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74 鳥のように山は越えられるか

74話目です。一昨日くらいですかね。熱い風呂に入ったらそのまま湯船に入ったまま寝落ちしました。起きたらのぼせていたようで、目の前は霧がかったように白く霞んで、耳はノイズが響き、立ち上がれば平衡感覚が無く物に捕まらないと崩れ落ちる状態で、頭の中はグラグラするし気分悪いしで最悪でした。

43℃の風呂での寝落ちは気をつけください

 ハルマキが進化するという不思議驚きなファンタジー現象が起こったものの、それで何か変わるかと言えばそんなことは無く・・・いや、以前よりもハルマキが喋るようになったので騒がしくなった。マイペース気味な喋りは進化の影響だろうか? だとしたらいらない進化なこと間違いなしだ


 それで現在はこの巨大な山を登山中だ。何で?【魔動自転車】で


 魔道自転車は魔力を込めれば自動で動いてくれるので、歩いて登るよりも速かったりする。消費する魔力も俺たちの保有魔力の全体量から見れば大したものでもないので長時間運転できるのだが、残念ながらそこまで長くは乗っていられない


 何故かというと、腰とか尻とかがすっごい痛いからだっ!!


 なんせほとんど誰も通らない道を行くものだから、道なんて舗装されていない。振動とか衝撃がサドルを通して俺を攻撃するのだ。俺の腰に披露ダメージが着実に蓄積されていく



「というかさ、俺たち飛べるんだから飛んでいけばいいんじゃない?」


 そう思いついた俺は休憩時に提案してみた


「でも、私マスターを抱えて飛んで、この山を越えるなんて無理ですよ?」


「いやわざわざ抱えてもらわなくても俺飛べるし」


「え・・・?」


 驚いたような顔をするミカヅキ。あ、そうか俺、と言うよりカゲロウが魔人その他諸々を喰って翼を生やしたときって、ミカヅキは後方にいて戦闘に参加していなかったんだっけ


 ふふふ、僕は飛べるようになったのだよ。ミカヅキも飛べるし、俺も飛べる。ハルマキもドラゴンぽく進化したおかげで生えたから飛べるだろう。飛んでいるところは視たことないが、たぶん飛べる。飛べなかったら"素敵なお飾りですね"と言ってやる


「宿主、残念だがそれはできない」


 カゲロウが俺の提案を否定してきた


「できないってどういうことだよ」


「簡単なことだ。宿主、今翼出せないぞ」


 なっ!?・・・んだと!?言われて翼を出してみようと意識をする。背中に何かが集まるって翼になるようなイメージをしながら力だの魔力だのを込めてみる。だが、どれだけ力んだところで翼は生える気配は全くなかった


「な、なぜだ・・・」


「宿主は、魔法を使う才能が無いだろう?」


 確かに俺は魔法を使う才能が無い。料理程度の炎しか出ないので攻撃で役立つことは無い。それでも一応肉なんかは焼けるから便利ではあるんだけどな


「それと同じで宿主は【飛行】関連に関してはポンコツなのだ」


 ポンコツ・・・。軽くかわいらしい響きとは反対にずいぶんと心に刺さる言葉だな・・・


「でもカゲロウ、前の戦いのときは飛べたじゃないか」


「そりゃあワタシが60%も解放させれば翼を生やして飛行することだってできるさ。それでも情報ソースをなんとか確保した状況だったけどな」


 そういえばソースが足りないとか何とかで掴まえた魔人(瀕死)を喰ったんだっけ


「そういうことで、宿主が今の状態で飛行して山越えどころか飛行することすら無理。ということだ」


 おぅ・・・。翼を生やして自由に飛び回るの、ちょっと憧れていたんだけどなぁ・・・。そうか、飛べないのか・・・


 と、軽くうなだれる俺の肩にミカヅキがポンと手をのせ


「マスター、飛びたくなったら私が抱えて飛んであげますよ」


 そう優しく微笑んだ


「じゃあ今で」


「今は寒いし疲れているので遠慮しておきます」


 俺の感動と嬉しさと素敵な笑顔だなと思った感情を返せこのやろう


「じゃあカゲロウでまた翼を生やして飛ぶっていうのは」


「いやそんな軽々しくあの形態を使われたくないんだが・・・。ほら、ああいうのって"奥の手"とか”最終奥義"みたいな感じがするからかっこいいのではないか」


 カッコよさとか知らねえよ。いやちょっとは気持ちわかるけどさ・・・


「くっ、こうなったらハルマキで」


「もう何でもありですね」


「ハルマキは『寒むっ。めっちゃ寒い。冬眠しそう。ていうかするわ絶対。おやすみなさい』と言って【影の食卓部屋ブラックボックス】の中に入ってしまったぞ?現在大爆睡中だ」


どうりで見ないと思っていたらそんなところに!ちくしょう変温動物め!!!


「まあ素直に徒歩成り自転車を使うなりして登ることだな」




 飛行という方法が全滅に終わった俺は仕方なく歩いて山を登り始めた。今歩いているところの辺りは地面がさらに険しくなっていて自転車で通るのは少し無理があったので魔動自転車はしまった


「標高が高くなったせいか、寒くなってきましたね」


「そうだな。大丈夫かミカヅキ?もっとあったかい格好にするか?」


「いえ、私はさきほどコートと手袋を出してもらったので大丈夫です。マスターこそ大丈夫ですか?」


「ああ、俺も大丈夫だぞ」


 ミカヅキが今着ているコートや俺がいつも来ているコート、そう、例の島の研究所から|勝手に盗んで(拝借して)きたものなんだが、これ何と"夏場はひんやり!冬場は暖か!"という素敵機能付きなのだ。すっごい快適!旧時代の技術素晴らしい!!ちなみに【天界製万能手袋】も同じような機能を持っている。さすが万能手袋


 

 快適衣服で山を登り続けていると気温もどんどん下がっていき、やがて雪の地帯となった。このコートも低気温から守ってくれても、さすがに入ってくる雪の冷たさまでは防げない 


 とりあえず雪山で滑らないためにも【影】で足元を覆い、スパイク付きのブーツの形にする。それとピッケルも作ってみた。雪山の装備って何が必要かわからないが、取り敢えず見たことあるような装備にはなったんじゃないだろうか




 さらに山を登り続け、雪も深くなってきたとき、ミカヅキが何かを発見した


「マスター、あっちに何かいるんですが・・・?」


「動物か?」


「あ、はい。動物、というか、人、というか・・・」


「人!?こんなところにか?鹿とかの見間違いじゃ・・・?」


 こんなところに人がいるとは思えないが、ここは人間も魔人も獣人も立ち入ることなどほとんどないという山だ。もしかしたら誰も知らなかっただけでこの山に住む民族何かがいるのかもしれない


 そうだとしたらちょっと休憩がてらに暖とか取らせてもらえないだろうか。いくらコートのおかげで寒さに凍えないとしても、さすがに疲れてきたし、一面真っ白の雪の世界というのは見ているだけでも何となく寒さを感じてしまうのだ


 そんな期待をしてみながらミカヅキの言う人がいる場所を確認してみる



 そこには確かに人がいた。真っ白な毛皮を着・・・あれ毛皮?何か自毛っぽいのは気のせいか?雪山で生活している為か筋肉のついたがっしりとした体形・・・は最早人と言うよりゴリラだな。相手もこちらに気が付いたようで顔を向けてきた。その顔は堀が深く・・・通り越してだいぶ猿人よりの顔立ちだな



 あれ?なんか【雪男】っぽいんだが・・・?



はい、ということでそしてハルマキは冬眠へ。あれ?もしかしてまたしばらく登場しない・・・?さて、魔人族の国へ行くとのことでしたが、やっぱり雪山が出てくればねぇ。そう簡単に山越えはねぇ・・・


次回、雪男っぽい生物との和解はできるのか。果たして暖は取れるのか

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