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77 洞穴の奥には

77話目です。友人宅でラブコメ漫画を読ませてもらったのですが、やはり面白いですねぇ。僕にはあんなドキドキするようなストーリーは作れそうにないです。現実リアルですか?もっと無理ですね!

 ギャグか。ボケだったのか。とでも言いたいくらいにタイミングよくハルマキの【尻尾ビーム】が発動したらしい


「え、何?結局ビーム出たの?尻尾無いんじゃなかったの?」


 自分で"ビーム出せるんじゃないの?"なんて言っておいて何だが、本当にビームが撃てるとは思わなかった。だってアイツ尻尾ないじゃん?普通に驚いたんだが


「ああ。ワタシも驚いたんだが、尻尾の切断部分から魔力が放出していてそれが尻尾を象っているのだ。それと、ビームと言うよりも魔力弾を飛ばしているといった方がいいかもしれないな」


 スノーモービルを操作中で後方を見られない俺にカゲロウが説明をくれた


 へえ、魔力を放出して尻尾を、ねえ・・・。今まで一切魔力の放出を使ったところなど見なかったから、そんなことができるとは思わなかったな。放出するほど魔力があるともわからなかった


 いや、ハルマキ本人も知らなかったようだから、これは魔石を食べてドラゴンモドキ化して得た能力の一つということになるのか?ドラゴンモドキ化、結構すごいな


「ちなみに撃つときはサソリのような体勢となっている」


 なるほど【ドラゴンモドキトカゲサソリフォーム】ということか。どうでもいい情報をありがとう


「ミカヅキ、雪男の方は削り切れそうか!?」


「雪男の方は、ハルマキの援護が来たので問題は無いです。ですが、雪崩の方が・・・!!」


「お嬢ちゃんの言う通り、雪男に関しては安心しろ。むしろ雪崩を回避するために散開のタイミングを見計らい始めたところだ」


 それは何も安心できないな!問題が一つ解決しそうなのはいいことだが、雪崩の方が雪男よりもよっぽどの重要問題だ


「・・・このまま行って逃げ切れそうか?」


「・・・無理じゃないですかね?」


「・・・無理だと思うな」


「・・・シュアアア」


「『・・・右に同じく』」


 絶望的観測!!でもこんなところで死にたくはない!!この雪崩を回避して生き残る方法を見つけなければ・・・!!


 方法一つ目。このまま逃げ切れる可能性に賭けてスノーモービルで山を下り続ける。・・・これは、無いな。まず3人から逃げ切れないだろうという見解を出されてしまっているので、希望なんてほぼほぼ残ってなどいない。それに採るならできるだけ確実性の高いものにしなければ。ということで却下


 方法二つ目。【影】でドームを作ってその中に立てこもる。・・・これは、中でも可能性の高い案だと思う。雪崩で【影】が潰されることは無いだろう。埋まってしまっても【影】で除雪すれば出られるんじゃないだろうか。地面に【影】を打ち込めば流されることも無いだろう。最有力候補だ


 方法三つ目。立ち向かう。・・・死ね、と言うことだろうか。いや、考えたのは俺だけどさ。採用か不採用か?むしろ不採用以外に何かあるのか?


 ということで実行に移すのは方法2だな


「みんな、俺が【影】でドームを作るから、その中に雪崩が落ち着くまで立てこもる。この作戦で行くぞ」


「了解です。・・・というか最初からその手を使えばよかったのでは・・・」


 ぐっ、痛いところを!まさかの雪男とか突然の雪崩とかで思いつかなかったんだよ!!


「・・・よし、じゃあ今からモービルを消してドームを作り出すからな」


 気を取り直して俺が【引きこもり?いえいえ、立てこもりです作戦】を実行するためにモービルを消そうとしたその時


「シュア、シュアアアア!!」


「!?『ぬし、斜め左前方に生物の匂いがする!!』」


 ハルマキがその嗅覚で何者かがいるのを察知した。どういうことか。この雪崩に気づかずに逃げ遅れているというのだろうか・・・?


「それは魔物か!?」


「シュアアアアアアアアアア」


「『いや違う。人間に近しい匂いがする』」


 近しい・・・?普通の人間じゃないってことか?どういうことだ、わからない


「その匂いの場所は!?」


「シュアアアアアア!」


「『11時の方向、約800メートル先!』」


 俺は【遠視】を使って示された方向を視る。・・・本当だ。確かにそこには随分と小柄な人影が・・・倒れている!!あれでは雪崩に気づけていないはずだ。気づけても逃げることなどできないだろう


「カゲロウ!ジェット噴射もっと強めてくれ!!」


「なんだ?助けるのか?」


「ああ・・・!!」


 魔物とか明らかな盗賊とかだったらそのまま放置して【引きこもり?いえいえ、立てこもりです作戦】を実行しただろうけど、今回は助けるべきだ


 俺は先程【遠視】で人影を確認すると同時に【鑑定】も使用した。それでわかったことだが、倒れているのは少女。しかも【獣人族】だった


 なぜこんな雪山に?少女一人で?さらに言えば山頂を超えていない為ここはまだ人族側の山だ。いったいどうして獣人が?聞き出すためにも助けるべきだろう


 ・・・とか何とかもっともらしい理由を述べてはみたが、・・・うん、本音を言おうじゃないか。



 異世界で獣人の少女とかもうそれだけで助けるべきじゃないかな!?あわよくばケモ耳をッ!!



 純粋・・な興味を胸に秘め、俺は消そうとしていたモービルを少女に向けて進ませる。カゲロウのジェット噴射の勢いも増したことにより、グングンと距離を縮めていく


 雪崩に追われている今、モービルを止めて少女を抱え、再びモービルに乗って逃げるなどそんな悠長なことをしている時間は無い


 多少手荒になってしまうが、俺は【影】で巨大な【手】を作り出した。そして少女の傍を横切る瞬間に【手】で救い上げるようにして少女を救出。モービルのスピードは落としていない


 よし、救出成功だ!あとは雪崩だけ——————


「マスター!!さすがにもうヤバいです!!!」


 ちらりと後方を見てみれば、雪崩の先端は今にも俺たちを呑み込みそうなほどまでに接近していた


 すごいなー。壮大だなー。迫力満点だなー。なんていうか、ものすごい威圧感?



 ・・・おっと、あまりの状況の悪さに現実逃避しかけていた。だがしかし、ここまで接近されると【影】でドーム、あるいは球体で全員を守ることはできるだろうが、流されないように地面に固定するのに間に合うかどうか・・・


「宿主!左横に洞穴!!」


 カゲロウの言う通り左横には雪崩を回避できそうな洞穴らしき地点があった。あったのだが、こちらはジェット噴射のスノーモービルで高速度で山下り中。洞穴を確認した時はまさにそこを横切るところだった


 なんてことだ。通り過ぎてしまった。このままこのポイントを見逃すか・・・?いいや、まだだ


 俺は【影】をその洞穴に向かって3本ほど射出。地面や壁に固定する。同時にモービルを変形させて全員を縛るようにくっつける。「ぐえっ!?」とか聞こえた気がしないでもないが気にしている場合ではない


 縛り付け離れないように固定したら。射出した【影】を巻き取るようにして、自分たちを洞穴の方に引っ張る。慣性に無理やり抗うようなことをしたため、ガクンと体に負荷がかかった。隣から「え"ゔっ!?」とか聞こえた気がするが気にしている場合ではない


 何とか洞穴に文字通り転がり込んだその次の瞬間、大きな音と振動と共に雪崩が通過した。本当にギリギリだった様だ。これで一安心。ただ少し不安なのが、"そもそもこの洞穴自体が押しつぶされないだろうか"ということだが・・・そこはもう洞穴を信じるしかない


 さて、何故かぐったりしているミカヅキも気にならないではないが、たぶん大丈夫だろう。それよりも今は先程助けた少女の方だ


 少女は獣人らしく耳と尻尾が生えていた。これは・・・狐か?狐少女か


 一応生きてはいるが、呼吸が荒い。ガクガクと震えていて、触れば体が冷たくなっている。顔は蒼白く、声をかけてみたのだが、目の焦点は合っていない


「これもしかして凍傷じゃないのか!?」


 凍傷の治療ってどうするんだ?温めればいいのか?何で?火の魔法?傷を増やしてどうする!!


「宿主、【影】の中にその少女を入れろ」


「【影】の中に?」


「ああ。そうしたらワタシが治療を施そう。【影】の中ならスペースを取らないだろう?」


 なるほど。確かに【影】なら生きている生体も入れられるしスペースを取らない。さらには空間内の時間も止められる。便利だな。俺は狐少女を【影】の中に入れた


「よし。そうだ宿主、ワタシの支配率を、そうだな、50%まで下げろ。このままでは満足に動かせない。ああ、言っておくが、今回解放した25%分は治療の方に使うから、宿主はいつもと何ら変わらんぞ?」


 そうか、まあ別にいつも通りでも何ら問題はない。俺はカゲロウの支配率を50%に下げた


 『支配率を75%から50%に変更します』


「よし、それではワタシはこの娘の治療に取り掛かるぞ」


「ああ、よろしく頼む」


 さて、狐少女はカゲロウに任せたし、何をしようか。と言っても、この洞穴の入り口を塞いでいる雪崩後の雪をどかして、もう一回登山するんだが


 うーん、せっかく日数をかけて登ってきたのに雪崩に押し返されるとは。双六で言えば"10マス戻る"のイベントを当てちゃったくらい気分が落ち込む


 仕方がないが、もう一回登りなおさなければな。あ、また雪男たちに遭遇するのは面倒だな。別ルートを進んでみるか?いやいっそのこと遭遇したら遭遇したで叩き潰してやろうか


「マスター、マスター。この洞穴の奥におかしな所を発見しました」


 雪男との遭遇時のことを考えていると、いつの間にか復活していたミカヅキが不思議な場所を発見したと言って来た。


 おかしな所・・・?何だろうか、隠れ住居的な何かか?今度こそ温厚な雪山住みの現地人さんたちの集落とか・・・?またもや雪男なんてオチにならない事を期待しつつ、ミカヅキにそのおかしな所に案内してもらった


 連れてこられたところには確かにおかしい、というか違和感があった。目の前は洞穴の壁なのだが、何かが違う。そんな感じだ


 何かが隠されているのか?気になった俺はその壁に向かって【鑑定】を使ってみた



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 迷宮遺跡ダンジョン【エルベール山軍基地】

 ・(隠蔽魔法発動中)


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 ・・・迷宮遺跡ダンジョンだった




はい、ということで新キャラ出ました。一言も喋ってませんし、たぶんこの先数話は出てこないと思いますが・・・。新キャラの出番が少ないなー。(←自分の構成したストーリーのせい)


次回、またダンジョン

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