気づいたら、転生してた!?
「行ってきまーす」
俺の名は神薙 秀弥。
少しマイペースだが、ごくごく普通の高校生活を送っていた。
しかし、過去形である。
目の前に暴走タクシーが映る。
うわぁー、よくある光景。
こういうのを見ると、そのまま誰か轢くんじゃないかと思ってしまう。
——キキィッドン!
ほら轢いた。
・・・あれ?・・・痛い。
めっちゃ痛い。
あーそっか、目の前に暴走タクシーがいる時点で気づけよ俺。
轢かれたの俺じゃん・・・。
いつもこうだ、何事もワンテンポ遅い。
*
「人の子よ、起きなさい」
すみません、あと5分寝かせてください。
「・・・って、え?」
人の子?ってか命令形?
その瞬間意識が覚醒した。
見渡す限りの白い世界。
と、目の前の女性のシルエット。
「目覚めましたか、人の子よ」
「あ、はい、目覚めました」
誰?ってか、どこ?
なんか、目覚めましたとか言っちゃったよ。
「ここは死後の世界と転生の世界の狭間。理解しにくければ、転生準備の間とでも考えなさい」
「あ、はい・・・って俺死んだんですか?」
「ええ、死にました。即死でしたよ、タクシーで」
タクシーで即死って・・・俺よえー。
いや、最近の医療なら確実に死ななかっただろうけど、搬送前に死ぬとか有り得ねえ。
「か弱き魂よ・・・」
「か弱き、あ、はい」
「あなたは抽選で選ばれました。もう一度人生やり直してみませんか?」
「・・・有名な小説のセリフですよね、それ」
「・・・・・・」
え、何その無言。
言っちゃ不味かった?
「えっと、人生のやり直しって、生き返れるってことですか?」
「それは無理です」
いや、即答!
しかも無理って・・・。
「あなたには転生のチャンスを与えます」
「あ、そっち」
異世界あるあるですか。
轢かれたからその線もありだな。
「ちなみに、俺勇者とか、悪役令嬢とか無理ですよ?」
「あなたにそのような力や立場は求めていません」
「あ、そうですか」
意外と毒舌だなこの人。
「転生は選択式です。前世の反省点を見て、自分の役職、能力を選びなさい」
「あ、はい」
選択式って最近多いなぁ。
誰か勝手に決めてくれればいいのに・・・。
「ありますよ、自動選択モード」
あるんだぁ・・・あれ?今俺声に出してた?
「私はいわゆる神に該当するものです。人の心を読むなど、会話するのに等しい」
神あるあるだな。
「それでは、選択モードに移行します」
いや、いきなり、ちょっと待っ——!