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「完」Reした令嬢の私話  作者: さしみのつま
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( 2 ) 身代わり人生はじめます

てー事で、始まりました。ビアンカ・ダンバーグ令嬢の身代わり人生。たった、2年だから大丈夫のはずが。


だけど、32歳から14歳になるって厳しいものがあるわ。でも、成りきるから。



「あの、ちょっとー。」て呼ぼうものなら、侍女がビビる。



「お許しください、お嬢様!」


「私、何も言ってないんだけど。あんた、何かした?」


「あの、子豚ひめさま・・と。皆んなで言ってますから!」


「子豚ーてか?あーん。」



ジロッと見ると、ひれ伏す侍女。私は、笑う。仕方ないかー、子豚だもん。丸々としてて可愛いけど(自画自賛)。


ビアンカてのは、とにかく気に入らないと召し使いを首にしてきた我が儘お嬢様らしい。


で、思い出したわ。父親の公爵の書斎へ飛び込む。パイでかの侍女と抱きあってても、気にしない。



「お父さま、パパちやん。お願いを聞いて!直ぐに、御者のトーマスを戻してよ!」


「トーマスだって?あれは、大事なビアンカを怪我させた責任を取らせたんだ。馬車を暴走させて怪我をさせた。1週間も目を覚まさなくて、父は死ぬほどの苦しみを味わされたのだよ!」


「まー、ごめんなさい。パパちゃん、心配かけたわね(で、早速に浮気かよ)。でも、私が飛ばしてって命令したのう。」


「そうだったとしても、責任が。」


「パパちゃん、私が戻せって言ってるよ。聞こえないのかしら。書斎で何してたかママちゃんにいいつけてもいいの。外では何してもいいけど、家の中までやってたら許さないと思うけどねー(鬼畜!)」


「ビーちゃん、それは辞めて。お願い!」



青ざめるパパっち。こちとら、会社で上役を脅して仕事やらせてきたのよ。どうやったら、従うかを知り尽くしてんの。負けないわよーと。


という事で、首になった御者のトーマスは再雇用になりましたとさ。影の権力者だわ、私って。



「あ、あの、お嬢様。申し訳ありませんでした!」



青い顔をしたトーマスが挨拶に来た。私は、ペコペコする相手に優しい素振り。



「ごーめんなさい、トーマス。ビアンカが走れって言ったから。クラスメートの馬車に負けたくなくて。」



トーマス、硬直。信じられないない物を見たという顔。馬車がひっくり返って頭を打ったから、おかしくなったのかて疑惑の目。


こんな時、慈悲深い令嬢の振る舞いを見せないとね。用意しておいたハンカチセットを渡す。誰かからのお見舞いよーん。



「これ、お詫び。持って帰って奥様に。」


「えっ、女房にですか?」


「お父さまが首になんかしたから、大変だったでしょ。売れば、少しは生活の足しになると思うしいー。」


「生活の足しって。お嬢様は、庶民の生活をご存知で?」


「あー(不味い!)。そ、そーよ。小説にね、書いてあってさあ。寝てる間、読んでたの。で、イワンくんは元気?」


「私の息子の名前を?は、はい、元気ですけど。」



ヤバっー、不思議そな顔された。侍女から聞いたわと誤魔化す。



「ミッション①」

御者のトーマスの息子、イワン。首にされて父親の復讐の為に、ビアンカの評判を落とす役目。



そう、本に書いてあったの。頭の切れる重要な人物よ。私に金色の豚の神さまが託した任務。


「ダンバーグ公爵家の血を絶やさないこと」


絶やさないって、どうすればいいのかな。本に記されてる最後の日から数えて2年と1ヶ月。14歳の少女に残された時間は後ちょっぴり。


短かすぎる、焦るわー。






フランチェスカ・ダンバーグ公爵夫人は、昼食のテーブルで娘に問いかける。



「ねえ、ビアンカちゃん。ハリス伯爵家のお誕生日会は、出れそうなの。お休みする?」



うまーと、フォアグラサンドイッチを頬ばっていた私。「えー?」と言いながら、頭の中の本を開く。


あった、エリーゼ・ハリス伯爵令嬢。クラスメートだわ。誕生日パーティーに招待されてたんだった。



「上流界では、貴女が重症で回復できないなんて酷い噂が流れてるの。出席するでしょ、ね?」



これは、出ないと母から怒られそう。あまり、感情を露にしない人だけど。たまには、父に怒ったらいいのに。浮気男は許したら駄目よ。








そんなんで、療養していたダンバーグ公爵家の姫はお出かけしました。そこは、妖怪がウジャウジャいる場所だったのだ。帰りたいよー。


「まあ、趣味の悪いダダ派手のドレスが居ると思ったら。小豚お姫さまじゃないの!」


「それは、言い過ぎよ。馬車の事故で意識不明だったという話なのに。可哀想な小豚ちゃん。」


「あなただって、言ってるじゃない。そのまま、眠ってれば良かったのに。そうすれば、王子様に相応しい令嬢が選ばれるわ。」


「そうよねえ。王子様が、お可哀想ー。大昔に王家が決めた約束とかで、ダンバーグ公爵家の令嬢は王家の婚約者になるのでしょう。ハッキリ言って、嫌よねえ。」


おい、お前たち。聞こえるように、周囲1メートルの場所で悪口を言うんじゃない。まだ、小娘なのに悪どいぞ!


(こいつら、全部、殴り飛ばしたいっ。病み上がりの娘に嫌がらせってのは、許せないわ。あいつらに、天罰が下りますよーに。ガッデム!)


ムカムカ、怒り脳天を突く。ビアンカは、暴れそうな自分を押さえていた。ここで、問題を起こしたら負けよと。


でも、ちょっとした事件が起こったのです。



「きゃあ、モンスターよ!」



庭園で行われていた貴族の子女の誕生日パーティー。慣れない場所に目を白黒しながら、登場した私。


聞こえた叫び声に戸惑う。何が起こったのか分からない。何かが庭園を走って来るではないの。



『解説・「ザード鼠」種類=モンスター。鼠と同じに食べ物を狙う狂暴な生き物。』



本がご丁寧に頭の中に解説を出してくれてる。でも、それが何だってのよ。腹、立ってんのよ。私は。


羊くらいの大きなザード鼠に少女達は四方八方に逃げ出す。羊は、ザード鼠よりは可愛い。こんなに、醜くないのだ。


ビアンカ・ダンバーグ令嬢は、動かない。



「鼠じゃない、大したことないのに。」



ボソッと言ったけど、誰も聞いてない。鼠さんはパーティーのお菓子が目当て。でも、逃げ回る娘たちも面白そう。


ザード鼠は、丸っころい少女を見つけて標的にする事に決めたのだ。いざ、突進。楽しいー♪



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