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58 優しそうな団名

58話目です。前回の予告でシリアス回とか言ったけど、書いてみたらそんなことなかった。いや、少しはそれっぽいのを入れてみたんですけどね。ほらもう、僕の後ろに予告ブレイカー君がいるんですよ。近いんですよ。

 ペットトカゲ捕獲の依頼を終えた俺たちはギルドに依頼完了のことを伝え、そして冒険者クラスが最低クラスのEから、Dへとアップした


 だが何だろう、あの依頼は完了したと言ってしまってもいいものなのだろうか?ぶっちゃけ、本来掴まえるはずのトカゲには接触どころか見かけてすらいなかったし。ずっと春巻き好きのやたら身体能力高いトカゲと追いかけっこしていただけだし・・・。これで依頼完了でしかもクラスアップとか、ちょっと罪悪感が湧くんだが・・・。まあ、いつまでも考えていても仕方がないし、もらえるものは貰っておこう





「さて、何の依頼を受けようか・・・?」


「Dクラスに上がると、Cクラスの依頼にまで手が出せるようになりますから、受けられる依頼の数も多くなりますしね・・・」


 さらに言えば、今までよりも高い報酬の依頼も受けられるということだ。やったね。ということで、やっぱりCクラスの依頼に手を出してみたいと思う


 何にしようかなと依頼板を眺めていると、ふとある一つの依頼に目が留まった



『依頼内容:盗賊の捕獲若しくは討伐   クラス:Cクラス以上    報酬:大銀貨1枚』



 盗賊か・・・。盗賊といったら、俺たちが度かのクソ領主を助けちゃったとき以来になるか・・・。報酬は大銀貨1枚。うん、これでいいんじゃないかな?


 盗賊討伐をすることに決めた俺は、ミカヅキにも了承を得てこの依頼を受けることにした




 依頼を受けた俺たちは現在、【ルアリトスの町】から徒歩で行ったらたぶん3、4時間くらいかかりそうな場所にある、周を木に囲まれた道に来ている。"たぶん3、4時間くらいかかる"というのは、俺たちが徒歩ではなく、【魔動自転車】を使ってここまで来たからだ。最近この魔動自転車にずいぶんとお世話になっている気がする。うん、文明の利器最高!!


 それはともかく、この道で盗賊が頻繁に出るらしい。数は大体4,5人くらい。剣やナイフなどの武器を持っているとのことだ。ということで、この道をうろうろしていたら盗賊に遭遇するだろう 


「よし、この道をうろうろするぞ」


「地味な作戦ですね」


 そういうなよ・・・。さて、気を取り直してやっていくか


「おい、そこのテメエら!!」


「殺されたくなければおれたちに持ってる金目の物ぜんぶよこしな!!」


 登場早っ!!まだ作戦を開始してから一歩も踏み出していなかったんだけど!?いや、手間が省けてよかったんだけどさ、なんかこう、もうちょっと待っててくれなかったかな~なんて思ったりもするんだよね


「お前らが近頃この辺で活動しているっていう盗賊か?」


 一応依頼にあった盗賊かどうかを確認。討伐しておいて、"ただの通りすがりの盗賊です"ってことだったら依頼の報酬金を受け取れないからな


「ああそうだとも」


 お、よかった。対象の盗賊であっているようだ


「いかにも、おれたちが盗賊【春風吹く萌え木団】だっ!!」


 なにその盗賊団名!?すっごい優しそうなんだけど。目の前にいる厳つい顔したおっさんたちには到底似合わない。というか見れば見るほど団名と団員の見た目のギャップがすごすぎて笑えてくる。今にも吹き出しそうだ


「ぶふっ!」


 カゲロウが笑った


「そこのテメエ!何笑っていやがる!!」


「おい、カゲロウ!お前のせいで笑ったの俺みたいになっているじゃねえか!!」


「いや宿主、これはちょっと、耐えられないぶっ!!」


 どうやらツボにはまったらしい


「おい聞いてんのガフェッ!?」


 まあ名前はともかく、依頼は遂行しなければならない。とりあえず殴ってぶっ倒す。1分後、この場にいた盗賊の制圧が完了した。あと、勝手に自分たちのアジトとか喋ってくれたりもした。仲間意識低いなー、この盗賊・・・


 せっかくアジトのことを喋ってくれたので、そこに向かってみることにした。倒した盗賊は【影の食卓部屋ブラック】に入れておいた。ちなみにさっきの盗賊たちは殴って倒しただけなので殺してはいないが、このブラックボックスは生死に関わらず入れておけるので便利なものである






 道から外れて森の中を歩いていくこと1時間ちょいくらい。洞穴のような場所を見つけた。ここが盗賊たちのアジトのようだ。【春風吹く萌え木団】だっけ・・・?あ、ダメだ。思い出したら笑えてくる

 

 魔眼を使って中の様子を確認。洞穴の中は広くもなく、狭くもなく。そこに盗賊は全員で20と少し。そこまで大規模ではないようだ


「そうだミカヅキ、ちょっと暗殺者風にこっそりとやってみないか?」


「こっそりと殺っていくということですね?わかりました」


 俺たちは盗賊のいる洞穴にこっそりと近づいていく。洞穴の入り口には見張りがいるが、幸いお昼寝中だ。慎重に進んで行き、洞穴まで残り10メートルを切ったその時


 ——————ガサガサッ


 後方から茂みをかき分けるような音が鳴る。まさか他の盗賊がっ!?ぱっと後ろを振り返ると、そこにはかわいらしい狐のような動物が。何だ狐か、驚かすなよ・・・。改めて前を向き洞穴に向か――――


「・・・ん?」


  見張りの盗賊が目をさましていた。ばっちりと目が合う俺たちと見張り盗賊


「何モンだテメエら!!」


 バレたー!!あの狐ぇ!!


「なんだどうした!?」


「敵襲か!?」


「侵入者か!?」


 洞穴の中も騒がしくなる。あの狐ぇ!!


「ちくしょう、"暗殺者風にこっそりと作戦"失敗だ。もういつも通りに行くぞ!」


「結局こうなるんですね・・・」


 まずは一番近くにいる見張りを蹴り飛ばす。もちろん鳩尾を狙って蹴った。洞穴の中へと入り込み、盗賊たちを殴ったり蹴ったり斬ったり、面倒くさくなって【カゲアソビ・針山】で広範囲攻撃したらミカヅキとタイミングが被って【影】で貫いた上に雷撃を食らわせちゃったりしながら、盗賊の半分近くを片づけた


「貴様ァ!!」


 盗賊の中でも一際ガタイがよく、いかにも"盗賊のかしらやってます"みたいな奴が激昂し、無骨な両手剣を振りかざして俺に向かってくる


「よっと、そしてどーん」


「ぐわあぁぁぁ!!!」


 両手剣を避け、盗賊頭を斬り、蹴り飛ばす。盗賊頭は2回ほど撥ねて、洞窟の入り口の方へと転がって行き、動かなくなった


「お頭ァ!?」


 驚くほど簡単にやられてしまった盗賊頭。もうちょっと頑張ろうよ盗賊頭。これでいいのか盗賊頭・・・。


 さて、頭は潰したが、他の盗賊たちはどうするのか・・・。統率を失って逃げるのか、それとも・・・おおう、戦意はまだまだあるようで。まあ、どちらにせよ逃がすつもりは無かったけどな


 残党と言っても10人くらいいる。頭が早い段階で出てきてやられちゃうんだもんな。盗賊頭とかそういう奴ってラスボス的なポジションじゃないの?まあ、とにかく今はこの残り物盗賊を片づけないとな。あ、そういえばさっきから斬ってばっかりいたけど、やっぱり証明とかのために、何人かは捕まえておいた方がいいのかな?うん、数人くらい捕虜として捕まえておくか


 残り物盗賊たちは俺の方とミカヅキの方の二手に分かれて向かってきた。


「ミカヅキ、捕虜も必要だと思うから全員殺しちゃったりするなよ?」


「え、あ・・・」


 そんな、何か"やってしまった・・・"というような声。その手元には魔法で作られた氷弾が発射される寸前で・・・いや、今発射された。先端が鋭くとがった多数の氷塊は勢いよく飛んでいき、そのままミカヅキの方へ向かっていた残り物盗賊に、全弾命中。残り物盗賊は倒れ伏した 


「えっと、その、なんかすみません」


「いや、まあ俺も言うの遅かったしな、うん。じゃあ、ちょっと残りのやつら捕まえてくるわ」


 俺は残った方の残り物盗賊たちに向かって駆ける。捕まえるつもりなので、【半影喰】は解除する。相手は剣やナイフ持ちでこちらは素手だが、装着している手袋がものすごくハイスペックなので刃物なんかを気にしなくていいというのはありがたい


 刃物を持つ相手の制圧方法とかそういった知識は無いので、力任せにでも相手が動けなくなるように倒していくしかない


 袈裟懸けに振り下ろされた剣の刃を掴んで、鳩尾を殴って一人目。突き出されたナイフを避け、伸びた腕を掴んでそのまま相手の体ごと大きく回して壁におもいきりぶつけて二人目。今度はこちらから仕掛ける。脚をかけ、体制を崩したところに後頭部を掴み地面に顔面を叩きつけ三人目。振り下ろされた刃を避け、かがんだ状態から対上がる勢いを利用しながら相手の顎に掌底をかまして四人目。普通に回し蹴り五人目。顔面パーンチ六人目


よし、これで盗賊はもういないはずだ。後は、今さっき倒したばかりの残り物盗賊たちを縄・・・は持っていないから【影】で作ろう


 俺は【カゲアソビ・縄】で盗賊たちを縛っていく。手と脚を影の縄でグルグルと縛っていく。大丈夫だとは思うが、しっかりと縛っておこう


「ぐッ!?」


 苦悶の声が上がる。一瞬、そんなにきつく縛ったかな?とか思ったが、違う。今声を上げたのは目の前にいる盗賊の残党共じゃない。もちろんのことだが俺の声でもない。というより、その声は聞きなれた、よく知っている声だ


 何があったのか、俺は振り返る。そこには



 胸部から無骨な剣の先が生えたミカヅキの姿があった



はい、ということで一瞬シリアスモドキが顔を出しました。【春風吹く萌え木団】とか、自分で"僕はいったい何を書いているんだろう?"とか疑問に思いました。


次回、シリアス来いっ!!

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