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76 雪山奔走

76話目です。今回はちゃんと日曜に投稿できました。最近新しいシリーズを書いてみたいなーって思うんです。書くとしたら2年後以降ですね。先にこの作品を完結させないといけないので。(・・・2年後に完結まで見えているのかという恐怖が・・・。)

 俺たちを待ち構えていた雪男たち(一部女性もいる)はご丁寧なことに、俺たちを排除する(迎え入れてくれる)ための凶器クラッカーをその手に作り出した。


 そしてそれを一斉に投げつけてくる。総数100近くはあるという氷柱の投函(熱烈な歓迎)だ。ふざけるなチクショウ


 俺は【影】で壁を作り、それを受け止める。先程とは違い何体もの雪男がいるため、氷柱の投函が終わらない。作って投げて再び作る間にも別の雪男が氷柱を投げるという弾幕が途切れない戦法だ


 誰だ雪男たちに織田信長の長篠の戦の戦法を教えたのは。よもや織田信長ご本人じゃないだろうな!?・・・いや今は"織田信長異世界転移説"は置いておこうか


「ミカヅキ、さっきの棘いけるか?」


「いけます」


 俺の【影】の壁に隠れてミカヅキは先程の雪男に食らわせたように、氷の棘を複数出現させる。ひしめき合う雪男たちの足元の地面に次々と出現した氷の棘は、近くにいた雪男たちを串刺しにしていく


「あれだけ数がいれば、適当に出現させても当たりますね」


 "下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる"の逆みたいなものか?"的が多けりゃどれかに当たる"みたいな・・・。うん、全くうまくない


 ミカヅキの攻撃により何体かの雪男は倒せたようだ。だが、全体の数からすれば多少減った程度で未だ氷柱の弾幕は途切れない。どころか、仲間をやられたことで怒ったのか、より一層弾幕が厚くなったような気がする


 雪男たちは氷柱こそずっと投げ続けてきているものの、自らが接近して闘うことはないようだ。ミカヅキにはこのまま氷の棘を出し続けてもらう。たまに俺も【影】を使って攻撃をする


 俺たちは着々と雪男たちを倒していった。仲間が倒される度に氷柱の弾幕が厚くなったのもやはり数がいてこそのこと。半数以上も減った今では、氷柱弾幕にも勢いがなく、弾幕に若干の間が見え始めるた。体力の問題もあるのだろう


 俺たちの方は何ら問題は無い。体力にはまだ余裕があるし、眼前いっぱいに飛んでくる氷柱弾幕が薄くなった今は、【影】の壁から体を出して反撃することもできている


「そろそろ片が付きそうだな」


「このまま押し切りましょう」


 一気に前に出て雪男たちを倒しきる作戦にでる。俺はタイミングを計ろうと壁から少し顔を出して雪男たちを確認する。するとその雪男たちの後方では雪が煙のように地面から舞っていた。その雪煙はこちらに近づいてきているようで、その規模の大きさが見て取れる


「まさか援軍か!?」


 実際その通りに雪男たちに援軍が来た。どれだけ雪男いるんだよ。きっとこの山のどこかに雪男の集落があるんだろうな。たぶん割と近めの場所に


 だが今は雪男の集落の場所について考えている場合ではなかった。援軍らしき雪男たちは俺たちと戦っていた雪男たちのそばまで近寄ると、ゴアゴアウゴウゴと会話をし、たった今滑ってきた背後を指し示す


 雪男の援軍が到着したのに未だ収まらない雪煙


 その正体は"雪崩"だった 



「ッ!!逃げるぞミカヅキ!!」


 走って逃げるなどどう考えても間に合わない。俺は【影】でスノーモービルを作り出し、そこにミカヅキと乗り込み急いで発進をす———————しない!?


「ああ!?おいカゲロウ起きろ!!」


「ん?なんだ宿主。雪男とやらはどうにかなったのか?」


「今はそれどころじゃない!!カゲロウ、ジェット噴射だ!炎でジェット噴射!!速く!!」


「何をそんなに焦っている————うお!?何だあれは雪崩か!?」


「その通りだから速く!!」


「ああわかった!」


 カゲロウがスノーモービルの後方から炎を噴きださせる。おかげで推進力を得たスノーモービルは雪面を滑り始めた


 危ない。危うく死ぬところだったぞ!!というかこのスノーモービル、作っただけじゃ動かないのかよ・・・。推進力が必要なら事前に教えてくれよ


 俺はハンドルを持ち、操作をする。衝突の可能性がある木や岩を避けてたり【影】で砕いたりしながら山を下る。ああ、せっかくだいぶ上ってきたのにまた登らなくちゃいけないのか・・・


「マスター!雪男たちが接近中です」


 周囲を確認していたミカヅキが慌てて知らせる。逃げたか雪崩に巻き込まれたかと思ったら、まさか逃げながら追いかけてくるだとは・・・。一瞬だけ後ろを振り返り確認してみるが、どうやら幻覚じゃないようだ。板のようなものを足に装着し、スキーのように滑走しているらしい。あれ、いったいどうやって雪崩に巻き込まれない速度を出しているの!?


「攻撃、来ます!!」


 ミカヅキが喚起したその時、俺の右側を物体がものすごい勢いで通過し、地面に刺さった。どうやら氷柱のようだが・・・スキーしながら氷柱投げるとか、雪男バランス感覚良すぎじゃないか!?器用すぎるぞ!


 飛来する氷柱の対処はミカヅキに任せ、俺はスノーモービルを操作して雪山を下りる。くそっ、どこかにいい避難場所は無いのか!?このままだと完全に下山しきるか、下手をすれば途中で雪崩に巻き込まれてしまう。また麓まで戻るのは避けたいんだが・・・


 いや、今はそんなことは言っていられない。ミカヅキは周囲の観測と氷柱の対処、カゲロウはジェット噴射を出し続けてもらって、俺もモービルの操縦。みんな必死になっているんだ。条件を付けるのは二の次。何よりも逃げることを優先としなければ


 ・・・ん?何か違和感。というか何か足りなかった気が・・・あ


「カゲロウ、今ハルマキは何をしている」


「・・・?ハルマキならずっと寝ているが?」


 オーケーわかった


 俺はスノーモービルと【影の食卓部屋ブラックボックス】をリンクさせ、片手を突っ込む。手で探りを入れ、目当てのモノを引き抜く。引き抜いた俺の手が掴んでいたのは、そうハルマキだ


「!?!? シュア!?シュアアアアアア!!!!!」


「『寒ッ!?何してくれとんじゃぬしィィィ!!!!!』」


「みんな今必死になって雪崩とか雪男から逃げてるんだよ!お前も寝てないで働け!!」


「シュアアアアアアアア!?シュアアア!」


「『変温動物に向かってあろうことか雪山で働けと!?ぬしはジブンを殺す気か!』」


「・・・へぇ、いいんだー?お前の分の春巻きがどうなってもいいんだー?」


「シュアッ!?」


「残念だなー。ここで活躍したら春巻きあげようかななんて思ってたんだけどなー」


「シュア・・・!シュアアアアアア・・・・!!」


「『くっ・・・!春巻きを条件に持ち出すなど、なんと鬼畜な・・・!!』」


「さあ、どうするハルマキよ・・・!!」


「・・・シュアアア!シュアアアアアアアアアア!!」


「『・・・背に春巻きは代えられぬ!ぬし、ちゃんとハルマキ用意しておいてくれよ!!』」


 ハルマキを物で釣り、手数を増やすことに成功した。というかなんだ"背に春巻きは代えられぬ"って。無茶苦茶なことわざだな・・・


「シュアアアアアア?」


「『それでジブンは何をすればいい?』」


「ミカヅキの援護だ。氷柱の撃ち落とし。なんなら雪男を倒してもいいぞ?」


「シュアアアアアアアアア。シュアアアアアア」 


「『ぬし、ジブンにまともな攻撃手段なんかないぞ?スピードを活かした突進ならできるが』」


 突進は・・・今この場では不要な技だな。モービルから飛び降りて雪崩と闘ってきますなど勝率が無さ過ぎるだろう


「うーん、せっかくドラゴンモドキになったんだし何かできるようになったりしていないのか?口から炎とか噴いたり、尻尾からビーム出したり」


「シュアアアア。シュアアアアアア—————」


「『そんな無茶苦茶な。第一ジブンは尻尾切れてるんだから—————』」




「・・・シュアア」



「『・・・尻尾ビーム出たわ』」



はい、ということで雪山と言えば雪崩イベントはありますよね。

我々はのドラゴンモドキトカゲを【ガッ〇ィーラ】と呼b(殴


次回、え?何?新キャラ?

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