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62 選択肢【ぶん殴る】

62話目です。そういえば前回の前書きで書こうとしていたことを思い出しました。第60話(ヒロイン視点の話)、最後の部分少し書き換えました。いやなんか下手なラブコメ感強かったんで。あんまりラブコメ要素っぽいの突っ込むのもどうかなあって思うんですよね。おい今"永遠彼女できないチキン野郎"って言ったの誰だ出てきなさい

 新たにハルマキという仲間ペットを加えての王都までの移動


 ハルマキはよほど春巻きが好きなのか、俺たちが飯を食べるときは必ず春巻きを要求してくる。が、もちろん春巻きなんて無限に持っているはずもない。途中で所持している分は途中で全部なくなってしまった。半分はミカヅキが食っていたんだが・・・。おかげで俺とファスタさんの分はほとんど無かった


「『春巻きをよこせ』」


 カゲロウが言う。だがべつにカゲロウは春巻きが欲しいわけではなくハルマキの言葉、というよりは"気持ち"みたいなものを通訳してもらっている。最初みたいなRPGゲームの状況説明文みたいな喋り方はやめてもらった。毎回毎回


 「ハルマキは魔動自転車に興味があるようだ。宿主《プレイヤー1》はどうする?

   【乗せる】  【後ろに乗せる】」


 みたいなやり取りをするのはだいぶ疲れる。というかストレスが溜まってくる。2択を提示するな。どうするかは俺が決める。とりあえず【ぶん殴る】で


 とまあ、俺がいつ【ぶん殴る】を選択してしまうやもわからないので普通に通訳してもらっている


「だから春巻きはお前らが食べ尽くしたからもうないんだって。ほら、代わりにこれやるから」


 ハルマキの目の前に肉を投げる。もちろんそこらの店で売られているような普通の肉ではない。【影の食卓部屋ブラックボックス】に入っている激マズ肉こと原初の島の魔物の肉だ。俺たちにとっては吐き捨てるほど不味いものだったが、人間ではないコイツにとってはどうなるのだろうか。案外バクバク食べるかもしれない


 ハルマキは"春巻き無いの?ちっ、仕方ねぇな"とでも言いそうな雰囲気を出しながら目の前にある肉にかぶりついた


「!?」


 あ、吐き出した。どうやら相当不味かったらしい。吐き出した肉に地面の砂をかけた挙句、俺に向かっても砂をかけてきやがった。よし、今こそ選択肢【ぶん殴る】の出番だな


 そんなこんなやり取りをしつつ、途中の村によったりもしながら【ルアリトスの町】から出発しておよそ1週間と少し。遂に王都【メルーセス】へと到着した





 王都に入るにはやはり検問があるのだが・・・さすが王都と言うべきか、人が多い。有名テーマパークのアトラクションの入り口みたいだ。そうして並び初めて2時間ほど、やっと俺たちの番になった。もっと並ぶ時間はかかりそうだ思ったものだが、そこは門番の人たちもプロということなのだろう


 ファスタさん、ミカヅキ、俺と門番のチェックを終えていく。しかし、ここで問題が発生した


「ん?なんだこの・・・トカゲ?は」


 しまった。ハルマキのことすっかり忘れていた


「あー、これは俺のペットです」


「お前のペットか。首輪がついていないようだが、どうした?」


 首輪!?首輪とか必要なのかよ。まあ犬猫にだって首輪つけるしな。ペットだという証にするには一番簡単でもあるし


「すみません、ちょっと首輪は持っていなかったんでつけていないんですよ」


「そうか。なら今回は通すが、王都で首輪を買ってつけさせるべきだ」


「はい、わかりました」


「ああそれと、ペットは銀貨2枚だ」


「・・・はい」


 ブラックボックスにコイツ入れとけばよかったな。あの中生きているものでも入れられるし。そんなことを思いながら門番に銀貨2枚を払って王都へと入った





 王都に入ってまずどこに行こうかとなったが、まずは昼飯でも食うかということで一番近いギルドに向かった

 

 王都のギルドというからには3階建てくらいの立派な建物なんだろうと想像していたが、実際はそこまで大きいものではなかった。まあそれでも2階建ての大きな建物だったが。ファスタさん曰く、この王都には東西南北の4区画にそれぞれ冒険者ギルドがあるのだそうだ。王都などという大きい都市では1か所にギルドを置くと真反対に住んでいる人たちにとっては不便になるから、4つに分散してギルドが建てられているらしい


「やっぱりラーメンは美味いな!!」


 ファスタさんは安定のラーメン。俺は麻婆豆腐と餃子。ミカヅキも俺と同じメニュー。あとハルマキは春巻きをあげた。ファスタさん、王都までの移動中ラーメン食べられなかったからな。相川らず麺をすすれてないけど美味そうに結構な勢いで食べている。もう半分ほど無くなっているし。麻婆豆腐はピリッと辛実が効いていておいしい。・・・あ、これ後から辛いのが来るやつだ。ピリッとどころじゃない辛さが口いっぱいに広がる。辛いめっちゃ辛い。隣に座っているミカヅキはいたって普通の顔でパクパクと食べている


「ミカヅキ、これ、辛くないのか?」


「・・・・・・すっごく辛いです」


 我慢していたようだ



「んんー?おいおいそこにいるのはファスタじゃぁねぇかよぉ」


 飯も食べ終わってひと段落していたところに声がかかる


「・・・・てめえか」


 知り合いのようだが、ファスタさんがめちゃくちゃ嫌そうな顔をしている。なんかもう目の前に悪臭漂う生ごみを置かれたみたいな顔をしている


「最近見ないと思っていたらぁ、どこに行ってたんだよぉ?おれぁてっきりお前が死んじまったかとおもって心配してたんだぞぉ?」


「ちっ、お前がおれの心配なんかしてたわけねえだろ」


「あの、ファスタさん?」


「あ、ああ。すまねえな。コイツはおれと同じBクラスのウィリチリって奴だ」


 なんかエビチリみたいな名前だな。ちょっと禿げてるし。あとこの人、ズボンから腹出てんだけど戦闘とかできんのかな?あ、魔法職だったりするのか?


「ん?んんー?そこの女ぁ、ちょぉぉっと胸は貧相だがぁそこそこいいじゃぁねぇかぁ。なぁ、おれと一緒にこねぇかぁ?」


 ハゲチリがニタニタとミカヅキを見ながら言う。よし、選択肢【ぶん殴る】を選んで今すぐコイツを殴ろう。さすがに法で裁くようなことをしていない人間を殺すのは俺が捕まるからできないけれど、せめて骨の3、4本折るくらいなら・・・!! 


「おいウィリチリ、コイツらは俺の友人だ。もし手を出すってんなら・・・骨の2、3本は覚悟しておけよ」


「おぉ、おぉ怖い怖い。わかったわぁかったよ。おれも別にわざわざぁお前と喧嘩ぁする気はねぇからよぉ。今日はもう帰るとするぜぇ」


 そう言ってハゲは帰って行った


「すまんな。不快な思いをさせちまった」


「いえいえ、大丈夫ですよ」


 というかファスタさんがあそこでハゲを止めなければ、俺とミカヅキがハゲをだいぶ大丈夫じゃないことにしていたからな。当分一人でまともに生活できないくらいにはしていたんじゃないだろうか


「よし、それじゃあ飯も食ったことだし、おれの家に向かうとするか!」


 ギルドを出た俺たちはファスタさんの家に向かうことにした



はい、ということでハゲを仕留めそこないました。一旦日常っぽいのをやってそこからまた戦闘回に入るつもりです。大丈夫、今年中には終わります


次回、王都を散歩

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