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59 臆病者

59話目です。短いです。今回短いです。別に大切ではないけれど2回いいました。シリアスっぽいの書けた!と思ったけれど、読み返してみたらそんな盛り上がるほどシリアスじゃなかった。しかも、どこかで見たことあるようなセリフが多々というか、結構というか、だいぶというか・・・。でもこれ以上うまく書ける気がしない・・・

 人造人間ホムンクルスは、心臓の代わり魔物の魔石を核として動いている


 だが、だからと言ってそこに人間との違いがあるかといえば、そんなことはない。心臓が壊れれば人間は死ぬように、魔石が破壊されれば人造人間ホムンクルスだって死ぬ


 ミカヅキもその例外ではなく、胸部に埋め込まれた魔石が壊れれば活動停止、つまり『死』となる





 ミカヅキの胸部から剣の先が生えている。その後ろには先ほど俺がぶっ飛ばしたはずの盗賊頭が剣を握って立っていた


 ――――――ミカヅキが、突き刺されている


「っ、てめぇっ!!!」


 瞬時に距離を詰め、盗賊頭の顔面を思い切り殴り、後方へと吹き飛ばす


「ミカヅキっ!おいしっかりしろ!大丈夫か!?」


「マスター、すみません、油断、しました」


 呼吸が荒い。発する言葉も絶え絶えといったかんじだ


「もういい、喋るな!傷が酷くなる!」


「心配、しないで、ください。こんなの、少し、休憩すれば、よく、なりますから」


 俺の腕を掴み、そう言うミカヅキ。だが、最後の言葉を言う頃には、俺の腕を掴んでいたその手は力が抜けるように落ちていき、瞼もゆっくりと閉じていった


「ミカヅキ?おい、ミカヅキ!?」


 呼び掛けるも、返事はない


 まさか、ミカヅキが、死んだ・・・?


 嘘だろ?何で、どうして?原因は?剣が刺さったから?その剣を刺したのは?・・・・・・あそこにいるヤツだ



「お前か。お前かお前かお前かお前があああああああ!!!」


 再び盗賊頭に殴りかかる。仰向けに殴り倒し、馬乗りになり、顔面を殴る。殴る。殴る。殴る。抵抗させる隙は与えない。抵抗しようしたそばから殴って抑える


「お前のせいでミカヅキが。お前のせいでミカヅキが。お前のせいでミカヅキが。お前のせいでミカヅキが。」


 殴る。殴る。殴る。殴る。今殴っているやつがもう生きているのか死んでいるか分からない。生きていようが死んでいようが関係ない。怒りや、憎しみや、悔しさなどが混ざって、ぐちゃぐちゃになって、際限無くあふれでてくるドロドロとした気持ち悪いソレを、ただただ下に敷いてあるコレに殴りぶつける


「お前のせいで、お前のせいで、お前のせいで、お前のせいで、せいでせいでせいでせいでせいでっ!!」


「―――――なあ、それは本当にコイツのせいか?」


 声が聞こえた。カゲロウの声だ


「お嬢ちゃんが刺されたのは本当にコイツのせいか?」


「何を言っている。コイツが、剣でミカヅキを刺したんだろうっ!!」


「――――ああ、確かにそうだ。だがそれは、宿主がコイツを殺さなかったからだろう」


「っ!!俺が、コイツを殺し損ねたから・・・」


 ―――――違う。殺し損ねた・・・・んじゃない、殺さなかった・・・・んだろ


「殺さな、かった・・・」


 ――――――ああ、そうだ。宿主、お前は今まで完全に"殺し"をしてこなかった


「"殺し"・・・だと?そんなの、この世界に来てからずっとやってきた!」


 ――――――"魔物は"だろ?人間だ、"人を殺した"かどうか、だ


「それだって、それだってやってきた―――――!」


 ――――――いいや。お前は死に至る致命傷は与えたことはあっても、直接、お前自身の手で殺したことは無い


 ——————捕らえるためだ、殺す気は無いなどと言いながら、本当はただ、"殺す"ということが怖くて、"殺す"ことをしてこなかった


「怖かった・・・?ああ、そうだ。俺はこんな世界に来ても人を殺すことを忌諱していたんだ。"人型の魔物"に対しては割り切れた。"人型"であっても人ではない、そう思えたから。でも、"人"に対してだめだった。殺すことを躊躇ってしまうんだ。人を殺せば、何か、超えてはいけないものを超えてしまうような気がして・・・っ!!」


 ——————まあ、もといた世界でお前らは争いとは程遠い暮らしをしていたから、そう思うのも仕方がない。だが、


 ――――――その結果が、今回のコレだ。お前がこの世界に対しての認識が甘いから、この、殺す殺されるが当然としてある世界に対して覚悟が足りなかったから


「俺の、覚悟が足りなかったから・・・」


 ――――――お前の覚悟が足りなかったから、お前のせいで・・・・・、こんなことになったのだ


「俺の・・・せいで。俺のせいでミカヅキが死んだ・・・?俺のせい、なのか。」


 俺が殺すことを躊躇うから。俺の覚悟が足りないから。俺が人を殺すことを忌諱するから。俺がそんな中途半端な臆病者だから、ミカヅキが死んだ


俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。




「俺のせいだ・・・・。ごめん、ミカヅキ・・・」


 この世界に来てからずっと一緒にいてくれた。いつの間にか、俺にとってとても大切な存在になっていた彼女


 俺は彼女に謝る。もう、聞こえていないとわかっていながらも、せめて、せめて、あるかどうかもわからない彼女の"魂"というものに、どうしようもない俺の謝罪が少しでも伝わればいいと、そう思いながら





































「そんな風に謝らなくてもいいですよ、マスター」


 聞きなれた、よく知っている声が、聞こえた



はい、ということで『俺のせいで』がゲシュタルト崩壊しました。後で、コピペしていけば楽だったんじゃ、と気が付きました。実はこの回、前々から書こうと思っていたのですが、いざ書いてみると、何でしょう、何か・・・微妙ですね


次回、久しぶりにヒロイン視点

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