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64 大きなトカゲ用の首輪

64話目です。先日淹れ立てのコーヒーを飲んだら舌を火傷しまして・・・あれ?半年前にも同じことをしたような気がする。が、学習しないな~僕・・・。

 ミカヅキが中華まんを【影の食卓部屋ブラックボックス】に入れていただのなんだのはさておき、王都での泊まる場所についてだが、ファスタさんが家に泊まっていっていいと言ってくれた


「別に部屋は余っているしな。それに賑やかな方がいいだろう?」


 なんともありがたい話だ。正直な話、今から子の王都で泊まれる宿を探すというのも少し面倒であったし、宿の質だのどうのこうのも多少加味すると、うん、日が暮れそうだよね。まあ要約すると、ユユさんのご飯が美味しかったです。


 




 その翌日、朝食を食べた俺たちはハルマキの首輪を買いに行くことにした。門番の人にも言われたしな。面倒なことが起こる前にさっさと首輪をつけてしまおう


 玄関のドアを開ける。ちなみにハルマキは【影の食卓部屋ブラックボックス】に入れておいた。コイツ結構汚れているだろうしデカいからスペース取るだろうしってなったら、さすがに人の家に入れるのもどうかと思って・・・。外につないでおこうかとも思ったが、"だからその首輪が無いんだよッ!!"ということになって、結果ブラックボックス行きにした。やっぱり生き物も入れられるのは便利だよね


「よっしゃ、ハルマキ行くぞ」


 ハルマキをブラックボックスから出し、"春巻きをよこせ"と言って来たハルマキに中華まんを食わせて買い物という名の王都観光へと出発した 


 




「マスター、王都って大きいですね」


「そうだな・・・」


 王都中央に聳え立つ王城を遠くから眺めながら歩く。すごいな、本物の西洋風の王城だ。前の世界じゃこんな城、某巨大テーマパークくらいでしか見られなかったからな。それに王都も広いし人も多い。今までここまで大きな都市は来たことなかったからな


 そして俺たちはその王都の通りを行き来するたくさんの人々から注目を受けている。原因はハルマキ(コイツ)だ。そりゃあなんかデカいトカゲを連れてこんな人通りを歩いていたら嫌でも目立つ


 最初は、またブラックボックスに入れて運ぼうとしたが、ブラックボックスに入れようとすると巧みに躱された。仕方がないのでそのままにすることにした。今はもう人の目もだいぶ慣れてきたしな。人はこれを"諦め"と呼ぶそうな





 特に何をするわけでもなく王都をフラフラと歩き回り、目的地である首輪を売っている店に到着した。出発前にファスタさんから店の場所を聞いていたのだが、思ったよりも時間がかかってしまった


「さすが王都ですね。ちょっと迷ってしまいましたね」


「いやお前とハルマキがあっちこっちに行かなければこんなに時間はかからなかっただろ」


「仕方がないですよ。香ばしい香りが漂ってくるんですから」


 といいつつ、あんまんを食べている・・・食べ終わったミカヅキ。ハルマキは向こうで動物園の珍動物・・・いや、公園のハトよろしく通りがかった人から餌をもらっていた


「さ、マスター。店の前で立っているのも邪魔になりますから入りましょう」


 ・・・・・。もう何も言わないことにしよう




 さてこの店、小物等々の他にどうやら【魔道具】も取り扱っているらしい。武器・・・というよりは生活に使えるような物が多い。魔力を込めるとよく切れやすくなる包丁とか、魔動洗濯機・・・みたいなものとか、自動小型魔動掃除機とかその他諸々。


「すごいな、魔道具が売られているのは初めて見た。さすが王都【メルーセス】でも指折りの道具店とファスタさんが言っただけあるな」


「そうですね。でもやっぱり魔道具って値が張りますね」


 性能は人工遺物アーティファクトに劣るとはいえ、それでも何の特殊効果も無い一般的な道具と比べればかなりの便利道具だ。需要はあるけれど複製するのも簡単じゃないだろうし、そりゃあ値段も高くなるよな


「まあ、俺たちは今のところ魔道具は必要としていないし、それに今回買いに来たのはハルマキの首輪だしな」


 現在ハルマキは再びブラックボックスに入れている。"店内動物禁止"とは書かれていなかったけれど、小型犬とかならともかく2メートル近くのトカゲはリードを付けていても店の中に入れたらダメだろう


 ペット用の小物売り場へとにたどり着く。さて首輪はどんなものがあるのか。・・・・へえ、結構いろいろな柄のものがあるんだなあ


「・・・マスター」


「なんだ?」


「ここにあのトカゲに丁度いいサイズの首輪ってありますかね・・・?」


 言われて品物を見渡す。並べられている首輪を見渡し、見渡し・・・


「・・・無い?」


 様々な色や柄、そして多少の大きさの違いはあれど、ハルマキに入りそうなサイズのものは見当たらない。これは参ったな。この店に無いとすると、違う区画の店にまで行かなければならなくなるのか・・・?隣の区までは遠いらしいからなぁ。できればこの店で済ませたかったんだが・・・


「何かお探しですか?」


 あれこれ見回し溜息をついていた俺に店員らしき人が訪ねてきた。この店って店員が助けを出してくれるシステムがあったんだ!というか最初から店員に聞けば早かった!!


「えっと、このくらいのサイズのトカゲの首輪を探しているんですけど・・・」


 身振り手振りでハルマキの大きさを説明する。これで伝わらなかったらもうハルマキ(本物)を取り出して見せるしかなくなるが・・・


「あー、その大きさでしたらこちらになりますね」


 どうやらジェスチャーだけで伝わったようだ。店員の人に案内され提示されたのは数種類の首輪。だけどこれ、そこらにある普通の首輪と大きさ変わんないぞ・・・?


「これはですね、付ける相手によって大きさが変わるという魔道具の1種なんですよ」


 まさかの魔道具だった。なるほど、確かにこの種類の首輪だけやけに値段が高い。大銀貨4枚って、大銀貨4枚って・・・


「あの、もうちょっと安めのものとか無いですかね・・・?」


「申し訳ございません。こちらの品が一番の低価格となっております」


 うーん、そうかぁ。なら仕方がないけど、あんなトカゲに大銀貨4枚は悩むな。いっそ付けない・・・は、門番の人とかとの面倒ごとになりそうだ。うーん・・・・・






「ありがとうございましたー」


 結局買った。悩んではいたものの、所持金についてはまだ俺たちの生活に大きく影響を与えるようなものではなかったし、それに今日王都に出歩いた目的って何だったんだよという話にもなってくる


「よし、じゃあ首輪付けるぞハルマキ」


 人通りの邪魔にならないよう、少し通りから外れたところでハルマキをブラックボックスから出す。暴れようとするハルマキをスキル【影】を使って抑え込む。抑え込んだところにすかさず俺がハルマキの首に首輪を付ける。あ、すごい本当にサイズが変わった。ハルマキも首に違和感は感じるものの"あれ?思っていたより全然苦しくねえや"みたいな雰囲気を出している



  

 ハルマキの首輪も買い、王都の観光も今日はもういいやということになったので、俺たちはファスタさんの家に戻ることにし、元来た道を歩いている



「ああぁぁんん!?これぐれぇ別にいいじゃぁねぇかよぉぉ!!??」


 通りの向こう側から怒声が聞える。なんだろうこの妙にネットリとした気持ち悪い声。最近どこかで聞いたことのあるような・・・


 遠目でその騒がしい場所を見てみると、大声を上げていたのは大きく肥えた腹に頭髪の薄くなっている、まあぶっちゃけて言えばハゲでデブの男だった


「ああ、思い出した。昨日ギルドにいた・・・・えーと、エビ何とかだ」


「あー、あれですか」


 エビのイメージが強すぎて名前がよく思い出せないが、別にあれの名前なんてどうでもいいか

 

「ちぃッ!!クソがぁッ!!どけぇ!!じゃまだてめえぇらぁ!!!」


 何かよくわからないが相当キレているようで。周りに八つ当たりをするようにして通りを歩いている。この道を真っすぐ進んだ方がファスタさんの家には早く着くんだけど、今はあのエビなんたらがいるし、通って八つ当たりの被害を食らうのは嫌だし面倒くさいから、ちょっと遠回りしてから帰るか


「ミカヅキ、ハルマキ、ちょっと遠回りして帰るぞ」


「マスター、あの、ハルマキが・・・」


 ミカヅキが指さした方を見ると、全速力で通りを走るハルマキの姿。その進行方向先には・・・エビなんたらがいる。通りの人たちは走るハルマキに気づき、サイドに避けていく。モーセの海割の如くハルマキとエビなんたらに一直線の道ができた。エビなんたらは相当頭に来ていて周りのことなど見えていないのか、ハルマキに気付いている様子は全くない。ドタドタと走るハルマキとエビなんたらの距離はもうすでにほんの数メートルにまで差し掛かった。このままではぶつかる、といったところで何とハルマキが前方に跳んだ。そしてそのまま避けることなどせずエビなんたらの背中に思い切りぶつかった


「ぐぼぉぉ!?!?」


 背中に不意打ちを食らったエビなんたらはそのまま地面に顔面スライディング。ズザザザザと顔面を地面に擦り付けながら滑り、そしてうつ伏せの状態で止まり、動かない


 一方ハルマキはというと、餃子をムシャムシャ食べていた。どこから持ってきたんだその餃ざ・・・まさかエビなんたらにぶつかったのってこれが目的か!?


「マスターどうします・・・?」


「そうだな、とりあえず・・・・・走って逃げろ!!」  


 俺たちは倒れ伏しているエビなんたらを通り抜け、餃子をムシャムシャしているハルマキを回収して全速力で走って逃げた



はい、ということで今回はハゲを仕留めました。この話を書きながら『このヒロインっていつからこんなに"食べるキャラ"になってしまったんだろうか・・・』などと思いました。キャラ立て?とりあえず食わせときゃいいんじゃない?安易な思考回路してますね~僕。


次回、実は本作、【主人公最強】タグを付けているんですよ。ということで、それっぽいことしていきます。

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