結婚直前になって彼女がずっと浮気していたことを知った〜絶望して壁に頭を打ち付けたら彼女と付き合う前にタイムリープしたんだが〜
「黒ですね」
「黒……ですか」
パンツの話ではない。
いや、そんなにお気楽な話題だったらどれだけ良かっただろうか。
「調査の結果、奥田景様の彼女さんが浮気をなさっているのは間違いないかと思われます」
「マジかぁ……」
天を仰ぐ。
ふわふわとした形の疑念がしっかりとした形を持った確信に変わってしまった。
俺の婚約者──桐生透は浮気をしていた。
それもぎりぎりアウトかな~、なんてレベルではない。
もうどうあがいても言い逃れができないほど、ガッツリアウトだ。
具体的に言えば腕を組みながら他の男とホテルから出てきた瞬間。
その瞬間を依頼した興信所の所員がバッチリと写真に収めていた。
「この写真……クるなぁ……」
「心中お察しします。必要であれば当社と提携している弁護士事務所をご紹介いたしますが……」
「いや……そこまでは……」
「そうですか、ではこの写真はお渡しいたします」
慣れているのだろう。
興信所の所員の対応は淡々としている。
──どうしてだよ……透。
平凡な俺には出来過ぎた彼女だった。
大学のサークルの後輩で、甘え上手で……可愛くて。
【センパイの誠実な人柄に惹かれたんです】
そう言ってくれたじゃないか……。
付き合い初めてから七年が経って……プロポーズして。
両親にまで挨拶を済ませたっていうのに。
限りなく……というか百パーセントで黒なのだが、俺は一筋の希望を捨てきれずにいた。
──いわゆるマリッジブルーなのかもしれない。
俺の配慮が足りなかったせいで、余計な心配をかけて……俺に原因があったのかもしれない。
これはそう、きっと一時の気の迷いだったんだ。
人間は誰しも間違いを犯す生き物だ。
程度の差こそあれ、一度の過ちであれば許して然るべきだろう……。
怒って……不満があるなら話し合えば何とかなるはずだ……。
心ここにあらず、フラフラとした足取りで興信所を後にする。
話し合えば何とかなる──これがただの現実逃避だと知るのに時間はかからなかった。
「ああ……バレちゃったんですね」
帰宅後すぐ。
話がある、と透をリビングに座らせて例の写真を見せた。
その写真をパラパラと軽く確かめた透は、小さく笑いながら、そう言った。
「そうか……」
言い訳の一つも口にしないところを見るに、やはり浮気は本当のことだったらしい。
「それで、どうします? 別れますか?」
あっけらかんと口にする透。
全く悪びれていないようだった。
「別れる別れないの前に! まず言う事があるだろっ!」
机に拳に振り下ろす。
鈍く重い音が響いて拳が熱を帯びた。
わずかに間を置いて、熱はジーンとした痺れを伴った痛みに変化する。
──ああ、俺、怒ってるんだ。
自分でも驚くくらい声を荒げてしまった──この時になって俺はようやく自分の本音に気が付いたらしい。
──不器用な男だ。
だから浮気なんてされたのかもしれない。
感情を噛み殺すようにハァハァと息を漏らす裏に、驚くほど冷静に状況を捉えている自分がいた。
「……景さん、これは浮気じゃないんですよ」
「どういうことだよ」
「──だって、時系列で言えば浮気相手は景さん、貴方なんですから」
「……は?」
事態を飲み込めない愚鈍な俺を嘲笑うかのように透は続けた。
「彼は──この写真の男の人は私の幼馴染なんですよ。中学の時からくっついたり……別れたり、まあ腐れ縁ってやつですね」
「相手のことなんて知りたくもない!」
「肉体関係を持ったのも景さんより前です」
「……」
透の初めての相手が俺でないことくらい知っていた。
それを知った上で今まで付き合ってきた。
「じゃあ……なんでそいつとは縁を切ってないんだよ。俺たち……婚約までしただろ!?」
「うう~ん、何て言ったらいいんですかね。彼とは経済的に結婚するのは厳しいんですよ。その点景さんはちゃんと稼いでくれるので結婚するなら景さんかな~って」
「はぁ?」
「そうそう、彼とはいわゆるカラダだけの関係、ってやつです」
「嘘だろ……」
「だから景さんと結婚しようと思ってたのは事実ですよ」
めちゃくちゃだ。
透の──この女の言っていることはあまりにも自分勝手が過ぎる。
体から熱がスーッと引いていく。
百年の恋も冷めるような、夢から現実に引き戻されたような。
「出ていけ……」
「え?」
「出ていけよ……お前とはもう他人だ。荷物をまとめてさっさと出ていけ」
唇を強く噛みしめながら。
必死に手を、拳を抑えながら。
今この女の顔を見たら、何をしでかすか分からない。
だから、頼むから──俺が我慢しているうちに消えてくれ。
「そうですか……まあバレた以上は仕方ないですね。世間一般的に見れば全面的に私が悪いわけですし」
「……」
「ああ、荷物はテキトーに処分しておいてください。同棲してる──って言っても私の荷物の大半は私のアパートにあるので」
とてとて、と部屋の中を歩き回る音がする。
その足取りは重いようには思えない。
むしろ胸のつかえが取れて晴れ晴れとしているかのような……。
「そうそう、最後に」
「なんだ?」
「景さんだって悪いんですよ」
「へぇ……」
「私、景さんので満足できたこと、ないんです」
「つっ……!?」
反射的に睨みつけようとすると、そこにもうあの女の姿はなかった。
開け放たれたドアが、ゆっくりと閉まっていく。
「くそっ……くそっ……くそっ……」
誰もいない部屋で一人、何度も机に腕を振り下ろす。
赤くなって、切れてきて……机が赤く染まってきても爆発した感情は収まらない。
──あんな女を好きにならなければ。
こんな思いをすることはなかったのに。
──あんな女と付き合わなければ。
俺の一途だった七年を返せよ。
何故、どうして……疑問符が数千個。
「ああ、もう全部忘れたい……」
ぶっ倒れるまで酒でも飲んで、そのままポックリ逝きたい。
そんな気分だった。
だが、生憎今酒はない。
買いに行く気力もない。
そんな俺が全部を忘れるためには。
「どうせ仕事に穴開けるんなら……ついでに壁に穴でも開けるか……ははっ」
ゾンビのように、或いは軟体動物のように……力なく立ち上がる。
そしてそのまま部屋の隅に向かって彷徨って、壁に頭を打ちつけた。
ガンッ
想像以上に硬い音が響く──と、同時に頭に火花が飛び散るような衝撃。
ガンッ
今度こそ意識がハッキリとしなくなる。
酒に酔って平衡感覚が失われていくような……そんな感じ。
そう言えば……初めてあの女と夜を共にした時もこんな感じだった。
サークルで飲み会をしてて、飲み過ぎて、フラフラになって……。
あの時は雫にも迷惑かけたなぁ……。
あいつ今何してんのかな。
ま、どーでもいいか。
もう、雫との関係も……終わったことだ。
ガンッ
三度目の衝撃。
スローモーションで世界がひっくり返っていく──
──ねぇ、景
遠くで誰かが俺を呼ぶ声がする。
この声は……雫か?
──景ってば
そうか、これは走馬灯というやつか。
最期に思い出すのが幼馴染の加藤雫のことだなんて、なんて皮肉だろうか。
思えばあの時雫は心配してくれていたんだろう──恋の熱に浮かされた俺のことを。
そんな雫を俺はバッサリと切り捨てて……距離を取って。
あーあ、思い返すとバカだなぁ……俺って。
「ねえ、景!」
ゆさゆさと体を揺すられている気配。
……妙だ。
走馬灯にしては現実感があり過ぎる。
瞼は重いけど……目は開く。
けど……頭がぐわんぐわんして気持ち悪い。
これってまるで酔っ払っているような──
「ほら起きて、景!」
チカチカとくらむ視界──そうか俺は死に損ねたらしい。
ならここは病院……
「は?」
目の前に広がる光景を信じ切れず、瞼をくしくしを擦る。
ギャハハと騒ぐ若人たちが目に映る。
──??????????????
え、何これ。
これってまるで……大学時代の飲み会みたいな……。
「もう、やっと起きた」
隣で呆れたような声がして、首だけグリンと捻って声のした方を見る。
「……雫?」
目の前には明るいグレーの髪色を長く伸ばして心配そうな表情を浮かべる雫がいた。
「ほら、景。酔い過ぎだよ……。そろそろ帰ろ?」
「あれ……雫? どうしてお前が……?」
「もう……記憶無くすまで飲んじゃダメだよ?」
「いや……俺は酔っ払ってなんか」
「嘘でーす。何年の付き合いだと思ってるの? 私の目は誤魔化せません」
「悪い……」
どうやら言いくるめられたらしい。
さすが幼馴染……手強い。
──じゃなくて。
おかしい。
どうして雫が……疎遠になってしまったはずの幼馴染が隣にいるんだ?
夢にしてはあまりにもリアルで、俺は完全に混乱していた。
改めて辺りを見回すと、わいわいぎゃははと騒ぐ若人たち。
しかも全員見知った顔。
間違いない、こいつらは全員サークルの連中だ。
「は? え? これ夢?」
「何変なこと言ってるの?」
「いやだって……え?」
わけがわからない。
不自然に辺りをキョロキョロ見渡す俺を見て、雫は頭を抑えてため息をついた。
「あーもう、使い物にならない。ほら、帰ろ?」
「お、おう」
言われるがままに立ち上がる。
「肩、貸すから」
女子にしては長身の雫の肩に手を回して、ヨロリヨロリと生まれたての小鹿みたいに立ち上がる。
「おいなんだよ奥田! 帰んのかよ!」
「そーだぞぉ。まだ夜はこれからなんだから……ヒック」
「皆も飲み過ぎ、今日は二次会でおしまい、ね?」
そう言えば雫はやけにお酒に強いんだったな──なんてどうでもいいことを思い出しながら、雫の肩を借りて一足先に居酒屋の座敷らしき場所をあとにしようとした時。
「あれぇ~、センパイ帰っちゃうんですかぁ?」
目をトロンとさせた艶っぽい美少女が、服の裾を掴んできた。
「……!?」
あり得ない、なんでこいつがここにいる。
「透……お前なんでここに?」
「何でってサークルの飲み会だからに決まってますよねぇ?」
俺の知っている透と──違う。
今目の前にいる透は、俺の知る透より幼い。
鈍い俺でもここまでくれば……何が起こっているのか察しがつく。
──どうやら俺は……過去にタイムリープしたらしい。
それも大学時代──透と付き合う前に、だ。
だとすれば目の前の状況全てに合点がいく。
「センパイ、三次会行きましょうよぉ」
「桐生さん? 貴女酔っ払い過ぎよ」
「私酔ってないでーす、ていうか私のセンパイを返してください」
「貴女の──じゃないでしょ? 付き合ってもいないんだから」
「そうでしたぁ……えへへ」
バチバチと火花を散らす二人。
そういえば雫と透は仲があんまりよくないんだった。
──ていうか、このシチュエーション……見覚えあるぞ?
そうだ、思い出してきた。
俺は前回、透の誘惑に抗えず、雫の制止を振り切って三次会に行ったんだった。
そしてその後……酔っ払った透を家まで送った。
──センパイ、私いま~、すっごいいい気分なんですよぉ~?
ああ、だいぶ酔っ払ってるな。
──だからぁ……もっと気分よくしてくれません?
おまっ、何言ってんだ。
──あはは~、センパイ照れてる。かーわいい。
なんてやり取りをしたが、結局怖気づいてしまった俺は手を出さなかった。
それからのことだ。
透が妙に懐いてくるようになったのは。
そして小悪魔な透に、恋愛経験のなかった俺は抗うことができずにあっという間に堕とされたんだった。
それからの大学生活は酷いもんだった。
サークル飲みも控える様になって、二人きりで過ごす時間が増え、。そして雫とも疎遠になってしまった。
当時はそれでもいい、と思っていたのだが……俺はなんて愚かな選択をしたのだろう。
「景? お願いだから帰ろ?」
「ああ、そうだな……帰ろう」
透のことを睨みつけたい気持ちはある。
でもそれは筋違い、というものだ。
俺はこの時間軸では透にまだ何もされていない。
もう既に裏ではヤることをヤってる透だが、未来に起きたことを今の透に責任を取れ、というのはメチャクチャなことだろう。
そんなことをしたらむしろ俺がおかしいやつ扱いされてしまう。
「センパイが帰るなら私も帰りまーす。いいですよね? セーンパイ」
「え、うん……ああ」
「できればぁ……家まで送っていって欲しいんですけどー」
甘ったるい声。
前回の俺はこれにやられたんだ。
酔って判断力が鈍った時にこんなことをされたら血気盛んな大学生男子は即堕ち間違いなしだ。
「ごめんなさい、桐生さん。見ての通り景もだいぶ酔っ払ってるの。送ってもらうなら他の人にしてもらって」
「えー、加藤先輩にそんなこと分かるんですかぁ?」
「ええ、分かるわ。だてに幼馴染をやってないもの」
「……分かりました。じゃ、センパイまた飲みましょうね~、できれば今度は二人っきりで♡」
ボソっと耳元で囁いて、先ほどまでの酔った様子はどこへやら、しっかりとした足取りで一人先に帰ってしまった。
「それじゃ私たちも帰ろっか」
「ん……ああ」
「あんまり人の悪口は言いたくないんだけどね」
帰り道、二人きりになったところで雫が口を開いた。
「桐生さんはやめておいた方がいいわ」
「……どうして?」
「ほんとかは分からないんだけどね、桐生さんちょっと危ない人たちと関りがあるらしいの。同じ高校出身の子たちが言ってた」
「ああ……」
そんなこともあったな。
あれは透と親密になり始めて、今度自宅でサシ飲みしましょうよって話が決まった頃のことだった。
当然、女子とそこまで親密な関係になったことのない俺は完全に浮かれていた。
いわゆる恋の病を患っていたのだ。
その時も雫は俺に同じことを警告してくれたんだった。
でも当時の俺は
「そんなことあるわけないだろ! 雫がそんな陰口みたいなことを言うなんて失望した!」
等と酷いことを言ってしまったんだった。
雫との関係はそれっきり、疎遠になってしまった。
「私、あの子が怖い。景は多分あの子にロックオンされてる。私、分かるんだ」
「……」
「景がいいなら止めないよ? でも私……景には幸せになって欲しいから」
「雫……それって」
「あ、あ、あくまで幼馴染……としてだからね? 勘違いしないでよ?」
はぁ~、と大きなため息。
どこまで鈍かったんだ、若かりし頃の俺。
幼馴染とはいえそれだけでここまで気にかけてくれるはずがないだろう。
雫はきっと……俺のことを──
それからしばらくしてのことだった。
透から呼び出されたのは。
「センパイ、好きです! 私と付き合ってください」
恥じらいを浮かべながら、上目遣いを向けてくる透。
庇護欲をそそるその姿はまるで小動物。
愛されて当然──そんな傲慢すら感じる可愛さがあった。
何を裏でヤることヤってるくせにぬけぬけと……という怒りはある。
でも今振り返ってみて思うのだ。
魔性に絆された俺も悪い──と。
だけど……できるだけこっぴどくフッてやろう。
それくらいの復讐は許されるはずだ。
「なあ透」
「はい!」
「お前さ、男遊び激しいんだって?」
「あー、その噂。真に受けてるんですか?」
「まさか。その噂はモテてる透への嫉妬だろうよ」
「さすがセンパイ、慧眼です!」
モテてる、という点については否定もしない。
実際モテるんだから仕方ない、か。
「だったら問題ないですよね、そんな噂なんて放っておいて、私と付き合って……」
「お前、それよりエグいことしてるもんな」
嘲りながら言い放つ。
瞬間。
透の纏う空気が一変する。
小動物だと侮っていた相手が狂暴な牙を持つ肉食動物だったかのような、そんな予感。
「何を分かったような口をきいてるんですか?」
声がオクターブ単位で下がる。
笑顔だけど笑ってない。
小柄な体から放たれるプレッシャーに怖気づきそうになる。
それでも、怯むわけにはいかない。
「分かってるんだよ、全部。腐れ縁の彼のことも」
「……」
「安心しろ、誰かに言ったりはしない」
「……それを信じろと?」
「だって、俺……お前に興味ないもん」
「アハ……アハハハハハハ」
俺の言葉に透が狂気じみた笑いを漏らす。
これにはさすがに俺の顔も引き攣ってしまった。
「よく言いますねぇ……最近冷たいですけど、この前まで鼻の下をデレデレ伸ばしてた人が」
「まあな、夢から醒めた……とでも言っておこうか」
「そのまま眠って死んでればよかったのに」
もう本性を隠す気もないらしい。
毒毒しい言葉の連続。
「そっちの顔の方が似合ってるよ」
「それはどーも。じゃ、もう帰っていいですか?」
「ああ、だけど最後に一つだけ」
「何ですか?」
「お前、そのままだと遠くない将来必ず破滅するぞ」
「センパイには関係のないことです」
「それもそっか」
透はそのまま身を翻して、去っていった。
ようやく心のシコリが取れたような……そんな気がする。
俺はどうやらとんでもない人を好きになってしまっていたらしい。
結婚前に気づいて良かった……と心の底から思う。
あのまま気付かずにいたら……もっと酷い絶望が俺を襲っていたことだろう。
だからこれで良かったんだ。
ちょうどその時、ラインが届いた。
雫からだ。
──今度二人で一緒に飲まない?
サシ飲みのお誘い。
これは前回は無かったこと。
本当に俺のことを見てくれていた雫のことを……もっと知ってこう。
今はまだ恋じゃなくても、やり直せる機会をくれたんだから。
※ ※ ※
「ちょっと待ってよ! 今になって私を捨てるの!」
「うるせえよ透、だいたい俺たちはカラダだけの関係だったろうが」
狭い部屋にて。
私は出ていこうとする腐れ縁の祐の肩を掴んでいた。
「祐が結婚してくれるって言うから大学も辞めて働くことにしたのに!」
「あーあれな、金なら競馬かパチンコでそのうち倍にして返すわ、そのうちな」
「そんな……」
ヘラヘラと笑いながら言い残して祐は部屋から去っていった。
へにゃりと。
軟体動物のように崩れ落ちる私の体。
……どうしてなの。
あの男にフラれてから、何もかもがうまく行かない。
── お前、そのままだと遠くない将来必ず破滅するぞ
かつての先輩の言葉がリフレイン。
ちょろい男の戯言だと思った。
実際私に貢いでくれる男は山ほどいた。
そんなチョロい男に貢がせて私は暮らせていた。
だけど二十後半になってから急に……誰も私を見てくれなくなった。
「私……どうすればいいのよ」
唯一のアテだった幼馴染にも逃げられて……
私はこの先……どうやって生きていけばいいの?
※ ※ ※
「ねえ、景。本当に私でよかったの?」
「今になって言うかそれ?」
「だって……」
「大丈夫、俺が好きなのは雫だけだよ」
「えへへ……そっか」
ウエディングドレス姿の雫は、言葉を失うくらい綺麗だった。
サークルの連中も今日は何人も来ている前で、俺たちは誓いの口付けを交わした。
参列者の中に、透はいない。
結局あの後も透は懲りずにチョロそうな男を食い漁って……しばらくすると大学に顔を見せなくなった。
その後のことは誰も知らない。
「ねえ、大好きだよ……景」
「俺もだよ、雫」
今度こそ俺は幸せな婚姻を結ぶことができたのだった。
ありがとうございました。
(加筆したので前後の流れが少しおかしくなったかもしれません。)
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他にも色々書いてますが、珍しく短編ではない連載物を書くことにしました。
【彼女には内緒のラブコメ~義姉の友人の彼氏になってから周りの女子たちの様子がおかしいんだが~】
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