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我が家の神話生物  作者: 矮小なる人類であれ
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人類の独立のために

「諸君! 先日の事案をよくぞ生き残ってくれた! 今までとは違い、星の位置も何もかもが関係しないルルイエの浮上とクトゥルフの消失。多数の神性存在や神話生物、狂信者による襲撃! 何もかもが我々の予想の範疇を超えていた!」


 とある施設の大広間にて、男が声を張り上げる。


「事案により5000を超える我々の仲間が命を落とした! 我々は彼らの意思を継ぎ、確実に人類の独立を成し遂げなければならない! 我々は何度も神話生物との戦いに敗北してきた! しかし、先日の事案では殆どのエリアで勝利を収めた! 我々は奴等をぶちのめすことが出来るのだ!!」


 男の声が熱を帯び、それに比例。否、二乗する勢いでその演説を聞いている者達の目にもやる気がわいてくる。彼らの目は一様に使命に燃えていた。


「人類は、我々は決して神々に、神話の者達に屈してはならないのだ! 16年前から続く異常現象! その原因を我々は遂に突き止めたのだ! 原因は恐らくだがとある少年である!」


 モニターに少年の顔が映し出される。それを見た者達はざわめき始める。


「そう、14年前に邪神と相対し。たった二人で刺し違えた英雄である、彼女らの息子だ! 我々は彼女たちの遺言を守ってきた……守ってきていたつもりであった! しかし、我々は守れてすらいなかったのだ!」


 先程にもまして彼らの目に映る炎が強く明るくなってゆく。空騎士の物が震えるかのような熱気が辺りを包み込む。


「我々はもう奴らに怯えているだけの弱小なる存在ではない!! そう! 我々の手で! 人類を! 英雄の息子を! 守り抜くのだ!! 我々の手で!! 奴等を叩きつぶすのだ!! 3日後の深夜にルルイエを破壊する! それと同時に後に一般人の記憶を消去することを前提とした宗教団体の殲滅を行う! 諸君クソッタレのクソ共に目にもの見せてやれ!!」


「「「「ウオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」


 男も女も、雄叫びを上げる。彼らは思った、これは勝利絵の第一歩であると。彼らは思った、奴らを地球から、銀河から叩き出してやると。



 彼女(黒きファラオ)は思った、こいつらは滅すべき敵だと。





「なぁ……君のご両親はどんな人だったんだい?」


 菫が俺に聞いてくる。終業式なので早く訪れた放課後の教室にて、俺は少々遠い目をしながら答える。


「”英雄”だってさ。2歳の頃に、職場の人が言ってたんだ」

「”英雄”ねぇ……ごめん、こんなこと聞いて」

「いや、気にすんな」


 もう一ヶ月もしないうちにお盆だ。お父さんの好きだった柿の種とお母さんが好きだったMAXコーヒーを持って行かないと。大人になったら、二人が買ってた俺が生まれた年のワインを一緒に飲もうか……いつまでも、俺は二人に会いに行く。そう心に決め、俺達は家路についた。
















ようこそ職員様、情報を表示いたします。




事案コード:0632


 事案コード:0632(以後事案)は20██年7月██日午前2時32分に発生したルルイエ浮上及びそれと呼応するように行われた宗教組織又は神話生物による各地エリアの襲撃の総称とされます。

 これにより4つの支部エリアの壊滅と5000人を超える職員の死亡という被害を我々は被りました。しかし、残り500を超える支部エリアでは勝利を収めました。


事案年表


2:32分 ルルイエ浮上


2:42分 全国で同時多発的な襲撃が発生


2:43分 日本第1支部全職員の反応のみが消失


2:45分 ロシア第5支部からの連絡が途絶える


2:48分 中国第2支部からの壊滅の報告を最後に連絡が途絶える


2:50分 パキスタン支部に収容されていた神話生物が脱走したとの報告。反応が消滅する


3:12分 本部での戦闘が終了


3:51分 全ての戦闘が終了


翌日15:22分 日本第1支部を確保、生存者ゼロ


17:04分 ロシア第5支部を確保、ミ=ゴ32体を撃破。生存者4人


18:54分 パキスタン支部が完全に消滅していることが確認される、生存者ゼロ


21:54分 中国第2支部の確保に失敗。特殊部隊3個大隊が全滅


23:43分 中国第2支部を確保、生存者14人



追記1:日本第1支部には複数の神話生物が収容されていましたが、それらは全て植物状態になって発見されました



 パキスタン支部には数百体の神話生物が収容されていました、早急に再収用又は駆除しなければ罪のない者達が多く死亡してしまうでしょう―日本第3支部管理官
















日本第1支部で発見された手記:不味い、奴は女なんかじゃない! 俺は見てしまったからい正気じゃなくなっているかもしれないしそうなのかもしれない。でも奴は女なんかじゃない! 奴は神話生物なんていうちゃちな者でもない! ああくそ俺はあんな奴がいるなんて知らなかったし知ってもいなかったし知らされてもなかったんだよ! 畜生! 奴が来る! アイツは俺から逃げないように神話生物を放ったが全員正気を失って倒れちまったんだ! いや、そんな! ちくしょうクソッたれ! 窓に! 窓に!

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