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序章2

男性は女性に部屋を出るように言いつけると開け放されたドアをくぐって、部屋の中へと入ってきた。


そういや、この人、殿下と呼ばれてなかったか?

それを思い出して、あたしは血の気がひく思いをした。まずい、もし、不法侵入とかになったら警察に通報される。あたしはそれだけは勘弁したいと思い、近づいてきた男性にベッドに座った状態で謝り倒した。

「…あ、あの。なんか、ごめんなさい。あたし、このまま出て行きますので。警察には通報しないでください!」

目線は足下を見ながら、頭を下げた。

足下には磨き抜かれた革製のブーツが見えていて、黒い色のズボンを合わせてはいているようだ。

「…けいさつ?あいにくだが、私は知らないな。それより、そなた。いつまで、裸でいるつもりだ」

改めて、指摘されて、あたしは下げていた頭を上げた。男性を見ると、綺麗な紅色の瞳があたしをまっすぐに見ていた。 目の前の男性は先ほどの女性と同じ、いやそれ以上の美形だった。

白銀のつやつやとした短い髪にルビーのような紅い瞳。そして、白い肌に整った顔立ち。

体格もバランスが整った感じでしばし、見とれてしまった。

「…とりあえず、服を着ろ。風邪をひく」

短く言われて、あたしはシーツをあげるのを忘れていた。

上半身が露わになっていて、悲鳴をあげながら、気を失った。



あたしが目を覚ますと、そこは相変わらず豪華なベッドの上のはずだった。

辺りは真っ白な何もない空間でまるで、水の中にいるようだ。だが、息はできる。自分の体を見下ろすと裸ではなく、だぶだぶのワイシャツに同じく、丈が合っていない黒のズボンをはいていた。

ワイシャツはボタンをきちんと全部留めてあって、襟元もそろえられている。それに、訳がわからなくなりかけていると、凜とした高い声が耳に届いた。

『…春奈ちゃん。目がさめたかしら?』

「いきなり、ちゃん付けするとは。あなたは誰?」

間髪入れずにつっこみをすると、声の主はくすりと笑った。

『あら、私はこの国の守護神よ。名をカティス。カルーシェ王国とこの国は呼ばれているわ。私はこの世界の創造神の娘なの』

いろいろと不可思議な言葉を連発されて、よけいに頭が混乱する。カティスって何だ?

すると、霧が晴れるように白かった空間から、一人の人物が現れた。そこにいたのは黒い艶やかなウェーブのついた髪に琥珀色の透明感のある瞳が印象的な美女であった。

髪は膝丈まであり、服装はいかにも神様が着るような白の肩を露わにしたワンピース状のものだった。

「…あなたがカティス様?」

すると、美女はにこやかに笑った。

紅い薔薇が咲いたような感じであたしは先ほどの殿下よりも見とれてしまう。

『そうよ。はじめまして、春奈ちゃん。私の世界へようこそ』

カティス様はあたしに近づいて、そっと、抱きしめてきた。


「…ごめんなさいね。私の勝手であなたを呼び寄せてしまって。あなたの世界の神とは友達でね、カルーシェの王子であるあの子の願いを叶えてあげようと思ったからなんだけど。その代わり、春奈ちゃんには役目をあげる。カルーシェはね、今、国が存亡の危機に瀕している」

説明が下手でごめんねとまた、謝られた。カティス様はあたしを放すと、真剣な顔つきになる。

「カルーシェ国には昔から、月玉という宝があったの。それは月の女神が初代の国王に建国の際に授けたものでね。対になるように太陽の剣が創造神からも授けられた。二つの神器によって、この国は守られていたの。けど、月玉を守る巫女がその、人の男と恋仲になってしまって。彼女がやめてしまったから、巫女がいないのよね」

まったくといいながら、カティス様は眉をしかめた。

「…じゃあ、あたしに何をしろと?」

おそるおそる尋ねてみるとカティス様は頷いて、こう答えた。

「月玉の力によって、カルーシェは守られていたの。巫女は国に張り巡らされた結界の守り手だから。けど、それの加護は失われてしまった。今、魔物が国に現れるようになったわ。だから、春奈ちゃん。あなたには巫女となって、結界の修復と魔物の退治をお願いしたいのよ」

あたしはあまりのことに開いた口が塞がらなかった。巫女になれって。なれるわけないだろ!

とはいえず、あたしは頷くしかなかった。

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