プロローグ
住宅街にある一軒家、そこでは悲惨な光景が広がっていた。
スーツを着用している男性は、その腕にエプロンを着ている女性を守るように抱き締めているが、両者の胸には荒々しく引き裂かれた傷があった。
そして、男女の胸を引き裂いた黒いナニカは、その手に血を滴らせつつ部屋の隅に静かに佇んでいた。
「と、父……さん、母さん?どう……して!!」
そして、彼らの息子である■■■■が、リビングにて父親と母親が胸を裂かれて倒れている所を見つけ、駆けつける。
その様子を見ていたナニカは、部屋の隅から■■■■に近づいて行き……。
『頂きます』
そう言った後、■■■■の首元に血濡れた手を突き刺したーー。
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「ーー……っぁ、夢か……」
また、あの時のことが夢に出て来てしまったせいで、目が覚めて喉が渇いていた。その為、何か飲もうと思って馴染み深いベッドから立ち上ろうとする。
しかし、そのタイミングで部屋に入ってきた白い少女が喋り掛けてきた。
「あ、起きてた。朱君おはよー」
「……ん。白ちゃんおはよう」
僕が『白ちゃん』と呼んでいる少女は微笑みながら、ベッドの傍に置いてあった椅子に座る。そして、此方の姿を一瞥すると、途端に不安気な表情になり……
「また、悪い夢を見たの?」
「……やっぱり、分かっちゃう?」
「私は朱君の事はなんでも分かるからねー。……あはっ♪不安なら私が抱き締めて上げようか?」
まるで、面白いことを思い付いたばかりの子供のように無邪気な笑みを浮かべ、此方に腕を広げて抱き着いて来る白ちゃん。
「はぁ……白ちゃんと一緒にいると、落ち込んでいたことも馬鹿らしく思えてくるよ。ありがとう」
「キヒヒっ♪どういたしまして!」
「うん。でも、抱き着いて来るのは辞めて欲しいかな」
「えーっ、やだ♪」
更に抱き締めて来ようとする白ちゃんを何とか抑え、いつものように他愛のない会話を続けていた。
だが、暫くすると部屋のテレビが突然点滅し、
『コードネーム:朱。
エリア14にて獣型の黄の下級が十七体確認された。至急、白狂と共に現場に向かい、事態を鎮静せよ』
と書かれた文字が映し出された。
それを見た僕達は喋りながらベッドから降りて、黄の下級が確認されたエリア14まで向かうのだった。
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エリア14に到着した僕らは、黄の下級達ーー神話に出てくるような八つの目がある巨体の狼ーーを既に倒し終わっていた。
そして、巨体の狼の亡骸に腰を下ろして、ふと満月が輝く夜空を眺めながら考える。
(どうして、こんな事をしているんだろうな)
ーーーーーーーー今でも、鮮明に思い出すことが出来る。自分が見ていた世界が変わり、こんな事をしているきっかけとなったあの日の事を。
読んで下さりありがとうございます。
初めての執筆なのですが、それなりに出来たでしょうか?
もし良ければ、「ここがよかった!」「ここ直した方が良いんじゃないかな?」などの感想をお願い致します。
誤字や脱字がある場合、作者に教えて下さると、大変喜んで修正しに行きますので、お願い致します。