44 おお樹い
44話目です。今回のサブタイトルは『おおきい』と読みます。話をサクサクっと進めたいな~と思いながらサクサクっと書いたらかなりサクサクっと進んでいきました。変に詰め込んだ感もある気がするけど、気にしないっ!
俺たちは中ボスとの戦闘後、ボス部屋の先にあった5階へと続く階段の踊り場で睡眠をとり、今は5回へと来ている
「水の次は森かよ」
「森ですね」
「森だな」
5階層は森がステージとなっているようで、見渡す限りに木が生えていた。木・・・か。ということはこの階で出てくる魔物は植物かな?普通こんなに緑が生い茂っていてはどこに魔物が潜んでいるのかなんてわからないし、厳重な注意をしながら慎重に進んで行かなければならないだろうが・・・、残念俺には魔眼がある!これでどこに魔物がいるのかを見つけてやるぜ!!では早速見ていこう
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【ヤ=テ=べオ】Lv.38 【ヤ=テ=べオ】Lv.36【ヤ=テ=べ【ヤ=テ【ヤ=【ヤ【【【【【【【【【【【【【【【【【【【
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多いよっ!?予想を遥かに超えて多いよ!!どうやらさっきからやたらと名前が見えている【ヤ=テ=べオ】というのは木の魔物のようで、このゾーンにある何の変哲もない普通の木に紛れているようだ。"木を隠すなら森の中"、ということか。それにしても多いな。6本に1本くらいの間隔で魔物なんだけど。まあこの魔眼を存分に使っていけば問題は無いか。魔眼様々だな
「ミカヅキ、俺が指示したところに炎とかぶち込んで言ってくれないか?」
「いいですけど。何故です?」
「そこに魔物がいるから」
「どこかの登山家みたいな言い方しますね」
俺は魔眼で木を確認しながらミカヅキに指示し、ミカヅキはそれを受けて炎で魔物を焼いていく。やはり植物であるせいか炎で簡単に燃える。炎が魔物から周りの木に燃え移ってこの階そのものが大火事になってしまうんじゃ、と途中まで進んだところで気が付いたが、火事になったら火事になったで勝手に木が燃えていってくれるのでこちらの作業が減るからいいか、とも思いそのまま進むことにした
さっきから先制攻撃で沈めていっているが、そういえばコイツらってどんな攻撃をしてくるんだろうと思い、羊モドキの肉・・・はもったいないので島の魔物の肉をちょっと遠くにいる魔物に向かって投げてみた
すると、木から何本もの枝が触手のようにうねりながらもの凄いスピードで肉へと絡みついた。そして枝についている花からいかにも身体に悪そうな毒々しいガスが噴出された。なんだろうアレ、神経毒とかそういうのかな?毒ガスらしきものを噴出して少し経つと、枝が肉を幹に近づける。どうやって捕食するのだろうかと思っていると、突然幹が裂け、そこから鋭い歯の生えた赤黒い口が現れた。枝が肉を口の中に放り込むとそれを咀嚼しはじめ、食べきると口は再び幹に隠れて見えなくなった
うっわー、ものすごくグロテスク。実験とかやらなきゃよかったな。あんなのに喰われたくはないな。全力で焼却していかないと
その後も先制攻撃で片っ端から魔物を燃やしながら進んで行き、次の階へと続く階段を見つけた
「よし、階段発見!次の階に行くぞ!」
「次の階も森だったりして・・・」
「そんなフラグはいらないんだが・・・」
はてさて、6階はいったいどんなところなのか・・・?階段を登り切った先にある扉を開ける。扉の先の光景は・・・・・またしても森だった
「やっぱり森かよ!!」
「マスター、フラグ回収お疲れ様です」
おいこら、フラグ建てたのお前だろ!?はあ、まあ何となくこうなりそうとは予想していたんだけどね。まだまだ俺の魔眼が活躍するようだ
この階もさっきと同じやたらと長い名前の木の魔物がいるのかな?・・・うん、そうみたいだな。・・あれ?なんか魔物の割合が増えていないか?さっきは6本に1本くらいだったのに、この階は4本に1本くらいになっている。どちらにせよ攻撃を食らう前に燃やしていくからいいか。少し負担が増える分俺も頑張ればいいし
6階も俺が索敵と攻撃をしながらミカヅキに指示し、ミカヅキもどんどん魔物を燃やしていった。今回は実験とか言って遊ばなかった分少し早く扉に着いた。まだ余裕はあるし、この調子でサクサク進んで行こうか
ということで7階の扉を開ける。7階は・・・
「また森かいっ!!」
「いい加減飽きてきましたね」
愚痴をこぼしても仕方がない。とにかくここもちゃっちゃと切り抜けよう。とりあえず魔物を確認。・・・おい、ちょっと待て。魔物の割合、また増えてるぞ!?4本に1本から2本に1本になってる。これだともう魔物を森に隠しているのか普通の木を森に隠しているのかわからないな。もうこれ1本1本倒すのは面倒だ
「ミカヅキ。通り道にある木、全部燃やしていくぞ」
「全部ですか?」
「この階の木、大体魔物だからな」
俺たちは先程みたいに細かく攻撃していくのはやめて、広範囲の攻撃で周囲の木を"魔物"、"魔物じゃない"関係なく燃やしていった。その結果、俺たちが通った後は草一つも残らない道ができてしまったがそんなことは気にしない。その後も1本道を作りながら進んで行き、階段のところへとやってきた
「今日は、いつもより早いペースで進んでるな。この次の階まで行ってしまうか」
「次も森だったらどうします?」
「その階を全部燃やす」
「笑顔で恐ろしいこと言いますね・・・」
だって森はもう飽きたんだもの。一気に燃やし尽くしてストレス発散したい
さあ、8階は新しいステージとなっているのか、それともまたまた森のステージで俺に階層丸ごと大火事にさせられるのか・・・?扉を開けた先は・・・・・ボス部屋でした
「そう来たかー!!」
「まさかのボス部屋ですね」
「もしかするとボス部屋は4階ごとに設置されているのではないか?」
なるほど、そういうことか。前回は肉と魚が出てきたから、今回のボスはさっきまでの階層に合わせてまた木かな?もう木は飽きたからさっさと終わらせてしまおう
俺はボス部屋の扉を開ける。扉の先は前回の何もなかった部屋と違い、草が生い茂りその中心に大樹が佇んでいた
『【ザックーム】が現れました』
え?ちょっと待って。もしかして今回のボスってこの大樹!?目測でも高さ15メートルくらいあるし、幹もすっごい太いんだけど
すると、目の前の大樹が騒めきそのなかなかに太さのある枝を鞭のようにしならせて攻撃してきた。慌ててこの攻撃を回避。デカいのに枝の攻撃はめちゃくちゃ速いな!!油断したら叩かれそうだ
枝攻撃に注意をしていると再び大樹が騒めきだす。また枝かな、と思っていると樹に生っていたであろう直径5センチはありそうな実をこちらに飛ばしてきた。何が起こるかわからないのでこの実に触れることなく回避する。実は地面に落ちて潰れ果汁を撒き散らす。すると果汁に触れた部分がジュウウウ"という音と煙を立てながら溶けだした
「あの実、溶解液でも入っているのかよ!?」
飛んできた時に叩き落とさなくてよかった。それで問題はあの大樹をどうするのかだが・・・。よし、ちょっと本気出すか
「ミカヅキ!あの樹を燃やすぞ!!」
「燃やす!?」
「ああ、あの樹の内部に炎を最大火力でぶち込む。さすがに最大火力でやれば燃えるだろ」
「でも枝とか実とかの攻撃は!?」
「俺が何とかする」
「・・・わかりました。やってやりましょう!」
俺たちは大樹の幹に向かって走り出す。幹へと近づくごとに枝や実での攻撃が激しくなるが、枝は切り落とし実は影を張って防ぎながら進む。幹へとたどり着くと、まず内部へ炎を入れ込む所を作るためにミカヅキは【月見酒】、俺は【半影喰】を使って大樹に深く切り込みを入れる
切り込みを入れダメージが通ったせいか、大樹がより一層暴れ出す。枝や実が量を増して攻撃してくるが影を使ってこれを防いでいく
十分な切り込みを入れたら俺は大樹の奥の方に影を、ミカヅキは切り込み口に手をかざし、最大火力で炎を送り込む
「「大噴炎!!」」
———————ゴオオオオオォォォォォ!!!!!
物が燃えて焦げる匂いがしてくる。そして大樹の方もこれ以上やられまいと攻撃をより激化してくる。だがこのまま押し切らせてもらう!!最後のひと押しとばかりに俺たちは炎を送り込んでいく。やがて大樹の攻撃がだんだんと弱くなり、遂には一切の攻撃が止んだ
「終わった・・・か?」
「終わったみたいですね」
「終わりだな」
ふう、今回も何とかなった。俺たちがひと休憩していると、目の前の焦げた大樹が消えていき、代わりにアイテムが出現した。さっきの大樹のドロップアイテムかな?何が出てきたのだろう?近づいて確認すると、どうやら木製品のテーブル、椅子、ソファのようだった
「これがボスのドロップアイテムか・・・。なんかすごい微妙なもの出てきたんだけど」
「・・・ですね。上等そうな品みたいですが、椅子やソファはクッションが無いから硬そうであんまり使い心地は良くなさそうです・・・」
「まあ、なにも出てこないよりはよかったと考えるべきではないか?」
それもそうか。こうして俺たちは8階のボスを倒し、なんとも言えないアイテムを手に入れたのだった
はい、ということで今回のボス戦はだいぶ短く終わりましたね、はい。たぶん次話からもこのくらいのペースで進んで行くと思います
次回、水ときて地ときたら・・・




