には以前と同じ行程ですね。
前回同様、魔導車『システマ』にて行けるところまで『転送』で送ってもらい、
そこからはシブマ1号での幌馬車旅。
シジミさんにはいつも御迷惑をお掛けしてばかり。
アリシエラさんにお願いして、そろそろシナギ家用の幌馬車を作っていただかねばなりません。
『シジミは幌馬車旅もシナギ先生も大好きだから問題ナシ、なの』
ありがとうございます、シジミさん。
今は腕輪型情報端末『コニタン』にて、幌馬車モードのシジミさんと直接会話しております。
以前は御者席脇にある板状端末での会話でしたが、『コニタン』は近距離だったら『Gふなずし』経由じゃなくても仲間内での通信・通話が可能なのです。
『疲れたらいつでも御者しますからねっ』
ありがとうございます、アイネさん。
ただ、幌の内の『空間』は、現在女性ばかりが6名の華やか空間。
正直、中にいるより外で御者をしている方が心が休まるのですよ、
などと口に出したりせず、黙々と御者をする、俺。
沈黙は金、などと申しますが、
家長としてはイマイチ男子な俺が出来ることといったら、
この道中の平穏な空気を乱さないことくらい。
今のところは平穏この上ない幌馬車道中、なのです。