別話3 対戦訓練
サイドストーリー3話目です。まずい、週一投稿みたいなペースになってきている。何とかしなきゃ。何とかしよう。何とかしようかな。何とか出来たらしよう・・・。ダメですねこれ
あ、そういえば急にですが、『別話2』を改稿しました。具体的に言えば、『友達?何それ美味しいの?不味そうね』状態にしました(そこまでやっていません)。詳しくは、後日近いうちに活動報告にでも書いておきます。(別に確認しなくても問題ありません)
わたしたちが勇者として召喚されてからおよそ2か月ほどが経った。この世界に来たばかりの最初の頃は、見知らぬところや家に帰れないとういこともあって皆あまり元気が無かったけど(中には異様にテンションが上がっている人もいた)、さすがに2か月もすれば慣れてきたようで今はこの、これまでに見たことも無かった珍しい世界を楽しんでいるようにも見える
楽しんでいる、と言ってもわたしたちは【勇者】として召喚されたわけだから遊んでばっかりということでもなかったりする。この世界のことについて勉強したり、魔法、戦闘の訓練なんかをした。はあ、せっかく異世界に来ても勉強することは変わらないみたい
この世界のことを勉強するのはともかく、魔法を習うのは面白い。なにせ、元の世界には無かった"化学"以外の方法で現象を起こすことができるのだもの。初めて自分の指先から火を出せた時には大騒ぎ・・・はしなかったけど、それくらい興奮はした
ただ、戦闘訓練は大変キツイ。まず、基礎体力作りのために走らされた。運動系の部活に入っていたはずの人でもかなり息を荒げていたのだ、わたしを含めた運動何てしてこなかったインドア派の人間たちはすぐにバテた。普段使わない筋肉を使ったせいか、筋肉痛も起こした。そういえば、初めて剣を握ったときはその重さに驚いたなあ。マンガの中の人たちはよくもまああれだけ振り回せるものだと思ったね
それも2か月経てば、ほぼほぼ問題なくなってきていた。普通、1か月そこらで剣なんて振り回せるようにはならないけど異世界召喚時に身体に何らかの補正でもかかっているのかもしれない。実にありがたい話ね
「というわけで、本日の戦闘訓練は君たち同士で闘ってもらう」
そう声を張り上げたのはウラスさん。わたしたちの戦闘に関する指導者で、召喚初日にステータスカードみたいなものを配ってくれた人。口調が堅苦しくなっているが、訓練じ以外では優しそうな喋り方をしている。そして、なんでも王国騎士の団長さんなんだとか。騎士団長なんて位の人がこんな素人たちの訓練に時間を費やしている暇なんてあるのかな?と思ったけど、どうやら異世界から召喚した勇者であるわたしたちには優遇するべき人たちだからと上(つまり王)からの命らしい。【隷属魔法】をかけておいてよく言うよね
さっき団長さんが言っていたとおり今回の訓練はわたしたち同士での模擬戦。武器は勿論、魔法やスキルありの1体1での戦闘をトーナメント方式で行うというものだった。うーん、これは1回戦負けで低能力判定も勝ちすぎて有能判定もされたくないな。1、2回戦を勝てばいいくらいかな?
「対戦相手はこちらがランダムに決めさせてもらった。では早速初めて行こうと思う」
さて、あまり張り切らずにやって行こうかな。目指すは3回戦での敗北!!
と、思っていましたが、見事3回戦を突破することができました!わーわー!!はあ・・・。何でこうなったのかよくわからない。いや、わかっている。ただその理由がしょうもないせいでいまいち納得しがたいんですよ・・・
まずわたしは1回戦、2回戦と特に問題も無く勝ち上がっての3回戦目。本来はここで相手が強かろうが弱かろうが負けて、"ハイ、アナタまあまあの人ね"って思われるのがベストの結果。・・・だったのに
対戦相手は剣を持った【スピード上昇】系のスキル持ち。開戦直後にスキルを使用して、真っすぐこちらに突っ込んできた。こんな見え見えの攻撃をするなんて何を考えているのだろう?と思ったけど、何かに備えてわたしも【全反転】の準備はしていた
そういえばこのスキル、使っているうちにできることが増えていくみたい。小さいし数秒だけど、障壁みたいに展開できたり、攻撃を受けて返すとき、反撃の倍率を変えられるみたい。現在は大まかに0.5倍から1.5倍くらいの調整ができる。この時は、等倍で前方に障壁のように展開していた
トップスピードに乗って剣の攻撃範囲内にわたしを充分に収めた相手は急に止まろうとした。フェイントをかけて防御のタイミングをずらそうと考えたのだろう。でも今回の場合、止まろうとしたであって、止まれたわけではなかった。そう、コケたのだ。なんでもない地面に躓いて
まさか眼前でこけられるとは思わず驚いた。相手も自身もひっかけるフェイント大成功だねおめでとう。とかそんなことを思っている場合じゃない。何せトップスピードからの前のめりに倒れてきたのだからそれはもう体当たりの部類だし、剣も持っているのだから余計に危ない。わたしは痛いのは嫌いだ!!
体を動かし、何とか剣が当たるのは回避した。でも、次の瞬間
——————ゴッ!!
何故か相手は仰向けになって倒れていた。推測するに、わたしが張った障壁に突っ込み、威力の方向が反転して弾き飛ばされたのだと思う。あ、さっきの"ゴッ"って、頭を打った音かな?そのまま相手は戦闘不能。わたしの勝利となってしまった。うん、わたしほとんど何もしていないんだけどな・・・
「勝者、ハットリコウジ!」
いくつかある戦闘場所の一つから勝者を呼ぶ声が聞える。どうやら勝ったのは我らがなんちゃって委員長ことハットリコウジ君。ハットリ君のスキルは確か【勇者の装備】。なんとも微妙な名称のスキルだけど、意外とすごかったりする。スキルの効力は、"装備した武具の性能を超絶引き上げる"だったかな。つまり、このスキルを使えば道端に落ちている木の枝を拾って
『聖剣エクスカリバー!!』
とかやっても本当に聖剣並みの切れ味になるということらしい。今はまだできないようだけど。まったく、冗談みたいで恐ろしいスキルだよね。わたしの【全反転】で防げるかな?やったことは無いけれど、厄介そうなので是非ともそういうことが無いように祈っておこう
「次の対戦。キリヤマカスミ、オクムラシオリ」
どうやら次の対戦みたい。相手はなんちゃって図書委員のオクムラさん。よし、今度こそ負けよう
「それでは始めっ!」
戦闘が始まる。オクムラさんのスキルは【想造物語】。魔力をインクとして使う特殊なペンで紙に自分の起こしたい事象を書くと、それが実行されるんだとか。ただ、紙切れインクや切れが起こると使えなくなる、事象が強すぎると発動しなくなるなど条件もあるらしい。これも面白いスキルだから覚えている
このスキルの攻略法としては・・・"書かれる前に倒す!!"だ。つまり開始速攻で攻めればほとんどの確率で勝てる。相手の目の前でコケる・・・などという下手をしなければね。でも今回の目的は勝つことじゃない。むしろ負けに行くのだ。だから、オクムラさんが書き終えるまでちゃんと待っていてあげよう!
・・・・・あれ?来ないの!?たぶんもう書き終えているはずなんだけど一向にかかってこない。これはわたしから行くしかないのか・・・?わたしのスキルは思い切りカウンタータイプのものだけど、武器としてロングソードは持っているから攻めに動くことはできる
とりあえず負けてもいい、というか負けるのが目的のわたしはどうにでもなれと突っ込んでいく。オクムラさんを県の射程圏内に入れ、足を踏み込む。と、ここでオクムラさんがスキルが発動する
「【衝撃】!」
やっぱり痛いのは嫌だ!!オクムラさんの声が聞えた瞬間、わたしは回避行動をとり、その攻撃を避けていた。いやあ、今のよく回避できたなあ・・・。そう思いながら、オクムラさんを見ると・・・微かに笑みを浮かべる
なっ、まさかもう一つ!?書置きしていたっていうの!?わたしは既に一度回避行動を取っているから体制が万全ではない。くっ、この人の本当の狙いはこっちだったか。いや、これわたしの負け確定の試合だったじゃん。でもこのまま受けるのは痛そうだな。なら・・・
「【衝撃】」
オクムラさんが呟くと同時にスキルが発動する。わたしはそれを瞬時に発生させた【反転障壁・0.5倍】で防ぐ。攻撃は跳ね返したものの威力は半減させているのでオクムラさんに大したダメージは無い。わたしもこの攻撃で吹き飛ばされたふりをする。そうして戦闘不能を装って負けることに成功した。正直演技がバレるんじゃないかと思ったけど何とかなった
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
対戦訓練から4日後、わたしたちは再びウラスさんの前に集められた
「君たちには後日ダンジョンへ挑戦してもらうことになった。パーティー分けは、先日行われた対戦成績をもとにわたしたちが組ませてもらった。では、各パーティーのリーダーとメンバーを言っていく。聞き逃さないようにしてくれ」
おお、遂にダンジョンに!いったいどういうところなんだろう。楽しみだなあ!!
「では一つ目のパーティー。リーダーはハットリコウジ。メンバーは――――」
やっぱりそうだよねえ。何だったらトーナメント戦で優勝なんてしていたもの。そりゃあ、リーダーにも選ばれて当たり前。あ、オクムラさんもリーダーとして呼ばれている。うん、やっぱりテンプレ感があるよね
「そして最後、リーダーはキリヤマカスミ」
「えっ!?」
え、わたし!?びっくりして思わず声を出してしまった。おかしい、何でリーダーに選ばれているの?むしろこうならないように対戦訓練に挑んだつもりだったのに・・・
「以上、このパーティーメンバーで、ダンジョン【エイルムの塔】に挑んでもらう」
うう、何でこうなった・・・
はい、ということでよくある生徒同士の対戦の話でした。なんちゃってクラス委員長アンド図書委員のスキルは書きたかったから書いただけです。今後出てくる予定はありません
次回、本編に戻ります。隣国に突入かな?




