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69 大群蹂躙

69話目です。2016年も今日で終わりですか。というかこの話を投稿してからだいたい5分後くらいに年変わるんですけどね。

 カゲロウが再びつま先で軽く地面を踏み叩くと、目の前に展開していた数十丁のガトリング砲がすべて消える。これで魔物の大群とこちらに一切の障害物が無くなった


 そしてクラウチングスタートの体勢を取り始めるカゲロウ。クラウチングスタートなんて"低い姿勢からのダッシュ"くらいしか知識がないが、コイツできるのか・・・?


 姿勢を低くし、両手を前につく。左足を引いて重心が前になるように構える


「よーい・・・」


 あ、"よーい"って自分で言うんだ。あと"よーい、どん"なんだね。"Ready go"じゃないんだね。それはまあ人によるか


 落としていた腰を上げ、さらに重心は前へ。この体勢1回だけやってみたことがあるが、バランスを取るのが思いのほか難しかった記憶がある。カゲロウは、バランスを崩す気配はない


「どん」


 そして"どん”の合図で地面から手を押し上げるように離し、右足で地面を思い切り蹴る。バコンッ!!という音とと共に一瞬で景色が流れる。後ろを振り返れば、今さっきカゲロウがクラウチングスタートで踏み込んだ地面が軽く陥没していた。なにあれ怖い


 クラウチングスタート自体は素人が真似してみましたという出来でしかないが、スキル【身体能力強化】と纏っている【影】のおかげで最初の一歩が瞬間移動みたいなことになったのだろう。スキルと【影】、恐ろしや・・・



 1000メートル近く離れた魔物たちに瞬く間に接近したカゲロウは両腕の【影】を巨大な鉤爪へと変化させ、敵を切り裂く。見た目硬そうな皮膚を持つ魔物も、その湾曲した鋭い爪になんでもないかのように切り裂かれていく


 ゴブリンや犬型などの小型あるいは自分と同等くらいの体調の魔物はそのまま駆け走りながら鉤爪で切り殺しながら進んで行き、オークなどの巨体を持つ魔物に対しては俊敏さで翻弄し、飛び乗り、首筋など急所を切り裂き殺していく。まれに現れるゴーレムなど斬っても素材があれば復活するものに関しては力業で殴っての核となる魔石ごとの粉砕。まるで獣を思わせるかのような戦い方だな


 切り裂き進み、敵陣の中央部ほどまで来たところでカゲロウは立ち止まる。もちろん、カゲロウが立ち止まったからと言って魔物たちが立ち止まることは無いので、次々と押し寄せてくる大量の魔物を切り裂いていく。立ち止まっているおかげで周りに大量の魔物の死体が散乱し、またしてもここで魔物の死体壁が形成されかけていた。が。今重要なのはこれじゃない

 

「おいカゲロウ!お前、敵陣の中央まで来たのはいいけど、魔物だいぶ通り過ぎてんじゃねえかよ。王都が潰れるぞ!?」


 あっちにはミカヅキがいるとは言え、この数をすべて倒しきれるかと言えば・・・無理だろう。ある程度の範囲は倒せても全てをカバーしきることはできない


「そうだな、だが心配するな宿主。王都あっちに魔物共が行かぬように中央ここまで来たのだからな」


 カゲロウは、すぅ、と大きく息を吸い込み、そして


「ガァ‶ァ‶ァ‶ァ‶ァ‶ァ‶ァ‶ァ‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ア‶ッッッ!!!!!!」


 咆哮した。


 草原、王都全土にまで聞こえるかのようなその咆哮。それを聞いた王都に向かっていた魔物の大群は、進行方向を変えた。向かう標的は、俺たち


「お前何したんだ!?」


「魔物共の攻撃対象をワタシのみにした。ゲームなどである、敵キャラのヘイトを集めるスキルを使ったみたいなものだな。そのおかげで、」


 カゲロウは飛び掛かってきた狼のような魔物を鉤爪で貫き持ち上げ、別方向から飛んできた火炎弾をその持ち上げた狼で防ぐ。炎に焼かれて燃え盛る狼を猿の魔物に投げつけ、怯んだところを鉤爪で切り裂く


「わざわざワタシが向かわなくても敵の方から勝手にやってきてくれる」


 回し蹴りでゴブリンを吹き飛ばしながら言う


「・・・だが、やはりこちらの手数が足りないな。両腕と、それに両足を足しても通常は4本。少し効率が悪い。だから・・・増やす!!」


 肩甲骨から二つ、尾骶骨の辺りから二又に別れて【影】が噴出する。噴出した【影】は左右に伸びていき、途中枝分かれをしていく。それを次々と繰り返し、カゲロウを根とした樹状のような形態となった


「さらに、こうする!!」


 すると、【影】の樹の枝のその先一つ一つが変化し、武器となった。剣、ハンマー、鎗、チェーンソー、斧、大鎌、スタンガン、鉤、ナイフ、トンファー、メイス、モーニングスター、ハルバード、三節棍、ピコピコハンマー、鎖鎌、チャクラム、ショーテル、十手、あと、前にインターネットの画像で見たことのあるような、名前も思い出せない武器とか。刀身が波打っている剣とか、峰の部分が凹凸の剣とか、えっとあの武器って確か投擲するんだよな・・・?


「十手!?いやそれ以前になんでピコピコハンマーがあるんだよ!?武器じゃないだろ!?」


「いつまでも忘れぬ遊び心、というやつだ」


 戦場で遊び心とか入れるなよ!!


「武器の方はある程度オートモードにしておく。ワタシたちは奥の方にいる強力そうな魔物どもを倒しに行くぞ!!」


 枝先の武器が一斉に魔物を攻撃「ぴこっ☆」し始める。魔物側も武「ぴこっ☆」器に対し反撃を行うが、そもそもが武器、そ「ぴこっ☆」れも【影】でできてい「ぴこっ☆」るため、例え破損したとし「ぴこっ☆」ても一瞬のうちに元「ぴこっ☆」通りになおっ「ぴこっ☆」てしまうのだから、"攻撃"と「ぴこっ☆」い「ぴこっ☆」う手段そのものが無「ぴこっ☆」「ぴこっ☆」意味な行為と————


「ぴこっぴこっうるせえ!!!」


「ピコピコハンマーなのだから仕方がないだろう。ぴこぴこと鳴らなかったらそれはもう別のものだ」


「そりゃそうだけど・・・ってか、何あのピコピコハンマー・・・。威力おかしくない・・・?」


 さっきからぴこぴことうるさいピコピコハンマー、それが敵に当たると、パァンと破裂・・した


「いやあ、ネタ武器なんだし見た目以上の威力にしてあげようかなと思ったら、威力調整間違ったみたいだな。ま、弱いよりは断然いいだろう!!」


 ハハハと快活に笑うカゲロウ。確かに弱いよりはいいけども!でも破裂するって、ええぇ・・・


「それよりも、奥の方へ行くぞ宿主」


 現在体の支配権はカゲロウが上なので俺は引きずられるように(精神的な意味で)、魔物の大群の奥地へと向かって行く



 


 飛び掛かってきた二首犬の魔物を切り裂き、蹴り飛ばす。たしか【オルトロス】っていう名前だったかな?さっきからコイツばっかり出てくる。群れかな?


 左側から風の刃が飛んでくるが、纏った【影】・・・これにも名前つけてしまうか。影の鎧で【鎧影カイエイ】。安直だけどこれでいいか。鎧影によって阻まれる


「やはり奥の方にいる魔物は強いらしいな」


「そうみたいだな」


 またしても右から飛び掛かってきたオルトロ・・・こいつケルベロスだ!首が一つ増えやがったぞ!!三つの口それぞれから炎を噴きながらカゲロウに噛みかかってくる

 

 カゲロウは鉤爪で首を刈にいくが、少し攻撃範囲が短かった。回避行動をとられ、一つ目の首を胴体から切り離したが、二つ目の首を中間あたりまで切り裂くことができず、三つ目に至っては無傷。中間まで切られた二つ目は使い物にならないようにだらりと下がっているので実質残るはあと一つと言ったところ


「よっと」


 残る一つも刈り取りケルベロスは倒れ伏す。が、周りには新たなケルベロスが何体も現れる。オルトロスのつぎはケルベロスの群れかよ・・・


「ふむ、もう少しリーチのながい武器を使うか」 


 カゲロウは鉤爪は一応そのままにしながら、【半影喰】を作り出す


「そろそろ一気に片づけるとするか」


 そして、【半影喰】をもう一振り作り、さらに肩甲骨から伸びている【影】の樹から両腕を作り出す。ダンッと前方へと駆け出すカゲロウ。二振りの刀で腕の届く範囲の魔物を切り伏せていき、肩甲骨から伸びる二つの腕がサイドの魔物を突き刺し、殴り倒し、押しつぶしていく。殲滅力は先程よりも相当に上がっている



「さてと、コイツらがボスキャラ的な奴かな・・・?」


 魔物の大群、その最奥にて進軍していたのは一つ目の魔物サイクロプス、それが5体ほど。5体といっても、その1体1体がデカいのだ。逆三角形ボディのマッスルな奴らがノシノシと歩いてくる様は、何だろう、暑苦しい


「さっさと仕留めるかッ!!」


 刀を構えながらサイクロプスへと一気に詰め寄るカゲロウ。1体とすれ違いざまに脚へと斬撃を入れる。だが、


「おっと、これは思ったよりも、筋肉質っ!!」


 片方の【半影喰】を消して二刀持ちの構えを解く。空いた腕で刀を軽く押し、サイクロプスの脚を断切する


「uGoaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

 脚を斬られ怒ったサイクロプスはカゲロウへ拳を振り下ろす。仲間のサイクロプスもそれに反応しカゲロウ目がけて拳を振り下ろす。ズドンと音がし、拳の入った地面が陥没する。だが、巨体故かスピードは遅いためカゲロウには一発も当たらない


「ふむ、パワーバカの魔物は楽でいい。攻撃は重いがまず当たらない。まあ当たったところでワタシにダメージなんてほっとんど無いがな」


 カゲロウはサイクロプスの周りを駆け回り、腹を裂き、首筋を斬り、心臓を突き、肩甲骨の【影】の腕が力でねじ伏せ首を折る


 ラスト1体となったサイクロプスの脚を思い切り蹴り上げ、仰向けに転倒させる。両腕と両脚を影で縫いとめ動けないようにする。カゲロウはその上に乗り、サイクロプスの眼前に迫る


「そして、お前で最後だ」


 大きく腕を振り上げ、手に持った【半影喰】をその一つ目に思い切り突き刺す。脳まで到達したらしく、サイクロプスは糸が切れたように動かなくなった


「まあ、いい運動になったな」


 

 王都前の草原すべてを埋め尽くすほどいた魔物の大群は


 結局、カゲロウが戦闘を開始してから10分ほどで全滅した



はい、ということで【カゲロウ無双】。結局主人公最強って・・・。


2016年、ありがとうございました。2017年もだらだらとやっていきますので、よろしくお願いします!


次回、次の行き先決定

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