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「完」Reした令嬢の私話  作者: さしみのつま
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( 8 )初めてプロポーズされました

ビアンカは、持って来た地図を広げて見せた。



「これは、地方にある土地なのだけど。私の母が嫁入りの時に実家から持参金と一緒に渡された物らしいわ。」


「その土地を、取り引きとして譲るという事か?」


「あげないわよ、その使用権を渡すの。」


「使用権?俺には、必要の無いものだな。」


「待ちなさいってば。話は終わってないの。この土地には、RENOVATIO(若返り)の石があるの!」


「RENOVATIO?昔、魔法薬として売られてたやつか。取れなくなって生産中止になったはずだ。」


「それが、この土地にはあるのよ!」



1年後、その土地で宅地開発をしていたら鉱脈が発見されたと本にはある。それで、大儲けしたのよ。ダンバーグ公爵家じゃないわ、あの強欲執事よ。


いつの間にか、名義が執事に変更されてたらしいけど。絶対、取り戻してやるから。



「それが、俺に何の関係がある?無駄だ、帰ってくれ。」


「この国に、ジェニファーという名の聖女が現れる。そして、政治さえも操るようになるのよ。」


「ジェニファーだって?」


「王の信頼を手にした彼女の気に入らない者は、排除されて行く。「D&P商会」も。でも、RENOVATIOを彼女は必要としているから。どう?」



パトリシアは、笑いだした。そして、ビアンカを抱き締める。



「君は、面白い女の子だな。気に入った、結婚しようか?」


「はあ、結婚ですって?私は、ジュリアーノ王子の婚約者ですけど(知らないのね)」


「どうせ、解消するつもりだろ。」


「えっ!(ドキッー)」


「このまんま、男の記憶で生きてくしかないんだ。君みたいな相手なら、結婚生活もできそうだし。」


「君みたいなって、お断りです!」



ビックリしたー。生まれて初めてのプロポーズだもの。奥田 三沙子の時も、された事ないし。自分からは求婚したけど。


ジェニファーの名前を出した途端に態度を変えるなんて、知り合いなのかしら?



「まあ、いい。考えておいてくれ。それで?」


「あのね、断ったんだけど?」


「そちらの要求は、何だい。お嬢さん?」



まあ、セクシーな流し目。そのボディが丸顔の女の子ってのが、惜しいけど。



「家の恥をお話するんですけど、誰にも言わないでね。実は、その土地を執事が猫ババしてるみたいなのよ。」


「執事が主人の土地を?じゃあ、それだけじゃないだろ。かなり、喰ってるな。」


「でしょう、でしょう。それを暴きたいのもあるのよ。協力してくれるかしら?」


「そういう話に適役が居る。執事に詳しいのを貸してやるよ。土地の使用権利、忘れないですれ。ああ、契約書を書いとくか。」



ゴメスは、抜け目ない。契約書に拇印を押させました。これで、作戦発動ー!







それから、数日かけて屋敷の者たちに魔法をかけて回る。偽物情報の刷り込みです。







待ってた客が、到着。執事は、裏口に待たせて主人に伝えに行った。



「旦那さま、モンバンシヒエウ氏が部下を連れてお見栄になりました。お通ししますか?」


「来たのか、通してくれ。」



平民だが、銀髪の頭を反らし背筋をピンと伸ばした姿は貴族の様子。衣服も高い物では無いが、皺ひとつ無い。隙の無い紳士だった。


召し使いとおぼしき老人は、案内した執事に心付けを手渡す。貴族の暮らしに慣れた者らしい仕草だ。



「どうぞ、宜しくお願いいたします。」



渡された金をポケットへ入れながら、執事は問いかける。ここでは、自分が上位だ。



「主人から滞在されるのは伺っております。何時までの予定でしょうか?(さっさと、帰れよ)」


「はい、用が済み次第に立ちたいと思っております。お世話になります。私の名は、カッサーとお呼び下さい。」



柔らかい物腰。何処かの貴族に仕えていたのだろうと分かる。そして、現在は平民の下か。何か問題でも起こしたかと、執事は小馬鹿にした視線を投げ掛ける。


後で、予想もしない事になるのたが。この時、何も気付いてはいなかったのだ。



「モンバンシェフウさん、お久しぶりですな。好きなだけ、滞在して下さい。歓迎しますよ。」



祖父からの遺産で気ままに旅をしているという男は、ダンバーグ公爵と一緒に過ごした事があり親交が続いているという。


この国へ来たなら、屋敷へ泊まってくれと招待していたのだ。というのは、造り話。ゴメスの考えたストーリー。2人は、ゴメスが送り込んで来た工作員であった。


夕食の席で、お客様はダンバーグ公爵の家族に紹介される。



「私の妻と娘だ。こちらは、モンバンシェフウ氏だ。この屋敷に滞在する事になった。」



ビアンカは、驚いていた。滞在する事はゴメスから聞いていたものの、これほどの美幌(びぼう)とは思っていなかったから。



(わー、イケメン♪素敵、素敵ー!)



イケメンは見るだけでビアンカの栄養剤。心イキイキ、肌はピッカピッカー。顔を輝かせて話かけた次には、期待を裏切られる。



「ビアンカ令嬢、お目にかかれて嬉しいですよ。」



それ、本気で言ってる?眉ひとつ、頬の筋肉も動かさず。水色の瞳は、冷たくてブリザード。雹が降りそう、怖っー!


ビアンカは、後退りする。こういう鉄仮面は、苦手です。



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