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79 厄介な尻尾

79話目です。投稿がいつもより一日遅れてしまいました。でも春分の日だからいいかなって(何がだ)

先日友人が持ってきた激辛系スナック菓子を食べて悶えていました。しかも半分余って家にあるという。どうするんだこれ・・・?

 この迷宮遺跡ダンジョンの第1層は機械ケルベロスばかりだったので、てっきりボスも【ヒュージ・ケルベロス】とかケルベロス関連の何かしらが出るのだと思っていたが、まさかのオルトロスだった


 大体こういう敵キャラって何かの部位が多い方が強いというパターンが多い訳なんだが、ケルベロスより首が一つ少ないくせしてボスのコイツらはどうなんだろうか。途中の敵が強くてボスはめちゃくちゃ弱いとかそういう展開なのだろうか。あ、部位が少ない方が強いというパターンもあるな


「・・・!二つ首のオルトロス。それが二匹。つまりどちらの意味でも"ニ頭"。そういうことなんですよマスター!!」


 お、おう。そういうこととはどういうことなのかわからないが、双頭の、頭が"2つ"とオルトロスが"2体"ってことをかけてるっていうことだよな?うん、なんともくだらないギャグな気がするのだが、ミカヅキが"目茶苦茶凄いこと発見した!!"みたいな表情、というか感情がひしひしと伝わってくるので、余計なことは言わないでおこう


 さて双頭どうのこうのは置いておいて、さっさとボス戦を済ませてしまおう。ここからだとわからないが、おそらくこのボス部屋の奥に次のフロアへと続く道が出現するはずだ。なんにせよ、2体のオルトロスとの戦闘は避けては通れない


 先のフロアへと進むため、俺たちはボス部屋へと足を踏み入れ—————————



 『【オルトロス】が突進してきた!!』



 お前もかっ!!しかもまた一歩目を地に下ろす前に来たよ!!ケルベロスといい、オルトロスといい、この階層の敵って落ち着きのないやつばかりだ。待てしろよ。お座りとか伏せして待機しろよ。挑戦者が真ん中あたりに来てから戦闘開始でしょ。こちらの反射神経を試すんじゃない!


 突進してきたオルトロスを左右に分かれて回避。続く2体目のオルトロスはミカヅキに体を向け大きな爪の付いた前足を振り下ろす。ミカヅキはそれを難なく躱し————————ッと危ない!俺は前方から振るわれた尻尾を回避する。と、回避したはずの尻尾が急激な方向転換を行い再び俺に向かい振るわれた。それも屈んで避け、オルトロスから距離を取る


 ・・・なるほど、どうにも尻尾が不規則な動きをすると思ったら尻尾が蛇のような形状になっていいるのか。というか蛇だ。シャーシャー威嚇してるし。しかし面倒くさいな。ただでさえ巨大だというのにさらに尻尾にはこれまた巨大な蛇。1体に頭3つ付いてるじゃないかと言う話は今は置いておくとしても、デカい速い手数が多いの相手は厄介だ。まあこっちは2人、相手も2体で同数な分、多対少な状況よりはいいか


「マスター、あのオルトロス機械じゃなくて生物でした」


「本当か!?」


「はい。さっきすれ違いざまに斬りつけてみたら鉄ではなく肉の感触と血が垂れてきていました」


 肉の感触という表現ってなかなかに生々しいな・・・


「でもそうか、なら機械でなくて生物なら炎とか効くということか?」


「ちょっとやってみます」


 ミカヅキがその手に炎弾、それも巨体のオルトロスに合わせた通常より巨大なものを2つ生成。それぞれのオルトロスに向かって放つ。炎弾はオルトロスに高速で接近。だがオルトロスは避けようとせずその場から動かない


 炎弾がオルトロスに直撃するその瞬間、突如尻尾の蛇が双頭と炎弾の間に立ち塞がる。炎弾は蛇に直撃し・・・喰われた!?蛇は炎に焼かれるでも撃ち抜かれるでもなく炎を喰った。もちろん蛇は無傷。あの蛇は炎を喰うことができるのか?・・・まさか


「ミカヅキ、炎以外の魔法も撃ってみてくれ」


 ミカヅキはさっき撃った炎以外、水、風、氷、雷等様々な属性の魔法弾を撃つがどれもが尻尾の蛇に喰われた。角度を変えたり、回り込むように撃てば蛇はその方向に動き、胴体に到達する前に炎を喰らう。一度に放つ弾数を多く、範囲を広くすれば蛇の顎の関節が外れ・・・と言うよりも蛇の頭部が巨大化し、魔法弾を全て飲み込んだ


 魔法弾ではなく範囲魔法を使ってみても結果はあまり変わらず。発動時に出現する魔法陣に合わせて蛇が移動。発現した傍から飲み込まれた。だがこっちの方は魔法弾よりもある程度は効くらしく蛇の頭が若干プスプスと煙を出していたが、飲み込んだ魔法の魔力でも使ったのか、或いは【自己回復】のスキルでもあるのか、蛇は回復した


 結果として、このオルトロスに魔法は通らないということになる。なんてことだ、こっちの【影】と性質がちょっと被ってるじゃないか!!まあ、【影】の方が尻尾蛇の上位互換だろうけどね!!というかなんだあのオルトロス。一歩も動かずに尻尾に魔法の対処をさせ、挙句俺たちが魔法が無駄だと悟ったとわかったようでこっちにしたり顔を向けてきているんだが。・・・すっごいイラっとくる


 だが残念だったなオルトロス!魔法を封じたところでこっちが主とするのは打撃や斬撃等の近接物理戦なのだよ!!


 耐魔法性に特化しているようだが、さっきミカヅキが斬りつけることができたと検証済みなので問題ない。これで物理も効かなかったらもうチートじみた存在過ぎる。どうやって戦えというんだ。精神干渉か?


 むしろコイツらが物理耐性特化だったら魔法がまともに使えない俺は何にも仕事がなくなるので若干のありがたみを感じる


 さて、検証も終わたことだしそろそろあの計6つのしたり顔をボコりに行こうじゃないか


「ミカヅキ、1人1体ずつで仕留めていくぞ。お前は左の奴を頼む」


「了解です」


 標的を確認後、二手に分かれて走り出す。オルトロスも俺とミカヅキの方向に向かってそれぞれ分かれて走り出した。しかし、最初にも思ったことだが、このオルトロス相当足が速いな。【身体能力強化】を使っているのに引き離されないなんてな


 戦闘がしやすいようある程度ミカヅキとの距離を確保したら、オルトロスに向かい直る。猛スピードで迫るオルトロスを眼中にとらえる。彼我の距離が約10メートルを切ったとき、オルトロスが姿勢を低く保ったまま俺に向かって飛び掛かってきた。一瞬で詰められる距離。すぐ目の前にトラック並みの巨体が突っ込で来ているという状況は少なからず焦りを感じる


 突っ込んできたオルトロスを横っ飛びで緊急回避。オルトロスが地面に着地すると同時に地面から【影】の棘を出現させる。が、獣の第6感でそれを察知したのだろう。着地時に態勢を崩していないこともあってこれを避けられた。意地で避けられた時に地面から生やした棘から枝分かれさせた棘を使ってオルトロスの右前脚を傷つけはしたが、拘束するには至れなかった


 今度は俺から突撃。【半影喰】を出現させ、オルトロスの双頭の届かない胴体の側面に接近。上段から振り下ろす。が、尻尾の蛇によって斬撃を逸らされた。やっぱり邪魔だな蛇!!


 次いで来る本体の噛み付きを後ろに下がりながら回避。そこに振るわれた前脚を【影】の壁で防ぎ、跳ね返す。体勢が少し崩れたその瞬間に再び側面へ入り込み右手で刀を振り下ろす。体勢が崩れても関係ない蛇は同じように刀を逸らす


 しかし今度は少し違う。俺は逸らされた右手の半影喰を手放し、余っていた左手に半影喰を生成。オルトロスの胴体に向かって刺突。これには蛇も反応できなかったようで刀はオルトロスに突き刺さった。相手の手数が多いなら、こっちも手数を多くすればいい


 反撃の尻尾を刀で弾き、振るわれた前脚は壁で防ぐ。大きく開かれた口を回避し、その顎に向かって思い切り下から上に殴り抜く。ガチンッと音を鳴らし顎が閉じ、頭部が大きく上へと向く。空いた首に向かって刀を横なぎに振るおうとしたがオルトロスにその巨体をぶつけられ、体勢を崩す。たたらを踏みつつも【影】の槍を放ちアッパーカットを食らわせた方の頭部の首を貫く。そのまま反対側の首も貫ければよかったのだが、落としたのは1つの頭だけだった


 やはり頭1つ落としただけではオルトロスは死なないらしい。【影】の鎗を放ち体勢が崩れている所へ蛇が襲いかかる。俺は刀ではなく刃の幅が広いロングソードを作り出し、蛇の攻撃を防ぎ弾くと同時に柄の部分を支えにして体勢を立て直す


 そこに振るわれる前脚に対してロングソードを振るい、オルトロスの前脚を切断する。脚が1本無くなりバランスが崩れたところへ追撃で【影】の棘を地面から出現させ、残りの脚を貫く。無理やり引き抜かれないように棘の先端を歪に湾曲させながら折り返す。これでオルトロスは固定された


 そして突撃してきた蛇を横に避け側面から叩き斬る。片方の頭部を殺し、脚は固定、もう片方の首に関しては届かない位置にあるので反撃を食らうことは無い


 攻撃手段を全て失くしたオルトロスはもがき、何とかこの場を離れようとするが、【影】の棘での固定はそんなに甘くない。俺は再び【半影喰】を作り出し、オルトロスの心臓部に向けて突き刺した。【半影喰】に貫かれたオルトロスはやがてその場に倒れ、動かなくなった


 ふぅ、ゴリ押しだった気がするが、倒せたから問題はないな。しかし蛇の厄介だったこと。あれはたぶんオルトロスとはあまり関係なしに自立して動いていたんじゃないだろうか。蛇を相手にすればオルトロスの攻撃が来るし、オルトロスを対処すれば蛇が来るしで面倒だったな。さて、ミカヅキはどうなったか

 

 そうしてミカヅキの状況を確認しようと見てみれば、氷の槍に貫かれながら炎で焼かれているオルトロスの首が刎ねられているところだった


「あれ!?魔法使えたのか!?」


「あ、マスター。魔法を喰らうのは尻尾だけでしたのでそれを斬ってしまえばあとはもうコッチのものです」


「なるほど。それにしてもよく尻尾を斬るタイミングが作れたな」

 

 俺は手数を増やして尻尾を斬ったが、ミカヅキは【影】のような魔法以外で手数を増やす方法は無かったはずだ


「はい、どうやらあの尻尾は【魔法】に反応するらしく、牽制で放っていた魔法を全て食べていたので、適当に魔法を放ってそれに喰らいついた瞬間にポーン、と」


 そんな方法があったのか・・・。魔法耐性特化にしてまさかの魔法が弱点とは・・・。ともあれ、これでこの階層のボスであるオルトロスは倒せた。次の階層に進もうか


 ボスを倒したことにより出現した扉に向かい、その扉を開け———————ようとしたら自動で開いた



 ・・・・・・ここも自動なんだね



はい、というわけで得意分野だと思っていたことで致命的なミスをするという話でした。得意なことは何ですかと聞かれてハッキリこれですと答えられる人ってすごいなって思います。


次回、僕も若干忘れていた狐少女に関する話をチョロっと

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