88 ここは何処
前話までの話:なんやかんや異世界転移した主人公はなんやかんや旅をして仲間を増やし、雪山の洞窟に入ったら迷宮遺跡だった。攻略したら迷宮遺跡が自爆しそうになったので転移魔法で逃げました。
88話目です。新年あけましておめでとうございまぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!??? ちょっ、やめてっ!? 新年早々に石を投げつけるのはやめてっ!?
ええ、わかってます。前回投稿から約半年経ちました。本当にすみません。ぶっちゃけ、ずっと書いてなくて主人公の名前すら忘れました。思い出した、主人公の名前は田中ですね?! はい。でも、物語の展開は憶えていましたので大丈夫です! えっと、確かダンジョンクリアをしたので次は魔人の国でしたよね。ええ、もうそりゃバッチリ書いてきて―――――
予告ブレイカー君 「フハハハハハ!! 我、参上ぅぅぅぅぅぅ!!(飛び蹴りをかましながら)」
(背中への突然の飛び蹴り及びプロットから完全に逸れたものを書いてしまったことへの驚きを籠めて)ぎゃああああああああああああああああ!?!?!?!?
エルベール山に半ば隠される形で存在していた迷宮遺跡での最終層、マザーコンピューターの入ったダンジョンのコア。ソイツの起こしたダンジョンごとの自壊によって俺たちは生き埋めに・・・なる前に何とか転移魔法陣を見つけ出して脱出することに成功した。したのだが・・・
「いやぁ、どこだろ。ここ」
「どこでしょうねぇ、ここ」
魔法陣によって転移した先は真っ暗な洞穴だった。足元はごつごつとした岩。そして膝元まで水に浸かっている。淡水ではない。この香る磯の匂いと繰り返す波の音から海だと考えられる
「ん?というかさ、水かさ増してない?」
「増し...てますね。しかも結構なスピードで」
「ちょっとヤバくない?」
「ちょっとヤバイですね」
一瞬の沈黙。俺とミカヅキはアイコンタクトをとる。互いの心は通じた。よし、さっさと逃げよう!と
「しかしこれ、どっちに行けば出口なのかわからないな...。たしか、こういうときは...」
俺は右手の人差し指だけを足元の海水で濡らし、その指を空中で立てる。指先に微かに感じる、風の冷たさ
「右かっ!」
「マスター左です!!」
【情報収集】で地形を調べたらしいミカヅキが真反対に向かおうとしていた俺を止める。別に自信満々に逆方向に進もうとしていたとか、恥ずかしくないし
ミカヅキに導かれながら洞穴を進んでいく。幾度か道を曲がると出口らしき光が見えてきた。既に腰まで海水に浸かってしまっているので少しばかり歩きにくい。ザバザバと海水を掻き分けて急ぎがちに進みついに洞穴から出ることができた
一気に開けた視界に飛び込んできた日差しが眩しくて思わず目を細める。少しすると光に目が慣れてきたため、周囲の景色を確認することができた。目の前に広がるのはやはり海。今俺たちがいる場所は岩場だが、少し遠くに砂浜が広がっている
いやしかし、海か・・・。俺たちが入ったダンジョンの入り口は雪山の洞穴だったはずなのだが。まさか山から海へ飛ばされるとは思わなかった。エルベール山近辺に海は無かったはずだし、話にも聞いたことは無いな。と、いうことはだ・・・俺たち相当遠くまで飛ばされたんじゃ・・・
「あの、マスター。さっきからずっと気になっていたのですが、その腕に抱えている明らかにダンジョンのコアっぽいものってやっぱり・・・」
「ん?ああ、お察しの通りダンジョンのコアことマザーコンピューターだ」
「ああ、やっぱり持ってきたんですね」
ミカヅキが"だろうな"というような顔をする。すると、今までだんまりだったマザーコンピューターが喋りだした
『攻略者、何故ワタシを連れてきたのです。本来であればワタシはあの迷宮遺跡と共に沈むはずでしたのに』
「ほら、お前言ってたじゃん。攻略者である俺たちに贈れるモノなんて無いけどって」
『ええ、言いました』
「だからお前を貰うことにした」
『何を言っているのかよくわからないのですが』
「マスター、そこだけ切り取るとちょっとプロポーズみたいですね」
ミカヅキやかましい。そしてなぜそんなに期待するような目で俺を見る。いや言わないからな!?
「まぁあれだ。捨てる神あれば拾う神ありってやつだな。ここで拾っておいた方が面白そうだなって思っただけだ」
『よくわかりませんが、そういうことにしておきましょう』
「てことでよろしくな、マザーコンピューター。・・・"マザーコンピューター"って長いな。マーコでいい?」
『なんでもいいですよ』
てってれー。マーコが仲間になった!!
さて、マーコの方はなんとかなったので、次の問題にして、現在起きている最重要問題。ここはどこだろう、だ。海が見えてるし、まさかまた原初の島だったり・・・いやでも、あの島にいた変な生物は見かけないし、直感的に感じるここはヤバイっていうのも無いからその線はないかな
「あ、マスターあっちにいるの、人じゃないですか?」
俺たちが今歩いている浜辺、その先遠くに二人の人の姿が見える。よっし、あの人たちから情報を引き出そう!俺たちが浜辺で何かしらの作業をしている二人のおじさんたちのところへ駆けだそうとしたその時だった
—————————ピロンポロンパロン。ピロンポロンパロン
俺の手袋からそんなちょっと抜けたような音が流れてきた。あれ?女神さまからの着信?まだ前回の定期報告からそんなに時間は経っていないはずだが・・・。あ、もしかするとまた新人神様かな?とりあえず出てみるか
——————ピッ!
「あ、もしもしシン君?」
あれ?女神様だった
「どうしたんですか?定期報告にはまだ早いような気がするんですけれど・・・・?」
「ああ、うん。今回は定期報告じゃないの。なんとね!なんと・・・!!」
もったいぶるなこの女神様。すっごい溜めてるんだけれど。声に乗っている感情からして悪いニュースではないっぽいけれど
「なんと!!私!!休暇を貰えることになりましたー!!」
「お、おー!おめでとうございますー!」
まさかの休暇を貰えたという報告だった。え、それ俺に報告するものなの!?どう返したらいいのか
わからなかったよ!?
「なんかよくわからないけどね、後輩君が仕事に慣れてきていろいろ周りも落ち着いたみたいだから、私に休暇が与えられたのよ!!」
「そ、それはよかったですね」
あまりにも感情が入りすぎて手袋越しでの通話でさえ思わず一歩後ずさるような迫力だ。そんなに休暇って嬉しいものなのか?うーん、俺はバイトもしたことなかったからそこらへんがよくわからないな
「あ、それでね!この休暇中、シン君のところに遊びに行こうと思ってるから!」
・・・はい?今何と?
「え、え!?女神様こっちくるんですか!?」
「うん。そっち行こうと思ってる」
「いやいやいや、もっと他に行くところあるんじゃないですか!?天界とかの方が綺麗じゃないですか」
この世界なんて、血と汗と涙とモンスターみたいなところだぞ!?どこにあるんだよ観光名所とか!!迷宮遺跡か!?・・・やっぱ血と汗と涙とモンスターじゃねぇか!!
「確かに天界の方が綺麗っちゃ綺麗なんだけどね?もう行きつくしたっていうか?たまには天界じゃなくて地上にも行ってみようかなぁなんて思ってね。それともシン君は私が来たら迷惑かな・・・?」
ぐっ、なんだその卑怯な言い方は!!拒否するにしても拒否しずらいじゃないか!!俺はそんな人にズバズバものを言えるような人間じゃないんだぞ!!
「い、いえ、迷惑ってことはないですけれど、この世界、血生臭い世界ですよ?」
「ま、それはそれで一興ってことよ」
完全に来る気満々だなこの女神様!!まあ、本人がここまで言うのだから仕方がない
「わかりました。じゃあ、こっちに来るときは何か一声かけてくださいね」
「わかったわ。じゃあシン君また――――――ん?どうしたの後輩君?え!?転送ボタンを押し間違えた!?何を押したのよ!?時間設定?む、むー・・・。時間なら因果律の操作、いけるかしら・・・・。まあ、できなきゃ時空間のズレが起きて平行世界のいくつかが消滅しそうだしやるしかないんだけどさ・・・。あ、ごめんねシン君。じゃあ、また!」
・・・大丈夫だろうかあの人。女神さまには無事に休暇がやってくるのだろうか!?そして世界消滅の危機は如何に・・・!?
はい、ということで何処へ行った魔人の国。まさか予告ブレイカー君のせいで違うとんでもないことになった・・・。しかし、海、そして女神様、か。これは、水着回・・・? 僕らの世界の今の時期は冬なんで海とか水着とか凍え死にますけどね。さてどうなるかは僕にもわからない!!
次回、野生動物は手ごわい
明日も昼頃に投稿します!




