81 トラップ道を潜り抜ける
81話目です。今回は日曜に投稿できました。ギリギリだとしても日曜です!
さて、地下2階層の入り口に設置された初見殺しの即死級トラップの突破をしなければ進めないのだが、これ、初見じゃなくても普通死ぬよな・・・。一応、扉から体を出さなければ攻撃はされないっぽいし、今は扉は閉め切っているので攻撃はされないが、どうしたものか・・・
「マスター、あの方法を使ってみてはどうですか?」
「あの方法?」
「はい。【エイルムの塔】で魚が降ってくる階層があったじゃないですか?その時みたいに、【影】で私たちを囲いながら進むんです」
ああ!そういえばあったなそんなステージ。あの時は橋があったからそこを【影】でドーム状にして天井を作って降ってくる魚を凌いだんだったっけ
でも今回は天井みたいにしてしまうと床とか壁とかからのトラップにかかる可能性があるから、【影】で囲むのは最小限にして俺たちだけにするってことか
「あ、でもそれだと外の様子が見えないな」
【影】は外からの影響も内側からの影響も受けないことができるが、そのせいで【影】で囲った内側から外の様子を覗くこともできない。マジックミラーっぽくなったり、モニターとか付けられないだろうか?
「それなら宿主、【小人】でも何で作って外の様子を見させればいいではないか。それと宿主を【感覚共有】させれば宿主も外の様子を見られるぞ」
「その手があったか・・・って、いや、厳しいだろ」
「【ニンギョウゲキ】で作ったものも【影】ではあるのだから、銃弾ごときでそう易々と壊れはしないと思うが?」
「そうじゃなくて、そういっぺんに操作できないってことだよ」
【カゲアソビ】、【ニンギョウゲキ】に加えて【感覚共有】まで同時に発動させるとなると相当に力を使うだろう。安全な場所で使うなら別に構わないことはないのだが、ここは迷宮遺跡。どんなビックリ仕掛けが飛び出してくるかわからない所なのだから、戦闘できるくらいの力は温存しておきたい
「そういうことか。それなら大丈夫だ。今はワタシの支配率を50%まで下げているし、狐娘の治療も粗方終わっているからワタシも余力を割けることができる」
なら大丈夫かな
「それじゃあ、地下2階層の突破と行くか!」
ミカヅキを近くに寄せ、扉を開けるボタンを押す。軽く沈み込んだボタンとほとんど同じタイミングで扉がスライドして開く。銃弾は飛んでこない。よし、ここまではオッケー
俺は【影】で自分とミカヅキを包み込み、【小人さん】を作り出して俺たちを包み込む【影】に張り付かせる。その小人さんと【感覚共有】をする。よし、外の様子も覗けるようになった
「行くぞ、ミカヅキ」
なるべく狭く【影】で囲っているのでミカヅキと歩幅を合わせて進む。二人三脚・・・いや、獅子舞の中の人たちみたいなイメージだな。覆われてるし。だからと言って片方が中腰とかにはなってないけどさ
【影】を纏い扉から一歩を踏み出す。すると、俺たちを察知した罠装置が銃弾を乱射してきた。外からものすごい勢いで弾がぶつかる音が聞こえてくるが、勿論【影】は貫通されるどころか亀裂すらも入らない。さすが【影】。信頼のおける能力だ
難なく銃弾を凌ぎながら進むこと十数メートル。外から弾の当たる音が聞えなくなった。装置の射程範囲から外れたようだ。小人さんで確認したが、小人さんが数メートル戻ったら再び銃弾の餌食となっていた。なお、小人さんは無傷で戻ってきました
これで第一関門は突破だ。だがしかし、まだこの階層は長い。というか今始まったばかりだ。どうせまだまだ罠とか仕掛けてあるんだろう。俺は【鑑定】を発動させて周りの壁、床、天井を確認する。すると、思った通り所々にトラップのスイッチや、赤外線っぽいのやら何やらが仕込まれていた
だが残念だったな!発動装置さえ見つけてしまえばトラップなんて回避できるのだ『カチッ』・・・・・・よ?
一歩を踏み出した足元から軽い音がした
「マスター今何か踏みましたよね?」
「・・・踏みましたね」
ガコンッという大きな音がして背後を振り返ると、先程通った地下2階層の入り口から、見るだけでも痛々しい棘が大量に付いた巨大なローラーがゆっくりと転がってきた。なるほど、ここが道理で一本道なわけだ。床は傾いていないように感じるが、そこはローラー自体が回転機能とか持っているんだろうな
「まさかのここに来てこんな古典的なトラップに出くわすとは思わなかった」
「本当に何をやってるんですか・・・」
周囲は見たけど真下は見てなかったんだよね。これぞまさに"灯台下暗し"!!
「というか、早く逃げましょうよマスター!」
「あ、ああ!」
だんだんと勢いをつけて転がってきている棘ローラーに轢き殺されないように・・・いや轢かれる前に串刺しにされるな。棘ローラーに刺し殺されないように前方へ走りだした
「いや待てよ?」
「どうしたんですかマスター!?轢かれ・・・刺されますよ!?」
突然立ち止まった俺にミカヅキは困惑する
「俺さ、1度やってみたかったことがあるんだよね」
「なんですか?ローラーに轢かれることですか?」
「いや轢かれるんじゃなくて、迫りくるローラーを逆にぶっ壊してみたいんだよね!」
仕掛けられた罠を力業で返り討ちにするって前々からやってみたかったんだよね。今がこれを実行する絶好のタイミングなんじゃないだろうか!【身体能力強化】をかけて全力で殴ればローラーも壊せるはず!あの鋭利な棘も【天界製万能手袋】の前には無力となるだろう!!
俺は棘ローラーに向き直り【身体能力強化】をかけて構える。棘ローラーとの距離がどんどんと近くなっていく。棘ローラーと俺との間の距離が10メートルを切り、そろそろかとそう思ったとき、『カチッ』という音が再び聞こえた
いやいや俺じゃないよ?一歩も動いてないし。ミカヅキが踏んだのか―——————
「ッ!!」
俺は横の壁から発射された先端の尖った細長い鉄の棒を背中を反らしてギリギリで回避した。魔眼が発動していて良かったと思ったのも束の間、『カチッ』という音が再び鳴る
「マスター!天井!!」
反らした背中を戻す間もなく次のトラップが発動した。ミカヅキが叫んだとおりに天井を見れば、アレおかしいな?天井がだんだん近くなってきているぞ?わかってます押しつぶす気ですね?・・・だがそう簡単に圧死するものかっ
背中を反らした状態からさらに膝も曲げ、態勢を低くする。その状態で床を思い切り蹴り、俺は低弾道ジャンプを行って緊急離脱をした。落ちてきた天井の範囲は広かったが、狐少女の余分な魔力が上乗せされた身体能力強化のおかげで無事に天井に潰されずに済んだ
「あっぶない!死ぬかと思った!!というか、ミカヅキもしかして罠の発動装置踏んだ!?」
「私じゃないですよ!たぶんあのトゲトゲローラーの棘が罠を『カチッ』踏んで・・・」
「前方屈めッ!!」
今度は前方の左右の壁から突き出た刃物が俺たちの腰当たりの高さでスライドしてきたので屈んで回避
「くそっ、逃げるぞミカヅキ!!」
棘ローラーを壊すのは止めて逃げることにした。あんな何が出てくるかわからないトラップをガンガン発動されながら落ち着いてローラーなんて破壊できない。ローラーがそんなに丈夫じゃなきゃ壊すことも考慮したが、あの棘ローラーさっき落下してきた天井を破壊しながら進んできたから相当な硬度だと思う
ちくしょう、俺たちは罠発動装置を踏まないように走っているっていうのにあの棘ローラーはお構いなしに踏んでくる。おかげで俺たちは走りながら飛来する鉄の棒を避けたり地面から噛みつくように飛び出してきた棘の付いた鉄の罠を避けたり今度は棘の付いた落とし天井を避けたりと上も横も下も大忙しだよ!!
次々と襲い来る罠を避け、ちょくちょく来る銃弾とレーザー網は【影】で自分たちを包みながら突破していく。そしてついに、前方に扉を発見した
「でも扉が見えてきたってことは・・・・」
後ろを転がる棘ローラーから何回聞いたともわからない回数になってきた『カチッ』という音が鳴る。そして俺たちの真下の地面がバカッと開いた
落とし穴が出てくるのは予想してたけど・・・ちょっと予想以上に幅が広いなッ!!
「ミカヅキ!翼!!」
「はいっ!!」
翼を生やしたミカヅキに抱えてもらい、穴に落ちるのを回避した。棘ローラーは底の見えない穴へと落ちていった。ミカヅキに抱えられたまま穴の反対側へと向かい、俺たちは扉の前に降り立っ『カチッ』た
「ここにもトラップか!!」
ゴール直前、油断したところへのトラップとは・・・ダンジョン側の意地の悪さが滲み出てるな。最後の罠は両側の壁が突き出て押しつぶすタイプの罠のようだ
「ミカヅキ左側頼んだ!!」
「え?え!?」
身体能力強化を施し、右側から迫る壁を思い切り殴り抜く。殴った壁は亀裂が入り崩れ去った。放り投げたけどミカヅキはどうなっただろうか
「はー、はー・・・。いきなり無茶な事言わないで下さいよ・・・!!」
「うん、ごめん。でも緊急事態だったから仕方がないじゃん?」
「そうですし、壊せたから良かったですけど」
一応これが最後の罠だと思うが・・・よし、【鑑定】で確認したけどこれが最後の罠で当たってたな。さて、目の前の扉の先にはボス部屋はどうなっているのか・・・?
開いた扉の先、そこは・・・下の階へと続く階段だった
あれ?ダンジョンからの謎のやさしさか!?・・・飴とムチってことか!?
はい、ということで罠だらけのステージでした。途中主人公が壁トラップと天井トラップを避けたシーンですが、そうです『マト◯ックス避け』からの『魚◯跳び』です。そういえば昔、学校のドッヂボール大会みたいなのでマトリッ◯ス避けに挑戦して見事に失敗したことがありました。めちゃくちゃ恥ずかしかった・・・・・・
次回、地下第3層!(← 特に何も決めていない)




