68 60%
68話目です。
オナカイタイノキノセイジャナカッタ...。
アト,ズツウト,ハツネツト,ネチガイト,コウナイエン(←言い訳
ソレト,スマホゲームヤッテ,バラエティミテ...(←おい待てコラ
俺は迫りくる魔物の大軍勢を見据えながらカゲロウに問いかける。・・・というかカゲロウ起きてるよな?俺がコカトリスと戦っている内にまた寝ちゃってたりしないよな?
「"アレとやる?"というのは"ワタシがあの魔物たちと戦うか?"という解釈でいいのか?」
お、よかった起きてた
「ああ、その通りだ。少しの間お前の支配率を少し下げて、お前に俺の身体の支配権を預ける。で、お前はあの魔物たちを蹴散らす。どうだ?」
カゲロウがニヤッと笑ったような気がした。表情見えないけど
「随分と気前がいいじゃないか、宿主。そんなことをして私に乗っ取られてもいいのか?」
「まあ、解放率60%くらいなら何とかなりそうだし。それに、ちゃんと保険はかけておくさ」
俺は着けている【天界製万能手袋】を外し、ミカヅキに渡す
「ミカヅキ、カゲロウが暴走したらこれで女神様に連絡してくれ」
「そうきたか宿主。これじゃあワタシも好き勝手壊しまくることはできないな。まだ死にたくないし」
これで、もし万が一にでもカゲロウが俺を乗っ取って暴走しても大丈夫なはずだ。カゲロウは強力だが、ミカヅキなら少しの間でも耐えられるはず。その間に女神様に緊急報告が伝われば"世界の崩壊"なんて事態にはならないだろう
・・・ミカヅキさっきから俺の手袋を凝視して"マスターの手袋、マスターの手袋ッ"とか言っているけれど大丈夫だろうか。もはや手袋に齧りつきそなくらいの勢いなんだが・・・。心配になってきた
「さて、余裕もないことだしやるか。支配率変更、75%から40%」
『支配率を75%から40%に変更します』
支配率を変更したその瞬間、俺の体の感覚が薄れていく。意識はあるのに体が思うように動かない、そんなかんじだ。この感覚どこかで・・・あ、確かこの世界に来る前に天界でカゲロウに喰われそうになった時と似ているのか
突如、俺の足元から数本の【影】が蒸気のように噴出。螺旋状に勢いよく立ち込めていく。交差するようにして回転していき、網目をつくりながら次第に収縮、俺を包むようにして球体となった。やがてその網目は塞がり、真っ黒な球体が出来上がる。そして1秒も満たないその時、黒の球体が横に広がるように勢いよく解ける。中から出てきたのは、全身を真っ黒く影に包まれた俺だった
・・・え、何今の無駄にカッコよくしたかんじの変身エフェクトは!?支配率って半分以下になったらこんなかんじになるの?
「どうだ宿主、今の演出は。即興で思いついた割にはよくできたと思うんだが」
やっぱり特に意味のない演出だったのか。というかそんなことする暇があったら早く魔物倒しに行けよ。もうすぐそこまで迫ってきてるんだけど。エフェクトの出来?個人的には好きだったぜ!
「さて、変身もいいかんじにキマッたところで・・・魔物の殲滅と行こうか」
カゲロウが・・・いや俺か?体を動かしているのはカゲロウだからカゲロウか。カゲロウが前線へと向かう。さっきの演出がだいぶ目立ったらしく、前線の魔法士や騎士の人たちがこちらを見て困惑した表情をしている
カゲロウが魔法士たちの前で立ち止まる。おおう、この自分の体なのに勝手に動いているという違和感。慣れていないから変な気分だ。逆にこんなのになれていたら普段どういう生活しているんだってことになるけどな
「魔法士と騎士の皆、よく持ちこたえてくれた。ここからはワタシがやるから皆は後方へ下がっていてくれ」
が、当然の如く誰も動かない。なんか全身真っ黒な人が突然労ってきて持ち場を代われとか言ってきてもそりゃあ戸惑うだけであろう
「うーむ、早くどいてくれないと皆諸共ハチの巣にするしかなくなるんだが・・・。そうだ、ギルドマスターと騎士団長の了承も得ているぞ」
あ、コイツ嘘つきやがった!だが、やはり上の人の名前の効果は大きいらしく
「本当に、お前に任せていいんだな?」
「ああもちろん!ワタシに任せたまえ!」
「それじゃあ・・・頼んだぞ」
魔法士も騎士も後方へ下がっていった
「さて、と。まずは敵の前線を後退させないとだな」
カゲロウがつま先で軽く地面を踏み叩く。するとカゲロウの目の前に横一列、魔物の軍勢の幅、端から端までに等間隔で【影】で作られた物体が出現した
「おい、カゲロウ。これってもしかして・・・」
「ああそうだ。先程の鳥の魔物の攻撃方法をヒントに、宿主の記憶を探って再現してみた」
目の前に現れたのは固定砲台タイプのガトリング砲だった。それがズラリと並ぶ様は壮観なものだ。やはり俺も男の子。銃器のことは全くもって詳しくないが何か心くすぐられるものがある
「まあ情報が足りないから見た目だけなんだがな。それでも威力は・・・あるッ!!」
並んだ【影】のガトリング砲の銃口から黒い【影】の弾丸が敵に向かって飛び出していく。魔物の大群、その全体に、秒で何千発という黒い弾丸が突き刺さる。この模擬ガトリング砲の恐ろしいところは、全てが【影】でできているが故に、砲身を冷却する必要が無い。そして、弾切れを起こすことが無いということ
何十丁という砲身が回転する音、弾丸が銃口から発射される音が王都前の草原に響き渡り、排出された薬莢が次々と地面に落ちる。騒音はともかく、銃弾も【影】で作られているからわざわざ薬莢は排出しなくてもいいはずだが・・・無駄な再現力である。いや、それも含めての銃器なのか?
というか、この騒音大丈夫かな?すぐ後ろに王都があるが、騒音被害だのなんだのと言われないか・・・。こっちは王都を救うためにやっているんだから知ったこっちゃないか
模擬ガトリングの掃射により先程魔法士たちが必死になって魔物の進行を食い止めていたのが馬鹿らしくなるほど、魔物が次々と死んでいく。撃たれて死んだ魔物を乗り越えてやってくる魔物をさらに撃ち殺し、その魔物を超えてくる魔物を撃つ。それを繰り返し魔物の死体の壁が出来上がるが、超えてくる魔物や飛んでくる弾丸によって崩れる。壁ができ、崩れる。壁ができ、崩れる。壁ができ、崩れる。壁ができ、崩れる・・・
「さてと、取り敢えずこれくらいかな」
ある程度を撃ち終えたところでカゲロウがガトリング砲での掃射を止める。前方にはハチの巣の如く体に穴が開き死に倒れているおびただしい数の魔物たち。地面すらも弾痕で穴が開きまくっている。おかげで目前まで迫っていた魔物の大群の前線はだいぶ後退したが、それでも全滅はしていない。まだまだうじゃうじゃといる。ホントに数が多い。しかも今の掃射で倒した魔物のほとんどは小型のもので、後方に大型の魔物なんかが大量に残っている
「それで、まだまだ魔物は残っているがどうするんだ?」
「決まっている。直接ぶん殴りに行く」
カゲロウはニヤリと笑い、そう言った
はい、ということですみませんでした。やべぇ、もう大晦日だ!間に合わねぇ!
次回、もカゲロウのターン




