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45話目です。焼き鳥にもある『ねぎま』ってもともとはネギとマグロを煮た『ねぎま鍋』のことらしいですね。初めて知りました。ねぎま鍋・・・おいしそう

「高く青い空!吹き抜ける風!目の前に広がるのは壮大な自然!とんでもないダンジョンだな!!」


「確かに。空も高ければ標高も高い。吹く風は強風。目の前には崖、崖、崖の危険地帯。ホントにとんでもないダンジョンですよ」


 ダンジョン9階。そこは空のステージだった。先程ミカヅキが"崖だらけ"と言ったが、"崖"というよりは、テーブルマウンテン(確かそんな名前だった気がする)をかなり縮小したものがあちこちに点在していると言った方が正しい。3階の水のステージの仕様と近いかもしれない


「まあ、3階と違うのは既に橋が架けられているというところかな」


「それはそうですよ。今いる足場の下に雲があるんですからね?ここから地面見えませんからね?橋が無かったらクリア何てできませんよ」


「それができるのは自力で橋を作り出せる宿主や飛行できるお嬢ちゃんみたいな能力を持つ者くらいだろうな」


 確かに俺たちみたいな能力を持たない人たちには"橋"はとても重要なお助け仕様だろうな。ただあの橋、強風で結構揺れているような気がするんだけど大丈夫なのだろうか?途中で橋が壊れちゃうみたいなお約束にならないかとても不安なんだが・・・





「うおおおおおおおお!!??めっちゃ揺れるんだけど!?揺さぶられるんだけど!?これなんてアトラクション!?」


 橋は見た目よりも揺れた。強風で煽られているうえに、橋は地面まで見えないところにある超高所。安全装置なんて無い分ジェットコースターよりも恐ろしい。その上に


「Gegyooooaaaa!!!」


「マスター魔物です!」 


 橋の上でも遠慮なく襲ってくる魔物。ステージが空のためか魔物はでかい鳥の姿をしている


「鳥っていうか、プテラノドンみたいだな」


 "視て"みたところ、【オンモラキ】という名前らしい。オンモラドンと呼ぶことにしよう。オンモラドンが橋を渡る俺たちに向かって飛んでくる。ただでさえ強風で橋がガタガタと揺れているのにオンモラドン・・・ちょっと長いな、ラドンでいいや。ラドンの羽ばたきによる風圧のせいで余計に揺れる


「あ、足元がぐらつく。うまく狙いが定まらないじゃないか。おのれラドン!!」


「ラドンって何ですか!?」


「え?あの鳥の名前・・・・っと危ねえ!!」


 俺は影で壁を作り、ラドンの翼から放たれた風の刃を防ぐ。俺たちは多少攻撃を食らっても何とかなると思うが、この橋にでも当たったら壊れそうで怖い。風の刃が収まり、ラドンに少しの隙が生まれる


「オラアッ!焼き鳥の具材になりやがれえええ!!!」


 足場は相変わらず揺れて安定していないが、"数撃ちゃ当たる作戦"でラドンのいる大体の範囲に影の槍を打ち出す。そのうち何本かが両翼と胴体を貫いた。それでラドンは倒せたらしく、だんだんと体が光となって消え、肉らしきアイテムが出てきた


「よしっ、焼き鳥の具材ゲット!」


「マスター、ここ空中!!」


「そうだよ?空中だよ?何言ってるの?」


「そうじゃなっ、あ、アイテム!アイテム!!」


 アイテム?アイテムがいったどうしたのか・・・・はっ!ラドンを倒したのは橋の上ではなく空中、光となって消えたのも空中、となればアイテムがでてきたのももちろん空中。空中なので足場など無く、地面があるは遥か雲の下。ということはつまり・・・


「ぎゃあああああ!!??肉が落ちていってるううううう!!!???」


 慌てて影を使い肉をとらえようとするが影が肉をとらえる前に肉は雲を突き抜抜け・・・・・見えなくなった。肉、獲得失敗なり・・・


「おい宿主!!肉が落ちたじゃないかああ!!どうしてくれる!!」


「何もしてないお前が何言ってやがんだよ!!」


「"影"はワタシの力だろう!!」


「そんなもん知るかああ!!」


「マスターちょっとうるさいですよ?」


 なぜ俺だけ・・・理不尽。おのれラドン、これもお前の策略なのか・・・


「どうせまた魔物はでてくるんですから、アイテムはいくらでもとれますって」


「そうだな、お嬢ちゃんの言うとおりだ。よし、そうなれば早く行くぞ宿主!」


 カゲロウが上機嫌になった。気分の変わりやすいやつだなあ。食べ物のことだからか?




 橋を渡りながら所々にある陸地を進み、現在は10階の階段に来ている。これまで通り階が上がると魔物が集団で襲ってくるようになってきた。この階層での対集団線の何が厄介かというと、足場がめちゃくちゃ不安定になるということだ。一匹でもかなり揺れたというのにそれが2匹3匹となると右に少し揺れたかと思えば急に左へと戻されたりと、"ここは洗濯機か!?"と思うほどだ。いやまあ、洗濯機で回されたことは無いから何となくの例えではあるんだがな


 ともかく、足場が安定しないから狙いがうまく定まらない。なのでこのステージは一撃必殺よりは多発攻撃を使っていった。数十発も打ち込めばどれかは当たるものだ。まさしく"下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる"と言ったところか。おい、誰が下手くそだこのやろう


 もちろん、倒した後のアイテム回収は忘れない。最初みたいに肉を落としてカゲロウにとやかく言われないように全部拾った。空中に出現したアイテムを影で受け皿みたいなものを作って下に落ちないようにキャッチ。それをこちら側に持ってきて無事回収


 この作業、一匹だけならまだ楽だったのだが数が増えると面倒くさくなる。戦闘中にどれか一匹がアイテムに変われば他の魔物と戦いながら回収しなければいけないし、全部がいっぺんにアイテムに変われば3方向4方向にいっきに影を影を伸ばさなければならなくなるのだ。まあ、全部回収したんだけどね!



ということで今回の昼食には大量に回収した鶏肉を使っていこうと思う


「炒めてみるか・・?でも鶏肉だけ炒めてもなあ。そうだ、焼き鳥みたいな感じにするか!」


 ドロップ品の鶏肉を適当に一口サイズに切る。塩をまぶす。影で作った串に刺していく。フライパンを作り出し、そのうえで焼いていく。焼けたら影の皿に移してはい完成!


 うわ、すっごい楽だなー。いや素材も少ないし、俺にできることなんて焼くことくらいだからこんなものなんだけど。さて、適当な数が焼き上がったので食べるとするか


「それじゃあ、いただきます」


「いただきます」


 ・・・・うん、塩味も効いているし肉も硬いことはないから普通にうまい。あー、塩味だけじゃなくてタレにしたりとか、ねぎまにして食べてもみたいな。この世界にも醤油とかあるかな?あったらタレとかもありそうなんだが・・・。ネギは探せばそれっぽいのがどこかに生えていないかな?


「宿主、それをワタシにも!!」


「はいはい、今やりますよ」


「うむうむ、・・・やはり調理済みの方が生より美味いな!!」


 コイツまた生のやつをつ食っていやがったのか!!俺が一生懸命鶏肉を回収している間に自分はつまみ食いとは・・・許せん!!俺はちょっとした嫌がらせとして串で纏まっていたものを渡すのではなく、バラで別れたものを一つずつ渡していった。ふはははは!一つずつ渡されるのは面倒くさいだろう!!


 が、俺の思惑とは逆に、わざわざ俺が食べやすい形でカゲロウに焼き鳥を渡す結果となり嫌がらせどころかカゲロウに


「おお、串から外して渡してくれるとは、わざわざすまないな宿主!!」


 と言われた。お礼みたいなことを言われて少し嬉しいのではあるが、嫌がらせが成功しなかったというこのなんともいえない気持ちが心に残り・・・若干落ち込んだ


「何やっているんですかマスター・・・」


 いや、何でもないんだよ。何でも・・・







 昼食時にいろいろやって落ち込みはしたものの、その後気分を持ち直して進んで行き空のステージに入って4階目、つまりボスの部屋に来た。ボス部屋は円形の広い地面があり、その周りは崖。もちろん俺たちがいる足場の下の方に雲がある状況となっていて、落ちたら死ぬだろう


 ボスの魔物は【ジズ】という名のめちゃくちゃデカい鳥だった。来る途中に襲ってきたラドンたちもなかなかの大きさだったが、コイツはラドンたちよりも二回りも三回りも四回り・・・まではいかないかな?ともかくデカかった


「よっしゃ、コイツも倒して焼き鳥の具材にするか!!」


「Giigyaaaaaaaaaa!!!!!!」


 ジズが叫びながら大きく羽ばたいた。その巨大な翼から発せられる風圧はラドンたちよりもはるかに強く、俺たちは思ったように前に進めない


 危ないな。ちょっと気を抜いたら飛んでいきそうだ。橋の上でないだけまだマシか。こんな風圧を受ければあの橋も壊れそうだな


「あ、この強風なら"傘で空を飛ぶ"という小さいころに夢見たことが実現できるんじゃ・・・」


「何を阿呆なこと言っているんですかマスター!!来ますよ!!」


 ジズは空へと飛び上がり、上空という優位な位置から風の刃を飛ばしてきた。本体がデカいせいか刃もデカい。しかもそれを連発で飛ばしてくるのだから厄介だ


 うわっ、刃が当たったところちょっと抉れているじゃん。攻撃力もそこそこあるっていうことか。上空にいるから攻撃も当てにくい・・・でも、数撃ちゃ当たるだろっ!!


 俺は影の槍をジズに向かって多数撃ち放つ。だが、かなりの数を撃ったにも関わらず全回避とはいかずとも致命傷は避けられた


「デカいのに速いとか、それは無いわー」


「マスター、今のをもう一回やってくれませんか?」


 もう一回?まあ何か作戦でもあるのだろう。4階での"水中雷作戦"みたいなものじゃなければいいんだが・・・


 とにかく俺はもう一度ジズに向けて多数の槍を撃ち放った。するともちろん先程のようにジズは回避し槍の攻撃を食らわなかったが・・・、回避した先に打ち込まれたミカヅキの炎弾が見事命中しダメージを受けていた


「名付けて、"追い込み漁"作戦ですっ!!」


「おおっ、やるじゃないか!!これならいけ――――――」


 ——————フシュウウウウウウゥゥゥゥゥゥ!!!!!


 突然ジズの口から黒い煙のようなものが発せられ、瞬時に辺りを真っ黒に染めつくした


 何だこれ!?毒か!?・・・いや違うな。毒ではなく・・・そうか煙幕か!!あの魔物、煙幕を張って俺たちから自分の位置をわからなくさせようとしたんだな。それで暗くても目の利く自分が一方的に攻撃を仕掛けようと・・・っ!!


 黒い煙のせいで夜のように暗いその中をジズの放った風の刃が俺たちに向かって飛んできた。が、もちろんそれを食らうことなく回避する


 普通なら見えなくてピンチになる場面だろうが・・・、生憎俺たちも暗闇の中でも目は利くんだよね


「ミカヅキ、いけるか?」


「もちろんです。問題ないですよ!!」

 

 よし、ならばどうやってアイツを倒すかだが・・・。ジズは空を飛んでるからなあ。追い込み漁作戦もいいんだが、結構な時間がかかりそうだし・・・。あ、相手が空を飛んでいるのなら・・・


「ミカヅキ、ちょっと」


「なんです?・・・・・なるほど、わかりました」


 作戦会議を終えた俺はミカヅキと離れ、ジズに攻撃を当て始めた。影の槍を飛ばしての刺突は勿論、カゲロウにも協力させ、魔法で炎弾、水弾、風刃、土弾、氷弾、雷撃などを撃ち込んでもらった。さすがにこれほどの弾幕は避けきれないようで、かなりの数が被弾した。だが、これでも奴は倒れない。そこでミカヅキの出番だ


 俺がジズに攻撃を当て注意を引いているうちに、飛行能力を持つミカヅキが上空へと飛び上がりジズの首に斬りかかる


「らあああっ!!!!」


 ミカヅキの振るった刀はジズの首に入り、肉を裂き骨を断ち切って反対側へと抜ける。首と胴体が離れたジズは活動を停止し、地面へと落ちてきた


「ふう、うまくいきましたね」


「おう、お疲れ。ナイス止めだったぜ!」


 ミカヅキも空中からゆっくりと降りてきた。俺がミカヅキを労っていると、先程落ちてきたジズが光となって消え、アイテムが出現した。おっと、今回はどんなアイテムが出てきたのかな・・・?


 今回のボスから出てきたアイテムは、クッションみたいなものが数個と、大きな卵だった


「マスター、もしかしてこのクッション、前回のボス戦で手に入れた椅子やソファと合わせるんじゃないですか!?」


 なるほど、そういうことか!!早速前回手に入れた椅子とソファを取り出し、クッションを置く。さらにそれを【天界製万能手袋】で合成させていく。すると、なんとも座り心地のいい椅子とソファが出来上がった。しかし椅子とクッションを合成させられるとは・・・さすがこの手袋、万能だな!! さて次はこの大きな卵なんだが・・・、これさっきの奴の卵だよなあ


「マスター、これって"孵化させて従魔にする"っていう流れの奴じゃないですか?」


 ミカヅキが先程完成した椅子に座りながら言う。結構あの椅子気に入ったんだな・・・。しかし、従魔か。成長したらあんな大きな奴になるのかなあ。何時頃生まれるとか"視れる"かな?



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【ジズの卵】・・・・ジズの卵。無精卵


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「無精卵っ!!!」


 はっ!!危ない危ない。あまりの結果に卵を地面に叩きつけるところだった


「あー、無精卵だったんですか?その卵?」


「そうだったみたいだな」


「・・・後で美味しくいただきましょうか」


「そうだな」


「ワタシも食べるぞ!!」



 こうして従魔計画は失敗に終わった



はい、ということで、「従魔かと思った?残念無精卵でし(殴

 ・・・・痛いです。ふふふ、従魔なんかそう簡単にゲットさせないさ・・・


次回、ヒーローものでおなじみの大きなアレみたいなやつが出てくるかも

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