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49 下って行きます

49話目です。工事現場でたまに見る、大きなドリルのような掘削機のついた車の名前って、【パイルドライバー】っていうんですね。なんかカッコイイ

「あはは、ダンジョンってすごいのね。こんなにいつも見ているのに知らなかった」


「ええもう本当にとんでもないところでしたよ」


 外見と内装が全く合っていないんだもの。水とか空とかどうやっているんだよって話だ


「面白そうなところだけれど、ぼくには無理そうだなあ」


 確かに、ストールさんには申し訳ないけどあまり戦闘できそうにないもんな。あ、ストールさんと言えば・・・!


「ストールさん、実はダンジョンで魔物からこんなものをゲットしたんですよ」


 俺は羊モドキからドロップした包丁数種類を【影の食卓部屋ブラックボックス】から取り出して渡す。羊モドキが使っていた時と違って普通の人間でも扱えるサイズになっているから問題ないだろう。懸念があるとするならば、これが魔物から得た物ということだが・・・


「え、もしかしてこれを僕にくれるのかい?」


「はい、魔物からドロップしたもの何ですけど、それでも良ければ・・・」


「いやいや、嬉しいよ!こんなにもたくさんの種類。しかもどれも上等そうな物ばかりだ!ありがとうアライ君!!」


 おおう、まさか羊モドキの包丁でこんなにも喜んでもらえるとは思わなかった。そういえばラスボスのコックが使っていたフライパン。あれは本当に武器だった。【魔法耐性】みたいな効果が付いていた。日々の生活の中でだいたいを魔法で済ませているこの世界であのフライパンが活躍することはほぼ無いだろう。残念だったなフライパン


 そうだ、包丁も渡したことだしあれもストールさんに渡してしまおうか


「あと、こんなのもゲットしたんですけども・・・」


 【ブラックボック】からダンジョンでゲットした様々な食材を取り出す。なんちゃって羊肉、魚介、木に生っていた果実、生えていたキノコ、鶏肉各種部位。結構いろんな食べ物ゲットしていたんだな。もちろんすべて食べても安全なものだ。【鑑定】で確認したから大丈夫だろう。え、ゾンビの腐肉?あれって肥料用でしょ?


「これはまた、たくさんあるねえ。いいよ、せっかく貰った包丁の試しだ。これを使ってバーベキューかな!」


 やったぜバーベキュー!!ストールさんが作るのならダンジョンで俺がやった時よりも美味しくなるだろう。期待が高まるぜ!!


「いろんなもの捕ってきたのね。あ、そういえばアライ君。ダンジョンの魔石ってあった?」


「魔石ですか?」


「ええ、【迷宮遺跡ダンジョン】って魔物なんじゃないかって言われているじゃない?魔物なんだったら魔石もあると思うんだけど・・・。最上階まで行ったアライ君なら魔石とか見ていないかなって」


 そういえばそんな説あったな。確かにダンジョンでそれらしき魔石は見ていないな。でもダンジョンって【鑑定】したとき魔物に分類されていたから魔石はあるはずなんだけど・・・。おかしいな


「あ、そんなに考えなくてもいのよ。何となく言ったみただけだから・・・」


 いや、そんなこと言われても気になってしまったのだから仕方がない


「魔石は何処かにあるはずなんだよなあ。進んでいる途中で見落としたか・・・?」


 ダンジョンの進んだ経路を思い出していき、"どこかに隠し扉はあったかな?"と考える。が、どうしてもそれらしきものは思い出せず、もう諦めようかなと思ったとき、ミカヅキが何かに閃いたようで俺に声をかける


「マスター、もしかして"地下"・・・なんじゃないですか?」


「地下?どういうことだ」


「えーと、あのダンジョンって元デパートじゃないですか?デパートって・・・1階より下も存在しますよね?」


 なるほど、それなら納得がいく。俺たちは上にしか進んでいないからな。もし地下に魔石があるのだとしたら発見できていなくてもおかしくはないな


「でも、マスター1階から6階まで壊してしまいましたからね。降りる手段とか無くなっていそうですが・・・」


 そういえばそうだった!!まさか"G"を駆除した代わりに魔石が確認できなくなるとは・・・!!ダンジョンがあんなに大きいんだから、魔石も相当大きいんだろうな。ちょっと見てみたかったな・・・


「いや待て、まだいけるぞ!!」


「いきなりどうしましたマスター!?」


「ああ、いや地下に行く手段ならまだあるんだよ」


「そうなんですか?いったいどうやって・・・?」


「物理で」


「・・・・・え?」


「ストールさん、エリメラさん。すみませんが、ちょっとダンジョンに行って魔石を見てきますね!!バーベキューは夜で!よし行くぞミカヅキ!!」


「あ、ちょっとマスター!?」


 思い立ったが吉日というし、早速出発だ


「え?ええ、行ってらっしゃい?」


「くれぐれも気を付けてね?」


 唐突の行動に二人とも驚きながらも送り出してくれた





 さて再びダンジョンの中へとやってきた。相変わらず羊モドキが包丁片手に襲ってきたが今は構っている暇はないので速攻で片づける。ドロップした肉ももったいないとは思いつつも今回は拾わなかった


「それでどうするんですかマスター?」


「地面をぶち抜いて地下一階の天井に穴を開ける」


「はあ、まあそんなことだろうとは思いましたけどね・・・」


 どうやってぶち抜こうか・・・。刀だと時間がかかるし、かと言って【巨人】だとダンジョンそのものをぶち抜きそうで怖い。そうだ、工事現場とかにある穴を掘る大きな鉄柱みたいなものにしよう


天井に影の【鉄柱】を作り、地面に向かて伸ばす。俺たちが入れるくらい穴を開けられるように太さを調整してある。先端部部の尖らせて・・・あ、打ち込むよりドリルみたいにした方がいいか。鉄柱に螺旋状に刃を付けよう


 よし完成。これであとは掘るだけだ。ドリルみたいな形状にしたから、【鉄柱】を回転させなければいけないんだけど・・・。俺一度も【カゲアソビ】で作ったものを回転させたことないんだけど、うまくできるかな?とにかくやってみよう。回すイメージで、回すイメージで・・・


 ——————ガッ!ガガッ、ガリ、ガリガリガリガリ


「お、おおっ!!できてる!!」


 初めてで不慣れなせいか、鉄柱が進むのはかなり遅い。だけど、何となくコツみたいなものは掴んだぞ!!あとはもうちょっと練習していけば、もっとスムーズにできるようになるな。とりあえず今はここを掘削していかなければ


 しばらく経つと、慣れてきたおかげかだいぶ回転するスピードが上がった。だが未だに地下1階には到達していないようだ


「マスター、まだ届かないんですか?」


 俺はドリルを操作していて手が離せないので、ミカヅキには近づく羊モドキを倒してもらっていた。だがそろそろ飽きてきたようだ


「うーん、一回抜けたような感じがしたんだがすぐにまた掘り進めたんだよな。ちょっと一回確認してみるか」


 俺は掘削ドリルを消し、掘り進めてきた穴を覗く。だいぶ深くまで掘っていたようで、中は真っ暗で見えなかった


「ミカヅキ、魔法か何かで照らせるか?」


「わかりました。【ライト】」


 ミカヅキがそう唱えると、穴の中が強い光で照らされ一気に明るくなった。どれどれ、これで見やすくなった・・・あれ?地下1階まで貫通してない?穴の下の方に地面らしきものが見える。それと何か大きな物体も


「ミカヅキ、地下に何かあるぞ。ちょっと降りてみよう」


 俺たちは地下へと降りる。地下と個々の地面はかなり高低差があるのでそのまま飛び降りるようなことはしない。翼を出現させたミカヅキに運んでもらった


「ふう、重いですマスター」


「仕方がないだろ?俺はお前みたいに飛べないんだし。それよりも、そこの物体・・・・なんか動いてない?」


 魔石・・・ではないだろうし、何なのだろうか。視ればわかることだな。【鑑定】


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【ティアマト】・・・・・魔物


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「魔物っ!?」


「あれ魔物なんですか!?いや、でもなんで攻撃してこないのでしょう・・・」


 確かに何でだ?・・・あれ?なんかアイツの胴体部分傷ついてない?というか開いてない・・・?


「まさか空洞に到達してすぐに掘削し始めたのって・・・あれか?」


「うわあ、マスターひどいですね。あの魔物もここで待機していたでしょうに、まさかの上からの攻撃で胴体を削られるとは思いもしなかったでしょうね・・・」


 うん、ちょっとこの魔物には済まないことをしたと思う。せめて止めくらいはちゃんと刺してあげよう・・・


 ———————ザシュッ!!


「Gugyaaaiiiaaa!!!」


 さようなら、君のことはたぶん忘れないよっ!!


「さて、邪魔者は消え去った。あっちに階段があるみたいだし進もうか」


「死んでなお酷い扱われようですねあの魔物・・・」



はい、ということでティアマトさん呆気なく死す。戦わせる予定もあったのですが、長くなりそうなのであのような結果に・・・


次回、遂にダンジョンの魔石を発見!?

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