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別話4 39人目

サイドストーリー4話目です。書こうと思っていた場面までたどり着かなかった・・・

 なぜかパーティーリーダーとなってしまったわたしだが、抗議したところでどうにもならなかったので諦めてリーダーをやることにした。一応さりげなく″リーダー変更できませんかね?″と聞いたが″決定事項なので無理です″と即答されたときの心の沈み様は異世界に来てから一番のものだったと言っておこう




 さて、わたしたちは現在ダンジョン【エイルムの塔】に挑むためダンジョン都市【エイルム】に来ている。いや、今到着した


「やっと着いた~」


「いくら勇者補正がかかっているからって、こんなに歩くのはさすがに疲れるって、ねぇリーダー?」


 深く息を吐きながら疲れを訴えているのは坂口 芽生サカグチメイ河野 雅コウノミヤビ。わたしのパーティーの一員だ。パーティーメンバーは他にも何人かいるが、その中でもわたしに絡んでくるのが多いのがこの二人


まあ、わたしがあまり自分から話しかけようとする人間じゃないから、パーティーとしてはこういうコミュニケーションがあった方がいいのだとは思うが、どうもわたしには向かない気がしてならない・・・


 やはりリーダーの選出に問題がないだろうか。ウラルさんたち騎士の人たちは何を考えてわたしをリーダーにしたのか。まあこの前のトーナメント戦を見てのことだろうが・・・単騎戦闘ができるからと言って集団戦ができるとは限らないんだぞ!


もっと仲間間の会話をうまく成立させることができるような人間がリーダーをやるべきだ。そう、例えば奥の方にいるなんちゃって委員長ことハットリ君のような!!


 ・・・と声を大にして叫びたい。今すぐにでも


「うん、たしかに疲れたよね」


 おへんじくらいはできますよわたしでも。


 ちなみにだが王城からここエイルムまでは転移魔法を使って一瞬で・・・なんてことは無かった。たしかに転移魔法を使って途中の町までは転移したのだが、その町からここまではクラスみんなで歩いてきた。最初のうちは遠足気分で行進していたが、残念ながらそんな数時間で行って帰ってこられるような距離を歩くわけではない。数日とかかるものだ


そうなれば、慣れない野宿とさほどおいしいとは思えない食事、疲労なども相まって城での訓練よりもはるかに疲労がたまる。肉体的なものじゃなくて精神的な問題だと思う


 なぜ途中までしか転移できないかと問うたところ、何でも″勇者様方に旅というものを知っていただく″とか、″国民に勇者様方をお披露目する″とか、″ダンジョンに入る前に実際に街道などに現れる魔物を倒してみてもらうため″とかなんとか言っていけど、資金が足りなかったとか整備が間に合わなかったとかじゃないの?そう思う。勝手な想像でしかないのだけれど



「勇者様方、お疲れさまでした。ダンジョン都市【エイルム】に到着いたしました」


 騎士団長ウラルさんが到着との声をかける。いやホントにこの人訓練の時とそのほかの時って雰囲気変わるよね


 ウラルさんら騎士の人たちに連れられてエイルムの町の中に入る。町の中心に聳え立つ塔。あれがダンジョンらしい。塔っていうし、異世界なんだからてっきり、かの有名な世界遺産の斜塔みたいなものを想像していたのだけれど、これは何かといえばビルよね・・・


いや、傾いているところは一緒か。【エイルムの斜ビル】なんつって・・・。どうやらわたしも疲れているらしい


 騎士の人たちとともわたしたち40人近くが街を歩けば目立つ。ここまでの旅の途中でも何度かあったけれど、町の人たちからの珍しいものを見るような視線は慣れない。個人としては見世物のようにされたくはないけれど、この進行は″これ、勇者です″と示す目的もあるようなので、結局見世物扱いの宣伝道具にしかならない


 おのれ国のトップども。絶対に目にものを見せてやる



 見世物行進を続け、たどり着いた先は町の中心部。そう、ダンジョンが立つ場所だったといっても今いる場所はダンジョンを囲む壁の外側なんのだけれど。ダンジョンに入るにはこの壁の一部分に設置されている【ダンジョン受付所】というところから入るらしい


 それでなぜ到着してすぐにダンジョンなのかということだが、何でもこの壁の内側にわたしたち勇者用の宿があるらしい。ある、というか造ったらしい


 なぜそんなところに造った!?という驚きと疑問で頭の中が埋め尽くされるが、″勇者様方を旅人が泊まるような宿に泊まらせるわけにはいかない!!″とか何だとかだそう。国家資金の無駄遣いな気がしてならないのだけれど・・・。安全面も割と大丈夫だという


 宿に入るためにはダンジョン受付所を通過しなければならないので、受付所に入る。が、


「あれ?人がいる」


 受付所の中にはそれなりに人がいた。ダンジョンなのだから人くらいいるだろうともうだろうが、ここに来る前に騎士の人に聞いた話では、このダンジョン【エイルムの塔】はダンジョンであるにもかかわらず、訪れる挑戦者が年間を通してゼロ、若しくはそれに等しいのだと。人が少ないからこそ私たちが訓練するための場所に選んだようなのだが・・・



「すまない、このダンジョンの管理人はあなたか?」


 ウラルさんが受付カウンターのような場所にいた男の人に話しかける


「あ、いえぼくは手伝い・・・です。今呼んできますので少しお待ちください」


 男の人が受付所の奥へと入っていき、しばらくすると女の人が出てきた


「わたしがこのダンジョンの管理人のエリメラです。えっと、騎士の方々と勇者様方・・・ですね。遠いところからご足労頂き感謝します」


「いや。ところでこのダンジョン、以前とは違いずいぶんと賑わっているようだが何かあったのか?」


 ウラルさんの問いかけに、エリメラと名乗った女の人は若干気まずそうに視線をそらす


「えっと・・・ダンジョンの改築・・・改善?ですかね?」


「改築・・・?ダンジョンを改築!?貴重な旧時代の遺物に無断で手を加えただと!?いや、それ以前にあのダンジョンに人が手を加えることなどできないはずでは!?」


 珍しく慌てるウラルさん。何やら大変なことになっているみたい


「わ、私がやったわけじゃないんですけどね!?」


「エリメラ殿、このダンジョンに手を加えたのはいったい誰なのだ!?」


「えっと、アライ君っていう男の子とミカヅキちゃんっていう女の子です」


 その言葉を聞いていたわたしたちは全員が頭になにかが引っかかった


 アライ。その妙に聞きなれた名前。それは異世界に来たわたしたちクラスメイトのうち、ともに転移してこなかった一人。それと同じ苗字だった


「す、すまない、えと、エリメラさん!そのアライという少年は黒髪黒目でこの子たちくらいの年齢で顔だちも似てはいましたか!?」


 小西先生がエリメラさんに詰め寄り、まくしたてながら質問する


「あ、はい。勇者様方と似たような人でした。あ、でも眼は黒じゃなくて青だった気がします」


「そうですか。ありがとうございます」


 眼が青いというのは気になるけれど、これでほぼほぼ確定した。・・・青眼、女の子連れ、ダンジョンを改築するほどの力。どうにも主人公やっているような気がしてならないんだけど!!


「小西殿、アライという人物に心当たりでも?」


「ええ、アライはうちの行方が分からなかったクラスの一人かもしれません」


「なんと!!それでは39人目の勇者様なのですか!!では後で捜索令を出しましょう」


 ・・・これでもしアライくんが見つかって王城へと連れられたら、【隷属魔法】とかかけられたりしないかが心配なんだけれど。・・・魔法かけられても大丈夫かもしれない。主人公しているみたいだし、何とかしそう





 ダンジョンが見た目ビルだったり、行方不明だったクラスメイトかもしれない人の情報が得られたりとあったが、とりあえず勇者用に作られた宿に行くことになった。予定は変更せずにこのままここでダンジョンに挑戦するらしい


 英気を養うとかで振舞われた夕飯はおいしかった。その中にサンドイッチがあったのだけれど、それがかなりおいしかった。このサンドイッチはダンジョン受付所で最初にカウンターのところにいた男の人が作ったものらしく、聞いた話によれば何でも受付所内でかなり人気のある品なんだとか・・・



現在は宛がわれた部屋に設置されていたベッドで横になっている。うん、旅の時は地面の固さがわかるくらい寝心地は良いといえなかったからね。こう・・柔らかいと・・・あ、だめだ・・・眠気が・・・強くなって・・・


 わたしは強まる睡魔に抗わず、そのまま眠りについた



はい、ということで誰か見たことのあるような名前の人たちが出てきました。そうです、別話2で修正されて登場を無かったことにされた女の子2人、河野さんと坂口さんです。再登場です。え、誰だよそいつらって?重役ポジションにつくことはないだろう人たちです


次回、本編に戻ります。定期的に出てくるあの人が登場予定

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