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83 ハードトレーニング   

83話目です。いや、あの、本当すみません、『投稿が月曜になってしまった』すらも通り過ぎてしまって。

 特に何かあったわけでもなく、僕のやる気がタワー・〇ブ・テラーして上に上がってこないんです。作品の途中放棄はしないと思いますが、次投稿2週間後までは僕はまだ生存中と思っていただきたく思います・・・・・・


 自動であいた扉の先は階段ではなく広々とした空間が広がっていた。どうやらボス部屋みたいだな。部屋の中央にはこのフロアで何度も見た人型機械のようなものが立ちすくんでいた。あれが、今回のボスか・・・?


 俺たちはどこから何が飛んできてもいいように警戒をしながらボス部屋へと一歩を踏み入れる。中央のアイツが向かってくるのか、上から弾丸の雨か、下から針地獄か、扉に挟まれるか。しかし、一歩を踏み入れたところで何も起こらなかった。魔眼の【未来視】も発動させているが数秒先の未来でも何かが起こることは無いようだ

 

 ダンジョンがここにきてようやく"自重する"ということを覚えたのだろうか。だとしたら遅すぎるんじゃないか・・・?


 ともかく、中央でいまだ動かないあの人型機械に近づかなければ始まらないらしい。俺たちは慎重に近づいていく。


 人型機械との距離は10メートルを切った。しかし動かない。どんどん歩を進め近づいていく。だが動かない。残り5メートルほど。この距離まで来ると初動から攻撃が当たるまでのタイムラグがほとんどなくなる


 とその時、俯いていた人型機械の顔がガバッと上がる。目の前でいきなり顔だけが上がったものだから警戒はしていたものの少し驚いた


「ヤァ!俺は訓練用人型機械オートマタのジョナサンさ!マイケルって呼んでくれ!よろしくぅ!!」


 目の前で動き出した訓練用オートマタを名乗る機械はハキハキとした口調でそう名乗った。あまりの勢いにマイケルの方についてツッコむのを忘れてしまった


 とりあえずこのテンション高そうなオートマタから数メートル離れて警戒態勢をしく


「返事はどうした貴様らァァァァァァァァァ!!!!!!」


 突然キレたオートマタのジョナサンが10メートル近くあった俺との距離を瞬時に詰めて拳の一撃を繰り出してきた。顔面を傾けてその一撃は避けたものの、拳から10センチほど離れた俺の頬に風圧がかかったのだから直撃した時の威力は相当なものだと推測できる


 というかなんだアイツ。元気に挨拶したかと思ったらいきなりキレてかかってくるなんて。情緒不安定すぎるだろ


「今のオレの攻撃を避けるとは、貴様やるな。だが・・・今の拳は罰だ!罰を避けるとは貴様何事かぁッ!!」


 いやそんなの知らないし。勝手に罰せられても困るんだけど。あと今の時代ね、罰を受けさせることを強要するっていうのと、そういう暴力とかパワーハラスメントにあたるのは———————


「よしわかった。このジョナサ・・・マイケルによる特別訓練だ!難易度は激鬼だ!安心しろ、死んだら埋葬くらいはしてやらんでもない!!」


 あ、自分でジョナサンっていいかけたぞコイツ。あとなんか訓練難易度を勝手に激鬼にされたみたいなんだけど。埋葬してやらんでもないってことは埋葬するとは言っていないってことだよな。こんなジョナサンだかマイケルだか、略してジョナケルでいいや。ジョナケルに埋葬されたくもない


「さァ!訓練開始だ死ね!」


 ジョナケルは拳を引き絞り、もう一度俺の顔面に目がけて撃つ。またしても相当な拳速だが、構えの段階が見えていたので今度は一度距離を取る。大ぶりの攻撃をしたのならそこにほんの少しでも隙が生まれる。右の拳を大きく突き出す体勢となったジョナケルの右側は空間ができている。俺はそこに入り込むようにジョナケルに接近する


 普段より威力の上がっている【身体能力強化】のおかげもあって、踏み込み一歩で10メートル近くあった距離を一瞬のうちに移動した


 【半影喰】を作り出し、スピードに乗ったままがら空きの胴体へと一閃斬り込む構えへと入ったその時


「甘いッ!!」


 ジョナケルの短い一言と共に突き出したままの右腕の前腕部が展開。その内部に見えたものは無数の穴。そこから繰り出されるのは————————


 散弾かっ!!


 作り出していた半影喰を変形させ、俺を覆うように防御膜を展開する。そのまま本来攻撃に利用するはずだった速度を用いてスライディング。ジョナケルの拳の下を抜けて、反対側へと退避する


「これを対処するとは、貴様なかなかやるなッ!!」


 まさか飛び道具を使用してくるとは。何かを装備している様子は無かったから、無手での近接戦闘をしてくる奴だと思っていたが・・・。敵の装備が見た目だけと思うな。あらゆる可能性を想定して戦えってことか?これは確かにハードな特訓だ。なんせ一歩ミスったら死ぬような攻撃ばかりだ 


「大丈夫ですかマスター?」


「ああ、ちょっと驚いたけどな。アイツ、言動がそこはかとなくウザい上に思いのほか強いからさらにウザいぞ」


「そのようですね」


 ミカヅキとジョナケルのウザさを確認しつつ攻勢に出るか前に入る


「二人いっぺんにかかってきなッ!!」


 では遠慮なくそうさせてもらおう


 先行して俺が加速して突っ込む。真っすぐに向かい、やつの目の前で左へと逸れる。そして脇腹へ向けての回し蹴り


 入ったかと思ったが、ジョナケルは俺の蹴りを腕で防いでいた。よく今のが捉えきれたなと思ったが、そういえばコイツはオートマタだったから、眼球から伝達した情報が脳に行って判断を下して体を動かすということが普通の人間よりも滅茶苦茶早いのかもしれない


「こんなんじゃオレに一撃は与えられないぜッ」


 確かに蹴りが入らなかったわけではあるが、それで吹き飛ばせないということはない。脚と腹部により力を込めて、腰を思い切り捻る


「うおッ!?」


 ジョナケルを蹴り飛ばした。その先には【月見酒】を構えたミカヅキが走り込んでいる。吹き飛びながらそれを見据えたジョナケルは空中で体を上下反転、両手で床に触れる。すると、ミカヅキとジョナケルの間に天井から床まで長い棒が出現した


 その棒を掴んだジョナケルは棒を支点として180度回転。繰り出されたミカヅキの斬撃はジョナケルを捉えることはできず、代わりに縦一直線に伸びた棒を切断した。ジョナケルはその棒を捻じ切って手に収める


「次はこちらからいくぞッ!」


 脇に抱えた棒を思い切り後ろへと引っ込め、後方にいたミカヅキを牽制。そのまま一回転し、俺が安易に接近できないようにする。回転を止めたジョナケルはミカヅキへと強襲。横薙ぎを繰り出す


「っ!」


 それを避けようとしたミカヅキだったが、後方に下がれない。足元を見れば行動を制限するためにだろう、地面と両足が氷で繋がれていた


「足元を疎かにするのはいかんなァ!!」


 風切り音を鳴らしながら棒が横に薙がれる。ミカヅキはそれを背中を反らして回避。足元に爆炎を起こし氷を溶かし、炎を纏ったままの足でジョナケルをしたから上へ蹴り上げる。今度は逆転、ミカヅキが炎の蹴りで攻め立てる


「炎が使えるのか!いい意外性だッ!だが機械に打撃と炎は効きずらいぞ?」

 

「褒められても嬉しくないですね」


 攻めるミカヅキとそれを流し、躱しで対処するジョナケル。で、俺はそれを背後から襲うということで


 後頭部までモニターが付いているのか、それとも音や熱を探知する機能でもあるのか回避行動を行いつつ俺の接近を確認したジョナケルは手にしていた棒を俺に向かって振るう。それを半影喰で切断、そのまま首を狙うが避けられる


 しかしその隙を突いてミカヅキの蹴りが入った。傾いた体に次いで俺が掌底を打ち込む。ギリギリで掌を入れられて腹部に直接打ち込むことはできなかったが、人間で謂えば"折った"に近いような感触を得た。吹き飛んだジョナケルの体勢が完全に整いきる前にもう一度攻める


 先ほどと同じように吹き飛んだジョナケルは床を次々と触り、駆ける俺との間にいくつもの棒を出現させる。前方を邪魔するように乱立する棒をきる・・・のは手間がかかるか。【影】を広く展開、邪魔する棒を全て喰った


「なッ!?」


 このことは予想できなかったのか、ジョナケルが驚愕の声を上げる。おかげで体勢を直すのが遅れる。このタイミングを突く


「【影鎚】!」


 打撃面の直径が成人男性並みにあるジョナケルを超すほどの大きさの【影】でできた鎚を撃ちだす。豪速で迫る鎚は例えるならスピードの出たトラックか。視認出来ていても体勢が万全でない状態なら回避するのは難しいだろう


 影鎚はジョナケルを捉え、奥の壁へと威力を持って追突する


「なるほど、これはなかなかッ!」


 即死しても問題ないくらいの威力は持っていたはずなんだけどな・・・。よほど耐久面にも優れているのかジョナケルは今の攻撃を耐えきっていた。しかしさすがに無傷とはいかなかったようで、右脚はおかしな方向に曲がり、腕は折れたところがさらに悪化していた


「ホントにしぶといな!」


 だがその状態ではまともに戦闘などできないだろう。そろそろ決めさせてもらおう


 壁にもたれるように立つジョナケルへと距離を詰める。距離が15メートルを切った時、ジョナケルがもたれていた壁に触れる。瞬間、俺の目の前の床が発光

 

 ちっ、爆破か!


 【影】を足元から覆うように展開、それとほぼ同時に床が爆発。煙が立ち込め、一瞬視界が遮られる。煙を突破したその先、ジョナケルは潰れた自らの右足を切り離し、壁から取り出した新しい右足を取り付けていた


「ここはボスオレの部屋だ。予備くらいはあるッ!」


 時間さえあれば回復も可能ってことか。まあそれは時間があればの話。あの一瞬の時間稼ぎではパーツを一つ取り替えるので精いっぱいのようだ。いや、あの一瞬でパーツを取り換えられるのもすごいとは思うけど


 移動能力は確保されたわけだが構わない、おれはそのまま距離を詰め刀を振るう。それをジョナケルは折れた左手の腕を動かして刀との軌道上におく。左を潰してでも直撃の軌道を逸らそうということか


 だが残念。半影喰は【影】でできている。実体化の解除など容易にできる


 左腕を透過し、胴体を切り裂く。後ろに下がられたため切断はできなかったが切り裂いた部分がショートし火花が出る。そこへ形状を刀から【影槍】へと変化させた半影喰を間髪入れずに突きさし、ジョナケルの胴体を貫通して床に突き刺さる


「オレにここまでのダメージを与えたのは褒めてやろう!だがオレは機械。コアを破壊されない限り活動し続け———————!?」


 槍が貫通した場所にコアは無かったらしい。ジョナケルが槍の柄の部分を掴み無理やり自分の体を槍から引き抜こうとする。が、体勢を変える為に動かそうとしたその脚は氷漬けにされて地面と繋がっていた


「それなら、一気に壊してしまった方がいいですよね」


「貴様、炎だけでなく氷までッ!!」


 ミカヅキの放出する魔力量が増加し、ジョナケルの脚を胴を腕を次々と氷が呑み込んでいく。首まで氷に呑まれたジョナケルは顔を動かし不意に俺たちを見据えた


「合格だ。これにて訓練を、修了する」


 そしてジョナケルは氷の中に閉じ込められた


 なんだこの"師弟対決のラストシーン"での師匠のセリフみたいなものは!ジョナケルとは師弟関係でもなんでもないけれど、こう胸にじんと熱い感情が———————


「えいっ」


 ミカヅキが勢いよく振るった刀の一撃と共に、"ぱりーん"という氷が割れる心地のいい音が響く


「これでこの階層のボス戦も突破ですね」


「おう、そうだな」


 まあ、熱い感情なんてまったく生まれなかったがな。熱かったのはジョナケルの言動だけだ。冷却用のファンとかもっと搭載しておけよ


「じゃあ、次の階層に向かうか!」



はい、ということで爽やかさは死んでました。あれおかしいな・・・当初の予定では爽やかイケメンのオートマタが熱く戦闘指導みたいなことをしながら戦う、みたいなかんじにするつもりだったのですが、何故『熱い』しか登場しなかったんんだ・・・・・・。まさかいま旅行中だとかいう予告ブレイカー君の影響がここにまで届いたというのかッ!?


次回、ドーンってなって大惨事 (←ネタバレ回避しようとしたら予告の方が大惨事・・・・・・)

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